PURESISさんの「QUALIA ~約束の軌跡~」体験版プレイしました。

PURESISさんのデビュー作は、”心を繋ぎ合う純愛ノベルゲーム”、「QUALIA ~約束の軌跡~」。
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越野博は、アンドロイド、マキナのチューリングテストを成功させた。
阿比留カレン室長の下、長らく開発を続けていたが、世界で初となる達成だ。

本当に人間の女の子のような外見。自然な動き。
ハードウェアの部分はカレン室長が担当し、ソフトウェア部分、人工知能を越野博が担当している。

越野博は、アンドロイド開発研究の第一人者。若き天才などといわれることもある。
しかし越野博にとって、そういった賞賛よりも、
AI搭載型アンドロイドを次のステップへ進ませることができるのが、とても喜ばしい。

両親が事故で亡くなり、ロボット製作に費やした。
そのうち、誰かのためになるロボットを作りたいと、夢に方向性を見出した。
それは、両親がしていた仕事と同じ指向であり、場を整えてくれたのは、カレン室長だった。

企業からオファーを受け、一般需要に乗りあっという間にアンドロイドを普及させたが、
越野博の能力を利用しようとする大人の社会の歪みに耐えられなかった。
最初は小さかった疑問が膨れ上がり、何が正しいのか分からなくなってしまったのだ。

企業が使いたい応用開発をストップさせたことで孤独に戻った越野博が、
子供の頃から漠然とイメージしていた女性型アンドロイド開発に着手し始め、
そして、カレン室長に誘われた。
以前から知り合いだったが、幾度となく通っては討論議題を投げかけてくれた。
そのことが、越野博の目標を確かなものにし、
またカレン室長の姿勢は金儲けが主体の企業員とは違うとも感じさせてくれた。
そして3年の開発を経て、マキナは次の一歩を踏み出せたのだ。

越野博は、マキナを研究室で生活させ、AIの成長を促すつもりだったが、
カレン室長の考えは違った。越野博と生活を共にさせると決めていたのだ。
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「マスター、質問があります」
役目を求めるマキナに掃除をさせてみる。料理を作らせてみる。買い物に連れていく……。
その度に様々な質問をし、学んでいく。
データを増やしていくことで、様々なことに対応できるようになっていく。
マキナは自主的にネット通信ができる仕組みにしていない。
人が世界を知るように、自然に少しずつ育って欲しい……できるだけ人間に近い存在にしてあげたいと考えたからだ。

教える役は、一緒に生活をしている越野博が行う。
料理や掃除の実際。触れて分かるガラスの取り扱い。人間の倫理観や道徳。
好奇心が強い子供に接するような面もあるが、中には、正解を伝えにくいものがある。

それが、感覚。感情。
可愛いとか、好きとか――愛。

このことを考えて過ごしていくうちに、越野博のマキナに対する意識が変わっていた。
カレン室長はすかさず察知したのか、警告をしてくれていた。
苦しい期間だったが、悩み抜いて答えを出せたのは、カレン室長のお陰と、いつも一緒にいてくれるマキナのお陰だと思っていた。

越野博は、マキナ残して先に消えてしまうから。
思いを、消えてしまう記録ではない形に。マキナと一緒にいられるため。

暮らした数年で育んだ思いをマキナに残すために、新たな開発に取り組んでいた越野博は、
躓いていた開発の進捗を急いて、研究所へ車を飛ばした。
この日は記録的な豪雨となっていた。
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「冗談……ですよね……?」
暖かい食事を作って待っていたマキナにもたらされたのは、
越野博が事故に遭った報せだった。

マスター、越野博に以前教えてもらった。
死とは、存在が消えることだと……。

体験版は、577MBでした。

原画は、鈴城敦さん。
SDイラストを、さえさん。
シナリオはSpinnenSさんとなっています。

システムはArtemisですが、僅かながらブランドカラーを出しているように思います。
文字を大きく判りやすくを優先させたデザインで、キーボード操作やタッチUIにも対応しています。

ヒロイン単体作品ですが、音声セーブも可能で、ゲームセーブと同数用意されています。

何より、システムSEがしっかりしています。
アンドロイドを扱った作品らしい、SF風のSE。
それを、例えばオートモードの開始とオフとで、変えてくれているのです。
とても丁寧ですよね。画面表示もありますし、これならオートモード中かどうか良く分かります。

その上、細かいところで演出が丁寧です。
冒頭、ハートを飛ばす演出があるのですが、ふわふわとゆっくり消えていく。
もう少し目立たせても良いとは思いますが、
キャラクタデザインや音楽にあった、柔らかい印象の演出になっていますよね。
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とても見応えのあるグラフィックですね。

システム、グラフィック、音声、システム。
どれをとってもロープライス作品とは思えないクオリティ。
時間帯によるビジュアルエフェクトも完備。

そして、慌てない進行。
体験版は、相当丁寧なオープニングになっていました。
他のフルプライス作品でも、こんなプロローグは珍しい。
ロープライス作品であれば、いきなり事故を起こして終えてしまう場合もあると思います。

そしてモブキャラに声をしっかり入れています。
マキナが人々の営みを見て学ぶ基礎となるのですが、声が入っていると説得力が上がりますね。
それもいい声の方を用意しているのです。

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この作品は、タイトルやジャンル設定がそうであるように、”心を繋ぐ”ことを描いているようです。

音楽もそうなのです。
サウンドは、折倉俊則 from STRIKERSさん、s_e_beatさんとなっています。
ハイテクを感じさせる音作りではなく、ゆったりすごす日常や、しっとり寄り添う曲が多い。

マキナの成長を、ヒロインを見守る作品と捉えて良いでしょう。
それと、越野博自身の成長をも。

クオリア。それは言語化した個人に根ざす感覚。
感覚を言語で表したものと、作中で表現されていますが、
マキナが人の感覚を知ることと、越野博自身が感じるものを、向き合っていく表現がなされています。

全てのものは変化と無縁ではいられない。
でも変わらずに居てほしいという願いと、時間の影響を受け、先に死に逝くことが決まっている人間。
アンドロイドを開発しながら、人工知能を成長させながら、越野博は苦しみます。
正解の無い問題。

そして、自分の選択、自分の答えを見出し、開発を続けた越野博の意志は、
マキナに引き継がれ、回帰します。
想いにフォーカスさせた丁寧な作品だと感じています。


体験版のストーリー中にはシーンも無いのですが、これがまた良いですね。
体験版用にカットされたように思える場所もあるのですが、
どちらかといえば、この流れでは不要かもしれません。

選択肢表示時点でセーブができないことと、バックログジャンプの搭載がないことは残念ですね。
×ボタンを押したときの終了確認ウインドウが古いなので、これもEXITと共通化させてもいいですね。
ちょっとだけ誤字がありますが、製品版にはさらにクオリティを上げてくるでしょう。

カレンさんのビジュアルが魅力的すぎて、ちょっとぐらっとしましたが、
例えば慰めとしてでも、越野博は揺れないとすら見抜いていた可能性がありますよね。

体験版以降で、どのような形で”繋ぐ”ことにするのか。
ヒロイン単体作品では珍しく、ストーリー性を重視した愛へ至る物語のようです。

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「君は、無限の可能性を持っているからね」
この時の越野博にもらった言葉を、マキナはずっと信じたのかもしれません。

ロープライス。

2020年6月26日(金)発売予定です。

予約特典として、設定資料集、主題歌音源、誘惑(?)するマキナの壁紙がついた「マキナの秘蔵メモリー」が付属します。