ライアーソフト&ANIPLEXEXEさんの「徒花異譚」体験版プレイしました。

ライアーソフト&ANIPLEXEXEさんのデビュー作は、「徒花異譚」。

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少女が気づくと、そこはどことも知れない暗い森の中だった。
突如として現れた怪物に襲われた彼女は、筆を刀のように操ってものを斬る、謎の少年に救われる。

彼は黒筆と名乗り、慣れた声音で少女を白姫と呼んだ。
しかし少女には、少年の顔にも呼ばれた名にも覚えはない。
というのも、彼女の頭からはすべての記憶が失われていたからだ。

黒筆いわく、ここは絵草子の中の世界である「徒花郷」。
ありとあらゆる「おはなし」は、夢と同じように、どれほど深く溺れていても、覚めてしまえば何も残らない。
故にこの世界は、徒花――咲いても実を結ばない花に喩えて名づけられたのだという。
そしてふたりの役目は、ここにあるお伽話の世界を渡り歩き、話の筋に歪みが生まれていないかを見張ることらしい。

操り人形のように頼りない風情の白姫は、言われるがまま、手渡された一冊を開いた。
表題は――「花さかじいさん」。
虫食いが進み、朽ちる寸前のようなその絵草子が開かれると、紙面から眩い光が放たれ、少年少女はお伽話の世界へと連れ去られていった――。


体験版は、1.35GBでした。

企画・シナリオは海原望さん。
原画・キャラクターデザインは大石竜子さん。
音楽はさっぽろももこさん、松本慎一郎さん。
システム協力としてシルキーズプラスさん。

つまりシルキーズプラスさんのシステムを使っています。

冒頭の情景描写がとても良いです。
立ち並ぶ木々は冬の訪れに痩せ細り、秋にまとった金や紅の装いは今やくたびれた枯れ葉となって、枝にすがる力も弱い。
吹きつける風に片っ端から千切らされては、気まぐれな渦の形に弄ばれ、地面に擦れるたびにかさこそと虫の這うような音を立てる。
そんな情景が青灰色の闇にぼうっと霞む様は、いわば季節の晩年を描いた一幅の絵画だった。
ただ夜空に浮かぶ月だけは、重苦しい雲を押しのけて煌々と冴え渡り、ささやかな慰めの光を投げかけている。
この描写力、本当にすごいですね。読み応えのある文章、とても良いと思います。
ライアーソフトさんらしさが出るような、絵草紙らしさが生まれているというか。

ただ、それ以外があまり良くないです。
テキストとして綴られているだけ。
それだと、書籍化したほうが良くなってしまう。

全体的に演出が弱いのです。
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まず、キャラクタは、それこそ、ムービーで見せてくれたくらいに動くほうが良いと思います。
大石竜子さんのキャラクターデザインだからこそ、大きく動かした方が魅力的。

それと、SEが良くないです。
筆を振るっているはずなのに、他の作品でいう刀を振る音。
振るっているのはあくまで筆、それも墨をたっぷり含ませたもの。
何かこう、新鮮味のある音源はなかったのでしょうか。見ていて力が抜けてしまいます。
さらにいえば、納刀のように、筒に戻すのですが、そこにもSEが欲しいかな。
また、文字を描くところも、筆で書いているかのような動く演出があっても良いと思うのです。

後に筆で書くような表示をする演出があり、それが最大の演出なのでしょう。
けれど見せ場なのに。もう少し見映えのする演出が作れたはずです。
こういうところは、こだわって欲しかったです。
筆で戦うという特異性を、さらに際立たせるように。


とはいえ、物語はとても良いです。
非常にメルヘンです。いえ、お伽噺的と呼ぶべきでしょうか。
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「そう。物語には人の心を解放する力がある」
黒筆(加藤渉さん)

絵草紙に紡がれた物語の修復を役目とし、筆を操る少年。
知的な面差し、凜々しい。

虫食いのようになってしまった絵草紙の中を渡り、
”紙魚”に刻まれた墨を筆にのせ、物語を修復することができる。
しかし何故修復をしているのかは、分からない。
それでも揺るぎなく居られるのは……。

あまり口数が多くなく、冷静沈着。
白姫とは古い馴染みだといいますが、そのことについても多くを語りません。

白姫に語りかける黒筆の優しい声が、なかなかの美声で良いですね。
素晴らしい。

墨を産み出せる力はなさそうですが、絵草紙から絵草紙へ渡るための扉を産む墨は作れるようです。


「より苦しみのない、しあわせな道があるのなら、わたしは……」
白姫(南早紀さん)

肌も衣も真白な少女。
物語に虫食いを残し抜け出た紙魚を捕まえると、
絵草紙修復の基礎となる墨に転化することができる。
記憶を失っており、自らの名前も分かっていなかった。

助けに手を伸ばすことすら、自ら選択することを恐れる場面も描かれており、
何かをしてしまった後、この作品が始まったのかもしれません。

物語に触れ、徐々に気優しさを思い出していきます。
紙魚となった文字の性質を、触れただけで感じ取ることもできます。

そして、黒筆と違い、物語を変更することができるようです。
ただし、望んだとおりにはならず、”徒花化”してしまうことも。

黒筆と白姫は、どこか別の絵草紙にいた、ように描かれています。
白姫は大きな桜の樹のある屋敷に住み、そこへ黒筆が眺めを楽しみに忍び込んだことから、
二人は知り合ったようです。
長く過ごすうちに、白姫の母は亡くなり、そのことを嘆いている場面があります。
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大石竜子さんの美麗なビジュアルが、徒花化するのがなかなか良くて、
おっ、と目を引いてしまいました。

体験版では、好々爺から転化する場面を、花咲かじいさん役の玉井勇輝さんが好演しています。
この「花咲かじいさん」含め、六つの物語で構成されているようです。

DMMではこちらになるでしょうか。
2020年6月配信予定です。予価1,700円+税。

これもパッケージで欲しいですね。