ORANGE YELLさんの「さくらにかげつ」体験版プレイしました。
ORANGE YELL「さくらにかげつ」


今回ORANGEYELLさんが目指したのは、
”ポンコツっ娘だからこそ見える、女の子達の可愛さ、そして同居生活の楽しさ”。
そう、今作は、”ポンコツ少女、同居育成ADV”なのです。

「来ないねー。迷子になってるのかな?」
「……すれ違う可能性もあるか」
「はーちゃんは迷子になったことある?」
「出先で迷子にならなかったことの方が少ないと思います」
「わたしと一緒だぁ」

来客を待ちながら、三ヶ月耶澄はやきもきしていた。
待ってはいるが、来ない。
この後、耶澄は学園へ行かなければいけない。生徒会の仕事がある。

しかし、この二人……同居人の一都ハコ、大黒天ナユには任せておけない。
何しろ、ポンコツなのだ。全く因果関係が見えなくても、例えば最終的に家が火事になったりする。
冗談みたいなことは、起こるのだ。

その要素を排除したいので、二人に居留守を命じ、戸口に不在の張り紙をした。

仕事を終わらせ、日頃ならやる夕飯の買い物をとばして家に急ぐと。
「よかった、家があった……」
亡くなった両親が残してくれた家だ。無事を喜び安堵に歩調を緩めた耶澄だが、
家があった代わりに、玄関先に大きなものがあった。

それは、大きな鞄を枕にした女の子。
起こしてコミュニケーションを取ろうとするが、女の子が寝ることを優先して、うまくいかない。
なんとか耶澄の姉、輝の手紙だけは受け取った。

手紙によれば、呪いとやらに憑かれているらしく、うちで面倒みて欲しい、とのこと。
全く要領を得ない。が、どうやらこの子が、今回の来客にして新たな同居人らしい……。

耶澄には、ちょっと変わった才能がある。
それは、新たな同居人が持っているらしい、呪いのようなものをどうにかすることじゃない。
ダメな子を、真っ当にする才能だ。

とはいえ、その経験は乏しい。
何しろ、幼なじみたちは9年かかった。
そして、そのうちの一人、夜九ころぶは、1ヶ月前に亡くなってしまったのだ。

だから、耶澄は仮面を付けた少女サクラと、取引をした。
サクラが用意する4人のポンコツ娘を、2ヶ月以内に真っ当に仕上げたら、
ころぶと会わせるというのだ。

そうして、サクラによって集められた2人と、今日は3人目を迎えた。

ハコにしたって二日前、ナユにしたって昨日、なのだ。
だけれど、ずっと住んでいる家族のように見える。
こうして耶澄たちは、玄関先で鞄を枕に寝ていた少女、白詰草詩舞も家族として迎え入れたのだった……。

だから、「さくらにかげつ」なんですね。
体験版は、583MBでした。
現在は、version 1.01として、テキスト修正などが行われたバージョンとなっています。

その結果、ウィンドウサイズは調整できないのですが、
タスクバーより前に出るようになったので、テキストウィンドウのコンフィグ、
Loadのボタンも押せるようになりました。良かった。

さて。
体験版では、実はストーリーの根幹はわかりませんでした。
というのも、今回の体験版は、一応ダイジェスト扱いのようで、
公式サイトでのストーリーを見ると、
やっぱり「この世界の向こうで」をリリースしたORANGEYELLさんだなぁ、という感じがします。

一件、朗らかに進むポンコツっ娘たちとの共同生活。
だけれど、その生活をする理由が……。

一ヶ月前に亡くなってしまった、幼なじみのころぶ。
真っ当になって、だけれど、交通事故に遭ってしまった。
ころぶに、言いたいことがある。
言って欲しい、こともある……。
もう後悔しないために、耶澄はこの4人を育てることを決めたわけですね。

ちょっと面白いなと思ったのが、そうはいっても、耶澄は欲望に忠実だったりするところ。
お風呂でも、そういう意味で積極的だし。

それと、ですね。
大黒天ナユ(麻黒ほんさん)は、学園で手相を見ることが出来ると知られていて、
それで、他の男子の手相を見ることになることがあって。
耶澄は、それを注意するように……嫉妬してみせたりするんですよね。

なごむと会いたい。
けれど、育てている娘(?)たちに、自分のものだ、なんていう意識でもあるのかな。
そういう感情を見せる主人公って、珍しいですよね。
こういうの、いいなと思います。

それと。
耶澄の周囲にいる者達はすべて、何らかの霊能力系に関わっているようです。
耶澄自身の自覚がないだけで。
そのあたりも注目ポイントですね。

かわいい曲ですね。
主題歌「SAKURA ROUTE」/歌 :Luna/ 曲:大久保潤 /詞:緑坂亜綾とクレジットされています。
この世界の向こうで」の「ロンド」も名曲だと思いますが、大久保潤さんはすごいですね。



ビジュアル面やシステム面はもう少しかな、と思うのですが、
なにぶんストーリーがかわいらしい。
少しほっとする、そんな物語があるように思えます。

声優さんもキャラクタにかなり合っていますし、
ポンコツ娘たちの、噛み合わない会話も、小気味良いです。
普通、そういう会話は少しいらっとしてしまうものですが、そういうのがないんですよね。
なんとなくかわいい、そういうのが伝わります。

もし、不安があるとしたら、サクラやころぶの物語に、ボリュームが欲しいなということ、ですかね。
描ききれるくらいのボリュームを用意してくれているのか、どうか。
さくらにかげつ 初回限定版
さくらにかげつ 初回限定版

2015年7月24日(金)発売予定です。