暁WORKSさんの「スイセイギンカ」体験版プレイしました。
暁WORKSさんの新作は「スイセイギンカ」。


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フェリーのタラップを降りた哲生を襲ったのは、
初夏なのに容赦ない真夏の日差し。
ボロボロのキャンプバッグを肩にかけ直し、歩き出す。

この街は、10年ぶりにもなると、全く様変わりしていた。
貨物港となり、観光も漁業も無さそうで、
田舎ではないが、距離感から、近隣大都市の倉庫といった扱い。
それが、今の瑞穂のようだった。

製薬会社である辰砂製薬が、物資流通の便利さから研究所を瑞穂に移したことで、
今の発展がある。

これから世話になる人と携帯電話で話し、迎えを断って歩き出す。
10年ぶりとはいえ、行き先の場所は変わっていない。
大丈夫だろうという気持ちがあったのと、
この暑さに、相手が手助けの手を引っ込めたのだ。

……そして、安藤哲生は案の定、道に迷う。

港へ到着した時、暑さを振りまいていた太陽は橙に色を変え、
街全体を見下ろすなら高台、と哲生が思いついた頃。

目指したのは、10年前、毎日のように訪れていた”ひみつきち”があった場所だ。

あんな事故があった場所だ。気が進まない。
だからてっきり封鎖されていると思ったのに、自由に入れるようだった。

その、瑞穂一帯を見下ろせる柵の縁ぎりぎりに、髪の長い女の子が立っている。
過去のことがあるからか、哲生は声をかけていた。
「――おーい、危ないぞ」

その声に振り返った女の子は、こちらを振り返見て、酷く驚いたようだった。
「もしかして……哲生?」
確かに名前は合っている。
合っているが……、女の子に見覚えは無かった。
そんな哲生を余所に、確信を得たのか、女の子は喜びを笑顔にのぼらせた。

こうして、彼と彼女は再会する。
10年ぶりに。”あの事件”があったのと、同じ場所で……。
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体験版は、635GBでした。

その後、ハイキックに襲われる哲生さんでした。

ハイキック・ガール!」を何となく思い出しました。
ちなみに、「ハイキック・ガール!」、主演の方もだいぶ頑張っていますが、
相手役として出ている方も、現役格闘家(当時)ばかりで、なかなか見応えありました。

閑話休題。

ただ、シナリオの森崎さんによりますと、クトゥルフ的な物語。
海よりきたり、というあたりかもしれませんね。

端的に言うと「X-ファイル」や「クトゥルフ神話」と近しい立ち位置の物語となります。現代に現れる「未知のナニモノか」と、それに触れてしまった人々の物語です。


さて、原画はさえき北都さんです。
ちょっと描き方が変わりましたね。
ポージングは同じなようで、この特徴的な手のポーズは好き。
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安藤哲生がお世話になる探偵事務所の助手にしてお姉さんキャラクタ。
城ヶ崎桃(かわしまりのさん)。

サブキャラクタのように見えますが、ちゃんとメインかな?お姉さんなかなかです。

あと、阿見マリア(北見六花さん)。
うん、素晴らしいスタイル。
これは人気出そうです。

ただ。
ストーリーなのですが。

体験版ネタバレになってしまいますが……。

幼いころに本当に仲良しだった4人。
いざな、哲生、姫子、勝紀。
その日はいなかった勝紀を除いて、秘密基地で遊んでいた所、
突然、銀色の何者かが浮かび上がる。
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幼いながら聡い姫子がいざなを突き飛ばし、
そして、姫子は消失する。立っていた足元の土ごと、ごっそりと抉られて。

それでも銀色は、いざなを触手で撫でる。
姫子みたいに消失はしない。けれど身体の内側を何か凍り付かせるような感覚が襲う。

それを助けようと哲生が間に入るが、
すると触手に触れた哲生は、腕を削り取られた。――姫子のように。

そして、哲生はいざなを突き飛ばす……崖へ。

それが、幼いころの出来事。

その後、入院したいざなが聞かされたのは、
その時、辰砂製薬のトラック事故があり、有毒物質がこぼれ広がり、
幻覚を見たり、傷害事件が起きたりと、妙な事件が多かったという。

そのため、辰砂製薬は、多額の寄付を行い、復興支援をしているらしい。
10年後、町は様変わりし、栄えた。

……が。
誰に聞いても、哲生と同じ体験を覚えていない。
哲生と姫子は、ただ引っ越したことになっているし、
誰も銀色を見ていない。

この時を期に、住民たちの間で諍いが起きるようになり、
それこそ、哲生の両親や、いざなの両親たちは離婚しているし、
治安も良くない。

また、肉体年齢を経ることがないかのような人たちが増えている。
そして、10年前の時と同じように、何かおかしなことが……。

という、要素はとても面白いのですが。

なんでしょうね。ちょっと駆け足すぎないかなと。

同時に、情報過多というか。
正しくは、サービス精神旺盛すぎないかなと。
ちょっとしたダイアログで、「疑ってください。怪しいですよ」と述べてくる。

なもんだから、スルスル進んでいってしまって、タメがない。
もったいないですよね。

タメというのは、画面の此方側に事態の大きさを伝える、印象づけるためのもの。
浸透するための時間を持つこと。
それをしないのであれば、作品内の時間軸をループさせて見せるしかないと思うんです。

せっかく色々な事態が起きているのに、
要素は面白いのになぁ、とか。

敵のようなものも体験版で出揃ってしまっているので、
割りと閉じた世界に思えます。

よく、洋画やテレビシリーズなどで、
不思議な事が起こった町、という舞台は用意されますが、
それでも、広がりや大きさはしっかり伝わります。
ここは映像との差なのかもしれませんけれど。

だからこそ表現できるというものもあると思うんですが。

舞台背景CGは用意されていますし、場面説明も少しあるのですが、
どうにもイメージが広がらない。

他にも、そのE化という要素が明かされたタイミングで、
特効薬塗られたナイフに傷つけられて、どんなふうな状態になっているか?
ビジュアルでの演出が必要なシーンだと思うんです。
そこは、テキストを読んだ想像に任せて良いところではない。

一番信用に足るキャラクタである主人公が、
こんな存在だった!というのは、こういうタイプの作品を読んでいて、
一番大事な脅かし(ショック与)ポイントでしょう。
それを除いてしまうのは良くないですよね。
作品の魅力を削ってしまう。

それは、今後の展開のため、あえて除いているのでなければ。


敵らしき人物も出てきて、で、早速戦っていくのですが。
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展開早める理由はどのあたりにあるのかなと。
テレビシリーズ12回だとして、もう4回は進行した感じがします。

E化というキーワードが出ていて、
その先にあるとして、もう一段が関の山でしょう。
銀色は、幻覚ではなかった、という。

いざなこそ、物語の主軸。
なのだとしたら、もうそこに突っ走るだけでも良いと思うんですよね。

あれも、これも。
そういうものもいいけれど、描きたいところだけに軸をおいてくれたら。


とはいえ、さえき北都さんのグラフィックは好きですし、
森崎さんの描く会話も結構好き。

そういうダイアログが好きなのだけれど、
生い立ちとして考えると、主人公は軽快過ぎないかと思ったりはします。

雨が降る日は調子が…など、なかなか古典礼賛というかオマージュもあって好み。




それにしても伊福部刑事の声、南平大さんって……?



2017年2月24日(金)発売予定です。
初回限定版はサウンドトラック2枚組と原画集がつきます。