Us:trackさんの「恋×シンアイ彼女」感想です。
Us:trackさんの「恋×シンアイ彼女」は、
春の訪れとともに、一度は散ったはずの恋が……?という、
どこか儚い雰囲気のする作品でした。
統合された学園に通うことになった國見洸太郎。
そこに現れたのは、かつて想いを篭めた手紙を出した相手、姫野星奏。
そして、本当は別の進学先へ行ったはずの、新堂彩音。
原画は、きみしま青さん、倉澤もこさん、しらたまさん。
曲は、水月陵さん。
グラフィックと、曲に関しては、最高レベルです。
どのキャラクタも美しく、そして彩色により、どこかへ溶けていってしまいそうな雰囲気がある。
立ち絵、イベントCGも高いクオリティ。
そして音楽。
とにかく場を作ってくれました。
公式サイトにアクセスしてみると、聴くことができますが、本当に凄いと思うんですね。
音の種類は多くない。なのに、ここまでしっかり響いて場を作れるというのは。
そして、一度振られたはずの恋。
大きな期待を持っていました。
ただシステム面は何故かすっきりしません。
オートモードで動かしていて、途中で他のことをやろうとするからか、
動作がもたつくことがあります。
まあ、さほどプレイに支障はないのですが。
それでは、感想です。
大きくネタバレしているように思いますのでご注意を。
スクールガールストーリーズ、というサブタイトルは、
ヒロインが4人いるということなのだと受け止めていましたが、
それは恐らく間違いなのでしょう。
小鞠ゆい(遠野そよぎさん)は、
いつの間にか主人公に惹かれていた、年下の女の子。
大切な花壇そのものに対する話であり、
そんな彼女に何ができるか?という関わり方をするのかと思いきや、
やっぱり遺された何かについての物語でした。
四條凜香(日傘世玲那さん)は、
体験版でも感じられたように、新たな選挙が行われ、生徒会長でなくなります。
この事態は、ゆいにも大きく響くのですが、
選挙で敗れるということが、この作品の方向性を決定しているように思います。
苦しい状態でありながら、凜香は、自分を見つめ直す機会を得た。
元々、主人公も、一歩前に進むことができていなかったんですね。
その部分は、ゆいや凜香と歩むことで、少しは解決したように見えています。
うまくいかなくても、うまくいく。そういう流れ。
主人公が再び前を見る。良いですよね。
しかし、気になるのは、やっぱり事の起こり。
主人公が忘れてしまっていた、二年前に貰った手紙。
新堂彩音(遙そらさん)。
同級生だった過去。いつもやる気が無さそうで、主人公のことを嫌っていた彩音。
何にでも一生懸命な彩音からすると、掃除をやらないのも、
合唱をしないのも、不真面目に映った。
それが、しかし。
一方で、小説を書けなくなった主人公が、もう一度書けそうだと思えたのは、
彩音がいたからだ。
そして、二年越しで手紙を見つける。
受け入れられるか分からない緊張感と、気恥ずかしさと、ある程度の覚悟を持った声。
さすがは遙そらさんです。
彩音が恋をすることになったきっかけは、本当に素敵な物語。
そして、期待と、少しの不安について感じられる一言。遙そらさんは本当に上手いですね。
生真面目な彩音らしい、素敵な恋模様。
良かったと思います。
姫野星奏(阿部朔さん)という存在は、本当に難しいと思います。
幼い頃から一緒に過ごして、気持ちも、間違いなく繋がっていた。
なのに、離れていった。
それがどういうことなのか全く分からなくて、以降はぼんやりと過ごしていたところへ、再会。
あの手紙は読まれなかったのか?一生懸命な気持ちで書いたのに。
そんなことをストレートにぶつける洸太郎。
取り戻そう、と行動します。
そして、星奏からも想いを告げられます。
手紙の返事をくれなかったことは気になるけれど、
過去の傷も癒やすように全てがうまくいっている、ように見えた学園生活。
しかし、星奏は姿を見せなくなります。
しかし、ずっとやり方を間違えていたのかもしれない。
届いてはいなかったのかもしれない。
そんな想いから、去った星奏に届くように、小説を書きます。
そして、それから。
星奏は本当に相手のことをよく見ていて、気づいていたんだと思います。
だから、例えば彩音に気持ちが傾いているのを、洸太郎の自覚より先に分かっていた。
確かに別なものを選んだのは間違いない。
けれど、一緒に居たいとも、思っていたのも間違いない。
自分にやらなければいけないものを課して、
そうして進んでいったのが星奏なのでしょう。
星奏のことは、ナイーブと、表現するのが最適だと思います。
一人で多くを抱えることができてしまった人。
対して、洸太郎は、大人になっても伝え方を間違えていたのだと思います。
それこそ、最後の最後まで。
例えば彩音は気づいていました。
相手には「色んな事情がある」ことを。
けれど、人と人とは、そんなに簡単にわかり合えない。
自分は自分からでしか、相手のことを見ることができない。
だからすれ違うし、伝わらない。
それでいて、自分の気持ちまで抱えてしまう。
だから、洸太郎と星奏は、ぐるぐる回ってたどり着けなかったんだと思います。
選択肢のうち、何がしたかったのか分からないものもあります。
志乃に関するものとかね。
菜子のルートがあってもよかったのでは、とか、
それこそ、森野と仲良くなった方が色々と幸せになれそうだと思ったのですが、
最後まで進めると、なるほど、と納得のいく作品になっていました。
会長さんとゆいは、どちらもいらなかったかもしれません。
キャラクタ的にはかわいらしいのですが。
それくらい、彩音はストレートで、星奏は迷ってしまうその運びに、惹かれるのだと思いますから。
グラフィックも、音楽もすごくよかった。
その上で、このシナリオ。なかなかの作品でした。
ダウンロード販売もあります。
2015年10月発売作品。
Us:trackさんの「恋×シンアイ彼女」は、
春の訪れとともに、一度は散ったはずの恋が……?という、
どこか儚い雰囲気のする作品でした。
統合された学園に通うことになった國見洸太郎。
そこに現れたのは、かつて想いを篭めた手紙を出した相手、姫野星奏。
そして、本当は別の進学先へ行ったはずの、新堂彩音。
原画は、きみしま青さん、倉澤もこさん、しらたまさん。
曲は、水月陵さん。
グラフィックと、曲に関しては、最高レベルです。
どのキャラクタも美しく、そして彩色により、どこかへ溶けていってしまいそうな雰囲気がある。
立ち絵、イベントCGも高いクオリティ。
そして音楽。
とにかく場を作ってくれました。
公式サイトにアクセスしてみると、聴くことができますが、本当に凄いと思うんですね。
音の種類は多くない。なのに、ここまでしっかり響いて場を作れるというのは。
そして、一度振られたはずの恋。
大きな期待を持っていました。
ただシステム面は何故かすっきりしません。
オートモードで動かしていて、途中で他のことをやろうとするからか、
動作がもたつくことがあります。
まあ、さほどプレイに支障はないのですが。
それでは、感想です。
大きくネタバレしているように思いますのでご注意を。
スクールガールストーリーズ、というサブタイトルは、
ヒロインが4人いるということなのだと受け止めていましたが、
それは恐らく間違いなのでしょう。
小鞠ゆい(遠野そよぎさん)は、
いつの間にか主人公に惹かれていた、年下の女の子。
大切な花壇そのものに対する話であり、
そんな彼女に何ができるか?という関わり方をするのかと思いきや、
やっぱり遺された何かについての物語でした。
四條凜香(日傘世玲那さん)は、
体験版でも感じられたように、新たな選挙が行われ、生徒会長でなくなります。
この事態は、ゆいにも大きく響くのですが、
選挙で敗れるということが、この作品の方向性を決定しているように思います。
苦しい状態でありながら、凜香は、自分を見つめ直す機会を得た。
元々、主人公も、一歩前に進むことができていなかったんですね。
その部分は、ゆいや凜香と歩むことで、少しは解決したように見えています。
うまくいかなくても、うまくいく。そういう流れ。
主人公が再び前を見る。良いですよね。
しかし、気になるのは、やっぱり事の起こり。
主人公が忘れてしまっていた、二年前に貰った手紙。
新堂彩音(遙そらさん)。
同級生だった過去。いつもやる気が無さそうで、主人公のことを嫌っていた彩音。
何にでも一生懸命な彩音からすると、掃除をやらないのも、
合唱をしないのも、不真面目に映った。
それが、しかし。
一方で、小説を書けなくなった主人公が、もう一度書けそうだと思えたのは、
彩音がいたからだ。
そして、二年越しで手紙を見つける。
『國見君へ』この、名前を呼ぶ声が、凄まじく上手いですよね。
受け入れられるか分からない緊張感と、気恥ずかしさと、ある程度の覚悟を持った声。
さすがは遙そらさんです。
彩音が恋をすることになったきっかけは、本当に素敵な物語。
再会した学園で、彩音がとっていたあの態度の理由。
過去の出来事も、洸太郎によるものだった。「誰に書いたの」
そして、期待と、少しの不安について感じられる一言。遙そらさんは本当に上手いですね。
生真面目な彩音らしい、素敵な恋模様。
良かったと思います。
姫野星奏(阿部朔さん)という存在は、本当に難しいと思います。
幼い頃から一緒に過ごして、気持ちも、間違いなく繋がっていた。
なのに、離れていった。
それがどういうことなのか全く分からなくて、以降はぼんやりと過ごしていたところへ、再会。
あの手紙は読まれなかったのか?一生懸命な気持ちで書いたのに。
そんなことをストレートにぶつける洸太郎。
取り戻そう、と行動します。
そして、星奏からも想いを告げられます。
手紙の返事をくれなかったことは気になるけれど、
過去の傷も癒やすように全てがうまくいっている、ように見えた学園生活。
しかし、星奏は姿を見せなくなります。
「伝え方を間違えないから」恋愛の手伝いをすることになった時、そう言われたことがある洸太郎。
しかし、ずっとやり方を間違えていたのかもしれない。
届いてはいなかったのかもしれない。
そんな想いから、去った星奏に届くように、小説を書きます。
もしも何の反応も得られないとしたら、人は何を目的に、本を書くんだろう。その想いが届いたのか、一瞬、星奏は姿を見せます。
手応えの無い、形のないもののために、心を削って、それでも人は何かを書くんだろうか。
そして、それから。
星奏は本当に相手のことをよく見ていて、気づいていたんだと思います。
だから、例えば彩音に気持ちが傾いているのを、洸太郎の自覚より先に分かっていた。
確かに別なものを選んだのは間違いない。
けれど、一緒に居たいとも、思っていたのも間違いない。
自分にやらなければいけないものを課して、
そうして進んでいったのが星奏なのでしょう。
星奏のことは、ナイーブと、表現するのが最適だと思います。
一人で多くを抱えることができてしまった人。
対して、洸太郎は、大人になっても伝え方を間違えていたのだと思います。
それこそ、最後の最後まで。
例えば彩音は気づいていました。
相手には「色んな事情がある」ことを。
けれど、人と人とは、そんなに簡単にわかり合えない。
自分は自分からでしか、相手のことを見ることができない。
だからすれ違うし、伝わらない。
それでいて、自分の気持ちまで抱えてしまう。
だから、洸太郎と星奏は、ぐるぐる回ってたどり着けなかったんだと思います。
選択肢のうち、何がしたかったのか分からないものもあります。
志乃に関するものとかね。
菜子のルートがあってもよかったのでは、とか、
それこそ、森野と仲良くなった方が色々と幸せになれそうだと思ったのですが、
最後まで進めると、なるほど、と納得のいく作品になっていました。
会長さんとゆいは、どちらもいらなかったかもしれません。
キャラクタ的にはかわいらしいのですが。
それくらい、彩音はストレートで、星奏は迷ってしまうその運びに、惹かれるのだと思いますから。
グラフィックも、音楽もすごくよかった。
その上で、このシナリオ。なかなかの作品でした。
ダウンロード販売もあります。