tone work’sさんの「月の彼方で逢いましょう」体験版をプレイしました。

tone work’sさんの新作は、 ”過去と未来を繋ぐ恋愛AVG”、「月の彼方で逢いましょう」。
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授業には必ず遅れてくる。悪い噂ばかり。
そんな転入生、新谷灯華のことを、黒野奏汰は悪く思っていなかった。

誰にも伝えていない、小説を書いていることを知られ、
けれど真剣に読んでくれて、好意的な感想を伝えてくれたから、なのかもしれない。
中身を理解してくれて、エンディングを書くために江ノ島まで出掛けたからなのかもしれない。
クールな外見をしている割に乙女なところがあって、
指摘すると照れ隠しに誤魔化そうとするからかもしれない。
気分屋なのに、熱く哀しんでくれるタイプだと知ったからなのかもしれない。
気付けば多くの時間を一緒に過ごしていた。
一緒に横浜に出掛け、同じモデルのスマートフォンにもした。

だが夏休みに入ると連絡が付かなくなる。
黒野奏汰は、生存確認をしようと何度か考えるが、
その度に、勝ち誇るようにからかってくる新谷灯華が想像できて、
結局メッセージは送らなかった。

代わりに、黒野奏汰が書いていた小説は完成し、初稿は新谷灯華が、
完成2稿を、やっとのことで日紫喜うぐいす先輩に読んでもらうことができた。
そして、先輩と江ノ島に行き、一緒に龍恋の鐘を鳴らすことも出来た。
もっとも、先輩は永遠の愛が叶うだなんて、全く信じていないようだったが……。

そして、新谷灯華は居なくなっていた。
日紫喜うぐいす先輩も、卒業して音沙汰が無くなった。

8年後。
黒野奏汰は都内でサラリーマンになっていた。仕事は出版関係。
作家の道は諦めていた。

いつものように、日付が変わった頃にアパートへ戻ると、ベッドに倒れ込んでしまう。
寝入りそうになる黒野奏汰を起こしたのは、ポケットに入れたままのスマートフォン。
仕事のメールかと思ったが、違った。

差出人は未来メール。
本文には、”私がいたこと忘れないで”と書かれている。

こんなことをするのは、きっと……。
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体験版は、1.10GBでした。

原画は、恋泉天音さん、秋野すばるさん、古池屋さん、武藤此史さん。
シナリオは、丘野塔也さん、魁さん、白矢たつきさん、龍岳来さん、和泉万夜さん、今科理央さん。

システムは前作と変わらずSiglus。コンフィグに追加機能は見られないのですが、
ウィンドウサイズが可変可能になりました。ありがたいです。
セーブファイルも40ファイル増えています。あとはTwitter投稿ボタンが常設されています。
とはいえ、セーブファイルは足りないのが見えています。
それくらい楽しめそうな予感がします。

ちょっと気になるのが、tonework’sさんの作品って、彩色もう少し綺麗ではありませんでしたか?
あと、立ち絵のバランスが気になるものがありますね。

さて。「月の彼方で逢いましょう」。
これまでのtone work’sさんの作品と、大きく違うように受け止めました。

過去を振り返る物語であること。

そして、今度の舞台は藤沢であること。
神奈川県です。
近くにある江ノ島だけでなく、横浜赤レンガ倉庫あたりも登場します。
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デートスポットになりそうな場所へアクセスしやすい。
そういう意味では、使いやすい場所なのかもしれませんが、
ここ最近の作品で、江ノ島の登場回数が多いですね。
ちょっと食傷気味かな。新鮮味が減るというか。

また、肝心の展開にちょっと首を傾げるところがあって。
藤沢って割と大きな町ですから、ホテルは現在の規定に則っているはずで、
窓から人が出られるようには造られていないはずなんですね。
閉館時間後も灯台に居残る方法として、トイレに隠れる事を選択しますが、
管理巡回ルートですよね。
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何より、イベントのあっさり感が気になります。
選択肢の後、特に何も無くあっさり終わることが多いのですが、
選択肢が良否判定に使われるだけのようになってしまって、もったいないです。
AFTER partに引き継がれる項目があるのは分かりますが、
そうだとしても、これはこの時点での確定された現実だと思わせておいたほうが、
この作品コンセプト、過去への関与を好意的に受け止められ、変化を楽しめると思うのです。

しかしこのあっさり進行は、シナリオ進行のためではないかと。
そこが恐らく、この作品の肝でもあるようです。
AFTER part、8年後の世界と繋がりを持たせることで、
これまでと大きく違った進行になりそうです。

これは、うまくいかなかった主人公の物語なのかもしれないのです。

黒野奏汰は、8年前のエンデュミオンのスマートフォンを手にし、
過去の自分へ、あの時の自分へとメッセージを送ることが出来るようになります。

社会に出た黒野奏汰は、作家の夢を諦め、それでも本に携わりたいと編集の道に居ます。
志したジャンルとも全く違う、ゴシップ雑誌。
未だ独り身で、たまにスマートフォンのアルバムから見入るのは、あの時の赤レンガ倉庫の写真。

憧れていた日紫喜うぐいす先輩ではなく、
いつの間にか、後ろの席の新谷灯華のことが好きになっていたらしい。
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それに気付いたのは、新谷灯華(風音さん)が不意に居なくなってから。
残りの学園生活を、暗い表情で過ごし終わってから。

そんな黒野奏汰が、過去の自分と繋がることによって、過去を変え、あの時の悔いを無くす。
そして、新たな未来を歩んでいく。
それが「月の彼方で逢いましょう」のようです。

黒野奏汰が過去へメッセージを送り、関与した後では、
江ノ島に出掛けた日程が変わっていただけでなく、
一緒に出掛けた、日紫喜うぐいすとの距離感が縮まっているようです。

AFTER partへ行っても、8年前の物語が追加されていく、
過去と未来が共に変わっていく形になるように思います。
だから体験版範囲内ではあっさりした進行にしたのかも、しれませんね。
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そして、8年前に消えてしまった新谷灯華。
彼女が資料室に隠し残したと思われるエンデュミオンのスマートフォン。
何故、画面は割れているのか。
何故、残したのか。
あのメッセージには、どんな意味があるのか……。

AFTER partでは舞台を東京に移し、
過去の町、藤沢へも往復しながら、過去からのメッセージを受け取り、
あの時の誰かの気持ちを知り、そして新たな現在を紡いでいく。
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あの時は恥ずかしがっていた。
あの時は分かっていなかった。
あの時は気付かなかった。

けれど、それら全てが、懊悩の元で、
そしてそれを欲しいと願う今なら……きっと。


2019年6月28日(金)発売予定です。

過去3作とセットになった「tone work’s Memorial Collection」も発売されます。

収録タイトルは、
初恋1/1」「星織ユメミライ」「銀色、遙か」「月の彼方で逢いましょう」の4作。
さらに、
「tone work’s COLLECTABLE ART BOOK」
「月の彼方で逢いましょう 新谷灯華フルグラフィックTシャツ」
「月の彼方で逢いましょう 佐倉雨音アクリルパネル」
「月の彼方で逢いましょう 特製レザーキーリング」と、
「月の彼方で逢いましょう 初回限定版」には付属しないアイテムが盛りだくさんです。

過去作タイトルが気になっていたけれど、手に取っていなかった方にオススメです。
どの作品も、初回版はロットアップしていますから。