FrontWing&枕&ANIPLEXEXEさんの「ATRI」体験版プレイしました。

FrontWing&枕&ANIPLEXEXEさんのデビュー作は、「ATRI -My Dear Moments-」。

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幼い頃にトンネル崩落事故で右足と母親を失った。
塞ぎ込んだ斑鳩夏生は、環境の良いところ、海洋研究をしている祖母の元に預けられた。

祖母の教えや周囲の助けもあり、徐々に立ち直った夏生はアカデミーへ進んだ。

地球を救う。
その想いは、しかし、これも周囲によって閉ざされる。
学費を賄えなくなった夏生はクラスから閉め出され、授業を受けることができなくなった。
世界は公正ではなく、純粋な想いは尊ばれないと思い知らされた。
居づらくなった夏生は、祖母の居る町に戻り……しかし祖母も亡くなった。

原因不明の海面上昇が始まっていた。

温暖化、地殻変動による海底隆起、諸説あるが、分かっているのは海面上昇が進行していること。
今では、世界中の沿岸部は海となっていた。
このことが、文明を崩壊させ、人口減少に拍車を掛けているのだともいう。
祖母のいた町も、ほとんどが海の底に沈んでいる。

そして今月には借金取りが現れた。祖母のものだという。
とても夏生に返せる額では無い。
持っていた最大の資産は、自分の意志で関節や指を制御できるサイボーグ義足だったが、
この町に戻る前、売って学費に充てていた。

祖母の遺品にあった潜水艇で、夏生は、海に沈んだ祖母の倉庫に向かう。
なんでも、倉庫に高価な物を仕舞い込んでいたらしいのだ。
その倉庫に、祖母は夏生を全く近づけさせなかったことを思い出す。

鉄の扉を壊し、潜水艇のライトで魚やカニなどの海洋生物をどかしながら進むと、
縦長のカプセルのようなものが見えた。
まるで海底に眠る棺のよう。人一人をちょうど収めておける大きさのケース。
蓋がガラスになっており、中には、
「女の子…………の人形?」
アンティークドールのような少女が眠っていた。
不思議と怖さや不気味さはない。
現実味がないからか、それとも単純に棺に眠る少女があどけなく愛らしかったからか。
棺の中の少女が目を開けていた。
ガラス越しに夏生と視線が重なる。
ふいに祖母の病室で聞いた名が蘇ってくる。
あの時、何と言っていたか――
「ATRI……?」
夏生がその名前を口にすると、少女は応えるように、ニコリと微笑んだ……。
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体験版は、合計3.34GBでした。
最初からver1.1です。

Steamでは大丈夫なのですが、DMMからダウンロードすると、分割結合型になっています。
ダウンロードはこちら、とある箇所と、その下の1と2、合計3つを同じフォルダにダウンロードし、
1のexeファイルを解凍すると、2と3のrarファイルを結合して、atriフォルダが完成します。
少々分かりづらいとは思うのですが、この容量ですから仕方ないですね。

企画・シナリオは紺野アスタさん。
原画は、ゆさのさん、基4さん。
音楽は、松本文紀さん。
アートディレクターとしてSCA-自さん。
演出はYowさん。
背景はわいっしゅさんとなっています。

システムやUIは、フロントウイングさんの吉里吉里Z。
最初に言語設定が表示されます。
日本語、英語、中文2種類の4タイプ。サブ言語設定もでき、こちらはオフにできます。
いわゆる、英語字幕に日本語宛て書きをするか否か。
メインテキストを英語、サブテキストを日本語にするとこのように表示されます。
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その他も、システムはかなりプレイしやすさがあります。
ウィンドウサイズの変更をしたら、次回プレイ時に記憶してくれるところが嬉しいですね。

ただ、システムボイスにランダムの設定がないのが惜しい。
そしてセーブファイル数が決まっているのも。150箇所ありますが、決して多くはないですよね。
見せ所が多くありそうな作品ですので、これだと足りないのは確実。
ちょっとした心の動きを押さえたいのです。自在に追加できると良いですね。


ちょっとびっくりしたのが、音楽が非常にリッチであること。
これは体験版プレイされた方、最初に驚くところだと思います。
リッチで魅惑的なのに、波のSEはきれいに聞こえる。素晴らしい音声バランスです。

きっちり響かせている。
その場に合うようなエフェクトを合わせた音作り。
見ている側を、夏生とともに海底へ連れて行ってくれるのは、間違いなくこの音楽です。

その後も、静かで広い水がある場を彩る音楽が続きます。
素晴らしい。
この世界が、海面上昇により衰退しつつありながら、それが美しさも伴っているのが良く伝わります。

ちょっとした場面の切り替え時に、ふんだんに美麗な背景を用いています。
時間経過のためだけに、一瞬用いられる背景。贅沢です。
そういうものをも味わうため、この作品はオートモードでじっくり味わうことをお勧めしたいです。

背景は時間経過を写しますが、キャラクタ立ち絵には反映がありません。
ここは惜しいですね。
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体験版では、舞台に魅力を感じました。
この世界で人は、緩やかな滅びを受け入れるように怠惰に生きています。
営みは変わらず、変えられず。
人に優しくできるのは余裕がある者。
海面上昇のあおりを受け、本土から切り離された島になってしまった町。
送電塔がダメージを受け電気は来ず、復旧の見込みはない。
この町は空前の不景気。
学校のような教育機関の運営もうまくいっていない。
学校はあるものの、誰もがその先に行けるとは思えない。だからほとんど訪れない。
それでも母親のいうこともあり、学校へ通う神白水菜萌(高橋未奈美さん)。
野島竜司はやさぐれながらも、幼い名波凜々花(春野杏さん)の面倒を見たりしています。
つまり、子供が子供の世話をしているような環境です。
大人たちは、より、生きる気力を失っているように思えました。

こういう世界環境で、同じような境遇の子供たちが、僅かな希望を見出す。
辛いことは何も変わってない。
それでも、光を自分たちで取り戻した。
素敵な場面ですよね。
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だからこそ、もっと演出をリッチにしても良かったんじゃないかとも思います。

野島竜司と想像以上にあっさり仲良くなったなと思いましたし、
キャサリン(日笠陽子さん)との対立も、イベントCGを用意して派手な対立を煽った割に、
何事もなく雪解けしてしまい、残念ですが……、
では、語るべき物語はそこにないとして。

あくまでも、アトリとの物語にフォーカスされていくのでしょうか。
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「わたしは眠りにつく前、マスターから命令を受けました。それを果たしてからにしてほしいんです」
アトリ(赤尾ひかるさん)

ヤマサキファクトリー社製第4世代型ヒューマノイド。
そこはかとなく高性能で、自身でも性能の高さを誇ることが口癖。

水中稼働、酸素の対他者供給。味覚知覚。飲食または排泄も可能。
本来、ヒューマノイドは家事ロボットであるはずだが、料理掃除どちらもできない。
嘘がつける。ヒューマノイド法には詳しい。
外見だけでなく、感情表現も豊かで、中身も普通の女の子にしか見えません。
また、人間を攻撃できてしまう。

ヒューマノイドは検索データをどこから拾ってきているのでしょうね。

毎夜の右足の幻肢痛に苛まれる主人公は、アトリと過ごすことで、
新たに人と関わることができ、幻肢痛に襲われることなく安眠を得ています。
アトリを見つけ、アトリと過ごすことで、精神的にも安定した夏生。
しかしアトリは、翌月の別れを決めて譲りません。

その別れは45日後、体験版後は40日を切っていますが、
アトリが夏生の足代わりになることよりも大事にしているのは、
前のマスター、夏生の祖母からの命令。
しかし肝心の命令内容を、アトリは忘れています。
記憶の喪失。データが無いわけではなく、物忘れに近い処理があったようです。

海洋研究をしていた祖母、八千草乃音子博士は、
アトリをある島へ連れて行くことを夏生に託していました。
それが、地球を救うことにも繋がると……。

背景美術や音楽を味わい、元気に動くアトリを堪能しながら、じっくり進めたいですね。

Steamではこちらのページでウィッシュリスト登録を。
DMMではこちらになるでしょうか。
2020年6月配信予定。 予価2,000円+税となっています。
6月19日(金)0時より配信と決定されました。

パッケージ版があると嬉しかったです。
背景画集や設定資料集があるとじっくり読み込んでしまいそうな世界観をしているので。