はい。ずっと放置するかのように大事にしてきた「あると」。
最後に残した恵のシナリオ、進めました。

今回の記事は多少ネタバレを含むと思われますので、読まないのがいいかもしれません。
特に、やっていない方は、ね。
プレイした方は、一緒に語り合いましょう(笑



あると」。
俗に言う美少女ゲーム、Hゲーと呼ばれるものって買ったことがなくて、
だからまあ、この作品がどの程度のものだかさっぱりわからないわけです。

でもまあ、小説だの映画だのはよく観ていまして、
そんな自分の中でヒットした作品であることは間違いがないのです。

はじめは、何で見たのだったかナァ。
紹介サイトのようなものがあって、それで。

あると」っていうタイトルに惹かれていて。
何の意味なんだろう、と思いながら、シンプルで憶えやすいタイトル。
そういうところがよかったのかな。

ほら、こういったら失礼だけど、何だか引いちゃうタイトルってのもあるじゃない。
そういうものではなかったよね。

体験版のリンクまであったから、そのままダウンロードしてプレイして。
とても元気の良い、オープニングムービーと曲に惹かれて。

そして、それより先に出てくる快活な少女に惹かれて。


それが橘恵でした。

体験版のせいか、ずっとこのコがヒロインなんだと思ってた。

恵のテーマカラーはオレンジ。
…以前、そのことについて書いたっけか。

何ていうのかな。
リアリティとイマジネーションがうまいこと共存している必要があって。
それを恵はうまいこと形になっているかな。

誰もが怖い。
自分が望むものがあるから。

進んで、そこに結果が出ることも。
止めてどうにかならなくて苦しむことも。

だから、少しずつ、少しずつ…。
「だいじょうぶかな、わたしは傷つかないかな」なんていうペースで。

快活に見えるクラスメイト。何でも出来ちゃいそうで…誰からも魅力的に見えるこ。
でも、その子にだって…そういうところはある。

だからかな。
サブで見せた笑顔と、メインになったときの笑顔が丸きり違っているようで、
一人のオンナノコを表現していると感じられたから、惹かれたのかな。

内側に入らないとわからない気持ち。
内側に入れたからこそ、見せてくれる機微。

恋愛ゲーム(といっていいのかわかりませんが)の本質ってここじゃないのかな。


元気一杯で、「他に言うことあるんじゃない?」とか言っちゃうコ。
でも実は、いつも何か一生懸命で…必死でいるような、そんなコ。
カワイイ部分をたくさん持っていて、それで冷やかされたくなくて、

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…とかって言っちゃうコ。

カワイイ、カワイイよ恵。


そんな恵が、話が進むに連れて、自分をとりまく環境への悩みと、
その悩みを超えたところにある「夢」を探し当てます。

それは、恵が周囲から隠したかったことで…。
でも、それが大事なことだと気づいたから、それのもつ力を知ったから、
そしてそれを大切な事だと、気づかせてくれた人がいるからで。


やっぱり、いいですよ、恵。

ただね、恵がどうして、主人公を気になっていたのかってところ。
そこが弱いかな、他のヒロインに比べて。

なんだろう、気持ちを傾ける何か、「そこまで考えてくれた」ことを、
もっと描写強くする、あるいは量を多くするべきだったのかなとも思うし、
ひいていえば、姉妹での話、も、もーちょっと量を多くしないと、
長年の何かは消すことができないというか…何か足りないかな。
伝わってきにくい。

別なCGでも用意すれば、視聴者というかプレイヤー側には多少
「切り替わった」と伝わるから、それくらいはあってもよかったのかなと。


あとはさ、エンディング。場所をタイセツにしていたのだから、あれでいいのですが、
でもなんかもっとこう、他の表現もあったんじゃないかな。

恵の決意みたいなものを言ってくれる何かがあってもよかったかな、なんて。
ストーリーが「夢」をおいかける、と言う形になっていたからね。


総じて。
どのヒロインも、なりたいものがあって、それを目指している。
それが、とても輝いて見える。


ないかな…だから惹かれるんだろうしな。

こういう輝きを見つけている人なら、きっと誰だって、ほうっておかないんじゃないか。
何かを見つけるべきなんだろうな。

…っていうことはどうでもいいとして。


ストーリーのなかで、何かを見つけ、輝いていくのがヒロインたち。
それに惹かれないわけもない。

話がしやすくて、さっぱりしているのに、輝いてもいる。
…こんなこいたらヤバいよなぁ。


恵がラストシナリオだったから、ついついダラダラ書いてしまいました。
が、思い入れ深い作品になりましたね。


この作品を作り上げてくれた方々には本当に感謝したい。
当たり前なのかもしれない、人によっては。
でも、これに出会って、たくさんの感動を得た。

残念ながら、発表からしばらくして、原画作家の岩崎考司さんは脳卒中のため亡くなりました。

誰が欠けても、同じようには作れなかったでしょう。


だから、フィナーレを迎えて。
「あると」では何度も繰返されている言葉を送りたいと思います。


「ありがとう」