RASKさんの「Re:LieF」体験版プレイしました。
”もう一度学園生活を送るADV”。
その場は、彼女にとって、開会済みの裁判だった……。
大きな悪意と諦念が彼女に向けられ、しかし、誰も彼女の弁護に回らない。
彼女は、とうにどうにかなってしまっていたのだ。
だから、彼女の出社は、面談と称されたその日で止められてしまった……。
それでも彼女は、同じ通勤電車に乗っていた。
会社から休職扱いされ、通うことはできないが、それでも会社に呼び戻されるのが、いつでも可能なように。
彼女の、そんな小さな意地めいたもの。
それが、プロジェクト・トライメントの切符を手にしたのかもしれなかった。
プロジェクト・トライメントは、模擬就学制度による、社会復帰プログラムだ。
つまり、一度は制服を卒業した彼女――、箒木日向子も、再び制服に袖を通すことになる。
もう一度、学園生活を行うことで、当人たちの自己肯定感を育て、社会復帰を実現するもの。
とはいえ、まだ実験段階であるためか、まだ公に参加者を募っているわけではないらしい。
太平洋に浮かぶ御雲島は、トライメントのための島といえるのかもしれなかった。
閉鎖的な土地、山を隔てた区分けがあり、コンビニやファミレスがなく、
ネットや携帯もない島で、いきなりの相部屋。
ここに居られる期間は、一年。
国の支援を元に、社会福祉公社LieFが運営するという。
傍から見ると胡散臭いようでもあるけれど、
通勤電車で声をかけてくれた、取引先の信頼できる女性から、このプログラムのパンフレットをもらったことと、
そして、自分で調べて。他の人にも相談して。
箒木日向子は、自分で参加することを決めた。
”試してみるんだ、もう一度――、と。”
体験版は、661MBでした。
いや、これは面白い。
クオリティが非常に高いです。
描きたいものがきちんとあって、そのためにしっかり作っている、というのがよく分かる。
グラフィックの、儚い雰囲気を感じる彩色。
そして、落ち着いたアコースティックギターの音色。
休息であるようにも、夢の中であるようにも感じますね。
作品は、与えられる進行、授業課題、そして選択肢。
どれもこれもが、手抜きがないというか、しっかり貫徹されている感じです。
設問は、リアリティがある。
その上で、こんな、分かれ道ですよ、と言いたげなCGまで用意されている。
何より変わっていると思ったのは、視点がヒロイン視点で進むこと。
世代、年齢を考慮したためでしょうか。すごく良いと思うんですよね。
もしかしたら、経験したことがあるかもしれない。
社会という輪の中に、うまく入り込めなかったこと。
爪弾きにされたこと。
そういった人たちが、少なからずいるはずで。
日向子の、連れてこられたかのような雰囲気。
20くらいで、ちょっと出来が悪くて、そのまま社会からドロップアウトしてしまって、
そんな雰囲気がすごく伝わりますね。
過去、とはいえ、日向子にしてみれば、たった数週間前のことですが、
その時のことが強い精神ダメージとなっていて、同じシチュエーションを求められると、倒れてしまう。
この場面の、音の重ね方も、すごくうまい。
それが、体験版の最後では、少し、成長して見えて。
グラフィックも、しっとりした音楽も、演じられている葵ゆりさんもすごくいいですね。
体験版は、視点がヒロイン日向子を主軸に描かれていましたが、
これが、製品版ではどのように描かれていくのか、気になるところです。
ほら、やっぱり、こういう作品ですから。
気になるじゃないですか。
ストイックだという大舘流花(藤川なつさん)の、きれいな腹筋まわりを見るのは、誰なのか、という……。
でも、それよりも気になるのは、
どうして、アイとは、他の子が会えないのか?
そして、それを新田司が追いかけている理由は?
そして、第二学区はどうして無人なのか?
……というところではないでしょうか。
ここがなかなかのフックになっていて、気になるところです。
ですが、やっぱり本筋は、キャラクタの成長においてほしいなと思うんです。
恐らく、今の社会で問題になっている、失敗を許さない社会。
そこにアプローチできるのであれば、
何らかの光を提示することができれば、
それはもう、すごい作品になると思います。
この領域を攻めた作品は、実はとても少ないんですよね。
道を外れてしまった彼らが、元の日常に戻っていく、
その理由であるとか、根ざすものは何かを見つけられる、
そんな作品って。
これは買っておくべきかな。
日向子や流花といったキャラクタは、目の前を見ているように思います。
けれど、アイあたりは、もっと遠くを見ている、全体を広く見ているように思います。
それを求める新田司あたりは、何を見ているのでしょうか。
そして、何を見つけるのでしょうか。
この島が、AI(例えばミリャ)を用いた没入感のあるVRで……、
第二学区にはまだ人モデルが作られていないから無人で、
あるいはそちらでの実験は終了したから消してしまっていて。
社会健全化のための、AIを使った壮大な実験、ということは、
何となく思いついてしまいますが、それはさすがに安直、かな。
グラフィックも、かなり潤沢ですし、このままの雰囲気なら、最後まで楽しめそうです。
いつから制作に入ったのかわかりませんが、相当、準備されてきたんだな、と感じますよ。
RASKさんのデビュー作「Re:LieF~親愛なるあなたへ~」は、
ちょっと変わった雰囲気の作品です。”もう一度学園生活を送るADV”。
その場は、彼女にとって、開会済みの裁判だった……。
大きな悪意と諦念が彼女に向けられ、しかし、誰も彼女の弁護に回らない。
彼女は、とうにどうにかなってしまっていたのだ。
だから、彼女の出社は、面談と称されたその日で止められてしまった……。
それでも彼女は、同じ通勤電車に乗っていた。
会社から休職扱いされ、通うことはできないが、それでも会社に呼び戻されるのが、いつでも可能なように。
彼女の、そんな小さな意地めいたもの。
それが、プロジェクト・トライメントの切符を手にしたのかもしれなかった。
プロジェクト・トライメントは、模擬就学制度による、社会復帰プログラムだ。
つまり、一度は制服を卒業した彼女――、箒木日向子も、再び制服に袖を通すことになる。
もう一度、学園生活を行うことで、当人たちの自己肯定感を育て、社会復帰を実現するもの。
とはいえ、まだ実験段階であるためか、まだ公に参加者を募っているわけではないらしい。
太平洋に浮かぶ御雲島は、トライメントのための島といえるのかもしれなかった。
閉鎖的な土地、山を隔てた区分けがあり、コンビニやファミレスがなく、
ネットや携帯もない島で、いきなりの相部屋。
ここに居られる期間は、一年。
国の支援を元に、社会福祉公社LieFが運営するという。
傍から見ると胡散臭いようでもあるけれど、
通勤電車で声をかけてくれた、取引先の信頼できる女性から、このプログラムのパンフレットをもらったことと、
そして、自分で調べて。他の人にも相談して。
箒木日向子は、自分で参加することを決めた。
”試してみるんだ、もう一度――、と。”
体験版は、661MBでした。
いや、これは面白い。
クオリティが非常に高いです。
描きたいものがきちんとあって、そのためにしっかり作っている、というのがよく分かる。
グラフィックの、儚い雰囲気を感じる彩色。
そして、落ち着いたアコースティックギターの音色。
休息であるようにも、夢の中であるようにも感じますね。
作品は、与えられる進行、授業課題、そして選択肢。
どれもこれもが、手抜きがないというか、しっかり貫徹されている感じです。
設問は、リアリティがある。
その上で、こんな、分かれ道ですよ、と言いたげなCGまで用意されている。
何より変わっていると思ったのは、視点がヒロイン視点で進むこと。
世代、年齢を考慮したためでしょうか。すごく良いと思うんですよね。
もしかしたら、経験したことがあるかもしれない。
社会という輪の中に、うまく入り込めなかったこと。
爪弾きにされたこと。
そういった人たちが、少なからずいるはずで。
日向子の、連れてこられたかのような雰囲気。
20くらいで、ちょっと出来が悪くて、そのまま社会からドロップアウトしてしまって、
そんな雰囲気がすごく伝わりますね。
過去、とはいえ、日向子にしてみれば、たった数週間前のことですが、
その時のことが強い精神ダメージとなっていて、同じシチュエーションを求められると、倒れてしまう。
この場面の、音の重ね方も、すごくうまい。
それが、体験版の最後では、少し、成長して見えて。
グラフィックも、しっとりした音楽も、演じられている葵ゆりさんもすごくいいですね。
体験版は、視点がヒロイン日向子を主軸に描かれていましたが、
これが、製品版ではどのように描かれていくのか、気になるところです。
ほら、やっぱり、こういう作品ですから。
気になるじゃないですか。
ストイックだという大舘流花(藤川なつさん)の、きれいな腹筋まわりを見るのは、誰なのか、という……。
でも、それよりも気になるのは、
どうして、アイとは、他の子が会えないのか?
そして、それを新田司が追いかけている理由は?
そして、第二学区はどうして無人なのか?
……というところではないでしょうか。
ここがなかなかのフックになっていて、気になるところです。
ですが、やっぱり本筋は、キャラクタの成長においてほしいなと思うんです。
恐らく、今の社会で問題になっている、失敗を許さない社会。
そこにアプローチできるのであれば、
何らかの光を提示することができれば、
それはもう、すごい作品になると思います。
この領域を攻めた作品は、実はとても少ないんですよね。
道を外れてしまった彼らが、元の日常に戻っていく、
その理由であるとか、根ざすものは何かを見つけられる、
そんな作品って。
これは買っておくべきかな。
日向子や流花といったキャラクタは、目の前を見ているように思います。
けれど、アイあたりは、もっと遠くを見ている、全体を広く見ているように思います。
それを求める新田司あたりは、何を見ているのでしょうか。
そして、何を見つけるのでしょうか。
この島が、AI(例えばミリャ)を用いた没入感のあるVRで……、
第二学区にはまだ人モデルが作られていないから無人で、
あるいはそちらでの実験は終了したから消してしまっていて。
社会健全化のための、AIを使った壮大な実験、ということは、
何となく思いついてしまいますが、それはさすがに安直、かな。
グラフィックも、かなり潤沢ですし、このままの雰囲気なら、最後まで楽しめそうです。
いつから制作に入ったのかわかりませんが、相当、準備されてきたんだな、と感じますよ。
2016年10月28日(金)発売予定です。
ダウンロード販売もあります。
Re:LieF 〜親愛なるあなたへ〜