OVERDRIVEさんの「MUSICUS!」体験版プレイしました。

OVERDRIVEさんの新作は、”ロックンロールADV”、「MUSICUS!」。

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対馬馨は、定時制の学校に通っている。
以前は名門校に通っていたが、自主退学した。
祖父の代から医者で、父は医者でありながらテレビに出て、コメンテーターだけでなく、
最近ではドラマに出たりもしていた。

自主退学になったことには申し訳なく思い、祖父には頭を下げに行った。
でも医者になることは諦めてはいない。勉強も続けている。

昔から、一人でする作業が苦にならない。
勉強だけでなく、やらされていた習い事も。

ただし、一番にはなれない。中には情熱をかけたものもあったが、才能を持ってる人には敵わない。
たとえば、小説の件がそうだ。
書いた短編がある副賞に入選したが、正賞を獲ったのは下級生で、
土日で書き上げ推敲もせず応募した、のだそうだ。
そんなインタビューを読んでしまって、具合が悪くなるほど苦しんだ。

賞の審査員だったという人から電話があった。
八木原というその人は、あるバンドに同行して、レポートを書いて欲しいと依頼をしてきた。
対馬馨にバンドなどの知識は全くなかったが、
八木原という人は、何も知らない若者が、はじめて触れた感情を率直に書くことを望んでいた。

荷物を整え、遠征のバンに乗り込む。
同行するのは花鳥風月という名のバンドで、それなりに知名度があるそうだ。
ただ、バンドの中心人物、花井是清は、自分の音楽についてネガティブなことしか言わない。
「……おれはね、世の中に本当は凄い音楽なんかないのかなって思いはじめてるんだ」
これからライブがあるってのに、大丈夫なのだろうか。
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ところが。
ステージに上がった花井是清は、あまりにも雰囲気が違った。
歌い出すと、くらくらと目眩がした。
イントロの部分で、ぞわぞわと鳥肌が立つのを感じた。
彼らの奏でる音楽が、会場に集まった客たちを一つにしているのだ。

ステージから受けた印象を言葉にしようと苦労をした。
興奮が胸にあり、頭が行う言葉選びをたびたび邪魔するのに悩みながら書き続け、
依頼主に送った。

依頼主である八木原から電話があった。
さっき送った原稿についての話だと思ったのに、思いがけない事実を告げてきた。
「花鳥風月がね、解散するんだそうだ」――
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体験版は、328MBでした。

キャラクターデザインは、すめらぎ琥珀さん。
シナリオは、瀬戸口廉也さん。
音楽は、もちろんmilktubさん。

体験版のボリュームは決して少なくはないし、音質も良いのですが、
容量サイズが小さく済んでいるのは、システムが軽快なのかもしれませんね。
Web体験版は、iOSやAndroidでも動作します。
ただ、ウィンドウサイズの調整ができたほうが嬉しいです。画面が切れてしまうのが残念です。
また、AUTOモードで進行していくと、金田のセリフが切れてしまいますね。

この作品は、開発費用をクラウドファンディングで集めたものです。
目標支援金額を日本記録級の速度で達成、いよいよ発売日も決定となりました。
また、商標取得の関係でタイトルが「MUSICA!」から「MUSICUS!」へ変更になったそうです。
音楽家たち、という意味になるそうで、バンド音楽に携わる人々を描いた物語になっています。


読んでいて面白いなと思ったのは、今の音楽シーンにおける厳しさを、
厳しい尽くしでない程度に盛り込んであること。

そして何より、バンド音楽に触れたことのない、対馬馨が、初めてライブに接した時の感覚。
この表現が非常に良いです。
少しでも音楽に触れたことのある方ならば、共感を得られるのではないでしょうか。

ただ。
それを見て思いがけない道を歩むことになる対馬馨も、
家庭環境に大分問題を抱えています。
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父の対馬脩作は、都内のマンションで過ごして、自宅には戻っていない。
テレビでは不倫騒動として取り上げられている。
母の直美は、そんな父が映っているテレビを見ている。怒るでもなく。
一体、何を思っているのでしょうか。

すめらぎ琥珀さんは、母キャラクタ描かせると本当に映えますね。

そして、対馬馨の退学要因になった、橋本香織。
対馬馨の幼なじみだが、妊娠が発覚。さらに出産を望んだ。
相手は誰かとの問いに、対馬馨だと答えた……本当の父親にそう言えといわれたから。
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そういうことを言いそうな相手だとすれば、自ずと限られる気がします。
少なくとも、対馬馨が橋本香織にどんな感情を抱いていたとしても、
相手の人生を壊すと理解しながら、そう告げられるのは、完全にその人の言いなりです。
実際にその後、対馬馨は名門校をドロップアウト、定時制の学校へ行くことになるのですから。

対馬馨の周囲は、本当に問題だらけで、色々な意味で大丈夫なのか心配になります。

そういえば、この対馬馨がどんな人間なのかは、未だハッキリしません。
母の直美のようにどこか鈍感でいるようで、でもプライドのようなものは見え隠れする。


複雑な家庭環境や愛憎といったものは、確かに目を引きます。
けれども、得てして万事善し、というエンディングにはならないと思うのです。
そこが大丈夫かなと。
もちろん、なる必要はないのだけれど、
物語に求める読後感として、ある程度のスッキリ感はあってほしい。

けれど。
衝撃を与えた演奏をした、花井是清の言うことも分かります。
みんな音じゃなくてストーリーに騙されるんだ。
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この物語が何を見せてくれるか。どんな答えを提示してくれるのか。
そこに興味があります。

花井是清は、それにたどり着くことなく、絶望して舞台を去りました。
誰も苦しさを取り除けなかった。

絶望の代わりに、対馬馨は、どんな答えを見せてくれるのでしょうか。

2019年12月20日(金)発売予定です。

価格は抑えめですが、ボリュームはフルプライス相当とのこと。