SMEEさんの「フレラバ」感想です。
フレラバ~Friend to Lover~応援中!


SMEEさんは「ラブラブル」からのお付き合いになるわけですが、
分かりやすいタイトルに、ちょっぴりのロマンを込めているような気がします。

今作「フレラバ」も、出会いから関係を深め恋人に、
そして恋人生活をエンジョイするというコンセプト

主人公の青葉恭介が、彼女をつくるんだ、と意気込むところから物語は始まります。

今回は若干ネタバレ気味なのですが、未プレイの方の邪魔にならない程度に抑えつつ、感想です。

まずね、このOP曲がすごくおしゃれ。「quantum jump」。
すごく夏っぽい。さわやか。これからはじまる、という感覚がします。
良い曲ですよね。

曲が良くても…、というか、体験版をプレイした限りでは、
前作「ラブラブル」、または「同棲ラブラブル」を超えている感じがしなくて。
大丈夫なのかな?なんて思っていました。

そして製品版。
そんなこと思ってごめんなさい。確実に正統進化しています。
それどころか、うん、「ラブラブル」よりすごく良かった。

ヒロインキャラクタがどれもコレも可愛らしい。
すごく魅力を引き出してくれていると思うんですよ。

friend to lover. 友達から恋人へ。
人によっては知り合うところから……。
その過程で得られるドキドキ感、それが、本当にたっぷり。

こんな簡易なシステムで、ここまで魅せてくれるとは。

本当はこんな女の子だったんだ
こんな一面もあるんだ。
ああ、やっぱりこんなことしたら怒るよね。
ノってくれるかと思ったけど、そういうところしっかりしているんだ。
もうね、こんなことが盛り沢山。

すごいよ、SMEEさんって。
画面から目が離せませんでした。

あと、やっぱりノリの良さ。
バカやってくれている良さってありますよね。
合わない人もいらっしゃると思うんですけど、不快に感じる展開はありませんでした。

システムの紹介。
まず、共通ルートというか、主人公の日常が展開され、
彼女が欲しい主人公は会話からのアプローチをします。

「何だお前か。私に何の用だよ」
感情の起伏の荒い柊ゆずゆ。最初はとてもつっけんどんです。
選択できる会話の幅も少ないです。
これがうまくいくと好意的な印象をもらえるわけですね。
(もちろん話題の選択が良くないと会話が弾みません)
それどころか、意外とお喋り好きに感じられて、そのことを指摘すると恥ずかしそうにしたりとか。

そうして接し続けていくうちに、見えてくる姿。素敵な笑顔。
お前と呼び威嚇してくる柊と、あんたと言って笑いかけてくるゆずゆ。
主人公だけでなく、プレイヤーにも、かわいいと、気になる存在だと思えていくと思います。

そうなってからは、この会話中にもちょくちょくアプローチめいたものが出てきて、
そんな主人公を少しずつ認めたり、許容していくんですね。
「あはは……!バーカ!」
もう柊にこう言われた時点で、かなり可愛いと思えてしまってます。

関係が進んでいくと、一緒に歩いて帰るシーンや、メールで会話するシーンもあり、
そこでも会話選択があるんですが、日頃は見えない表情や、ちょっと踏み込んだ会話などもできて、
つまり、この「フレラバ」は、会話を大切にした作品だなぁと強く思うのです。

そして改めてデート。告白シーンへ。

いやあ、素敵な展開でした。

この作品で重要なのはヒロインでした。
なので、ヒロインの紹介をしたいと思います。


沢渡岬(水邑琴音さん)
――ショーケースに飾られたプディングのような女の子。

誰もが云う。この子は違う。だから触れてはいけないと。
ガラスの向こう側から賛えるけれど、誰もガラスを超えてはこない。
プディングの中身は何か。
わからないのに、きっと素敵なルビーが詰まっていると名札がつけられている。
コーティングされた外側が、その佇まいが、とても素敵なのはわかるけれど。
他のものとは違う棚におかれたそれは、だからこそ、いつも背中しか見えない。

まず、最初にプレイすることをおすすめしたいのがこの子です。
今後のヒロインに対しても、こういう展開が待っているんだと、期待を伝えてくれると思うんです。

ちょっと声優さんの演技については気になるところもあるのですが、
拙い感じがあるからこそ、口べたな岬らしさも出ている気がします。

「男の子って、不思議がいっぱい」
ゆるやかな展開。でも、岬そのもの、本当の岬が周囲にも伝わる瞬間って、
到達感ありますよね。

こんな展開だったのかー!としてやられた感じが、とてもしました。
そして次のヒロインたちも楽しみになりました。

柊ゆずゆ(秋野花さん)
――コンフェティ、砂糖菓子のような女の子。

砂糖菓子は見た目の美しさはあるけれど、ハード。
触れると、その硬さに、ちょっと痛みを感じることもある。
口に含めば、やがて角がとれて、柔らかく溶けて、甘い味わいを残していく。
そんな女の子だと感じました。

つっけんどん、暴力的に周囲から思われているゆずゆ。
めげずに会話を重ねると、先に紹介しましたけど、そのうち話題がはずんで「バーカ」と笑顔。
かっわいいんですよ!

この子、本当に”ヒロイン”なんだなぁ、って。
すごくすごく、女の子なんですよね。

誰だ!体験版の時に「一人微妙なのが……」みたいなこと言った人!
反省しなさい!といえるくらいには、かわいいです。

そして、あの強気も、そういうことだったんだなと納得できてしまう展開が待っています。
本当にすごくいい子。
「大体、何で好きなんだよ。私のどこを見て好きになってくれたんだよ……」
たぶんこの二人はこのまま、穏やかにつながっていくんだろうなぁ、と感じられます。
幸せを願ってしまう。
ゆずゆルートで、本当にフレラバの良さを実感できた気がします。

皆原陽茉莉(東かりんさん)
――ショートケーキのような女の子。

もう子供じゃないし。
選ぶことをやめてしまったような、慣れ親しんだショートケーキ。
主人公は子供な面もかなりありますから、最初に上にのっているイチゴを落としてしまいます。
それに気づかず、後になってイチゴがあったことに気づきます。

酸っぱさと甘さがあったのかも。香りはどうだったのでしょう。
苺の味を想像することはできます。でも、食べられなかったんです。
食べていたら、どうだったのか、わからないまま。

本当は幼馴染みだった子。
引っ越しで疎遠になって、同じ学園に通うことになって、その成長が緊張を生んで。

疎遠になったきっかけは、ほんのささいなこと。
体験版などでも出てきましたが、両親同士仲が良く、同じ学園に入学する頃に、
親伝えに携帯電話のメールアドレスを伝えたが、伝達忘れだったというけれど……。

「い、一応……印のつもりだったの。私のって」
繰り返しになりますが、ボリュームこそ無いものの、すごくツボをおさえていると思うんですよ。
そして意外性もある。
女の子はおませさん。
たくさんのことを考えているんだなぁ、と感じられました。

望月理奈(あじ秋刀魚さん)
――チョコレートケーキのような女の子。

定番、身近で、身近すぎてよく知らなかった。
スーパーで売っているものだと思っていて、雑に扱ったりしていたけれど、
よくみればカカオにこだわったザッハトルテの輝き。
強く惹かれるのに、触れていいのか戸惑ってしまいます。

しかしそのフォンダンで覆われているのは……。

もうちょっと、友達で居た期間が長い人だという実感が欲しかったかな。
導入などを含めてとてもうまいと思うんですけど、
そうだ。友達から恋人への期間をもう少し長く楽しみたかったかなと。

音ゲーが好きだという理奈と、一緒にやってみるとか楽しそうです。
「次は……ちゃんとそっちから誘って……?」

気になるのは、本当の意味で理奈の解決になっていないんじゃないかっていう気がするんですよね。
だって、振り向いてもらえていないままじゃないですか。

ラブラブな二人を見て、私は違うようにしよう、
いいのだけれど、本当にそれで解決になるのか。

理奈だって信頼していたから、助けてくれるという期待と、
主人公の「彼氏なんだから甘えろ」を信じたからこそ、会わせたわけだから。
それに気づいてしまうと、二人の強く深いつながりを感じられて、いいなぁと思うんですけどね。
何か仕掛けてくれるんじゃないか、と主人公に解決を期待しても無理からぬ事。


それと、後半に昔どんなふうだったかが明かされますが、
その兆しが全く感じられなかったり、主人公にも把握のないところなので、
エピソードを入れるか、それとも昔どんなふうだったかではなくて、
主人公のことをこう言ってた、だけでいいと思うんですけどね。

一番ボリュームが多く、優遇されているようにみえて、ちょっとちぐはぐした部分も感じられました。
意外性はさほどなくて、見たままを主人公が受け入れる、といった形でしたが、
理奈にはちょうどよかったと思います。

全体的にヒロインと仲良くなると、とても甘い展開になりますので、
お菓子に喩えてみました。

最初からイメージとして用いられることもあるけれど、
こうやって作品クリア後に喩えられるというのは、
とても楽しめたということなんだと思うんですよね。

マイナスポイントもあります。
シーンパターンが少し似通ってきてしまうこと。これはもうしょうがないのかもしれないけど。
恐らくシーン構想を寝るときに、このヒロインも学園でシーン作りたい、と考えたのでは。
それと、いわゆるシーン中の変な顔、これは作風にも絵柄にも合わないと思うんです。

それと、もう少しだけディテールの補強を、テキストでしてくれた方が嬉しいかな。

セーブファイルが少ない。
いいなと思えるちょっとした会話が多くて、ついセーブしてしまうんですが、10×10では足りなかったです。
これは、それだけ気になる場面が多かったということなんですけどね。

SMEEブランドの主人公はみんな積極的ですが、
それってメッセージですよね。
いいと思います。現実変えたければ動かなきゃ。

動いたからこそ会話ができる。
その上で、会話だって選ばなきゃいけない。
悪ふざけだってできるけれど、ヒロインだって人だもの。怒ることだってありますからね。
(つまり、話題は選ぼうよ、ということです)

それと、伝えるなら気持ちは、ストレートに。

恋をすれば、女の子は変わる。
違った一面が見られる。
そして、それは自分(主人公)だって。
気づかないうちに。

ヒロインのそれぞれの理由、
例えば後ろ姿さんのアレとか、ゆずゆのアレとか、陽鞠の疎遠な理由とか、
本当にささいなことがきっかけで。
でも本人でも止められないことってあるよなぁ、と思えるあたり、
すごくリアリティがあるんですよね。

どんなこともそうだけれど、強烈な体験が何かあったとして、
それをそう思い続けるって難しい。
マイナスなことであっても、プラスなことであっても。
本人の周囲が、そんな本人に対しどう接していたかによって、継続されてしまう姿勢ってありますよね。
そういうことなんだろうなって。

ただ、体験版の時にも書いたと思うんですが、
背中しかみえないさんは、発売日まで背中しか見せないプロモーションやるべきだったと思いますよ。
やっぱりそこは、貫徹しないと。

全体的には短く感じたのですが、
それでも、ヒロインの可愛らしさ、友達から恋人へと深まっていく関係、恋を楽しむということ。
これらがギュッと詰まっているのは、この作品だからこそ、だと思いますよ。

本当の恋愛ADVだと思います。
コレはオススメ。

かわいらしさって、こういうこと。
久しぶりに女の子、”ヒロイン”をみせていただきました。

どんな恋がしたいか。
そういう答えって、難しい。
けれど次にも期待をしてしまう、何かを見せてくれる、感じさせてくれるんじゃないかって。
そんなブランドさんですよね。


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