Clothetteさんの「ココロネ=ペンデュラム!」体験版プレイしました。

クロシェットさんの新作は「ココロネ=ペンデュラム!」。
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30年前、後にミスリルドレープと呼ばれる銀白色のオーロラが発生、
同時期に地下遺跡と光る地層が発見された。

地下遺跡は、いつ頃作られたのか未だ判別していない。
年代測定では結果が定まらず、少なくとも数万年以上を経過しているということだ。
そのため、超古代文明説が推されている。

正体は分からないが、それらの影響は分かっている。
その頃からマギアと呼ばれる異能の力が人々に生まれた。
一部の人が昏睡に陥り、それから目覚めた後、異能の力を備えていたのだ。
自然科学の枠を超えたマギアによる奇跡は、世界中の人々に、好奇と羨望と畏怖を与えた。
……そして、マギア能力者は増え続けている。

能力の平和利用を目的として、遺跡の発見された場所に学術研究都市がつくられた。
特別条例を施行、能力の研究と能力の保護、あるいは社会との隔離がなされている。
全国で7ヶ所あり、冴馬にできた静かの海学園は、後発の学術研究都市となっている。

一般的な昏睡は数日から一週間というところだが、小町谷総司郎の場合は2年掛かっていた。
気付けば世界に2年置いて行かれてしまった。
そうした変化もあり、静かの海学園へ編入することになった。

小町谷総司郎のマギアは、能力というより症状といえる。
他人の心の声が、聞こえてしまうのだ。

それは自動的な受信で、いってみれば妖怪のサトリ。
相手が防ごうと思えば防げるが、そうで無い場合は……。
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こうして駅前で待ち合わせなどしていると、人の心の声が混線するようで、
頭痛となって総司郎を苛む。

人が多ければ、発される心の声も多くなる。多くなれば意味を理解する前に通り過ぎていく。
そして声と認識できないざわめきになって、しかし情報量は多いまま脳を疲弊させていくのだ。
距離を離せば多少は楽になるため、総司郎は隅に寄り目を閉じてやり過ごそうとする。

そこへ、声が掛けられた。
「あ、あの……大丈夫ですか? どこか具合でも……」
遠慮がちな声のほうを向くと、顔立ちはちょっと気が強そうだけれど、
とても可愛い子が心配そうな表情をしていた。
アイドルの卵だろうか。

「あ!! や、大丈夫です。ちょっと頭痛がしただけで、他にはなんとも……ぜんぜん!」
つい、オーバーなリアクションをしてしまう。
こんな可愛い子に声をかけられたら、普通はそうなるだろう。

しかし、総司郎は別なことに気付く。
頭痛が、不意に治まっていたのだった……。
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体験版は、1.11GBでした。

原画を御敷仁さん。
シナリオを駒井半次郎さん、高嶋栄二さん、荒川工さん、にっし~さん、聖山眠さん。

クロシェットさんも9作目になります。
原画は、御敷仁さんとしんたろーさんとで殆どの作品を交互に担当されていますが、
シナリオ担当は大きく変更されています。

そのため、少し不安もありましたが、プレイしてみて良かったです。
やっぱり、クロシェットさんの作品は、一段明るいんですよね。
よく、学園モノがどうしてウケるのかという考察がありますが、
明るく楽しそうな雰囲気があるというのが、まず魅力的なのでしょうね。
それでいて今作では、興味を惹く謎や、
キャラクタのリアリティを増すバックボーンも用意していて、
明るく楽しい、だけで終わらないのです。

進行は会話主体なのに、場面がカットされた印象を感じません。
これは画面から受けるイメージが強いこと、
差分も相当豊富であり、所狭しと動くことが挙げられるでしょう。
その表現は、前作「はるるみなもに!」にはなかった新たなものがあります。

ただ、どのヒロイン、サブヒロインも含めてすべて気になっていた前作に比べ、
魅力は少し抑えめ。

いつもクロシェットさんの作品では、サブキャラクタまでも魅力的で、
特に年上、先生キャラクタは必ず気になるのですが、
今回はどうかなと感じていて、それがプレイしていてびっくりです。

とはいえ、魅力を振りまいてストーリーに絡んでくれるのは間違いないでしょう。
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サブヒロインでも門脇春海(ヒマリさん)はビジュアルが特に良いこともあり、
気になります。
このスタイルで独り落語研究会というのが興味深いですよね。
目元口元がとってもセクシー。


それでも、やっぱり一番すごいと思ったのは、小鳥居夕花さん。
声に特徴がある方なのに、演じ分けが上手いです。
ビジュアルを見ながら演じていらっしゃるのでしょうか。ちゃんと神代澄香として感じられます。
センターヒロインはどうかなと思っていたのですが、かなり良いです。
冒頭の、年齢なりに少ししっかりしている、頼まれ事を自分からやっていこうとするタイプ、
でも気遣いがあって、聞きたいことを聞くのに回りくどくなってしまって、
わたわたしながら尋ねるケーキのこと。
「つっ…………潰しますか!?」までがとにかくかわいい。

ちなみに、セリフと心の声が同じ場合でも、個別に収録しています。
同じようにしながらも、差異を創って演じてくれているので、聞いていて楽しいです。
なので、「心の友っっっ!!」と(心の友っっっ!!)も違います。
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神代澄香の明るさ、前向きさ。
きっと何かできる、今は不安定なマギアでも、必ず何か意味がある。
自分の出番がある。そんな設定が雰囲気として伝わる、育ててくれる演技ですね。

作中では、この神代澄香こそが人を集める存在なのでは無いかと、
総司郎には思えるようですが、画面のこちら側にもそれが伝わります。

その神代澄香のポジティブな姿勢と、小町谷総司郎のマギアに対する考え方は、
真反対です。

小町谷総司郎はマギアを無くしたいと思っています。
以前はPG、ポイントガードだったようです。
バスケット強豪校ではなかったようですが、チームの司令塔として指示を出し、
いわばメンバーとつながっていたといえます。
それを楽しんでいたようでしたが。

マギア発生前に起こる昏睡、神託。それに2年という時間を奪われた。
それだけでなく、この能力を周囲の人に話すと、徐々に距離ができていってしまう。
最終的には一人になってしまっていたわけです。
周囲の声だって進んで聞きたいわけではない。プライバシーを覗きたいわけではない。

静かの海学園では、少しずつ、症状ではなく能力としていきたい、とは思えているようですが。

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「でもあのときは……わたしの番が来た……って思ったから」
神代澄香は、マギアには何か意味があると考えています。

神代澄香のマギア、セイクリッドロウは、成功率も副作用もハッキリせず、
快復に志向性のあるマギアであることだけが分かっている状態。
けれど、それを用いて人の怪我を癒やそうとする。
怪我人へ掛ける声は励まし。
しかし内心では、本当に癒やせるのか不安でしかない。
それでも、誰かに手を貸そうとする。誰かの手を握ろうとする。

体験版の切り方はいつも通り不意に終わる形ですが、
主人公やキャラクタのバックボーンは、この先どうなるのか知りたくなる設定を備えています。

帯刀千早(桃井いちごさん)も、神代澄香を大切に考えながら、
自身のマギアについてはしっかり受け止められていなかったり、
館ノ川つむり(飴川紫乃さん)も、凍らせて時間を止めてしまう、取っておくためのマギア。
綾森リールゥ(野々原まどかさん)は、どうして猫化なのでしょう。
小町谷総司郎が昏睡していた間に先輩になってしまった小町谷菜砂(桃山いおんさん)は、
どんなことを思って2年間過ごしていたのでしょう。
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システムは以前と変わらずCS2ですが、セーブファイルをどんどん追加することができます。
この仕様は本当に嬉しいですね。
一部、菜砂の音声が割れているところがあって、そこがもったいないです。


ほんと、ちょっとしたことなのですが、事務室まで案内してくれる二人が、
去って行くところの会話はすごく好きです。

「や、おかげで校内の雰囲気もわかったし、助かりました」
「あとは担当者が来ますので、私たちはここで失礼します」
「教科書、すごーーく重いのでガッツですよ!」
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キャラクタを創るのは、ちょっとしたセンテンスなんですよね。
ちょっとした動きなんですよね。

何より、冒頭でヒロインに引き合わせて、ヒロインの魅力を見せる。
それがしっかりできているところがものすごいです。

ということで、期待しておきます。

2019年5月31日(金)発売予定です。


今作では、抱き枕カバー付き豪華特典版がリリースされます。