あっぷりけさんの「CrossConcerto」体験版プレイしました。

あっぷりけさんの新作は、”心を繋げる学園純愛ADV”、「クロスコンチェルト」。

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悟は、村唯一の学校へ通う以外は、蔵で過ごさなければならなかった。
食事は運ばれてくる。いつの間にか片付けもされている。
けれど、誰もいない、狭く冷たい場所。
高い位置にある格子から、差し込む月の光だけはあった。

この村には、習わしがある。
姫様と呼ばれる存在がいて、絶対的なものとして扱われていた。

そして、悟には、言われ続けてきたことがある。
”どうして死ななかったんだ”と。
本来は、姫様の身代わりとなり、生まれたときに死ぬはずだったのだと。
右腕だけは、うまく置いてきたのだと。

ある夜、蔵を逃げ出した。
どこかに行きたい。突然の衝動に任せて、力の限り足を動かしていく。
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「こんばんは。夜の散歩ですか?」
しかしその気持ちは、不意に現れた女の子によって急速にしぼんでしまう。
散歩では、全くない。でも、散歩としかいえないものだと悟を冷静にさせたのは、
一瞬、幽霊に見えた女の子。
――瑠璃と出会ったのは、その夜が初めてだった。

以来、悟の生活は一変する。
あの日、瑠璃と出会い、瑠璃が”姫様”という事を知って、
立ち入り禁止だったお屋敷にも入れるようになった。寂しくなくなった。
瑠璃が何らかの手を打ったのだろう。それくらい、”姫様”の発言は絶対的に扱われるのだ。

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そんな風習を変えたいと、悟は、進学を機に村を出た。
変えるには、村を離れて色々学ぶべきだと妹と話し合った。
その役割から、瑠璃は村から出ることはできない。
残していくことになるため、恨んでいるかもしれないが……。

駅ビルを抜けると、大きな駅前広場に出た。
畑と森だけの世界ではなく、居並ぶビル、連なる家屋という景色。
人通りの多さに、いかに村が過疎化しているかを感じさせられてしまう。

「いらっしゃい兄さん。時間通りですね」
「…………へ……?」
そんな悟に、親しげな声がかけられる。
悟の口から、間抜けな声が出た。

目の前に立ちふさがった女の子が、人目につく真っ白い髪をして、その前髪で片目を覆って、
そして場違いなメイドさんを控えさせていて。
「あ――な、な、なな、なん――で」
「当然、兄さんの事を待っていたんですよ。そろそろ来る事が『分かって』いましたので」
そう、ここにいるはずのない妹の瑠璃。”姫様”の力は、『未来予知』……。
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体験版は、659MBでした。

原画は、オダワラハコネさん。
シナリオは、桐月さん。
音楽は、鷹石しのぶさんです。

システムは吉里吉里Z。
使いやすいので概ね満足できますが、セーブファイルは120と、足りない気がします。


なかなかの体験版でした。
サブヒロインの1ルートが丸ごとプレイできてしまいます。

村から離れ、都会の学園に進学する悟と瑠璃は、様々な人と関係を築いていくようです。
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クラスメイト、同じ紅葉館寮の先輩など、
新生活、周りにいる人達は温かい印象で、それでいて奥行きを感じさせます。

しかし、良いことばかりでもなく、事件は起きます。
関わった隣人たちが奇妙な出来事に巻き込まれ、
それが遠因として、この留学めいた生活が終わってしまう予兆を見た瑠璃は、
事件の調査へ乗り出します。

土地勘のない彼らが、地道に聞き込みとフィールドワークで事件現場を探し、
そして悲劇を止める……、ことは、できるのですが。
例によって、不意打ちで読者を突き落とすこともあるのです。

悟が何故、風習を打破したいと思ったのか。
その思いを根底からひっくり返すような喪失が、体験版にはありました。


テキストが本当にさっぱりしているので、伏線も見落としやすい。
体験版では、明かされることのなかった秘密がいくつもありますので少し整理しますと。

西ノ宮透子(白月かなめさん)は、近所なのに何故わざわざ寮暮らしをしているのか。
初芝未来(奏雨さん)は、本気になればもっと色々できるのに何故しないのか。
初芝香苗(星咲イリアさん)は、その辺りの事情を知っているかもしれません。
中野綾(藤咲ウサさん)が抱くのは、目立たないというコンプレックスなのかもしれませんが。
西条美加(桜川美央さん)は、他のキャラクタと同等以上の家格があり、
旧い領地に、曰く付きの場所があったり……。
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分かりやすいところでは、
最初、西条美加が悪寒がすると初芝未来に伝えたのは、学園で七不思議を調べているとき。
つまり元は学園にあった何かなのかもしれないのです。


そんな場所へ転入したのは。
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瑠璃にずっとお仕えしている稲田鏡花(成瀬美亜さん)。
姫様に接しているときは完全に従者でメイド。様々な世話から会話の相手まで。
周囲にも、姫様に不敬なことはさせないという守りの意思を感じます。
オフモードの時は、年頃らしく振る舞う。鼻歌を歌ったり、悟とも仲良く話す。
それらを好意的に、幼い頃からずっと続けてきたようです。
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未来視を左目に宿す、八重垣瑠璃(くすはらゆいさん)。

村人には未来視を崇められているため、一族に先がない未来を視たため、
外の世界を知り選択肢を増やす、と説得して出てきた。

未来を視るのは、特別な儀式がなくできてしまう。
そのため、寝ぼけている時でも発動することがあり、任意で行えるが自動的といってもよい部分も。
未来視は、体力を失うばかりか、その見た未来の知識と始まりの記憶との齟齬で脳に負担が掛かる。
しかも、それが誰の未来を視るのか、関わる人が増えれば増えるほど負担は増していく。

瑠璃の未来視は、いってみれば、各ルートを辿って、もう一度最初の時点に戻るようなタイプ。
何かをうまくいく先を探すために、何千何万というルートを辿ることも。

お茶目なところも、カレーやカップラーメンなどにかなり興味を持っており、
健康に悪いと止めようとする稲田鏡花を言いくるめてまで購入するほど。

そして、本当はこの学園生活の未来に何を視ていたのか、誰も知りません。

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そして主人公、八重垣悟。
見た目は、瑠璃ほどに目立たない。髪も中途半端に色素が抜けているだけ。
右手は義手。特注品で、かなりの馬力を誇る。人間一人くらいなら持ててしまう。
幼い頃は暗い時代を送っていたようですが、現在は明るくコミュニケーションも得意。

少し、ズレのようなものを感じます。
ある意味軟禁されていた冒頭に比べると、悟がアクティブに化けたなと思うのです。
そして、自分の欲求も素直に表現することができているんですね。

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そして、クラスメイトの中野綾に対し、人を遣ってちょっかいを出させたのは、
あの神凪莉都(かわしまりのさん)。
有名企業、カンナギに関連しているようですが、
何よりも、公式サイトに書かれているように、体験版では味方とは言い難い立ち位置をしていました。


登場人物はそれぞれに何かを抱えているようですが、
そうは見えないくらいの距離感になっていて、ルートに入らないと解決しない、
しかも一人救ったら他の人は助けられない、そんな可能性もあります。

キャラクタへの表現は、もう少し重みがあるほうが嬉しいのですが、
この構成では色々と難しいでしょうね。

全容は、少しずつ解明されていくタイプなのかもしれません。

あと、細かいところですが、事件か、事件でないのかと惑わすよりも、
これは事件だと認めて盛り上げるほうが良いような気もします。
けれども、鷹石しのぶさんの音楽がミステリ色を盛り上げてくれていて、
すごく雰囲気があります。


フローチャート搭載であることも、バッドエンドがあることも、あっぷりけさんらしい。
プレイ時間も公開されており、27時間となっています。
体験版でも、ちょっとボリュームが少なめに感じますが、どうでしょうか。
(みなとカーニバルさんの「若様の座する世界」が近いプレイ時間です)

それと、もしかしたら体験版2がリリースされるかもしれません。

立ち絵指定がおかしいかなと思うところもありますが、
製品版リリース時には改善されていると思います。

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2019年9月27日(金)発売予定です。