SILKY'S PLUSさんの「なないろリンカネーション」感想です。
なないろリンカネーション 琴莉
2014年9月発売作品。
SILKY'S PLUSさんの「なないろリンカネーション」。

積んでしまっていた、というよりは、
つい、進めるのがもったいなくなってしまっていました。

プレイ自体は数ヶ月前に終わっていたのですが、なかなか受け止めにくい展開でもあり、
時間がかかってしまいました。
それくらい、楽しめた、入り込めたんだということですね。


原画、すめらぎ琥珀さん。
シナリオは、かずきふみさん。
発売当初は、「ガンナイトガール」コンビだ!と期待を高めていました。

霊、怪異を取り扱ったストーリーで、「ガンナイトガール」よりも規模の小さな物語になるかな、
なんてことを思っていましたが、
体験版をプレイすると、タイプが全く違う物語になっているんだなと気づきました。

今更ながらに、この作品が、色々なところで、高い評価を受けているのが分かる気がします。
霊を取り扱うことで、そこに居る、というつながりを描こうとした、
ハートフルな作品なんですね、これ。

ということで、体験版は2までリリースされていましたが、
どちらもプレイ。製品版の購入をして、それがとてもよかったと感じています。

では、具体的に感想を。
ネタバレはやや強めです。


「リンカネーション」
OP曲ですが、プレイ後に聴くと、すごい読後感を味わえます。
ED曲の「you ray send me」はタイトルにダブルミーニングでしょうか。
粋ですね。


導入ストーリーは……。
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幼い頃から祖父の家に来て、「変わったことをいう」と言われ続けた加賀美真。
祖父が亡くなり、この家に住むことにした。
母は、真の独り暮らしが心配そうだったが、真は別なことに気を取られていた。
この、祖父の屋敷。真ひとりじゃない、と……。

ということで、最初から何か別なモノが住んで(棲んで)おり、
加賀美の家は、その力によって、この場所では”御役目”を果たしていた。
場合によっては警察から依頼を受け、報酬を貰う。
それ以外では、見かけた困っている人に手を貸し……。
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いや、本当に面白い作品でした。

この、冒頭の、体験版で味わえるもの。
それはとても、これからの製品版に向けて、期待を高めるモノ。
これを前提として、どこまでプレイヤーの気持ちをさらっていってくれるのかな、と。

けれど。
実際には、そこすらも仕掛けがあって……という、
素晴らしい展開が待っていました。
体験版での期待を、超えてくれていたんですね。

個別ルートがあります。
最初にプレイした、刑事の伏見梓(かわしまりのさん)。
これが結構お気に入りです。

ふと、真が晩酌をしていると、梓さんがやってくる。
事件の経過報告だ。
お酒を飲むようになったばかりの真は、見とがめられて一本勧めてみる。
……と、酔ってしまった梓さんが……。

この場面と、そして後半の琴莉がかばった後のシーンもそうなのですが、
すごくオトナの雰囲気です。
働く大人の恋愛事情ってこういう関係のことかな、と。プレイしながら思っていました。

最初は「しないよ。軽いって思われたくない」から、行為をしないし、
真の御役目を直に見てから、そして琴莉の気持ちのことを知ってから、
「適切な関係でいよう」と距離を取る。

大人だ……。

それでいて、告白はもっと後。
「順序が逆だね」「じゃあきちんとやろう」と笑い合う二人。

大人の恋愛だ……。
何度も思ってしまいました。

彼らの選択は、自分にできるから、大人だから背負うことでした。
そして進む未来。
それをストレートに描いたところが、すごく好感持てますね。
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グラフィック面はさすがです。
さすがのすめらぎ琥珀先生。
本作は霊やアヤカシが出てくるわけですが、
ホラーのようなものも含めて、良い表現でした。
差分も結構豊富。

というか…ですね。
一番デザインいいなと思ったのが、真の元彼女である、土方由美。
星崎イリアさんの声も合っていて、真面目そうな性格を感じる声だし、
だというのに、服装はなんか、妙にはじけていますよね。
(これにもちゃんと理由があります)

色調こそ、冒険はないけれど。
タンクトップニットに、ホットパンツですよ。
別れてしまった真から見て、彼氏の趣味か……と思うのも、無理はないです。
それから、ルートの途中であった、引き出し開けたらゴムが出てきたとか。

うまいこと騙されましたよね。ほんとうまい。
ちょっとしたことですけど、仕掛けがうまい。

黒髪で、仕事中などは束ねているなど、差分もすごく良いと思います。

というか、あれですね。
久しぶりにえっちだわーと、イベントCG見て思いました。
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そういうグラフィック。
グラフィックと、キャラクタ設定、声の勝利かな、なんて思いますね。
声優さんの配役、全体的に良かったと思います。


ルートについてはちょっと、すっきりしないところもありました。
それは、座敷わらしの伊予(真宮ゆずさん)ルートもそうなのだけれど、
全てのルートにおいて、琴莉の扱いが難しかったのかなと。

本当は、由美のルートだって、爽快感を残して終わりを迎えることも出来た。
けれど、そうは出来なかったのも……。

キャラクタの魅力としては、かなり高かったのに、
どうしても三番手以降になりやすい扱いだったかな、とか。

見逃せないのは、滝川琴莉(秋野花さん)のルート。
できればこれを最初に進めて欲しいところです。
普通であれば、最後のほうがいいのかもしれませんが、
この作品を一番表わしているし、それでいて、一番いいルートだから。
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コタロウという犬を探して欲しいという依頼からはじまり。
そして、コタロウを見つけていく…。
これは体験版で味わえて、残念ながらコタロウは亡くなっているんですが、
この結末から、作品の雰囲気、方向性を感じられることはあると思います。

まさか。
そんな風に思う場面が出てくるなんて、思いもしませんでした。
体験版をプレイしていると、こんな感じかな、とか、このキャラクタはこんな風になりそうだな、
なんて思えることがあると思います。
滝川琴莉の描かれ方は、意外性がありました。

かわいらしい。
犬を飼っているから、というだけではなくて、本人も割と犬系です。
登場人物で唯一の学生さんらしく、純朴なところと、若さ故の熱意が相まって魅力的。
――だから、こそ。

時折見せる憂いのある表情差分は、その年代だからこそ、というものを感じさせます。
まだ幼い。でも大人、という。
すごくいい差分ばかりですよね。

そして、登場人物がどうなるか、だけでなく、
場の盛り上げ方がすごく良かったですね。
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面白かったですね。

さくさく進んでいくし、余分なところは少ない。
他ルートに行った時、スキップしながら進めると、
整合性を合わせるために、テキストまたはセリフの調整がありますが、
既読のみスキップをしていると、よくわからなくなるので、
別ルートでも普通に読み進めたほうが良いようです。
バックログジャンプ、できませんし。

単純に無能に見えてしまうシーンが一部ありましたね。
もう少し、温度差や無力感の表現があってもよかったのかも。

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主人公も良かったですね。

年齢が大学生設定のようですが、大人っぽい。
それでいて、感情の部分を出すことができるんですよね。
怖さもそうだし、嫉妬もします。
そういうところが、キャラクタに共通しているので、
作品全体が大人っぽく感じる。

好意的に感じられる、年齢層を上げた雰囲気を持つ作品。
珍しいですよね。

学園モノも好きだけれど、それより上の世代のものがあると、ちょっと嬉しいかも。

あ、そうそう。
つい忘れてしまうのですが、コンフィグにないだけで、画面サイズの変更も可能です。


この作品の続編、ではないのですが関連作として、同ブランドさんから「あけいろ怪奇譚」が発売中です。
そちらもなかなか面白いですよ。