Escudeさんの「せんすいぶ!」感想です。
『せんすいぶ!』応援中!


エスクードさんの「せんすいぶ!」は、新感覚スポーツ「戦水」を扱ったぶっかけスポーツバトルSLG。
マヴという水上スキーみたいなものに乗り、相手チームのフラッガーをマヴから落とす。
結構ハードなスポーツで、マヴには潜水機能のほか、
相手の体力や滑り落とす弾を撃つ機能もあります。

4on4ですが、たまにそれ以下でも試合することがある戦水。
フォーメーション、バトルスタイル、スキルなどがあり、
スピードスポーツである戦水に沿って、ゲームとしてもさくっとしていながら、奥行きを楽しめました。
どかーんとやって倒せる爽快感もいいですね。

では、感想です。
ネタバレ深めだと思います。

ジュニア時代、母とスポンサーの手によって、女性専用のスポーツだと知らされず、
孤高のクイーンと称されるまで上り詰めた主人公。
ヴァッサーグラールと呼ばれる最高峰の大会で勝利した後、
母に突如そのことを明かされ、絶望。
「あんたが、女の子だったらよかったのに」
以降親戚を頼り、遠方の青崎市で苗字を変えて過ごしていた。
そして2年目の夏……。

改めて導入ストーリーを書いているのは、結構大事な設定だったんだな、と感じるからです。
部活もの、スポ魂展開ですが、単に気合いだけで進めていくわけではありません。
設定にのった、スタートから共通、個別にかけてのストーリーはどれもいいんですね。
体験版の感想はこちらから)

シナリオすごく良かったと思うんです。
それぞれの過去、ここまで辿り着く経緯。そして立ち戻る、何故、勝ちたいかという思い。
きちんと描かれていて、とても楽しめました。
正統派スポ根ものといえるでしょう。

ヒロイン配役も良かったかな。

もっと日常パートに力を入れてくれても良かったのかも。もう少し読みたかったな、という意味でボリューム不足かもしれません。

水上を駆けるマヴの疾走感を削ぐと判断したものか、
それでいてしっかりと葛藤が描かれる、ギリギリのバランス。
大分そぎ落としたんじゃないでしょうか?統括技術すごいですね。

とはいえ、謎も幾つか残されたままなので、ちょっと困ったところもありますね。
ドラゴンブレス無効化と、SB弾を給水口に狙える実力。浮舟陸だと知り得たのか…など。
手に入らないヒロインもいたりして、うーん。それも魅力があるんですよね。

今回のシステムにおいて、SKIPは他作品の早送りではなく、ジャンプ機能。
周回前提を意識してストレスのない作りを心がけていらっしゃるようです。
そのためのバトルスキップなのでしょうか、ね。
(このスキップ、スキップ先でログをさかのぼれるというのはいいですね)

それと、画面がアクティブでないとAUTOも止まってしまうのですが、
これはちょっともったいないかな。
AUTOでストーリーを楽しもうとするとポップアップで止まったりしますからね。

マヴから滑り落ちやすくするSB弾(スライミーバレット)
相手を0%以下にした場合、水着が……というのはあってもいいと思いますが、
それをやってしまうとスポ根から離れてしまう、ということなのかな。
(むしろ裸パッチは…)

一方で、システムの都合か、日常パートがどうしても作業になりがち。
そこで、登場人物たちとちょっとした会話が成されるのだけれども、なんというかもったいない。
かといって成長パートが必要ないわけじゃない、と難しいところ。

楽曲も、バトルシーンのものは、かっこいいギターで戦闘を盛り上げてくれます。
Escudeさんの作品はみんな音楽いいですけどね。TOY[Studio Primitive]さん。


では、キャラクタの紹介を。

橋姫真麻(かわしまりのさん)
練習時の「オッス、オラ真麻!いっちょやってみっか!」と、
試合時の「全力全開フルテンショーン♪」のふわっと感がたまりません。
テンションの高いキャラクタ。
ノリはいいんですが、ちょっと色恋になると恥ずかしがっていつものペースでいられなくなる面も。
秀でた才能はないものの、"凡人の星"。

実は、青崎学園戦水部は、廃部の危機にあります。
真麻は上級生で部長ですが、存続するために勧誘を続けてきました。
元々戦水は、マヴとそのメンテナンス等にとてもお金の掛かるスポーツ。
やれる人はそんなにいないわけです。
それでも、部として存続していた青崎学園戦水部員が、部長一人になってしまった理由とは……。

周囲には、見守ってくれる、黒洋学園の花宴桜(杉原茉莉さん)や、
因縁のある長門女子学園の賢木芽衣(桜川美央さん)などがおり、
青崎学園戦水部のゼロストーリーを背負っているのが、橋姫真麻です。

それだけあって、共通ルートから見どころのあるシーンも多いです。
ここのかさん原画ということもあって、体力面に秀でる厚みのあるキャラクタがうまいこと描かれている気がします。
「仕方がないんだ」
この箇所は共感を得た方も多いのではないでしょうか。
何かになりたくて、何にもなれなくて。
与えられた事態が、スポ根展開なのでとても面白かったですね。
主人公、長谷見陸の関わり方も。
「どうして、彼女の頑張りを、否定することができるだろう」

ただし。奇術師が恨みを持ち続けるには弱いかなぁ。
だって勝つために算段を巡らすタイプなわけでしょ?
そのためなら友達関係作るんでしょ?
だったらもっと奇術師に語らせないと。
「あんたは勝つことを捨てた。勝てたのに。アタシの目の前で!」くらいに。
それと、真麻の許せるって気持ち、ちょっとわからなくて残念でした。


蓬生みと(萌花ちょこさん)
「おつかれさまでーす!」と朗らかに声を掛けてきてくれる、
「どぇえっ!?」とテンパる声も可愛らしい、
戦水がやりたくて、2時間かけて青崎学園に通ってくる新人。

感情表現が素直で、裏表がない。天然より。
やや遠慮がちで自己評価が低い。が、脇が甘いのも事実。
周囲は青崎学園のエースを担うと期待しています。
元ジュニアアクアガールズのエース。
周囲がジュニア戦水界伝説的選手の浮船陸を超えようとしている中で、みとは浮船陸を神聖視しています。
(グッズもたくさん持っているようです。)
その気持ちは、日頃の遠慮がちな姿勢を引っ込ませるほど。

みとは、戦水の場に男性がいることを最初に受け入れてくれ、陸に戦水の舞台へ戻る勇気をくれます。
一方で、連帯感優先で勝利に貪欲になれないみとに対し、陸は"エースとはなにか"を説くことも。
オールマイティスタイルから、かつて浮船陸、海親子が目指したエンプレススタイルを目指します。

みとのみがなれるエンプレス、というバトルスタイルの記述を真に受けて、
一生懸命育ててましたが、みんなエンプレス使えるんじゃんね……。
素直でまっすぐ。ぶつかる時でも持ち前の優しさで接するスタイル。
アリスよりマスコット色が強かったかもしれません。
一緒にお茶をすすっていると、二人の老後が伺える関係。

テキスト上では「は、はい」という表記だけでも、すごくキャラクタが伝わってくるのは萌花ちょこさん音声ならでは。



アリーシェ・藤葉(上田朱音さん)
「アンタ」呼ばわり。大食らい。
「アタシらしくないけどさ…」と回復スキル。
ドイツから来たちっこいスピードスター。
立ち絵よりもCGのほうに魅力があるキャラクタ、アリス。
いわゆる小さい系暴力込みツンデレですが、声のせいなのかな、あまり嫌な感じがしませんでした。
あくまで小さいツインテールの子がちょっとごねているというかね。
可愛らしいところ見せるまでの時間が短かったというのもあるのかも。
「呼びにくいなら、アリスでいい」
母親が異名持ちの戦水選手、また姉もそのスタイルを受け継いでいるといわれるほどのため、
そのプレッシャーから日本に渡っています。
強気に出るところと、自身のことになると途端に弱気になってしまう感じがうまいなあ、と。

それは仲良くなってからも変わらなくて、主人公は後ろから支えている、見守っている感覚なんですよね。
で、アリスは腰に手を当てて大いばり、みたいな。かわいいこと。

そのくせ、Hシーンではなぜか一番えろく感じるCGが多くて。

梅枝莉子々(水霧けいとさん)
陸のクラスメイトにして無表情なお隣さん。
通常であれば、最初に登場したキャラクタに強いフラグがあるものですが、
実は最初からフラグ立っているのが一番早い(と思われます)。
みとと同じアクアガールズの旧エース。水上の凍れる魔術師(コールドマジシャン)。
「戦水は嫌い」と言い放ち、再会するみとにも冷たい態度をとり
勧誘するも袖にされ、あることがあって加入となりますが、
それでも、今夏で引退することは変わりません。
家庭の事情。莉子々の家は、親の病気や経済環境などがたたっており、
戦水を続けることが出来なくなっています。
その上で、浮舟陸最終戦の対戦相手でもあった莉子々は、見抜いてしまいます。
「あなた、"浮舟陸"よね?」

最後に登場するヒロインなのに、包容力が一番あるというかパートナーぽい。
ノリが合うというか、正に馬が合うんでしょうね。
「麻痺って、なんだよ」
「虫刺されのかゆみ止めじゃない?」
「それは○ヒだろう」
「紅茶に良く合う洋菓子の」
「それはマフィンだ」
「食パンを落とすと必ずバターを塗った面が下になるっていう法則で有名な」
「それはマーフィー」
「ぐぇ、ぐぇぐぇ」
「梅枝、お前のそのモノマネ……」
指摘で顔真っ赤までがワンセット。
このノリを表情乏し目で水霧けいとさんハマり役ですね。すごくいいと思います。
口調は温和しめだけれど、ぐいぐい来るので、みとを凌駕する可愛らしさを放ちます。

元々は指揮官プレイヤーだけあって、陸と近い視点を持つことも多く、
練習内容の打ち合わせや、土曜日個別特訓でも戦水譜が中心になることも。
ルートでは、陸に道を示してくれる、希有な存在に。
「やれ、だなんて言わないわ。やりたいんでしょ?」
ちょっとどこか飄々としている感じだけれど、きちんと向き合ってくれるのが莉子々のいいところですね。

「惚れてまうやろ」
まさに影となり日向となり。女房役、というのが正しいかも。


長谷見優衣(棒名れんさん)
青崎学園教師。
生活習慣はだらしないけれど、結局は陸を引き取り、戦水部の顧問をし、陸にそっと言葉を与える。
「今の君はもう、天才じゃないよ」
「何一つ考えなしに、やればなんとかなるだろう――なんて根性論を、教えたつもりはないのだがね」
出番が少ないのがちょっと残念です。私服姿もあってもよかったですよね。

絵合皐(赤司弓妃さん)
元スカーレットで、陸の最後の試合のチームメンバー。
現クイーン。
再会した時には、何故か凝り固まってしまっていて「浮舟陸は時代遅れ」「ポスト浮舟陸は自分」と公言しはばからない。
最後の試合でサポートしてくれた姿は消え、エンプレススタイルを目指し、誰とも協力しないことから、
二つ名は至高にして孤高の女王(オンリーロンリークイーン)。

味方として操作できる機会は少ないのですが、そのスキルの強さに思わずびっくり。
そして、皐が笑顔を取り戻した後がまたいいですね。
「そういえば、今ここには、私と貴方しかいないのよね?」からの
「――私が許したと思ってた?」につなぎ
「陸先輩!」がかわいくてしょーもない。


夢橋暎子(如月葵さん)
なんですかね、この「そんなことないっすよ」がかわいいとは。
出番が少なめなのがちょっともったいない。
メガネを外すバージョン2が素敵。
「ツンデレなんすか? この人」

モブ子(柚木サチさん)
いやー、モブ子かわいい。
てっきりモブ子さんとも仲良くなれると思っていたんですけどね。
若干腐が入っている噂が。

関屋蛍子(秋野花さん)
ボクっこ!日焼け肌!素直!かわいい!
こんな子にもドラマがあるというのがいいですよね。
きっとこの子はマヴに乗ってるのが好きなんだろうなーという。

水上の戦闘妖精(シュバッハ・ナイアード)。
疾風の踊り子(ラーゼン・タンツァー)。
至高にして孤高の女帝(オンリーロンリーエンプレス)。
……と二つ名オンパレードで浮舟陸時代に賞賛された主人公、長谷見陸。
男の子の部分と、頼りがいのあるコーチとしての力を見せる時と、
引きずる過去と。
主人公らしいものをたくさん持っています。

ということで、登場キャラクタは可愛らしかったです。

攻略情報もちょこっとだけ。
クリア自体は随分前にできていて、記述が遅くなっています。
よって、内容について1.02での経験が主で、1.03も一応確認した……という形です。

色々やり過ぎてこんなに周回してしまいましたが、どう考えてもここまでやる必要なかったかも。

バトルスタイル経験値は、1回の土曜特訓で、1000+500(イベント加算)。
試合では800~場合によっては4,000くらい、かな?
早く、かつ多く相手を落として勝てると上昇しますが、クリアだけなら勝ち方にこだわることはありません。
でも、サクサクしているのに油断するとばっさりやられる戦闘、うまく勝ち抜けるのも楽しいですよ。

あ、そうそう。ストーリー上勝てない相手から勝つと、経験値とてもいただけます。

スキル経験値は、日々の練習で上昇し、試合中や土曜特訓では上昇しません。
このスキル経験値は、そのスキルレベルが高まるごとに上昇しにくくなります。
が、スキル難易度には依存していないようです。

スキル経験値の上昇度合いは、その日そのキャラのテンション(気分)に大きく左右されます。
水曜日に行われるミーティング、陸が手伝いを指名したキャラクタは気分が上昇し、
練習における経験値上昇率が上がります。

スキルとパラメータですが、
表示上はスキルを最大5個セット(練習)しようと追加していくと、まるで基礎値は上昇しないような画面表現がありますが、
スキルセットしていったほう基礎値は上昇します。
ここのところ、体験版の時には気づきませんでしたね。

この際、セットしたスキル難易度によって、パラメータの上昇率が上がるようです。
難易度の高いスキルを積極的にセットして練習に臨んだほうが、
試合でも能力値的にもおいしい。

難易度高いスキルばかり5つセットした場合と、スキル1つセットした場合だとこれくらい上昇値に差があります。
スキルの種類によって成長するパラメータが違います。偏らせれば+13くらいは1回で上昇します。

ただし、バトルスタイルによっては低いレベルのスキルしか使用出来ませんのでご注意を。
あまり使わなかったスキルってないので、そういうバランスの良さもいいですね。

ヒロインとのルートは、土曜日特訓で指名をすることが一番ポイントが高く、
次に、部活帰りなどのイベントで選択する友好値のようです。

土曜日特訓で真麻のバトルスタイル経験値を上げてルートに入れるだろう……と思いきや、
スキル経験値を得たくて水曜日や部活後友好値選択肢や水曜日指名でアリスのテンションを上げる選択肢を選び続けていると、
意外とアリスルートに入ったりしますので、土曜日特訓だけが唯一のキーというわけでもなさそうです。
(にしても、後半出てくる、部活帰りのテンションアップ選択肢はきちんとしてほしかったですね)

友好度を高めるとテンションが高い状態を維持しやすく、
テンション上げておくと最終的にスキル上昇させやすく、
スキルが上がればパラメータも成長させやすい、
戦闘を有利に進めることができ、バトルスタイル経験値獲得しやすい……という流れですかね。

もったいないところは数あれど、ファンタジー要素をできる限り排除し、
個性豊かなヒロインたちが、きちんと事態に向き合う、素敵な物語でした。

戦水って、実際にあっても良さそうなスポーツなんですよね。
そのあたりもよかったのかも。


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