シルキーズプラスDOLCEさんの「言の葉舞い散る夏の風鈴」体験版プレイしました。
シルキーズプラス DOLCE 『言の葉舞い散る夏の風鈴』

シルキーズプラスDOLCEさんの新作は「言の葉舞い散る夏の風鈴」。

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桜之宮学園の始業式の日。
波瀬督は、とても気が重かった。
登山家の父に振り回され、留年したのだ。一人だけ年上で、新しいクラスに馴染めるだろうか。

そんな気の重さを取り払うように、朝からCDを聞いている。
「おはようございます。こころんです。
 さすがせんせー。朝起きれるなんて天才ですね!」

屈指の人気を誇る声優、日華こころの第四弾。
『生きてるだけで大せんせー』。
どんな些細なことでも称賛の雨を降らせてくれる、”励まCD”。

この作品は、音声作品界で大ヒットとなり、日華こころのブレイク作品となった。
今では多数のアニメに出演する超人気声優となり、こころんの愛称で親しまれている。

が、珍しいことに、日華こころは一切の顔出しをしていない。
イベント出演はおろか、出待ちをすり抜ける様は憶測をヒートアップさせ、
ある掲示板でファンが書き込んだ、”顔がない”説がネタとして公式に使われるほどだった。

「行ってらっしゃい、せんせ。がんばりすぎないように気をつけてくださいね」
波瀬督は、日華こころ、こころんのファンだった。
デビュー作の、名前が付いていない役で、たった1セリフだけ。
なのにそれを聞いて、体中に電流が走ったかと思うほど。
そこから、ハガキを書いたり、メールも送り、ネットにも書いた……最高だと。
ファンクラブ会員No.1であることは、誇りでもある。
だから、このCDを聞けば、波瀬督はいつでも最高の気分を保てるのだ。

学校へ続く並木道を歩くと、どこからか発せられた小さな呟きが、波瀬督の耳に届いた。
「……意気地なし……情けない……」
そして、脳内まで駆け抜けた。
振り返ると、そこに女の子が居た。
制服姿だが、なにを思っているのか、ただ視線を緑の葉に向け、一向に歩き出さない。
凜として周囲を隔絶しているように見える彼女。

確かに耳に届いたその声は……、
「……………………こころん……?」

体験版は、807MBでした。

原画は、ひなたももさん。
シナリオは、範乃秋晴さん。

シルキーズプラスさん、間違いなく今回もセーブファイルが足りないと思います。

PVの最初のフレーズ、「出会って3秒、合体した」。
これがどういうことなのか気になっていたのですが、なるほど。

精度の高いダメ絶対音感から、顔出しをしていない声優、日華こころの生の声を聞き分け、
同じく留年した同士であることから一緒に部活見学をしていきます。

思ったよりも面白かったです。
なんかこう、素人の突っ走りと、リアリティのある指導。
それを見事にシナリオ上に乗せているところが。

声優を目指そうとする野原ゆうに引っ張られ、同好会を創会しようとするも、既に在り。
覗いてみると、これまた留年している菩提樹仰子が同好会でお茶をしている……。
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ずっと独りで練習していた、という割には大根演技と恥ずかしがり屋の野原ゆう。
演劇部入部オーディションに落ち、ずっと独りで練習していたはずが大根演技と、
体より意志が弱そうな菩提樹仰子。
ダメ絶対音感はあるが演技はできない波瀬督。
これに、野原ゆうの押しの強さに折れた日華こころこと真額詞葉とで、
いきなり学生声優コンテストに参加します。


が、これが面白いかどうかは人に寄るのかもしれません。
リアリティとコメディのバランス、でしょうか。

例えば、野原ゆうの無駄にポジティブなところ。
相手に対してすごいと思うハードルが低いのに、今やらなきゃ行けないと思うと突進します。
その方法がおかしいと思うこともなく、何でもするからとまで相手に伝えます。
部活に入っていなさそうで、年上で、話しやすそうな自己紹介をしていた波瀬督を、
勧誘するために、下駄箱にラブレターと思われる封筒を使い、呼び出します。
そして、放課後の誰も居ない教室で、誤解させ続けるような言葉を重ねる。
「あたしが、その、入り込む余地っていうか……誘っても、怒られない?」
「じゃ、あの、あのね。あたし、立候補したいんだけど」

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「声優部に入ってくれませんかっ!?」

これがコメディ部分なのでしょうけど、
場面を作るためだけのイベントをさせちゃっている印象です。
難しいとは思うんですけどね。先に野原ゆうの性質を伝えてしまうと成立しないし、
でも、わざわざイベントCG用意してこれなのがもったいなくも思うのです。

行動理由が、好きなことはやらなきゃ損だと言われたから。
発生する押しの強さは全方位に維持され、
また、ほんの少しですが、都合良く受け取ることもあるほどで、
そしてそれに、菩提樹仰子も乗っていけるところ。
ある意味、彼らは孤立していて、でもそれはたまたまであるように思えます。
このあたりに、違和感があります。


例えば、真額詞葉の指導の部分です。
すごく良いなと思った部分ですが、ものすごく真っ当なことを伝えてくれていると感じるのです。
「つまりね、演技するっていうことは、演技しないっていうことなのよ」
一方で、それを聞いている側の3人、野原ゆうと、菩提樹仰子と、波瀬督とで、
難しい、分からないという言葉が出てきます。
そして重ねられる問いは、じゃあどうしたらいいのか?。
初心者は手法を知りたがる。上手くなりたいが故。その表現なのだとは思います。

確かに、分かりづらい、かもしれません。が、その指導は本当に真理だと思うのです。
この教えが伝わるくらいに成長する、そんな物語なのかどうか。

一朝一夕で演技力が向上するわけでもない、なのに、
学生声優コンテストへ応募できない形で終わらなかったところが、
作品の方向性を物語っているのだと思います。
応募できた、という場面が盛り上がっていないのも、
全ては、声優部ラブコメディだから、なのかもしれません。


かと思えば、真額詞葉の菩提樹仰子に対する指摘、
「基本的に菩提樹先輩は、そういう傾向があるんだけどね、
 今、悲しい場面だから、菩提樹先輩は涙声にして、悲しんで見せたんだわ」
これは、演技だけに留まらないのではないかとも、思えるわけです。

真額詞葉は、何度も問いかけます。
部活として楽しんでやるのか、それとも真剣にやるのかを。
場合によっては部内で人と人とのトラブルが起こり得ます。
解散に至るようなことも、あるのかもしれません。
……が、恐らくそうはならないのだろうなと思います。
それは、体験版の雰囲気や、公式サイトのギャラリーなどを見ても、ですし、何より彼らの選択です。
「ただ優勝は目指したいのですけど、楽しくしてはいけませんの?」
「……いけないってわけじゃないけど、両立できないこともあるじゃない?」
「まあ。でしたら、がんばって両立いたしましょう」
シルプラドタバタ生放送でも名前が挙げられていましたが、
くすはらゆいさんが出演したMint CUBEさんの「人気声優のつくりかた」。
あの作品と比べても、あまり重い展開は描かれなさそうだなと思っています。


ただ。
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「わたしは、ただできたから、流されただけだったもの」
真額詞葉(桜川美央さん)

子供の頃から演技が得意で、周囲に勧められるままに声優になり、
しかし、本当にこれでいいのか、これが本当にしたいことなのか分からなくなる。
そして、事務所を辞めたからこその復学。

この声優部へも流されて入った形にはなるものの、
好きなのか嫌いなのか、やりたいのか、
そうではないのかという気持ちと向き合う機会になりそうです。

この真額詞葉のシナリオだけでも、シリアスだと良いなと思ったりしています。
そしてそれには、とにかくファンである波瀬督も、相手の何が良くて好きなのか、
気付けるようだと良いですよね。


範乃秋晴さんがシナリオだと思うと、しっかり落ち込ませてくれても良いのですが。
でも、今作は声優部ラブコメディ、ですからね。
意外性のある展開が待っていることが多いので、そこに期待しようかなと思います。

本当は、こんなに色々考えず、楽しむのが良さそうでは、あります。

2018年12月21日(金)発売予定です。