戯画さんの「ハルキス」感想です。
戯画 『ハルキス』 応援中!


2015年1月発売。
戯画さんのキスシリーズ(?)最新作「ハルキス」。

まず、プレイしやすい作品だというのが、ありますよね。
シリアスな話ほど、しっかり時間を取ってプレイしようかなと思ってしまいます。
また、長大な作品ではないので、その中で完結してくれるだろうと。
そう考えて、アイコンをクリックしやすい。
再開しやすいシステムだというのもあります。

そういうわけで、1月購入作品の中で、最初にプレイ完了しました。

それでは感想です。ネタバレは多めかな。
どんな物語だったのか、ということを述べるには、この作品、
主人公のことを考えないわけにはいきません。

瀬戸修司は、他の人の巻き込まれた事態を放っておけないところはあるものの、
自分だけで解決できたことがありません。
しかし周囲の助けもあって、これまでなんとかやってこれた、のかな。
未解決の事柄はありますが、そういう時に、本人だけが背負い込んでしまっています。

以前は、地元の葉原で柔道をやっていました。
現在は、一人暮らしをして、学園に通っています。
が、成績が悪い。
遅刻や休んだりといったことはないものの、なんとか進級できた学力、というレベル。
温情込みの進級だったため、学園からボランティア活動などを求められています。

朝の早起きなどは、以前から運動をしていたこともあって、苦手ではありません。
が、そうした生活態度を危ぶまれたためか、
同じ学園に通う親戚の姉妹の住居に間借りさせてもらい、
成績の向上を図ることになりました。

周囲からは自堕落であると責められることはありますが、
暴力的であるとかいったことはなく、
本人自体は嘘も付かないし、誠実。

柔道では体格が育たず芽が出なかったものの、
未だに運動を続けており、外見上は細マッチョ風。
顔立ちがいいとかそういうことはない、とのことですが、ビジュアル上はややイケメン。
服装を良くしようとしてもなかなか合わず、
いい服で全身コーディネートしないとダメ。
でも似合わないってことは無いと思うんですけどね。

なぜか、主人公の周りには女性が多い。
その女性陣たちからは。
(八住の盾になったことを)「修司、あんた自分の立場分かって言ってる?」、
(成績が悪いことを)「お兄ちゃん、どうして」と切実に心配され、
(お前、ちゃんと分かってるんだろうなという)「ねえ、修司?」、
(修司が言わない事実を周囲から聞かされて)「……まあ、そんな事だろうと思ったけど」、
という形で、誰も主人公へ好意を表していないんですよね。

こんな主人公なのですが……、
まず。どうして好かれているのか。
ヒロインたちが、どうして近い距離に存在しているのか。
それがよくわからないんですよね。

製品版でないと、主人公の全容が分かりませんでした。
ただね。
単に成績が悪かっただけで、時間を掛ければうまくいくことからも、
体験版でも少し触れましたが、自堕落というほどでは無いと思います。
ダメな行動もあるとは思いますが、周囲があれこれ言うほどではない。

これに、周囲のキャラクタがどうして距離感を保ってくれるかとを考えると、
周囲が、主人公のことをアレコレ言いたい性分の人たちなんじゃないか、と。

そのヒロイン4人ごとのマルチエンドではありますが、
「ハルキス」は、センターヒロインのシナリオに帰結します。

残念ながら、うまく纏め上げた、ということではなくて、
それ以外のシナリオには力が入っていない、
……、昔の戯画さんらしい展開です。

兵藤天音(あじ秋刀魚さん)
主人公の地元、葉原で知らぬもののない、柔道場の娘。

体験版では把握しきれなかったのですが、杖を使っているとのこと。
杖つきヒロインって珍しいですよね。

それはそれとして。ちょっと威圧的というか、こういうあじ秋刀魚さんもいいですねぇ。

幼なじみだけあって、最終的に深くつながっている感じがしますが、
そうですね、主人この過去に何があったのかを語る重要な存在で、
そのこともあって、伊月ルートでも大事な役割を果たします。

表記されていたわけではないけれど、主人公は自分のモノだ、という意識があったのかな。

主人公の行動も理解はできます。
やりすぎたこと。やりすぎたと思ったから選択したこと。
何だったのか、向き合いたくなかったから、今まで結果を出さなかった……、
ま、それは想像なんですけれども。


瀬戸このみ(杏花さん)
主人公の義理の妹。
身体が弱いだけでなく、やや引っ込み思案ながら、譲らないところは全く引くことがない。
思ったままのことを言ってしまう……ということですが。

このシナリオは良く分かりませんでしたね。
方向音痴の自分を圧して、中距離から心配して会いに来る。
まず、そこまでの感情が育っていたのかが分かりません。

そして、主人公の行動。
そこまで鬱屈していたのかとびっくりしましたし、
それを、このみが好ましいとして、受け入れてしまうところも驚きましたね。

何かやってしまっても、ネタとして笑い飛ばしてくれる。
そんなことないよと伝えてくれる。
ある意味、ユーザーが望んだヒロインそのものではありますが、
だからといって主人公は、衝動に走るほどのことだったかな?とは思ったりしましたね。

キャラクタとしてみても、他ルートでも、何も考えず口にしているようなところがあり、
どれだけ美少女であっても、面倒な子だという気がします。

兄妹になりそこねた、とはいうけれど、
そういうきれいな言葉でまとめるには、向き合わなさすぎたのだと思います。
それなのに様子を見に追いかけてくる……、ちょっと分からなかったですね。
何をどうしたいのか。

他ルートで出てきても、ちょっと鬱陶しさはありますね。
冬木しのぶ(香山いちごさん)と同列に見えてしまいます。
冬木も相当だと思いますが。

白石葵(真中海さん)
主人公の親戚で、生活態度改善の補佐をしている。

過去のトラブルを経て、学園では目立たないように過ごすために地味に偽装。
家では偽装を解いて美少女として気ままに過ごしています。
姉の白石ツバメが映像関係の制作者であるため、
偽装を解いた状態で、ファッション雑誌に載ることもある。

ファッションの趣味は、その撮影で得たバイト代と、撮影で服が貰えることがあるので、
それで満たしている。
レトロゲームも好きらしいのですが、即してキャラクタに活かしたエピソードはなかったかな。

シナリオそのものはさておき、キャラクタとしてはとてもいいですね。
どのシーンで出てきても違和感を感じません。

八住伊月(有栖川みや美さん)
偽の恋人になって、巻き込まれるトラブルから逃れることを選んだわけですが、
それがそのまま誤解されて、高嶺の花に恋人ができたという噂が学園に広まり、
そのまま偽の恋人を継続。

学園の人気者ですが、接してみると、
男らしいところ、情に厚いところなど、意外と自然なキャラクタでした。

主人公の一番外側にいたキャラクタなのに、
共犯者だから、というよりも、それは持ち前の性質なのか、
主人公の一番の理解者であるように見えます。
分かった前提で、投げかけてくる言葉は、小気味良いですよね。

そんな伊月のシナリオ、結構面白かったなと思います。
偽の恋人だったけれど、少しずつ意識する。
「――うん。友達としてじゃなく、気になってる……」

そして、主人公が他の人と過ごすところを見てしまう。
伊月自身が、自分の気持ちが分からなくなってしまう。
偽、だったはずなのに。
そして、主人公のことを思うと、やるべきこと、は……。

だから、最後に呼び出された時の、伊月の緊張感が、とても映えますね。
有栖川みや美さんが好演してくれました。

ただ、この伊月ルートの内容からすると、
これを作品が描きたい最高のシーン、としてしまうと、
ちょっと盛り上がりの山が低いかな。

伊月ルートは、このみ、天音シナリオが、前提として必要な構成です。
主人公の問題にフォーカスされているから、ですが、
むしろ作品そのものが、主人公の問題をセンターに置いていたように思います。

だからこそ、伊月がスランプで悩んでいても、そこにシナリオをシフトしなかった。
良いかどうかは別として、そういうことなんだろうなと。

しかしその割りには、
各シナリオとの整合性、違和感が目につくところがありますよね。

そして、どのあたりが”イチャラブコミュニケーションADV”なのか。
そのあたり、戯画さんは全く気にしていないということかな。

今作の特徴は、声に出さない会話を登場人物たちが繰り広げるところ。
「(お世辞じゃないんだけどなー)」
「(好きなんて言えない、それは確か。
……だけど、ここでそうじゃない、なんて言うのは何かちょっとイヤかな)」
こういう会話が多いです。

元々、こういうテキストは得意としていたところもあるのでしょうか。
こういうところはうまく使われているな、とは思います。

で。
この件についてはできる限り書き残して置きたくはないのですが。
この件があるから、プレイを早めたというのはあります。
ネタバレを目にしてしまう機会が増えそうだったんです。

確かに直接の従事者が悪い、というのはわかります。
(本当にこのライターさんが、かどうかはさておいて)

そうした場合に、発売元としてアナウンスすること。
一定規模の他のブランドさんなら当たり前に行っていらっしゃるのですが、
戯画さんは、アナウンスをしていません。(2/11現在)

尻尾の切り捨てにしか思えません。
戯画さんは、このライターさんを共同制作者として認めていないように思えてしまいます。

戯画さんには、これまでもそういう姿勢があります
発売後のことは、知らないというか。
そこまで気にしていられない、なのかもしませんけれども。
無視してしまっても、次第に沈静化することは間違いないですし。


相変わらずファンタジー設定はないですし、
普通の学園、という向きで描かれた作品でした。
内容がやや、経験のある方向けの話だったかなとは思いますが、
そこは好みから外れていません。

ですが。
今作のトラブルに沈黙を続けている以上、
もしかしたら、もうキスシリーズとしては、作品が提供されることはないのかも、しれませんね。

色々気になるところはありますが、話としては、こういうの、嫌いじゃないんですけどね。

そうそう。
初回特典版ではブックレットがついてきていまして。
戯画さんの作品の背景が好きなのですが、それも収録されていました。
できれば大きいサイズで見たかったかな。
ハルキス 初回限定版【予約特典:marui先生描き下ろし「八住伊月」複製サイン入り色紙付き】
ハルキス 初回限定版【予約特典:marui先生描き下ろし「八住伊月」複製サイン入り色紙付き】