SWEET&TEAさんの「枯れない世界と終わる花」感想です。
枯れない世界と終わる花


2016年11月発売作品。

SWEET&TEAさんの「枯れない世界と終わる花」、
”美しく優しい舞台で紡がれる信頼と絆のADV”は、
幻想的な雰囲気の作品です。


花が満ちる、不思議な町に戻ってきたショウは、
野宿と空腹のなか、町で喫茶店をしているハルに誘われ、食事と寝床を与えられる。

ショウは、ある約束を果たすために訪れて……。

それでは、感想です。ネタバレはほぼありません。
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体験版をプレイした時は、この物語はどんなお話なんだろう?
どんな終着を迎えるのだろう?という気持ちを抱きました。
ほとんどの方が、そうだと思います。

素晴らしかったのは、何よりシステム周りと、CGクオリティ。
本当に凄かったと思います。
CLEARRAVEさんの系列は、このシステムとビジュアルの良さがウリだと思いますが、
本当にきれいだなと。

この作品には、とても必要だったところですし、
システム周りも、プレイするのにストレスが無い、作品に対して統一感があるというところでは、
とても大事なんですよね。

どちらも、物語の雰囲気を楽しむことには必要なのだと、強く実感しました。

そのCGは、この作品のプレイ時間の長さを考えると、ボリューム満点です。
少しの間で入れるカットイン。必要だから用意して入れているんですが、
この、ゆったりした雰囲気のある世界で、ショックな出来事だからこそ、
バッと入れたりするんですよね。

音楽もなかなか落ち着いた曲が多くて良かったです。

花葬が流れるシーンでは、曲タイトル通りにもの悲しく、
未来への序曲が流れるのは、未来を見せてくれる場面で。

作品全体で、用意した素材の使い方がうまいです。

公式サイトを訪れても、花が舞っていますが、製品画面の中でも舞っています。
雰囲気の統一感。すごくいいですよね。

それらで彩るのは、やはり、幻想的な世界の終わり方。

はっきり描写しない。
描写しないということは、イメージを固めないということでもあります。
そこを、行間を読む、と表現しますが、ある程度は、そういう雰囲気の作品です。

けれど、
行間を読ませるつくりなのかな、と思ったり、
そうではないな、と思ったりすることがあって、
もう少し統一性というか、貫き通しても良かったのかもしれないな、と感じました。

そのために、語句をもう少し選んでも良いのかもしれません。

”耳が痛いくらいの静寂”。
うん、よく伝わります。

”優しい笑顔が、冷たく背筋を撫でる”。
うん、上手い表現ですよね。

”記憶が飛ぶ”。
ここは繰り返されてフォローされるので、何となく伝わるんですが、
できれば大事にして欲しいところで……、
このあたりのお話、ネタバレになるので書けないのですが、
そこはもう少し大事にしてほしいな、と思うところが届かなかったり、
台詞任せにしてしまっていて、
しかもそれが音声無しの台詞(つまりショウの発言)だったりすることもあって、
うーん、地の文で処理したほうが印象良くなるのではと思ったりとか。

あるいは、納得しにくい仕組みの部分があるとか。
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そういうところは、確かにありました。
ありましたが、それでも、全体的な統一感、圧倒的な素材の良さが、
全てをまとめてくれた気がしています。

美しく優しい世界でした。


割り当てた声優さんもすごく良かったですね。
どのキャラクタもすごく魅力的だし、伝わりました。
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「……このまま、こんな日が続けばいいのにな」
つぶやくハル(沢澤砂羽さん)のインパクト、ありますよね。
そうならないことを意識しているのがわかる、か細い声。


レンが妙に可愛いところは人気出そうですね。
システム音声があり、ダイアログ設定でオフにできますが、
オフにしようとは全く思えない。
「ちぇー」とかレン(秋野花さん)に言わせるのはやばいと思います。
疲れているとつい真似したくなるかわいさです。
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というか、「あ、わたくし、ただのとおりすがりのロリっ子ですゆえ」からの下りがすごくいいですね。

あめとゆきさん、彩色も結構頑張られていたとのことですが、まさにまさに。
すごく良かったと思います。

なかなか、こういう作品はありませんから。
画面をただ眺めるように味わう、それだけで良い、きれいな作品って。




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