ま~まれぇどさんの「PRIMAL×HEARTS2」感想です。
ま~まれぇど新作第10弾『プライマルハーツ2』


2015年10月発売作品。
”ふたつの生徒会でさらにてんてこまいな学園恋愛ADV”。
ま~まれぇどさんの「プライマルハーツ2」は、
前作の作品から数年後の、同じ学園を舞台にしたものです。

どんなストーリーだったかというと。

二つの生徒会がある学園に、777人目の生徒が入る。
これで票は必ず別れるはず。
しかし、生徒による投票が全てを決めるはずの選挙制度は、
運動部と文化部の代理戦争になっていて。
無所属の生徒たちの白けが増していて、
つまり、機能していなくなっていた。

この件には、二つの生徒会役員たちも頭を悩ませていたが、
有効な手立てを持っていないままでいた。

そこへ転入してきた転校生。
伝説と同じ状況であることから、「スリーセブン」への期待が高まる。
その期待を向けられるのは、幸塚大地。
以前は身体が弱く、「まじかる☆みほのん」が大好きだったが、
姉の「モテの英才教育」と、「山の上の鳴神館流に放り込む」ことで、
様々なものを身に着けて帰ってきて――。

という導入です。

さて。それでは感想です。
相当ネタバレするかも、しれません。

大ボリュームでした。まず、なにより。
ヒロインが多いですよね。
前作の時よりも多い。
さらに、これはネタバレですけれども、
前作キャラクタが、いろいろ出てきますね。

たてはとくっつくと、前作主人公は、駒形ゆづき(藤森ゆき奈さん) とくっついてる。
真白とくっつくと、倉賀野聖良(遥そらさん)とくっついてる。
アリスとくっつくと、カナカナ教祖様こと神流歌奈(御苑生メイさん)とくっついてる。
相変わらず天神平の秘書をやっているカナカナ。お天気お姉さん業やっていたりも。
おまけに御座入紀洋はみほのん3期を作るためにプロデューサー業と、
旧天道会メンバーはマスメディア系に入ったようですね。

それら、全ての前作キャラクタと、主人公の幸塚大地は知り合いです。

前作のキャラクタが登場するだけではなく、
本作の登場人物前作になぞらえたキャラクタ設定は、
主人公をスリーセブンたらしめる環境構築のため、ですよね。

先達の関係を見せ、楽しませつつも、先達の関係と同じようであることを、
今のスリーセブンたちの関係承認にさせてしまう。
これは上手ですよね。

さらに、ずっとネタとしては存在していた「魔法少女マジカル☆みほのん」が何話も公開されています。
だからもう、ほんとに大ボリューム。
みほのんだけ見直してみても、これまた面白い。
「第7話・真夏のオホーツクで母の愛を見た!」とか面白い。

でも、セーブファイルをたくさん作れるシステムだからこそ、見直せるわけなのですが、
どっちかといったらこれ、ギャラリーに追加されてもいいくらいなんじゃないかなーとか。

さて、ボリュームはとにかくすごかったと思うのですが、
では、肝心のシナリオは……というと。

残念ながら、真白、たては、アリスティア。
この3人のシナリオは、ちょっと楽しめませんでしたね。

この3人は、共通が肝になっている、というか、
共通でほとんど消費してしまっていて、新たな事件を起こせず、
たとえ何かが起きたとしても、その問題も解決も、インパクトを感じませんでした。

たとえば、館林たては(秋野花さん)。
共通ルートで解決されたと思われた運動部と文化部の代理戦争。
表立って争っていた(でいいんですよね?)吹奏楽部と空手部が治まったことで、
組織票も無くなり、政策で投票して良い雰囲気が出てきたのですが、
部活間対立が再燃します。

一度沈静化したかにみえた争いが、再び起こることで、
結局変わらなかったのだという無力感が広がる。
二つの生徒会は、組織票禁止策を講じようとするが、
大地が「組織票が悪なわけではない」と言い出す……のですが。

できればその、白け感。そういうところも表現して良いと思います。
また、カッとなるだけでなく、結構悪意持ってるように見えるんですよね、一般学生が。
ヒートアップしているだけなのかな。

それなのに、矛を収めるのが、とても早い。
壇上に立ったたてはが、ちょっとした考え方を提示するだけ。

そもそも、組織票が悪だ、という意識を両生徒会も持ってしまうんですよね。

自分たちが何で支持されているか、その経路は何か。
主人公以外、全く何も考えつかないというのは、
花を持たせすぎとかそういうレベルではなくて、なんか、もやもやしますね。

これが、アリスティア(小鳥居夕花さん)ルートにも共通してしまっています。
前作の月華会会長をなぞらえようとした、ヒロインのスピーチをさせようとしていますが、
そもそも、アリスティアの立ち位置も、そういう感じですよね。
どうしてそこまで恐れられるような拗れ方なのか。納得感が低い。

栗生真白(夕季鈴さん)ルートは、残念ながらネタ枠なのかしら。
綿貫杏那(月野きいろさん)のほうが楽しかったかな。

ところがですよ。
一番良かったのは、月夜野兎姫(萌花ちょこさん)ですね。

他ルートでは、「ばっきゅーん」キャラなのか、としか思えなかったのですが、
これが、本当に、すごくいいシナリオで……。

アイドル、天道会会長と多忙を過ごす兎姫。
近づいた学園祭、クラスの催しが演劇に。

人気が出るからと、兎姫を主演に据えた「ロミオとジュリエット」。
ロミオは……月華会の筋肉担当、敷島秀彦(藤井政彦さん)。
幸塚大地は、雑用係と村人Aに配役された。

「幸塚くん、名乗り上げないんだ……ちょっと、よかったかも」
「あんにゃろ~、兎姫ちゃんには興味なしってか。むかつくぅ」
兎姫の相手役は希望者が殺到、しかし大地は希望しなかったのだ。

あれこれしなければいけない雑用は、「あんたには向いてるわよ」。
そして、村人Aも「オチがきれいについたわね」、なんて言ってきた月夜野。

そんな多忙を極める月夜野が、休んだ。
仕事の都合だという。

「実は、体調が悪くて休んでるんだ」
たてはにそっと耳打ちされる大地。

ここ数日、疲れからか授業中の居眠りを見かけていた。
体育の授業では、膝が落ちたのを見ている。
「ほら、一日って24時間しかないじゃない?」
ふと、一人になりたい時に逃げ込んでいる階段下で、珍しく愚痴を聞いたあと、
顔色を悪くした月夜野を家へ送っていったのだ。

その日、霧原先輩から呼び出される。
「承認印をもらって来て欲しい……というのは建前で、見舞の品を渡しに行ってくれ」
「先輩の方が適任というか、そうするのが当然なのでは?」
霧原が訥々と語り出す、兎姫との過去。
それは、兎姫がアイドルをやっている理由と、重なった。

「どうしたの。いつもみたいに返してくると思ってたのに」
それを聞いてしまった大地は、上手く受け答えができない。

色眼鏡で見ていた、ということはないが、
これまでの彼女の行動が、違って見えてきていた。
元から気遣いがあるやつだったことは、認めているのだ。
体調が悪いのを、仕事だと伝えたのだって、払拭された華蔵寺さんの悪い印象が戻らないため。
ラーメンの時だって、そうなのだ。借りと思ったのか、連日並んで大地を待ってくれていた。

本気で見直した月夜野に、大地は、思わず見入ってしまう。

ちょっと前までは、テレビにクラスメイトが出ているのが不思議な感覚で、
見ても、特に心を動かされなかったのに。

一方、兎姫のほうも。
家を知られてしまったこと。
お母さんが何故か気に入ってしまったのか、兎姫の弱点も知っていた。
自宅で寝ていると、何故か、幸塚のことを考えてしまっていること……。

そして、不意に見舞いに現れ、不器用ながら作ってくれた料理。
魚の骨がない焼き魚。

……元々、ちょっと損な性格をしていることは分かっていた。
気遣ってさり気なく手を貸してくれるのに、手柄だと言わない。
でも、いつも困ってる時に助けてくれる。心配して世話を焼いてくれる。
なのに、なんの見返りも求めない。
普段は適当で、肝心なところで押しが強い。
こいつとの他愛のない会話が、楽しい。
そんなヤツなんだ、幸塚って。

それでいて、アイドルとしての自負もある兎姫のアピールにも動じない。

「ドキドキしてるの私だけ?」
興味が、ないんだろうか。
少しだけ涙がにじむ。

けれど、ふと見上げれば。
なんだろう、少し、顔が赤い……?

相手のことが、気になる。
二人の気持ちが、重なる。
視線で通じ合う。
触れていることが、心地良い。

もうね、この恋模様はキュンと来ました。
素晴らしい。やってよかった「プライマルハーツ2」!
恋に至る過程がとても丁寧で、少しずつ、そっと。
それでいて設定をフル活用し、
でも確実にお互いを意識しあっていく過程を、上手くまとめ上げています。

色々ストーリーのご紹介をしましたけれど、
そこから先が、すごくいいので。
恋物語が好きな方は、ぜひプレイして欲しいです。

「……やっとできた」
このセリフの到達感。ほんと、すごくよくて。萌花ちょこさん最高!グラフィック最高!

アイドルって、設定付けるのはいいけれど、
描く箇所をだいぶ練らないといけないと思うんですよね。
その取捨選択がうまい。
というか、キャラクタを描くという部分でみても、肉付けがすごーく上手。

そして、グラフィックが強い部分をきちんと活かしている。

このルートであれば、一緒にウォークも、自慢のCGもバッチリ。
相合傘シーンとか、一緒に買い物シーンとか、
ああ、惹かれ合っていくな、というのが伝わって。
できるじゃないですか、こんな素敵な恋物語。
これぞ、プライマルハーツ。ま~まれぇど流ロミジュリ!

力の掛け方からみても、これが本作の正史なんでしょうね。
よかった、最後にプレイして。

本当に、これはオススメ。
たぶん、シナリオ単体でいえば、前作の聖良さんよりも、素敵でした。

一方で、今回ヒロインとしては5人いることになるのですが、
共通を除くと、ヒロインとして素直に楽しめたのは兎姫シナリオのみ。
であれば、プライマルハーツ3を作る時は、
思い切ってヒロイン2人とかで良いのではないでしょうか?

たぶん、色々頑張って詰め込み過ぎているんだと思います。
なので、少しボリューム下げても良いと思います。
同じ価格で大丈夫です。

「がんばって作りました」がすごく伝わった、いいお話でした。
こういう作品読めて、感謝してます。



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