Lump of Sugarさんの「ねこツク、さくら。」体験版プレイしました。

Lump of Sugarさんの新作は、「ねこツク、さくら。」

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私立久慈学園は、義務教育機関だけでなく、企業合同学術研究機関まで備えた、巨大学園。
出入りする人数は一万を超え、生徒だけでも数千を超える。
都度、買収や増改築を繰り返し、新大谷市の半分近くが敷地となっている。

この学園は、とにかく広い。
だから、長年過ごしている人でも迷うことが珍しくない。

入学式の後片付けをしていた大槻宗真は、台車を引きながら、黄昏れる新入生を見かける。
春風に黒髪をなびかせ、少女はどこか不安げに空を見上げているが、無理もない。
ここまで体育館から20分近くあるのだから……道に迷ったのだろう。
制服を着ているし、上級生なら宗真たちのように奔走しているはずで、
何よりその表情は、一年前の宗真自身にも覚えがある。

放っておくわけにもいかないか。
宗真が少女に踏み出すと、その姿が、変わった。
腰の後ろには、白く細長い尻尾が現れ、
黒かった髪は白くなり、その頭の上にはピンと尖った三角のネコミミがあった。
「え? え!? なにこれ!? 耳ぃ!? 尻尾ぉ!?」
見ていた宗真よりも、少女自身が驚いていた。

久慈学園は長年存在している。”双子の神様”の話があり……。
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体験版は、1.56GBでした。
インストールが必要です。

原画は、萌木原ふみたけさん。
SD原画は、奏ナコトさん。
シナリオは、天野スズメさん、七央結日さん、中島大河さん、尼子士さん、白鳥とんぼさんとなっています。

いつもながら、キャストの選び方が秀逸です。
どこから探してくるのでしょう。
新鮮でありながら、キャラクタに合っていないと思うキャストがいません。
素晴らしい。

そして、どこを切り取っても美しいグラフィック。
たまに手を抜くということを考えても良いのではないかと思ってしまうほど。
背景の隅まで見てしまうんですよね。
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文乃が登場した場面では、文乃を見ながらも、道の奥や木々の間を見てしまいます。
描いてあるんですよね、そこまで。
美しい。

舞台は新学期の春。この季節って、結構眩しいんですよね。
それをしっかり背景で描いている。
さらに舞台設定の厚みを感じさせます。
同じ領域には、特段の理由がなければ遮蔽物は無い、道は造っても。
だから遠くまで見える背景を描いてくれているのでしょう。
市の半分を埋めそうな広大な敷地だというのが良く分かりますよね。
とても良いと思います。

その上で、キャラクタたちのクスッと笑えてしまうやりとり。
神様だと名乗ったツキを、小さな子が背伸びしたくていってるのだと、頭を撫でる文乃。
自分の姿のことを忘れたように。
もうこういう場面で笑えてしまいますね。

少しこれまでの作品とシナリオの匂いが違います。
ランプオブシュガー作品とは思えない感じがするというか。
コメディが強めといったらいいのかな。

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「明るい女の子になれたら……友達がたくさんできたら、いいなぁって思ったんです」
穂高文乃(轟ぽぷりさん)

これまでと違う一歩を踏み出そうと久慈学園へ入学したが、
過去、久慈学園が寺子屋時代に生きた双子の猫の幽霊が、
学園の外に出たいと文乃に取り憑いたため、ネコミミと尻尾が付き白い姿に。
学園から出られなくなってしまったため、宿直室に住むようになります。

本が好きで、読む速度が速く、多読家。
そのせいか、上路弥生のオカルトにも付いていけるほど深い知識を持っている。

読んでいると集中しきって周囲が気にならなくなるので、
これまで友達がいなかったのは、そのあたりではないかと大槻宗真は見ている。
食事させられても気付かない集中力はすごいですね。

このネコ耳のままクラスの机に座っているSDで、声を出して笑ってしまいました。
恥ずかしそうにしながら、でもきちんと座っている。
色々と葛藤の上、せっかく入学したんだしと考えて通ったのでしょうね。
こういう場面で、モブ生徒たちにきちんと声を入れているところも、いい演出だと思います。
奏ナコトさんのSD原画がとにかくかわいらしいですよね。

料理は得意でないが、この春をきっかけに頑張ろうと、レシピを見ながら作ったり。
健気さがありますね。
ネコミミの影響か、猫の生態に近い行動をしてしまったり。

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「はぁ……あたしの、いくじなし」
久慈恋花(桐野侑未さん)

久慈学園長の孫。
周囲から頼られ、自分でも進んで手を貸すことから、”姐さん”呼ばわりされる。
気負う部分はあるにしろ、お節介は生来の気質。

その気質と触れあっていると、周囲は影響を受け、行動的になってしまう。
でも幽霊がとにかく苦手。

宗真にメッセージで呼び出される恋花が期待をしてしまう場面、まー、かわいいですね。
自分のルールを曲げてしまうのも仕方ないです。
きっと恋花の気持ち、学長だけでなくて、周囲にも気付かれているのでしょうね。

行動の良さだけでなく決定していくところが姐さんと呼ばれるだけあるなぁ、と感心してしまう。
世話を焼く、本人に迷惑になることなんてしない。
人からの賞賛をそのまま受け取れない時は、そう望んでいたから。
褒められた相手が宗真だからというのもあるでしょう。恋花はますます頑張ってしまいそう。

恋花のデザイン、本当によく考えられていますね。
同じ年齢だけれど、ちょっと頼られてしまうような、頼りがいありそうな。
身近にいる、仲間のリーダーとでもいったらいいのでしょうか。
例えば、前作「若葉色のカルテット」ソフィアのように、しっかりしたお嬢様(正確にはお姫様)とも違う。
様々考えた上でのデザインなことに気づけますよね。
そして声がよく合っています。
自室で宗真とメッセージのやり取りをしているところがとにかくかわいい。

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「うちの姉がすみません……」
ツキ(比偉都レイさん)

300年以上存在している幽霊。
学園では、アキと一緒に、双子の神様と呼ばれている。
だがそのアキに振り回されて、謝って回ることが多い。
アキが憑いたことで猫化した文乃に謝るために実体化。

二人は幼い子のように口げんかをすることも多く、考え無しだと思っているが、
アキからは胸に栄養がいってるくせに返される。

アキほどでないにしろ、ツキも外の世界への興味が強い。
基本的に猫そのもので、ブラッシングやふみふみが楽しくなる枕が好き。
触れた相手の霊感を高めることができる。

最近、中庭の陽差しが気持ちよくてお気に入り。

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「オカルトを信じるってことは、すべての可能性に目を開くってことだもの」
上路弥生(歩河みぃなさん)

怪しい笑い方をするオカルトマニア。
ただしその知識は東西を問わず、関わり方は真摯であり、神棚の配置作法はツキにも認められるほど。

残念ながら霊感がなく、実体化していないアキの姿を見ることができない。

憑かれた文乃をクラスメイトが遠巻きに見ていても、オカルトの匂いを感じて突進していく。
また恋花に感化されて文乃の引っ越しを手伝ったり、素直な面もあり、
人に聞かれて話をしづらいことは、別な場所へ移動してからと、気遣いもできる。

弥生の、宗真に対する積極性。霊感が欲しいからという理由ですが、
そこもつい笑ってしまいますよね。
あと、幽霊がいることを理解したくない恋花に対し、理で詰めようとするのも。

コミカルな表情、怪しい表情差分が増えましたが、良く合ってますね。
部屋の調度品が本格志向。でも私服がかわいい。

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必要な素材を必要な分だけ置いている。
物語への強度を高めるための素材を。
そこが良く伝わるので、やっぱりランプオブシュガーさんはすごいなと思います。

不満があるとしたら、システム。
今作もEthornellベースですが、ウィンドウサイズを色々用意してくれているものの、
できれば可変可能にしてほしい。
セーブファイルはどう考えても足りません。こちらもユーザが追加できるようにしてほしい。
様々な動作がダブルクリックを基本としていますが、シングルクリックにしてほしい。
タッチUI指向性を持たせるというか。
そして、フォントも何か合ったものが用意されていると、より良くなると思います。
フォントも見映えの一つだと思うので。

それと、今作は完全に萌えのみのようですが、何らかの山があっても良いかな、それも少し高めの山が。
そんなことを思います。


2020年6月26日(金)発売予定です。

豪華版も用意されています。

ツキ描きおろし抱き枕カバー、ビジュアルファンブック、サントラCD2枚組が特典です。
さらにげっちゅ屋では、恋花の描き下ろし抱き枕カバー。早期予約キャンペーンとして、萌木原ふみたけさん描き下ろし複製サイン入り色紙が付属します。

抱き枕カバーが2枚になるんですね。


ダウンロード販売もあります。