スカイロケットさんの「コイノハ-恋のシェアハウス-」体験版プレイしました。

スカイロケットさんの新作は、”一つ屋根の下ADV”「コイノハ-恋のシェアハウス-」。

地元山口から、遠く関東の地へ。
人付き合いが苦手で、変わらなければならないと思った。
単に進学して環境が変わるだけでは足りないと思った。
だから知り合いがいない新天地を選んだ。

ゲーム好きが集まるシェアハウス。
生きるために人と関わらなくてはならないけれど、同じ趣味であることを拠り所にできる。
段階を踏んでいけば、きっと違う趣味の人との接し方もわかるようになる。
経験値を溜め、レベルを上げていくんだ。

そう意気込む高坂伊織が着いたのは、
……ゲーム好き、でも同居人が全員女性のシェアハウスだった……。
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体験版は、455MBでした。

原画は、アルデヒドさん。
シナリオは、みかさなつひささん。

システムはArtemis。

いわゆるヒロインと同居する作品なので、ハプニング等は起こるのですが、
全体的に落ち着いた進行のように感じられます。
キャラクタに無理をしたところも感じられませんし、返ってリアリティにも取ることができる。

悪くないなと、思えるのです。

でも、ですね。
今の時代の作品と捉えにくいのかも知れません。全体的に。

まず、その進行も、目を引く派手さが感じられないといえるかもしれません。
何より、ビジュアルから受けるイメージが弱い。

体験版中で、山場と感じられる箇所がないこと。
このままの雰囲気が製品版でも通っているのであれば構わないのですが、
体験版以降に色々とあるのであれば、ダイジェストに編集したほうが良さそうです。

一番強く思うのは、グラフィックの彩色です。
恐らく、もう少しハッキリした色合いのほうが映えると思うのです。
少しもったいないかなと思います。

本来、ヒロインが制服を着て登場している場面は、もう少し明るさを感じるものだと思うのです。
元気、あるいは快活さ。そういうものがない。
なので、落ち着いた進行と相俟って、登場人物たちは大学生設定なのかと思ってしまいました。

キャラクタか、どちらかといえば背景でしょうか。
ぼやけた色合いのため、キャラクタを立てると、さらにぼやけた印象に見えます。
コンフィグ画面の方が外連味がある。
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そこで気付いたのですが、恐らくは予算の問題が強く出てしまっているのかもしれません。

本来は、ゲームしている風景であるとか、ゲーム画面であるとか。
あるいは、わかめみたいといわれてしまう主人公の髪を表すとか、
その後、散髪後をビジュアルに起こすといったことも、大事な要素と扱うなら映すはず。
それをしていない。
盛り上がりが産み出せるポイントですから。キャラクタを好意的に見られるイベントですから。
でも、立ち絵と芝居のみ。

もしかしたら、共同生活の中、トイレで出くわしたり、脱衣所で出くわすといったハプニングが一番の盛り上がりなのかもしれない。
あっても、一枚のイベントCGで処理。

主人公の性格が重要な要素なので、ヒロインと通学するなんて、気恥ずかしさと嬉しさ、
そしてヒロインの眩しさをビジュアルで表現すべき場面では無いかと思うのです。
それもない。

細かいところでいえば、上月彼方が非常にゆるいルームウェアを着ていたらしく、
高坂伊織はドキドキしてしまったようですが、
ボディラインを隠さないカーディガンを羽織っただけで、普通に話せるようになるのも違和感があります。

なので。
こう、過去の作品であるかのように受け止められてしまいました。
……ハッキリ書いてしまうと、ちょっと古めかしい。

ヒロインはみな優しい性格をしているように思いますし、
ここからさらに魅力を見せてくれたら良いですよね。

その後シェアハウス運営はどうなってしまうのか気にはなりますが、
それは製品版の楽しみにするとしても。

視点が変わったところは明示してくれると嬉しいですね。
モノローグになると、キャラクタによっては、そのまま伊織が思っていることのように読めて、
暫くしてから気付くというものがあります。
予算がなくても例えばテキストウィンドウカラーを切り替えるとか、
あるいはテキストで結城晶の視点だと明示するくらいは、できると思うのです。
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と。
ここまで書いて、的外れであることに気付きました。

作品のポイントとして公式サイトに紹介されているのは、
シェアハウスでのトラブルが満載、シェアハウスがハーレムに、シーンアニメーションの3つ。
体験版中にあったトラブルは落ち着いていたので今後の展開に期待するしかないのですが、
ハーレムに至るまでは、そんなに力が掛かっていない、掛けられないのかもしれませんね。
そちら側がメインになるので。

となれば。
高坂伊織のキャラクタを、こんな良く設定することはなかったかもしれません。
恋愛模様が描かれるのかと思ってしまいました。
体験版の冒頭は、性格を変えたいと思って出てきたけれど、
誰かに受け入れてもらうことで自分を認めることができているようなので、まさにそうですよね。

ゲームについてもそう。
ゲーム好きに共感を得られるテキストが踊っています。けど要素として本当に必要だったかどうか。
盛り上げにまで至っていないのです。

ヒロインは一人削って、学園を登場させずシェアハウスのみにフォーカスする、
なんて集中の仕方もあったのではないかなと思ったりもします。


さらにいえば、こんな風に疾走感のある青春を感じるオープニング曲は、
その作品ポイントと合っていないと思います。
良い曲なのですが。

そして、それだったらダウンロード販売主体にしていったほうが良いとも思います。

本当は、シナリオを活かして恋愛模様を真っ直ぐ描いてくれても、
この進行だったら楽しめると思うのです。
主人公の性格設定、ヒロインの気優しさ、主人公と同じようにヒロインが抱えていること。
例えば、源真(七瀬こよりさん)が大会出場経験もあるバスケを辞めたのは、本当にゲームが理由なのか、とか。
高坂伊織は真剣に相手のことを考えてくれそうなので、気持ちを通わせる結果が生まれたでしょう。
例えば、朝比奈陽向(藤崎紗矢香さん)はわざわざ山口から追いかけてきたわけです。
でも高坂伊織を止めようとはしなかった。あくまで高坂伊織の意志を尊重する姿勢なのでしょう。
それだけ深い思いを、このシナリオだったら見事な恋愛模様に仕上げてくれたのではないかな、とか。

が、ブランドさんの志向ではないのでしょうね。


2020年12月25日(金)発売予定です。結構先ですね。

ダウンロード販売もあります。