Triangleさんの「sin光臨天使エンシェル・レナ REINCARNATION CD6版」感想です。
でも改めて、これまでは普通の女の子だったけれど、もし自分にできるのなら、人のために戦う。
2017年にプレイした時と、シーンへのイメージは変わっていない部分もあります。
不思議と、2017年発売の時よりも楽しめたと思います。
プログラムリストに載らないというのも気になりますね。
2020年6月発売作品。
「sin光臨天使エンシェル・レナ」は2017年に発売された作品です。
今回の「Triangleコンプリートディスク6」に収録されました。
朋衛玲奈は、ゼロポリスで暮らす女の子。
両親は海外に働きに出ていて、広い家に独り暮らし。
最近、夢を見る。
誰かが玲奈に語りかける夢。気遣いが伝わり、胸が締め付けられるような……。
そしてこの街では、得体の知れない凄惨な事件が起きている。
ある夜、買い物の帰りに公園を抜けようとすると、怪物と戦う勇ましい女の人を見掛けて……。
という導入でした。
それでは感想です。
ネタバレは少しあります。
元々は、2005年発売の「光臨天使エンシェル・レナ」のリブート作品です。
光臨天使エンシェル・レナイベントCGだけでなく立ち絵からリファインされ、新たなストーリーとなっています。
朋衛玲奈は、キャラクタがうまく定まっている感じがします。
人と争うことが苦手。そして無垢さ。
遠野そよぎさんの声で、さらにレナが形成されている印象です。
12年経過しても、遠野そよぎさんが演じてくれるのはありがたいですよね。
レナのキャラクタ形成として、一番良いのは、物語の導入部分。
自宅からグリーンウォーターアカデミーに通うまでの流れで、
本当に普通の女の子として物語に生まれているのがわかります。
勉強は親譲りでできるけれど、料理は少し苦手。
朝食をしっかり食べることはできるけれど、手際も良くないのか、片付けまですると時間はぎりぎり。
お弁当作りもしなければと思うけれど、ちょっと難しそう。
そして仲の良い友達と過ごすことができている。
アカデミーでは人気があるといわれていても、自分で何かをすることなんてまだ考えられない。
玲奈がどんな性格または雰囲気なのかが良く伝わります。
戦うことに対する姿勢も。
エンシェリウムカードに見込まれた玲奈ですが、巻き込まれて戦うものの、
継戦をエリカ姫に頼まれて、一度断るのです。
レナらしいと感じられました。
上手く生活できているところと、苦手なところも含めて、エピソードが、らしいです。
これが、物語の結末にまで走る、強い柱に据えられていること。
(だからこそあのFD作れたのだろうなと思います)
そして、敵の中に以前の味方だった人物がいるのも、敵や物語が厚く感じられます。
アリシアのビジュアル、狂気が表情に描かれていますが、
波野夏花さんの演技はビジュアルに全く負けていませんよね。
(「無駄」と何回叫ばされているのか……)
何よりも、物語における登場人物の大局的な動きがしっかりしています。
地球侵略、レナ捕獲のため、ディネロをトップとして動くアザハイド帝国の一団。
ジェネラルコキュートス、アリシアの動きも、それぞれが背負ったものがあるのが良く分かります。
2005年発売作品は、別次元にしろ、遭ったこと。在ったこと。
だからずっとコキュートス、クーラは探し続けていた。
どれだけ目の前でレナが酷いことをされても心を殺して、運命の通りに動こうとしてきた。
アリシアは恨みや憎しみと、自分が運命を切り開けなかったことに絶望しながら、
エリカに刃を向け、心を救ってくれたコキュートスに従う。
だからエリカに説得されても、コキュートスを救うことを優先して別離を選ぶ。
そしてコキュートスに託された使命を果たそうと、レナに厳しい言葉をかける。
すごく良い役です。
そしてエリカ姫(霧島はるなさん)、かっこいいキャラクタだったんですね。
王道といえば王道ですが、喋り方がお姫様然としていて、
スタイルも良く、スッと手を構えているのがとても良い。
FDで見直してしまってから、きちんと見るようになったのですが、
制作コンセプトと合っているかはわかりませんが、とてもヒーローなんですよね。
すごくかっこいい。
何度だって、正しいと信じたことは貫いて、繰り返し繰り返し述べる。
相手に届くまで。
これぞヒーローの矜持。拙守求真とでもいうのでしょうか。
そして登場の仕方も、舞台が整った上で現れるヒーローそのものでした。
この作品で描かれた玲奈は、コキュートスやディネロが探し求めた到達次元存在という位置づけ。
これも面白いですね。
コキュートスとディネロの二人は同じものを幾度となく求め、そして得られずにいて。
得るために、自ら狂うことを決断していく。
良いですね。敵に共感できる。
朋衛玲奈は、そんなキャラクタの中心にいて。
大事にしていた日常が崩され、戦いの中で友達が傷ついたり。
自分の身にあれこれされてしまったり。でも改めて、これまでは普通の女の子だったけれど、もし自分にできるのなら、人のために戦う。
もしかしたら、それは、今までの平穏な日常を、少なからず否定してしまうことになるのかもしれません。けれどわたしは……それを、認め、受け入れます。今のわたしは、朋衛玲奈であると同時に、伝説のエンシェリアン、光臨天使エンシェルレナでもあるのですから。
シーンがたくさんある作品ですが、その必然が、
登場人物たちの設定と物語とで、与えられているのです。
作品の特徴として、選択肢が複数あり、どちらに行っても何かあります。
勝っても負けても何かある。これはお得に思えてしまいますね。
さらに、シーン中もレナ視点で綴られること。
どう感じているのかは、レナが伝えてくれること。
そしてレナは、今作での肉体としては初めてでも、他の次元で既に色々された後であること。
すぐ責めに反応してしまうのには、理由がきちんとある。
これは2005年発売過去作のうまい用い方だと思います。
そしてフォームチェンジ。
様々な衣装のレナを見られ、もちろんシーンビジュアルにも反映されています。
ただ、2017年リリース時と修正や追加要素はありません。
誤植もそのまま。CGモードで一部カットインが見られない。
レナがアリシアを巨乳呼ばわりする違和感などはそのままだったりとか。
何よりも、バトルの演出が物足りないのですよね。
テキスト上で描かれているものすごいバトルを、イベントCG一枚を揺らすこと、
そしてSEだけでは表現し切れていないように思うのです。
次元を超え、次元から力を引き出すくらいの異能バトルなのに。2017年にプレイした時と、シーンへのイメージは変わっていない部分もあります。
シチュエーションは良いので、好みと違うと感じるのは、声なのかなと気付きました。
他作品でも登場すると存在感があるし、いい声だと思いますので、
声の出し方なのでしょうか。
シーンはなかなか素晴らしいです。
スライムから機械まで、豊富な異種族ガイストたちを産み出す魔導科学博士ギルベトは、
シーンは、敗北エンドタイプも複数ありますし、良いと思います。ディネロでなくても褒めてあげたい気持ちになりますね。
そして、レナを衆人環視へ持ち込む。
アリシアやコキュートスにもあり、レナに比べると数は少ないけれど良い感じです。
狂気を見せるアリシアが、ガイスト兵に従順になってしまうのは見映えしますし、
責めに対しても冷静に解説するくらいだったコキュートスが、責めを受け入れてしまうところもなかなか。
そもそもコキュートスってデザインが良いですよね。やっぱり見応えがあるわけです。
八ッ橋きなこさんの声はかわいらしいですし。
エリカもそうですね。王女が一般市民相手。
戦えば一瞬で倒せる相手を、受け入れなければならないというのも、良いシチュエーションですね。
不思議と、2017年発売の時よりも楽しめたと思います。
苦手な部分があったので、じっくり読んでいなかったのかもしれませんが、
再プレイなのに全体的に発見がありましたし、こんなにじっくりプレイできるとは思いませんでした。
あと、細かいところを羅列します。
エリカで一点気になるのは、自分は抵抗しないからと身を差し出すのって、
これくらいで勘弁してやる思考ですよね。
改めて見直すと、玲奈の私服はけっこうかわいいですよね。
美樹はスレンダースタイル。
立ち絵や別CGに移ると、しっかりボリュームがありそうに見えますが。
あと、変化したら眼鏡が外れてしまうの、仕方ないですが、つかさの魅力が減ってしまったように思えるので不思議ですね。
美樹はスポーツ生だからか割と鞭。つかさは飴寄りだけれど譲らない責め方。レナにも二人を触り返すべきだったんじゃないかなと思ったりもしました。
三人で仲良くしないと。
というか、カルマシードを解き放ったのに二人は制服に戻るのがちょっと。
もう少しサービスをお願いします。
アリシアがレナを責めて「こんなに硬くなってるの、わかるでしょ?」というあたりで、
少し差分が追加されたりすると、とても嬉しいですね。コストあがりそうですが。
魔法攻撃をしているエフェクトはもっとあるべきですね。
コキュートスの攻撃が良く分かりません。
エリカ姫の制服仕様もとてもかわいいのですが、
制服でのシーンってありましたっけ。なかったらもったいないですよね。
アリシアやコキュートス、ディネロの視点って、何となくですが、
FDに登場するルシフェルレナと近い視点を持っているように思います。
多次元を渡って繰り返し探したり、苛まれる仕打ちを続けられると、同じように思えてしまうのかもしれないですね。再パッケージ化はありがたいのかも。多くの再発見があります。
時間が経ち、好みが変わった部分もあると思いますし、
コンテンツを楽しめるのは受け手の場面や精神状態による部分もありますよね。
今作は、2005年発売の初出「光臨天使エンシェル・レナ」を活かし、
うまく再構築した新たな物語「sin 光臨天使エンシェル・レナ ~REINCARNATION~」。
ストーリーもしっかりしていますし、シーンに至るまでの必然が感じられました。
……ということも、再発見できたと思います。
「sin光臨天使エンシェル・レナ」単体版のダウンロード販売もあります。
困ったことにですね。
2017年にプレイしていた「sin光臨天使エンシェル・レナ」の音声ファイルが全て鳴らなくなってしまいました。
BGMやSEなどは大丈夫なのですが。
もしかして再インストールすると、今度はCD6版の音声が鳴らなくなったりしますか?
かと思えば、Complete Disk6版でも、このようにメニューバーがおかしくなったりします。
プログラムリストに載らないというのも気になりますね。