Sonoraさんの「同じクラスのアイドルさん。」体験版プレイしました。
Sonoraさんの新作は、”芸能学科ラブコメ”、
「同じクラスのアイドルさん。Around me is full by a celebrity. 」。
生まれたときから一緒だった三人。
テレビを仲良く観ていたものの、ちょっとしたことが言い争いに発展するのは、
幼い頃だからなのか。
画面の中のアイドルを褒めたことで、幼馴染みたちの間で、賭けが生まれた。
「アイドルになったら――けっこんしてやる!」
当時、口走ったことをよく覚えていない、発言者であるところの司馬健太郎は、
五子学園で普通の学園生活を送っていた。
三人は、数年前、三嶋朱莉の転校によって別れた。
今では、こうして画面越しに見るくらい。
それほど、別世界の存在、人気アイドルになっていた。
今度は主演映画があるのだそうだ。
司馬健太郎も、親の都合で転校する流れだったが、
祖父の家が近くにあったので、転がり込むことにした。
それを、もう一人の幼馴染み、悠木和心に言うと、
明らかにホッとした様子をしながらも、不思議なことを伝えてきた。
祖父の家が、長く工事をしていたというのだ。
行って確認するかと、あまり気にせず祖父の家を訪れる。
「はいは~い、どちら様~?」
呼び鈴への反応は、若い女の声だった。お手伝いさんだろうか。
「……あー、あの、孫の健太郎ですが」
恐る恐る声をかけると、インターホンが切れる。
「――え。健太……郎? ホントに!? マジで!? すぐ行く!!」
そして、玄関から飛び出て、抱きついてきたのは。
「ホントに健太郎だっ!!ひっさし振りじゃな~い♪」
画面越しで無い、数年ぶりの幼馴染み、三嶋朱莉だった……。
体験版は、676MBでした。
シナリオは、秋月ひろさん、東雲和也さん、持田康之さん。
システムは、前回と同じ吉里吉里Zをベースにしたもので、非常に使い勝手の良いシステムです。
ウィンドウサイズを色々と選べますが、その上で自由に可変できますので、
昨今の様々なサイズのモニタに合わせて、調整しやすいです。
前回設定したウィンドウサイズは、もちろん記憶してくれます。
ただ、前作「僕の未来は、恋と課金と。」でもあったバグが、今回も搭載されています。
デフォルトで、神原翔と白州悟朗のシステム音声チェックボックスだけ、入っていません。
すると、通常音声も、システム音声画面でも、音声テストすらできなくなります。
なお、通常音声からチェックを外しても、通常、システム、どちらの音声テストも可能です。
その上で、システムボイスが無くなったのって、いつからでしたでしょう。
起動時のタイトルコールを指すだけになっているのでしょうか。
良い声、演技の上手い方をたくさん起用されているので、
セーブファイルがたくさんあるのはすごく良いと思います。保存たくさんしたいです。
進行は、仲良くなりたいヒロインの選択肢を選ぶタイプ。前作のように前提条件はありません。
ほぼ、システムには満足しているのですが、
できればセーブした後もAUTOモードを継続させてほしいんですよね。
もう体験版だけでセーブファイルBOOK2,PAGE6まで使っているので、
ちょくちょく進行を止めてしまっているのです。
ビジュアルも、相変わらず綺麗で素晴らしい彩色です。
夕方時間には、夕陽を浴びているような彩色。
また、撮影機材越しに見ている、残像をかぶせてくれたりも。
こういう細やかな演出が没入感を深めてくれますね。
Sonoraブランド前作「僕の未来は、恋と課金と。」と世界観を共有、
一部登場人物に繋がりが示されていますが、前作のプレイは必須ではありません。
例えば、前作で登場した声優、朝森みつきは、その後も芸能活動を続けているようです。
綿谷梓のスケジュール管理法は継承され、鳴瀬拓人が同好会を創設して卒業。
恐らく1~2年後と推定できますが、それぞれの活躍が残されています。
その後、五子学園は普通科だけでなく芸能科を新設、
司馬健太郎の祖父が理事兼講師となり、普通科にいた司馬健太郎や悠木和心を芸能科に転籍させ、
三嶋朱莉や小鳥遊詠と一緒に受講させます。
司馬健太郎の祖父の家は、寮に改装されており、三嶋朱莉や小鳥遊詠は入寮者。
転校を回避した司馬健太郎も入寮、一緒に住むことになります。
その後、チームとして活動し、様々な課題を受けていく、という流れのようです。
”芸能科ラブコメ”ですから、その流れは良いのですが、いくつか気になるところがあります。
その多くは、主人公の司馬健太郎に。
まず、三嶋朱莉に対して。
別れがあってもオンラインで繋がっていたりするものですから、
さほど寂しさが描かれていません。司馬健太郎の引っかかりは、別れの際に三嶋朱莉から言われたこと。そんな描き方に感じます。
けれど、食事くらいしたいとこぼす場面がありますし、
仲は良いままだと考えている様子。何か、モヤッとします。
グラビア撮影の講義がありますが、
司馬健太郎は、ヒロインの水着を見ても、至近距離で迫られるまでは特段反応を示しません。
近い距離感だったからからでしょうか。これまでとはスタンスが違う主人公のように思います。
「こいつっ」「お?」なんて発言をするタイプ。
けれど、イベントCGだとすごく朴訥としたデザイン。ズレを感じます。
祖父に認められたはずの論評眼が、大事なところで発揮されていません。
また、アイドルファンの友人を呼ぶ場面がありますが、提出した課題へ酷評を受けた直後。
ストーリー上の都合とはいえ、演者にも幼馴染みの気持ちにも寄り添えていない形です。
気を遣うのはそこまで得意ではないのかもしれず、プロデューサーには回らなさそうです。
また、その酷評です。
司馬健太郎たちだけでなく、講師の側も手探り過ぎるように思います。
酷評の重さを見ている側に感じさせないのは、Sonoraさんのブランドカラーなのかもしれませんが、
当人たちの落ち込み、再起までが早すぎて、淡々と進んでしまいます。
評価ポイントが分からないんですよね。
育成目的の科のはずが、指導より講評に重きを置いています。今回の場合は、再生回数が良かったので及第点を出しており、
人気商売なのでそれでも良いのですが、評価や、課題と矛盾するような気がします。
巧さを理解する知識が必要、けれど多くの観衆はそこまで知識が無い、
だからわかりやすさが必要……でしたよね?
演者にとっては、評価されるということは、とても大事なもののはずです、けれども。
この後、種明かしがあるのでしょうか。
恐らく体験版は、切りが良く、ある程度の尺があること。
再起してそれなりの評価が得られ、三人の関係が、好感情でまとまっていること。
プレイする側の感情が落ち着くこと、なのだと思いますが、どうもしっくり来ません。
三嶋朱莉(桃山いおんさん)
司馬健太郎の、変わり続ける幼馴染み。
残された二人の幼馴染みがフォローしきれないほど、メディアへの露出も多岐に渡る人気アイドル。
インタビューなどで、二十歳までに結婚すると公言している。
両親が人気俳優で、拠点を海外に定めたことから別れがあった。
その後の住まいは知られていなかったが、ホテル暮らしで司馬健太郎の祖父の寮に辿り着く。
映画出演が決まっているが、制作が難航。
ずっと与えられなかった夏休みであるかのような、学生生活を過ごしています。
外面は芸能人らしい対応ですが、情が厚く、フォローできるとなったら突進します。
例えば、モデル立ちがうまくできない健太郎に、割り込んでいくのがとてもかわいらしい。
健太郎はもっとできる、格好良く映れると思うからなのか、単なる撮影の授業だというのに。
過去にどんなことがあったかわかりませんが、ずっと想っていたことを感じさせますね。
間違いなく、本作のメインヒロインでしょう。
声を聞いていて思うのは、桃山いおんさん、やっぱりすごいなと思います。
走り出して、それなりに慣れてきている、そんな芸能人らしい雰囲気が出ていると思います。
それでいて、演者ならではの苦しみを吐露しながら、自分はそれでも頑張るんだ。
自分の痛みや気恥ずかしさを載せながら、そんな主張をするセリフ、
「私は、そうしてる。ママの演技を観て、真似て、毎日のようにへこんでる」がすごく上手いですね。
凄まじい見せ場になっています。
恥ずかしさや誤魔化し笑いにならないよう、
抑えているけど隠せてない、そんな表情をしているのでしょう。
その微妙なニュアンスに合わせた立ち絵は、用意がないのが残念です。
うなさかさん、いいデザインです。部屋着と髪型がものすごく合ってます。
でも帽子かぶった私服もすごくかわいいですね。袖、袖のところ、すごい。
悠木和心(白雪碧さん)
司馬健太郎の、変わらないで居る幼馴染み。
周囲を褒め、悪いことは言わないタイプ。しかし、自分に自信が無い。
普段はおっとりしているが、誰かが喧嘩していたり、
きちんと話をして進めていない場面になると、最後に怒って場がまとまるスキルを持つ。
寝ぼけると素直に色々と言ってしまう。
芸能科寮の生活能力の低さに進んで手を貸し、寮に出入りするところから、
二人に置いて行かれたくないと、芸能科へ転籍する。
その後、グラビアから人気が集まることに。
後れ毛がかわいい。やっぱり庄名泉石さんはデザイン良いですね。
それを彩色が見事に引き立てていて、すごく目を惹きます。
差分の表情もすごくかわいらしい。
小鳥遊詠(くすはらゆいさん)
芸能科一年、ボーカル専攻。
人に壁を作り、無駄なことはしない。講義とはいえグラビアを拒否する一幕も。
両親が他界、さらに義理の弟妹が療養施設に居るため、バイトしながら学園に通っている。
売れる事を目的とするのはそのため。
好きなタイプのシンガーとして成功したいと願っている。
それは、わだかまりはあるものの、亡くなった母親が伝説的アイドルシンガーだったから。
歌の技術はあるが、感情を乗せることができない。
何気に、素人の健太郎を応援してくれる場面もあります。
ヒロイン三人の中では、唯一恋をしたことがない。
小鳥遊詠は、さわやか鮫肌さんのデザインでしょうか。
屋上で歌っているイベントCGも良いのですが、立ち絵が相当かわいいです。特にアップ。
鳴瀬かなえ(七坂真理さん)
悠木和心たちの友人。従兄に前作の鳴瀬拓人がいる。
和心の気持ちを傍で見ており、よく理解しているようで、アシストするだけでなく、
健太郎にもっと考えるべきだと、たしなめることも。
にろさん原画だからでしょうか。他のキャラクタより妙に色気や隙があります。
……と、思ってたら、ムービーの後半で。イメチェン美人。朝森みつきの後輩でした。
道理で、人の気持ちに対するアドバイスが具体的なわけですね。
サブヒロインですが、プロポーションも良いですし、ちょっと期待しています。
ヒロインが3人というのは、バランス的にすごく良いと思います。
そして、この作品に期待するのは、アイドルを目指す学園での授業内容、よりも、
三嶋朱莉と悠木和心との、恋の三角関係にあると思います。
恋が元で、アイドルを目指すことになったわけですから、
この展開や描写を除いて物語を成立させては、良くない気がします。
逆に、ここがしっかりと、ボリューム感を持たせて描いてくれるのならば、
魅力的な作品になるはずです。
三嶋朱莉と、悠木和心は、いざとなると司馬健太郎のことをお互いに譲り合ってしまいます。
これは、三人の関係を壊したくないのか、ライバルの気持ちが伝わっているからなのか。
寝ぼけると、悠木和心は素直にあれこれ暴露してしまいますが、
その性質も利用して、三嶋朱莉へのアシストをしたり。
居ない間も、司馬健太郎は大事に思っていてくれたんだよ、伝えるために。
一方で、三嶋朱莉は、司馬健太郎の隣には悠木和心が当然いるものだと考えています。
その上で、二人は、司馬健太郎に何事かあると問いかけます。
象徴的なのは、現状維持か、自由気ままにするべきか。
この選択肢だけをルート選択フラグにしても良いのではないかと思うほどです。
「ずっと傍らで、変わらず黙って待ち続けるような、いじらしい女か。それとも――捕まえていないとどっかへ飛んでいっちゃう、自由気ままに変わり続けるアイドルか」
この問いに対し、まだ気付かない部分が大半な司馬健太郎は、どうも受け身です。
そこが重厚に描かれる期待をして良いのか、分かりません。
体験版で感じた山の乗り越え方も、駆け足だと思いますし、”芸能科ラブコメ”です。
けれど、この恋模様を、
前作「僕の未来は、恋と課金と。」西園寺菜々ルートのように描かれるのだとしたら……。
ただ、オンライン認証は、DMM Game Player必須(予定)となっています。
2019年9月27日(金)発売予定です。
特別限定版があり、
「僕の未来は、恋と課金と。」&「同じクラスのアイドルさん。」ミニヴィジュアルブック、
ベストアルバムCD「CUFFS SONG BEST3」、悠木和心アクリルスタンド、
「同じクラスのアイドルさん。」オリジナルサウンドトラックCDが付属します。
特典が魅力的です。
ダウンロード販売もあります。