ゆずソフトさんが製品版プレイ動画の配信・投稿についてのガイドラインを更改しました。

改訂日の記載がありませんが、今回、このような形になりました。
弊社製品のプレイ動画・MAD動画などの投稿や配信は許可なく行っていただいて問題ありません。ただし物語の核心部分を含む内容につきましては予めタイトル等に明示するなどのご配慮をお願いします。
実況や字幕解説・感想など無しに作品内容をそのまま配信する動画の投稿・配信に関してはご遠慮ください。
また作品を貶める内容の動画につきましてもご遠慮ください。
18禁要素を含むものにつきましては各動画配信サイトの規約に準じていただき、自己責任でお願いいたします。
いわゆる、製品版プレイ動画配信の解禁です。
さすがにちょっとびっくりしました。

ゆずソフトさんの興りは、同じ会社にいた方たちが新しいモノを作ろうと集まったという話です。
メインスタッフは変わらず10年を迎え「RIDDLE JOKER」で10作目になります。
(残念ながら、煎路さんは退社されましたが……)

その魅力は、まさにグラフィックを主体としたキャラクタ作り。
観て、楽しむタイプのものです。

このADVタイプの作品、近いのは映画だと思うんです。
スクリーンや画面を一定時間見て楽しむ。

映画とは資金の流れが少し違うところがあります。

映画の場合、まず劇場公開がなされます。
その後、Blu-rayパッケージなどの販売がある時期に、配信サービスやテレビ放送などがあるわけです。
個人による映画配信はなされることはないようですが、
見る側の視点で捉えると、個人などによるADV作品の動画投稿配信を観ることと、
映画作品のテレビ放送を観ることは同じと考えて良いと思います。

ですが。
テレビ放送を観た映画を、購入する層はどれくらい居るのでしょうか?

例えば2018年11月にテレビ放送された映画はこれくらいあります。
過去の作品もありますし、地上波初放送!と謳ったものもあります。

放送は、直接購入を呼びかけていません。
明確な宣伝としての機能は、公開直前の次回作のためのもの。
機器があれば録画できるとしても、放送ある意味ワンタイムです。

制作側としては、劇場公開によるチケット価格の幾分かと、映画館への上映権。
その後、映像販売。さらにテレビ放送放映権と、販売タイミングがあるわけです。

Blu-rayなどを買わないとしても、その前段で採算を取るモデルです。
売上の上がり方が違います。

しかしADV作品の動画投稿配信は、その前段で売上となるところがありません。


ある作品が、動画投稿配信によって売れたとする説を掲げている方が居ますが、
その根拠はありませんでした。

また、他の作品になりますが、著名な方が作品に対して言及したのですが、
これも同じように売上がランキングに入ることはありませんでした。
価格の低い同人ソフトのほうがランキングが高かったのです。
(これは1ヶ月間のネット上でのランキング観測です)

やや古い話題ですが、動画配信を観て購入した人は、僅か一人だったそうです。
こんなものだろうなと思います。
全体を観てから買う人の数は、非常に少ない。

それが分かっていながら、踏み切ったのは何故なのでしょうか。
恐らく人の動きを勘違いしてしまったのだと思っています。

まず知ってもらうこと。売上のためには必要だと思います。
しかし知ってもらっても買えない、プレイされない環境であることを。

また、今回の規約改定直前に、
有名だという動画投稿配信者がプレイしていたことが知られていますが、
まったく販売に結びついていないことと(これも確認済みです)、
さらに、当の動画投稿配信者が、この作品に対する動画配信を翌日に否定しています。
自身で行っていたのに否定しているのはよく分かりませんが、
これは規約に引っかかりそうだと考えたからだと思われます。
年齢制限ソフトは難しいと。
(数ヶ月後になりますが、当のYouTubeがプラットフォーム健全化を目指しの規約が大きく変わりました)
また、これは一部なのかも知れませんが、全体的に視聴者年齢が低いという話もあります。

何が残ったかといえば、動画投稿配信を観た人の数が記録されただけ。
直接販売とは結びつかないのです。

何故、売れないのでしょうか。
一つは、販売対象の数の減少にあります。人口の減少。

もう一つは、時間にあります。
元々、作品をプレイするには時間が必要です。
購入するにも手間が必要です。

簡単な話です。
観ていて、さらにプレイする時間はあるのか?ということ。
現代人は忙しいのです。

ソーシャルゲームの離脱先が、Vtuber視聴という話もあります。
要は、可処分時間の奪い合いになっているのです。

また、動画投稿を認めることで、相手が世界になってしまいます。
日本国内向けというコントロールが利きません。
過去に色々とトラブルがあった作品もありましたが、そういう未知の危機が発生しやすくなります。
リスクしか無いように思うのです。


では、どうしたらよいか。
1つは、ネットでのダウンロード販売。
以前よりネットでのダウンロード販売は行われており、DMMなど大手も揃い、
定着している方法です。
また最近のPCはDVDドライブが無いものも多く、ブロードバンドを手にしている方が多いので、
販売のための条件は揃っているのかもしれませんね。
ところがまだ、ダウンロード販売を行っていないブランドさんも多くあります。

もう1つは、海外向け提供。
主にsteamでの提供が定着しつつありますが、こういったスタイルでの海外販売。
その国によってはリスクがあること、プラットフォームによる制限を受けることは、
ネット動画配信と変わりませんが、
海外の販売者と組んで行っており、このローカライズ部分はクリアされていると考えられます。

さらにもう1つ。スマートフォン向け配信。
国内でもかなりのダウンロード本数にはなっているようです。
数ヶ月後になりますが、「この大空に、翼をひろげて Limited Edition」が、
音声すらない状態でのリリースで、ルートごとに課金されるものであっても、
意外なほど課金はされているようです。
50万以上のダウンロードから、レビューが2.4万あることから、
かなり課金されていると考えて良いと思われます。
アプリとしてリリースすると、単価がどうしても低くなるのが問題ですが、
PC版制作時点から、スマートフォン化へ見越した開発ができれば、
負担を掛けずにスマートフォン提供ができます。
(ころげての場合は、PC版の画面雰囲気そのままです)
何より、健全な宣伝にもなっていると思うのです。


どのみち、動画投稿配信には、公式側からのコントロールがどうしても必要になります。
確かに任天堂は一見放棄したように見えますが、
それは審査コストの問題と見合わなくなったからに他なりません。

また、ゆずソフトさんの場合、どうしても体験版などを配信投稿したければ、
公式配信を行うべきだと思います。
正の見方をする放送をしていくことで、悪貨が良貨を駆逐する流れに歯止めを掛けます。
ちょうど、ゆず生ラジオにVtuberキャラクタも用意されていますし。

購入者は、購入者利得が減るだけでなく、良いものとして扱われないことを危惧します。
良いものとして扱われないものを買い続けるのは購買行動心理として難しいのです。


今回のゆずソフトさんの選択は、明らかな誤りと考えています。
ロングテールを自ら諦めたこと、(やってはいませんが)CS版などの売上が減る選択でもあるからです。

「動画サイトにあるじゃん。今見られるよ」
そう提示されて、果たして買うでしょうか。

2年近くも制作開発してきたものが、
誰かの再生数を増やすためだけの素材として扱われて、それで良いのでしょうか。

購入の流れは、何より予約によるパッケージ販売というのはずっと変わっていません。
そこが減少している理由も分かっています。
対応すべきは別なことなのに、何故別な方向に行ったのか。
それが、全く分かりません。




千恋*万花【萌えゲーアワード2016 準大賞 受賞】