2018年2月発売作品。
アリスソフトさんの「ランス10」は、「ランス」シリーズ最終作。
一千年の昔。
人間は、魔族に支配されていたが、魔王ガイが魔族と人間の境界線を定めたことで、
世界図は大きく変わった。
人は繁栄し、幾多の国が産まれ、文明も育まれた。
だが人類は互いに争い、
預言はされていた。いつか魔族は人類を支配するために攻めてくると。
LP7年、ヘルマン共和国北方でのこと。
外では見ないような材質の壁、機械が満ちている巨大戦艦遺跡に訪れ、
世界に四体しかいない聖女の子モンスターを探す冒険をしていた。
巨大戦艦は、宇宙の生命ホルスのもの。
コールドスリープ装置に入り込んでしまい、5カ月の月日が流れた。
外に出ると、冬将軍が吹かせるヘルマンの吹雪と、
世界最大の宗教組織であるAL教を守る騎士テンプルナイト団がランスを出迎えた。
その中心にいたのは、AL法王クルックー・モフス。
「ぐふふ、なんだそんなに俺が恋しかったのか?」
いつもの調子のランスに対して、クルックーは確認する。
「……もしかして、世界の現状を知らないのですか?」
「なに……?」「膨大な数の魔軍が攻めてきたのです。このままでは――人類は滅亡します」
LP7年10月。
多くの魔人を従えた、最強の魔人ケイブリスによって四つの大国が同時に攻め込まれた。リーザスには90万の魔軍が。戦線を維持したものの多数の士官を失っていた。
自由都市には60万の魔軍。傭兵を中心にした自由都市連合軍は半数近い20万の被害を出した。
ヘルマンには70万の魔軍。魔界のある西ではなく、キナニ砂漠から魔軍が現れたことで混乱した。
ゼスには100万の魔軍。鉄壁を誇るマジノラインが突破され、首都も陥落した。
これが、第二次魔人戦争の始まり。
クルックーは、壊滅寸前となった人類の希望、
魔人と唯一戦える、魔剣カオスを手にしたランスを迎えに来たのだった。
ランスは、未だ手を取り合えない大四国のトップ全てと関係を持つ存在でもあり……。
それでは、感想です。
感想だけでネタバレはありません。
堪能しました。
超大作。そしてシリーズ集大成。
発売日に購入して2年が経過していますが、合計プレイ時間がすごいことになっています。
その甲斐があった。クリア後はそう思うことができます。
けれども、長い期間のプレイ中、不満は大きく抱いていました。
まず、非常にシビアな進行。
そして迎える途中エンディングの、未解決感。
全て終わって振り返ると納得の設計ではあるのですが、
それでもこのシビアさ、途中で迎えるエンディングに納得はしづらい気持ちが残ります。
これをもう少し難易度下げてくれても良かったのでは。
そうしたら、もっと早い段階でクリアに至ることができたと思うのです。
これはネタバレになってしまいますが、この作品は2部制の作品です。
この第二次魔人戦争は、1部では終わらないのです。
その1部のボリュームが膨大で、壮絶な戦いが続きます。
比例してプレイ時間も多くなるのです。
実際に、前月まで1部をプレイしており、やっと解放された第2部は、すぐに終わりました。
それくらいの構成です。
体験版が無かったのですよね。
実は過去作をそれほどプレイしていません。経験がない状態。
どんな進行かを少し説明しますと。
この作品は、侵攻してくる魔人たちと唯一戦うことのできるランスを中心に、攻め込まれる各国を回り、主に魔剣カオスを、またはハイパー兵器を振るって解決します。
魔軍はとにかく数が多く、人類は圧倒的不利。
ランスといえど、ちょっとしたミスで命を落とします。
進行先を選び、提示されたクエストへ進みます。
ボードゲームを俯瞰するような画面で進み、進んだマスでイベントが起きます。
戦闘になった場合、戦闘直前にパーティを編成します。
出会った仲間メンバーがカードのようになっており、それぞれ特性があります。
ランスなら直接攻撃。威力が高いだけでなく、魔人が身に纏う絶対防御を破壊することができます。
シィルは様々な魔法が使えますが、1つのカードにおける行動方法は2つだけ設定。
ランスなら突撃とランスアタック。シィルなら炎の矢とヒーリングです。
そして、行動コスト制限もあります。
1ターン2コストが与えられますが、ランスアタックは3コスト。
ヒーリングは1コストですが、使用により累積され、次回は2コスト必要になります。
様々なオプションがあり、進行して勲章などのボーナスを得ることで戦闘が有利になります。
神魔枠解禁ボーナスでは、仲間になった魔人サテラを戦闘に参加させられますし、
物理倍率強化+30%ボーナスでは、ランスのようなタイプが強化されるといっていいでしょう。
戦闘などのイベントによって、仲間カードを獲得することができます。
けれど、一つの地域ばかりやっていたり、ランスらしいあれこれをしていると、
人間の国はあっさり陥落させられてしまいます。
やっぱりヒロインみんな元気で居てほしいじゃないですか。
だから何とか維持したくてあれこれがんばってはみたのですが、できなくて。
まず、この辺りの難易度がとても高いと思いました。
置かれたイベントの割に、ゆとり、あそびがとても少ない。
攻め込む魔軍の強大さを考えても、すごくレベルを上げたい気持ちになります。
レベルを上げられる手段が、決して多くはなく、
こちらがレベルを上げると、魔軍もどんどん強くなっていってしまう。
これも、難易度の高さを感じさせました。
当たり前といえば、当たり前なのです。
こちらがレベルを上げようと、魔軍戦士をたくさん倒したとします。では、その時、別地域にいる魔軍は?
ゼス王国でランスが戦っている間、ヘルマン共和国の魔軍は何もしないわけではありませんよね。
一部に強い人間がいると、情報伝達もあるでしょう。
時間は一定のもの。そういう摂理があるのだと理解しました。
人類死亡率の数字を見て、脅えながら進めていましたね。
先述したように、進行にあたり、上手くやらなければいけません。人類は不利なので。
そのためにプレイヤーができることといえば、決まった進行手順を守ることと、
リセットしてやり直す、いわゆるリセットマラソンをすること。
もっと上手いやり方があるのかもしれませんが、
この設計で、すごく時間が掛かったのだと思っています。次のエンディングへのヒントが合っても良かったかなと。
第2部解放のため、第1部で何をすれば良いのか?
自力で突破は難しく、多くの方は攻略情報サイトを利用されたのだと思います。
(その攻略情報を提供してくれた方には感謝です)
苦境。キャラクタだけでなく、プレイする人も苦しい状態で、
希望となったのは、こんなシビアな環境だけれど、ランスならやってくれる、
解放してくれるという気持ち。
ランス本人に意志がなくても、そんな期待を懸けていました。
ストーリー進行は、とても納得しています。
いってみれば、人類が生き抜くには、その難易度だったのですね。第二次魔人戦争は。だからあそこまで難しく、手間が掛かり。全域を回り。
場合によっては、苛烈な運命を与えられてしまう……。
そういう納得をしています。
広げて集束、終息させるのが物語だとしたら、第2部のまとめ方が素晴らしかったと思います。
ランスはどこまでもランスでした。
誰もが必死に生き抜こうとした第二次魔人戦争。
その後。
そして、大団円へ。シリーズ最高傑作。
シリーズ最終章にふさわしい作品になっていたと、思えるのです。
達成感が凄まじいです。声は全く入っていませんが、シーンはなかなか良かったですよね。
ビジュアルも見事ですが、素材の使い方も目を見張ります。
通常、イベントCGにおいて、男性側を動かすことが多いと思うのです。
けれど、女性側も動かしたりしているのですよね。
リーザス軍ハウレーンとのシーンで、それが良く分かると思います。
テキストがまた良くて。
声がなくてもここまでヒロイン側の魅力を引き出せる、
濃厚な印象を持たせることができてしまうのはすごいと思います。
ウルザかわいいですよね。
シーン中もそうですが、美人な表情差分がとても魅力的。
(もっと見せてほしいと思ったりしますよね)
ご先祖交えてのカラー女王ズも明るくて良い。ビスケッタさんの違う表情は貴重です。
香姫はきっとやっと救われたのだと思います。だからああ成れる。
アールコートもきっとそうなっているのだと思います。
チルディにシルキィ、ハウゼルにサイゼル。なんてかわいい。
大人ベゼルアイに、ああ、カフェは何をしたんでしょう。カオスめ。
目を開いてはいけないリズナもちょっと見たかった。
いえ、恐らく全てのキャラクタが良かったので、どれが一番と挙げることができません。
バッドエンドの展開も、その理由が良く分かるので、納得です。
ビターな展開の、志津香ナギとのシーンもすごく良かったです。
志津香に本当に気持ちがあったことが良く伝わるシーン進行なのです。
立ち絵だけでも存分に魅力的。
第二部を見て思ったのですが、キャラクタに年を取らせる時にどういうビジュアルにするか。
これもまた魅力的でしたよね。
こうなるんだ。どのキャラクタが出てきても新鮮な驚きと、
すぐ見て分かる魅力にとても惹かれました。
例えば、マリア。
どうして。ちょっとびっくりですよね。色気にも驚きましたけど。
色気といえば、ミラクルですよね。
アームズさんもかっこいいし。コパンドンかわいい。
カロリアも元気そうでしたね。リセットは豊かな表情を見せ、確実に大人になりました。
いや、男性キャラクタも素晴らしかったですよ。
リック、パットン。ロレックスにアレックス。義景に早雲。正宗は元気かな。
魔人レイはかっこいいですよね。
みんな、生きてきたんだな、生き抜いたんだなと。
いや、ほんとキャラクタについてはあれこれ語りたくて堪らないのですが、
ブログシステムの文字数上限5万、それでは足りない自信があります。
キャラクタ数がそれだけ多いから。
コレクション画面で見ていますと、1勢力(カテゴリ)最低11キャラクタ。それが10。
汎用として設計されたキャラクタもいますが、それだって用意されているわけです。
よくこんなにもデザインを起こし、設定を作り、シナリオに用い、戦闘に組み込んだものだなと思いますよね。
(本当に、本当に良かったですよね……)
その苛烈な時代を生き抜こうとする、各キャラクタがとにかく魅力的。
「ランス10」とタイトルにある通り、10作目にあたりますので、
過去作ではこんなキャラクタだったものが、今はこんな風に登場している、という気持ち。
そして2部では、それからどうなったという提示がなされる。
ノスタルジーに近い気持ちを抱きます。
キャラクタに対して、良かったねと思えたり、辛い気持ちで見てしまったり。
これは全て、時間を進めたから。キャラクタのその後を描いたから巻き起こる感情です。
これがすごくたまらない、ですね。
プレイ中は辛い部分も多かったです。
繰り返しになりますが、難易度は高いし、期待したようにストーリーが展開せず、もどかしさも感じました。
でも、終わってみたら、シリーズ最終作としても大満足の一作となっていました。
ビジュアルも音楽もシナリオも何もかも。良かったです。
プレイしてすごく良かったです。嬉しいです。
原画を担当された織音さんが2周年記念として質疑応答をしてくださっています。
このツイートからでしょうか。
これはクリア後のお楽しみ。ランス10を十分に堪能された方向け、ですね。
もしこれからプレイする方へは、アップデート必須です。
かなり利便性が上がります。例えば、セーブファイルが999まで作成可能になるとか。
機能追加の他、カードも増えます。難易度も下がっているようです。
ダウンロード販売もあります。
サウンドも非常に良かったです。
ああ、これでやっと、「織音計画」を開封できます。