Triangleさんの「幻聖神姫セイクリッドFD CD6版」感想です。

2020年6月発売作品。

「幻聖神姫セイクリッドFD」は2016年9月に発売された「幻聖神姫セイクリッドリネージュ」のファンディスク。
今回の「Triangleコンプリートディスク6」に収録されました。

本編とは違い、オムニバス形式のADVとなっています。


ミドルプライスのオムニバス形式ですが、本編がそうであるように、どれもこれもハードで濃いシーンばかり。

では、ネタバレ多めですが、1つずつ感想を。

「ミノタウロスの花嫁」
捕らえられたセイクリッドクレール。
フォルネウスはゲーティア本部へ出向き、その間にホムンクルスのラジエルが実験を進める。
強い魔力を持つ身体を作り替え、魔導獣の生成実験が成功するように、
まずはクレールの体内に魔獣のヒルを埋め込む……。

本編がそうだったように、コンセプトとしては正しいのですが、また幸せではない展開です。

真っ白なヒロイン、クレールを徹底的に責め、貶める展開。
クレールは壊れるしかないのですが、
フォルネウス、アンドラスはおろか、ラジエルすら、そんなクレールに飽いたように、
画面に出てこなくなります。

責めを声で表現する、クレール役の綾音まこさんが大変そうです。

sf26
「儚くも美しき悪の華」
クレールが捕らえられた。学園では面会謝絶の状態だと説明している。
が、同時に阿久津理人も居なくなった。
ノワールの前に現れ、自分こそがフォルネウスだと名乗って去ったからだ。
そして、次はお前だと宣言して。
孤軍奮闘するノワールの前に、探していた姿が、だが決定的に違った存在が現れ……。

確かに真っ白で気高いヒロインだからこそ映えるというのは分かりますが、
いわゆる悪堕ちってあまり興味がそそられないようなのです。
魅力的だった存在が魅力的じゃない存在に変わると、魅力のない存在があるだけだと思ってしまうようです。
合いませんでした。
もしかしたら数年後に読んでみたら楽しめるのかも知れません。

敗北の姿はとても似合うと思えてしまうので、
見物人が「ノワールには悪いけどちょっと期待してた」というのは、
ある意味、プレイヤーの気持ちでもあるのかなと。

ノワールの、目をぎゅっと閉じている差分が良いですね。

sf28
「今日からワシが主人公!夢と野望の無双生活」
楮財団の後藤の元に、研究者から成果物となる試薬が届けられた。
それは、一時的に魔力を増大させる薬。
後藤は、支配下に置いてはいるが心までは手に入れていない結城雪を手に入れるため、
研究を続けさせていたのだ。

ゲーティア幹部に関する報告があると、結城雪とティエルナを呼びだした後藤は、
試薬を自分に打ち込んで……。

という流れで主人公、つまり責める側に回る後藤のお話。
支援する財団に属しているとはいえ、後藤は酷い人なので、どんな責め方をしていても違和感はありません。
フォルネウスとアプローチが違い、間男風のやり方をするところがあって、新鮮味があります。
巡回に出た結城雪の居ない間に、ティエルナの元を訪れ、教え込む。
帰ってきた結城雪を拘束して続けざまに。
やりたい放題していくので、楽しめたと思います。

ただビジュアルが本編と違っていて、幼く見えたりしていました。

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「姿無き襲撃者」
ある日、学園で巨大な紫水晶のようなものが出現する。
その構造物は学園に外界と遮断する結界を張り、幻獣との交信もできない。
結城雪は、その攻め方からフォルネウスとは違うものを感じていたが、
気付く頃には学園生たちに異変が起き……。

ティナと結城雪の友人、堀越陽乃(湖月ゆらさん)も巻き込まれ、責められてしまいます。
初めてのはずで記憶はない、けれど……というのが面白い。
その度に、記憶の蓋が開きそうになり、身体が反応してしまう。
ビジュアルも、下着部分を描いていたりと、なかなかです。
さらに、責めているのはクラスメイト複数人で、堀越陽乃を認識しているのです。
さっきまで普通のクラスメイトだったのに。これも良いですね。

そして身代わりに自分を差し出すティナ。
ブランド作品としては定番の流れかもしれませんが、
ティナの場合は、違和感を覚えることがない、むしろ歓迎されるように思います。
でも、ビジュアル。制服は保持してほしかったですね。綺麗に脱いでいるのは少し不思議です。
複数人に追いかけられ責められる結城雪に倣って欲しいです。

バッドエンドも、キャラクタや構図でビジュアルが良いです。
もう少しシーンの長さが欲しくなるほど。
なんというか、こうやって責められるのが合うキャラクタなのですよね。


ここからは、上記4ルートを読み終わると開放されます。
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「あるゲーティア幹部の憂鬱」
フォルネウスの戦術区域に、魔力回収装置クリスタルを仕掛けてしまったシャックス。

少年といってもよい容姿で、フォルネウスが従えるホムンクルスと同型を所持。
それはフォルネウスに発注したもの。
ただしホムンクルスの性格や姿形に納得がいかない。注文と違う。
文句を言いにエッダ界から人間界へ向かう。

「姿無き襲撃者」で少し登場した、幹部シャックス。
ばいんばいんに理想を持っているため、ホムンクルス発注もそのようにしていたようですが、
届いたのはかなり好みと違うため、送り返したい。文句を言いたい。
その過程で、セイクリッドノワールを見掛け、好みのスタイルなので襲うと意気込む。

フォルネウスが使っていたファントムペインは、元々はシャックスのものだったのですね。
責め方がフォルネウスと変わらないのがもったいないですね。
幼く、経験もなかったわけですし、不貞寝してしまうことだってあるのですから。
それこそ甘えにいっても良いのかもしれませんよね。
でも、サラクエルとの関係性は良いと思いますし、シーンバリエーションもあって面白い。
特にクレールに対し、周りからどう見られているのかを見せたところは良いですよね。

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「さらば月隠一心流」
耐え、待ち望んだその日が来た。
王位継承権を得たティエルナはエッダ界へのゲートへ入り、
しかし閉じかけたゲートから手を伸ばしていた。
その手を握ろうとはした。だがゲーティア幹部アンドラスがその場にまだ居た。
結城雪は、動くわけにはいかなかったのだ。
「私は、後悔していない」自分に言い聞かせるようにつぶやく結城雪の元に、
訪れた相手……それはアンドラスだった。

ややマイルドな進行です。
でもそれは、他がハードだからそう感じるようにも思いますし、
珍しい構成だから、よりそう思うのかもしれません。

実はシーンが一つもない進行なのです。
しかしゲーティアの内部構造だったり、今回のアールヴ収奪の起こりだったりと、
知っておくと楽しめる情報が入っていますし、
何より、ティエルナが帰還するとしたら、結城雪はどうするのか?その可能性を見せてくれたのは面白いです。
FDならではの物語。


気になるところは2つ。
本編の時もそうですが、時折、声がマイクから遠くなっているかのように感じる時があるので、もったいないです。

ハッピーエンドがあっても良かったと思います。クレールは美しいのですが、ちょっと可哀想だとも。


幻聖神姫セイクリッドヴァース CD6版」の時にも同じ印象で、
”イジメてオーラ全開”。
セイクリッドクレールをキャラクタデザインし、企画してくれた、夕暮ぱいろさんには感謝です。
ハッピーエンド志向なのですが、それが無いとしても、間違いなく一番楽しめたブランド作品だと思います。


本作も再プレイとなるのですが、やっぱり、改めてしっかり読み込むと、とても楽しめますね。
コンプリートディスクは、割としっかり堪能できている気がします。

残念ながらコンプリートディスク6は売り切れのところもあるようですが、
ぜひ探してプレイして欲しいと思います。
すごくお得なセットだと思います。

単体版のダウンロード販売もあります。