PurpleSoftwareさんの「リアライブ」感想です。
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2019年3月発売作品。

パープルソフトウェアさんの「リアライブ」は、”虚構の壁を越える、想いが繋ぐADV”。

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クリアすると生まれ変わることができるというゲーム、アライブ。
そんな噂を耳にするようになった頃、
朝霧千隼のスマートフォンにもそのゲームがインストールされていた。

全く身に覚えが無い。
幼馴染みで隣室に住む美大和咲月、同じクラスの真深眠なども同じようにインストールされていた。
シスターへカウンセリングを受けている間にインストールされたのではないかと疑惑を抱き、
時計塔のシスター、レヴィの下へ向かう。

ところが、シスターが修道服を脱ぎ去ると、
現れたのは千隼の妹、一羽で……。

というのが導入です。
それでは感想です。ややネタバレ強めです。
 

悪くないと思います。
パープルソフトウェアさんのここ数作では、一番良かったかもしれません。
ただ、その数作とダイヤグラムが違うために、並べて良いのかはちょっと疑問です。


いわゆるネタバレムービーことシナリオムービーを見ても、
分からないところは分からないままでした。
そこは良かったところだと思います。
けれども、ラストが分からないだけで、肝心なところはあっさり分かってしまったので、
少し冷めた気持ちでプレイしていたことは間違いありません。
そういう気持ちになってしまうのならば見るべきでは無いのですが、
体験版2の感想でも書きましたが、体験版での引きが強くないために、
見てしまおうと思ってしまったのです。

実際、製品版プレイをしても、その気持ちはそのまま。
というのも、作品の構成に繋がるところだからです。

構成は、公式サイトで事前公開されています。
体験版2が、共通ルートの5割に届かないくらいの範囲。
その後は、4人のヒロインルートに入り、グランドルートがレヴィだと。

ですので、一番残念に思っていたのは、レヴィ以外のヒロインの扱いの軽さ。
もっといえば、レヴィルートまでなかなか面白くならないんです。
意図的に軽くしているから。

一つのヒロインのシナリオが、12話アニメーションの2、3話完結でまとめられている印象です。
セリフにバックボーンが無いため、良いことだけを口にしている。
だから、空虚な雰囲気で進んでしまう。
ルートに入ると自動的にヒロインが語り出す。入る前に何があったわけでも無い。

グランドルートに比重を置くための措置なのでしょう。でもね、
こう、見ていて居たたまれなくなるんですよね。
扱いがもったいなさ過ぎて。
でもこの前座がないと物語が動かない。だとしてもこの扱いで良いの?
いくらでも魅力的に彩ることができるのに?
そんな気持ちで見ていました。

Trueがある構成は嫌いではありません。むしろ好きです。
でも、だからこそ、こういう構成は、統括と演出が肝になる。
そこも、足りない。

作品骨子として掲げたのはカタルシスですが、テーマやシナリオの大枠は良いのです。
カタルシスは生まれている。
けれど、カタルシスをカタルシスですよと届ける部分が足りないと思うのです。
なので、全体的に振り返ると、色々と足りない、惜しい作品だったかなと思います。
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監修または演出の足りていない部分が目立ちます。

主人公達のいる場所について、最初からぼかしています。
このモヤモヤはスパイスになりません。足を引っ張っています。

表情差分指定と声収録が明らかに別なのが分かります。
人を探しに出掛けたヒロインが、千隼と合流すると、千隼に笑顔差分で迎えます。
でも声は緊迫して出迎えているのが聞くと分かります。
合ってないんです。
見ながら演じてもらったら、音声と合わせて立ち絵指定を監修したら、
こういう差異は生まれないと思います。

ルートの入りが非常にスムーズで、ヒロインルートに入っていたのが、
シーンに出くわして気付くほど。フォーカスが弱いと思います。

入りだけでもなく、イベントが軽くなっているんですね。
例えば、いつの間に、一緒にやっていた学園祭実行委員の仕事が終わっていたのでしょう。
描きたいのがそこでは無いからなのかもしれませんけど、
でも、そういう描写があった上で、終わり方は今の通りであるなら、
もっとカタルシスを得られたと思います。

セリフとセリフ間が妙に詰まっていて、間にあった何かがカットされているのではないか。
そう感じる場所がいくつもあります。
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アライブチャット(文語表現)と口頭表現を同じにする理由はなんなのでしょう。
チャットでAUTOモードが切れるのは何故でしょう。
このチャット、途中でバックログも呼び出せません。
クリックのみ動作指定されていると、音声を飛ばしてしまったりしませんか。
音声を飛ばすということはそれだけ作品から受ける情報量が減ります。
もったいないんです。

歌夜も興奮しているんだ……。って、
その前に歌夜が何をしていたのか覚えていないんでしょうか。

佐倉遙日が暴露話をしているとき、歌夜の表情が全くうろたえてないのは何故でしょう。
ここは変化を見せられるよう調整すべきです。

みなとの「(あたしは)」と、「あたしは」と、表記上違いがあるのですが、
片方が内面で、片方がつい言葉にしてしまった、なのだと思いますが、
分けられた差異がうまく伝わらないです。

学園から、みなとのバイト先へ一緒に行き、そこから千隼の自宅で夕食をし、みなとを送る、
という流れで、どうして千隼は学園カバンを持っているのでしょうね。

レベルアップクエストも、彼らの現実のためなのは分かるのですが、
扱いが軽くて、これでキャラクタがトラウマを越えられるのならば、
普通に生きていても越えられたのではないかと思ったりします。

全体的にイベントもキャラクタも、記号化を感じました。

こういうことが多くなると、段々画面から目を離すようになってしまいます。
だって、これが4人分繰り返されるわけです。
申し訳ないけれども少し辛かったです。

感想として残しているのに、細かい重箱の隅を突くようになってしまう。
もちろん削っていますが、本当に惜しいところばかり。
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ところが。
繰り返しになりますが、グランドルートのためにあるキャラクタ、物語なのです。

どうして千隼はこんな察しの良い性格になってしまったのか。
レヴィは、千隼の妹、一羽ではないのか。
アライブとは何なのか。
望んだことは、何なのか。叶えたいことは、何なのか。
世界を創り上げた理由は、何なのか。

レヴィが、ぶつける場面があります。
ぶつけ合う場面があります。
ここで流れる『落涙の比重』は、ベストチョイスですよね。
一番グッときたところでした。

どれだけ愛を抱けば、こんなことができるのでしょう。
どれだけ相手を想えば、最後の選択ができるのでしょう。

望んだエンディングとは違う。けれど。
でも、それでも、想いが世界を変えていくんですよね。
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そこでも少し気になるところは、
ラストバトルの表現は、立ち向かうのは格好良いのですが、
もう少し上手くできなかったかなと考えます。
一人独り個別に、人数分やるとちょっとテンポ悪いですよね。

それに、一羽への説得も、途中で回想に入るのは良いけれど、
曲調がガラッと変わりすぎると、画面を見ている、聞いている側の気持ちは、
どっちに持っていって良いのかわからない。
つまり、感情のコントロールが上手くないです。
『I'll miss』 から、回想の『落涙の比重』にワンクリックで切り替わるところ。

さらにいえば、千隼の絶望はもっと描いて良かったと思います。
だから希望が光るし、王道だろうと都合良かろうと、その展開で良いと思うのです。

もう少しがんばってほしかったです。

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でもね、美大和咲月(綾音まこさん)、やっぱり良いなと思うのです。
むちゃさん作画で描かれる表情が、また。

舌っ足らずな雰囲気が妙にクセになります。
むちゃさんは表情だけでなく口元が色っぽいので、キスしているCGがとても良いですね。

カヤカヤもかわいい。
キャラクタデザインも素晴らしいですが、小波すずさんの声と良く合っています。
でも対戦する必要も無いくらい、対戦が軽いんですよね。
で、妹の立ち絵にセリフが被ってしまうのがちょっとショックです。
「……ヘタレね」
このセリフが登録してリピートし続けたいくらいです。

むちゃさん作画のシーンがとても表情良いです。

それと、アフターストーリーはありがたいですが、
今作の場合は、ハーレム展開があっても良かったのではないかと思います。
IFって、こうしてヒロインとのやり取りがもっと見たいユーザ向けのサービスだと思うので、
そこが見たかったなと。
せっかくみんな千隼のことを好きなので。
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というか、みんなどうしてそんなに譲ってしまうのでしょう。
ちょっとショックです。
「なんかもう、露骨すぎていたたまれない……」
というセリフが別な意味に感じるほど。


それくらい、妙にかわいいところの多いヒロインばかりだったと思います。
彼らに囲まれていけば、千隼は辿り着くでしょう。

もしかしたら、本当に家族みんなで仲良く暮らすことのできる、そんな場所を掴むことも。