HOOKSOFTさんの「IxSHE Tell」感想です。
『IxSHE Tell』を応援しています!

2018年2月発売作品。

HOOKSOFTさんの「IxSHE Tell」は、”告白されてはじまる恋愛ADV”。
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「今一度言う! 俺の目標は、一度しか無い青春で、甘酸っぱくて楽しい学園生活を送ること!」

長らく続いていた、”男女交際禁止”の校則。
廃止した絢星館生徒会長の二宮肇は、周囲にいた彼女たちから告白を受ける。
全て、学園屈指の美少女たちで――。

という導入でした。
それでは感想です。ネタバレは少々あります。

 
うーん。良かった。

みんなが迫ってくる、この感じが良いのでしょうね。
主人公の二宮肇は、魅力的なヒロイン達だけで無く、モブキャラにも好かれているというのが、
なかなか無いなと思います。
歩いていても、「会長」「二宮くん」と声を掛けられる。
男女ともに好意的に思われており、恋愛解禁で、ヒロイン達に混ざってアピールされる。
新聞部や放送部から追いかけられ、賑やかで楽しい学園であること、みんなからモテている。
この演出はバッチリ。

爽やかな恋愛模様。
お互いがフェアでいるから、なのでしょうね。
この性質は、絢星館だけでなく、ヒロインたちの家族にまで広がっています。
奪い合うのでは無く、認め合ったり、フォローし合ったり。

迫り方がそれぞれかわいらしくて。
小清水さんは誰憚ることなく、栞織は周囲聞かれては逃げつつ、
彩楓は自分のファンに手伝って貰いながら、由依は他学園から走ってきて、
芳乃は素直になれないまま遅れて。
うん、本当にかわいい。
読んでいて少女マンガのようとも思いました。

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背景が凄くきれいですね。
凄く立派な洋風の街並み。外国から来た人の居留区だったという設定通り。

しかしその設定については作中でほんの少ししか触れられていない。
これはあえて、なのでしょう。
場を補強した上で、恋愛模様に関係なければ使わない。贅沢な遣い方です。
この背景で、違う世界の物語と捉えることができたのは、良かった部分だと思います。

さらに贅沢だなと思ったのは、キャスティングが凄く良いこと。
キャラクタに合っていないとも感じませんし、サブキャラクタやモブキャラまで魅力的。

共通ルートでの大人数でのやり取りが楽しかったため、
独りにフォーカスする個別ルートではやや楽しさが減じてしまいます。
仕方ないところではありますが。
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いくつかギミックがあります。
まず、画面の左上のハートマークで展開するパートナーセレクション。

進めていて、このキャラクタ良いな、と思ったら、遠慮無くハートを着けたらいいのですね。
ハートマーク、足りませんよね。なんで10個限定なのでしょう。
見ている側のテンションの高さを反映するシステム。

恐らく、画面から目を離させないための仕組みでもあるのでしょう。
PCで色々出来るため、プレイしながら他のことをしている方も多いはずで、
けれど、作品ではヒロインの良さを押し出そうと頑張っている。
何とか画面に引き戻したい、そういう考えなのでは無いかと考えてしまいます。

ただ、報酬が少ない。
ゲーム設計として、プレイヤーに行動を起こすには。
押すという行動に対しての見返りが無いのです。
ここをもう少し増した設計にしても良かったと思います。
あと、AUTOモードを解除しないと押せないのが残念。
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新クロスビューイングやおかわりイベントはすごく良かったと思います。
主人公のいない場所で動いているヒロインの姿を見られるという点、
そしてその日の終わりに、ヒロインともう一度、話をしたい時に。
これはウリのシステムといって良いでしょう。
特にクロスビューイングが良く、主人公に掛ける言葉の理由が見られたりします。
エピソードが盛りだくさん。報酬って、こういうことだと思うのです。少なくとも。

個別ルートにも何かギミックがあっても良いですよね。
無くなってしまうと、テンションが一気に収まる気がするんですよね。
難しいところですが。

個別ルートでは、誰かを大切にすることの良さを感じさせてくれる展開ばかりでした。
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「誰も肇を誘わないなら、私が誘っちゃってもいいのかなって」
花守栞織(波奈束風景さん)

幼馴染み。ずっと隣にいたのでお互いに良く分かっている。気が合う。
二宮肇の周囲が騒がしくなり、見守る立場と思いきや、最後に当然だとばかり立候補したヒロイン。

本人はあまりコミュニケーションが得意ではない。
告白した当初ですら、周囲から話掛けられるのは苦手。
立候補して、肇の周囲の女子たちと話をするようになり、活き活きしてくる。

実は街の風景などを捉えたブログを更新し続けていて、それが観光のタネになったり。
街を盛り上げる依頼に、自分はさらに変わることができるかもと、踏み切ったり。

告白の場面も良いですね。
一緒に居たからこそ、この告白に至ったのが良く分かります。
それは肇も。この二人ならではの光景ですよね。

波奈束風景さん、やっぱ良いですよね。こういうキャラクタはすごく合っています。

このルートでも、二人の周囲にいる人たちがとても活き活きしています。
具体的には、妹の二宮青葉(平野響子さん)と、花守保聖(梅小路ピンポンさん)。

ただ。記憶の場所数と、ウサギの飾りがあったという特徴を聞いているはずなのに、
それを忘れる失策はもやっとしますね。
栞織に花を持たせるわけでもないので、そこはちょっと。

エンディングが意外でした。待たせ過ぎちゃうって。
でも、二人らしいなと感じます。お幸せに。

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「二宮さん、ごめんなさい……」
小清水香純(奏雨さん)

幼い頃、身体が弱く、二宮肇に助けて貰ったことから、
元気になったら二宮肇と再会しようと考えていた。
そして転入、ストレートに告白したことが、二宮肇の周囲が騒がしくなったきっかけ。
しかし二宮肇は気付いてしまう。香純はしたたかに迫ってくるとしても、最後まではしてこないと。

蛍光灯交換のイベントは、運びが上手くないように思いますね。
確かに、朝のイベントで一度、昼休みでもう一度という具合にはなっています。
主題が、やきもちを焼くことにあるとすれば、まあ焼きはするかなという感じで、
少しぼやけてる感じがしますね。

もし、小清水香純を知ろうと思ったら、必ずクロスビューイングを。
きちんと視点変更で追いかけないと、香純の魅力が減ってしまう。
本当に色々なことを考えていたのだと知らずに進めてしまうと。
良いキャラクタで、とても面白かったです。
センターヒロインと指定しても良かったくらい。

葛藤を感じさせる場面があまり表現されていないのは、HOOKSOFTらしさ、なのでしょうか。
それでも、迎えたエンディングは、良かったねと思えるものでした。
幸せになるべきキャラクタです。

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「むしろ私がステージ上がった方がみんな盛り上がる、それが事実で正義よ!」
結城彩楓(卯衣さん)

ミス絢星館二年連続優勝者。
恋愛解禁日にも早速、多くの人から告白されていた。
ただしかなりの初心で、迫ってきては照れる。
解禁を導いた実行力に惹かれ、二宮肇を気にするようになる。

実家がオシャレなカフェ。看板娘としてアルバイトしている。

ハロウィンパーティで、気後れする古塚由依の代わりにステージに上がる場面、
かっこいいですね。
一方で、小清水香純にあしらわれてしまったりと素直さがあります。

ちょっと勝ち気。魅力で惚れさせる!くらいの姿勢。
なのに、手を繋ぐだけで照れてみせるとか、ずるいですよね。
ミス絢星館だと、自分はかわいいと思ってもらえるはずだと、自信を持とうと自分に言い聞かせたり。
かわいい。
特別な存在で居るために、特別とは何かを理解した上で努力する。
プライドがあるから、だから迫れる。いいキャラクタ造りですよね。好きです。
個別ルートに入ってからのエピソードが多くて、
容姿よりも中身の魅力がにじみ出ているヒロインなのだなと思いました。

一方で、彩楓ファンで憧れはあるけれど、告白にフェアでいようとする二宮肇もいい男性ですね。
照れはあるけどお姉さんぶる。性格もイケメンだけど年下。この関係。
お陰で、とても素敵な恋愛模様を楽しむことができます。

ただ、忖度って言葉を使うと、どうしてそんな言葉が使えるようになったのか考えて醒めてしまいますね。
実際の世界と、同じ世界線ということはない思うのです。
また、呼び捨てで呼ぶことと、丁寧語を外すことは違うことですよね。

共通パート、彩楓のお店でみんなで食事した後でのおかわりイベント。
「って、どしたの?忘れ物?」と尋ねる声から、
「忘れ物じゃないんだ?」と理解が及んだ声がもう。口元は絶対笑っていますよね。
こういうちょっとしたニュアンスを伝えられるのは、さすが卯衣さん。
「ガオオオォ~~ッ!!」とか、かわいすぎます。

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ところで、妹の萌楓(和央きりかさん)がかわいすぎますね。

芳乃の威圧的な誤魔化しにも負けない強さ。常識人。良い子。
私服がオシャレ。仮装衣装も手掛ける。リアクションが彩楓も認める清純系。
花守栞織が「いい子すぎて娘にしたい」と評するほど。
由依ポンの友達で、由依のことも、姉の彩楓のことも応援している。

一緒にお風呂に入ろう、なんて誘われた時に目を逸らして照れてしまうのは、
その前段で、もしかしたら自分も惹かれている?という流れがあったから、ですよね。
人気投票があったら、かなりの上位にいったはず。

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「もう少しこのままでいようかと思います。そうすれば、もう放置されてしまうこともないでしょうし♪」
古塚由依(鈴谷まやさん)

兄弟校の生徒会長。年下でながら、親の教育と役目からか大人びている。
発明部に属してもいる。
大人びているとはいえ、意識している相手と一緒なら、恥じらいも見せるし、積極性も見せる。
でも本当は、恋愛マンガも読んだりするタイプ。

古塚さん、すごくかわいい。
由依ポン変装。ハロウィンパーティの衣装も良かった。
鈴谷まやさんが、年下ながらしっかり者の演技をしてくれているので、
そこを活かしてさらにスレンダーなスタイルに仕上げても良かったかも。

バーベキューの際に、古塚さんが肇が作った燻製を取ってきてくれるように頼まれて、
バーベキューが終わって、そろそろ休もうと肇が部屋に入ると、由依の香りがするんですよね。
で、視点変更ボタンで見ると……。

段々と変化していくのがかわいらしいですね。
付き合い始めてから、寂しさを感じるようになったと迫ってくるところとか。

なお、すごく立派な邸宅にお住まいです。

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「それに地味だから、色気だって自信ないし……」
山吹芳乃(桐谷永美さん)

副会長。
芯の通った方針で、選挙戦へ会長として立候補し、恋愛否定派としてそれなりに票を集めていた。
慕われており、そうはいっても芳乃が肇を好きなことはみんな分かっていて、支えてくれる。

近づきたい、触れてみたい。妄想してることをしてみたい。
そんな気持ちが漏れて、行動に出てしまうところも面白い。
でも、本当に恋心なのか?迷ってしまう場面も良かったですね。
そこが発展しないのはちょっともったいなかったかも。

堅物と思われるかも、なんて考えていたのに、少しずつ周囲と打ち解けて、
パジャマパーティするために独り待っていた場面とか、かわいいですよね。

一緒に居られるようになったら、周囲の目を気にしつつもかわいい尽くし。すばらしい。
まだ素直になれない芳乃のために、がんばる肇。イケメンです。
そこからはもう、我慢していた分だけデレぶりがすごい。
色々積極的で良いと思います。

真面目な芳乃だからこそのエンディング。けじめですね。

親と弟が様子を見に来る場がすごく良いと思いますね。
きっと家庭を持つことになっても、親たちとも仲良く過ごせるはず。

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キャスティングの良さがあって、キャラクタの良さがあって。
だから生まれている、やり取りがほんとに楽しいです。
例えば、彩楓と由依の「一晩のロマンスが!」「あるかもしれませんわ!」とか。
お互いの仲が良くないとできないやり取りですよね。

こんな良いキャラクタばかりに慕われて。
二宮肇、選ぶの迷う気持ちも分かります。
途中で、強い迷いを表すのですが、一緒に仲良く楽しく過ごしているけれど、
誰かを選んだらこういう時間は過ごせないかもしれない……。
その寂しさというか恐れ、すごく良く分かります。

場の良さは、ヒロインたちだけで形成されているわけでなく、
サブキャラクタ、モブキャラと、場にいる全てで成り立っている。
贅沢な設計だなと感じています。

背景が美しいという部分でも少し触れましたが、みんな人が善いのですよね。
こういう世界もあって欲しいなと思うような。

立ち絵指定のキャラクタ違いや、誤字等もまだ残っては居ますが、
それでも。
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拍和小吉(芦久比剥巳さん)のセリフ。
こんな風に少しでも思える作品だと思うので、良いと思います。



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