CRYSTALiAさんの「絆きらめく恋いろは」感想です。
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2017年11月発売作品。

クリスタリアさんのデビュー作、「絆きらめく恋いろは」は、
”近未来カタナ学園活劇ADV”と題されたように、
近未来的なハイテクスポーツとなった刃道を中心に据えた物語です。

それでは、感想です。
ネタバレは、少しだけあります。



体験版の感想の時に、やや期待を推した形でしたが、
未来型剣戟バトル学園作品(というカテゴリにしておきますが)は、
なかなか難しいと思うんですね。

ヒロインにどこまでやらせることができるか。
それを、受け手側はどこまで許容できるか。

「絆きらめく恋いろは」の場合は、割と攻めている印象がありました。
それは、刀で殴り合う、どころか、傷つけ合う場面があるところです。

刃道そのものは、安全に配慮されたスポーツになっていますが、
試合ではヒロインを精神的に追い詰めることがあるとか、
人を斬ったことがあるとか、
ヒロインを傷つけたとか、
未来感のあるデザインと、明るい彩色に反して、
意外とシビアな展開もありそうだなと期待したのですね。

kk11

概ね満足していますが、
なんとなく展開の早さを感じました。

必殺技めいたものが安直に出ないのは良いと思います。
それで解決、というのは大味になりやすいですから。
かなり堪能できたと思います。
でも、剣を打ち合うところ、表現などは、まだまだ出せそうな気がします。

もう少し踏み込んだほうが全体的に深みが出て楽しいとも思います。
零式機巧刀折紙についてもそうだし、
過去のバトル戦歴が残っているのであれば、
こんな試合があってこんな決着が付いたとか、
エピソードによる補強がもっとあっても良いかなと。

敵についてもそうなのですが、やや唐突感が付きまとってしまうんですね。
世界観や設定などを、もう少しだけ掘り起こしをしてから、
登場させても良いのかなと思うんです。

もちろん、そういう場面には、カットインを挟むなどして、
ここからは敵の前説です、というような予兆を出してはくれて、いるんです。

なぜ、いま、この時。
そこをもう少し補強が欲しかったと思います。

上和泉桜夜のルートでは、サポートだったはずの主人公が何故、朱雀院のように振る舞うのかと、
桜夜が代わりに何もできなくなり、物語上の役割が逆転してしまうことが、
どうにも上手く受け止められませんでした。

場合によってはまごつく主人公。
力さえあれば振るうのか、と。
考える役割を多く与えられているセコンドめいた技巧科であることを、
捨ててしまっているように思いますし、

でもこれ。もしかしたら。
主人公が最後まで戦わないで終わってしまうと不満要素となるから、なのかもしれません。


敵を誰にするかというのは、こういう作品では重要で、
どうしても、朱雀院椿や、フリージア・ゴッドスピードのルートでは、
ぼやけてしまったように思います。

学園最強の椿の敵が、それなのかなということと、
フリージアは何と戦っていたのか分からないということも。
朱雀院都子に託されたことを、主人公ができなかったことも含めて。
ただ、アンロックされたルートを考えると、都子の話は聞くべきなのかわかりませんけど。

そう考えると、最初にプレイした、
藍原しおん(藤崎紗矢香さん)ルートが一番楽しめたかもしれません。
成績に伸び悩みを抱えているが、素養は十分にあり発揮されていないところを、
主人公がサポートしていくというのは、物語として面白いと思うんです。
主人公が囚われの姫になってしまうところは、ちょっとどうかと思いましたが。

それでもフリージアと考案した折紙複数本装備零式具装はすごくかっこいい。
kk9

そうなんです。設定だとかはかなり積んであるのだと思うのですが、
それをTIPS側にうまく納めてしまって、あとはビジュアルだけで圧している気がするんです。
それが、すごくもったいないかなと。

長々と説明することで、テンポが落ちることを抑えたのか。
でも、剣も緩急つけてこそ、だと思いますから、
戦闘中でなければ、もう少し盛ってもよかったのではないかな、と思ったり。

うまく盛れているところもあるんです。
例えば、朱雀院椿が食べる武芸科弁当。
CGとして出てきた、みんなで食事を取る場面よりも、
刃道に取り組む彼らのことが伝わって良かったと思うんです。


kk10

ビジュアルには相当満足しています。
制服デザインもそうですが、和と未来、それでいてヒロインという、
うまいデザインに仕上がっていると思うんです。
もう、朱雀院椿の告白場面とか、すごいCGですよね。
あーこれは目が離せないと感じていました。

個人的には、ぺろ御大の描く男性主人公の汗をかくCGが見られただけで結構満足しています。

また、バトルCGもすごいクオリティでした。
動きが良いですよね。

背景なんかもそうです。
差分や演出なんかもそうですね。
上和泉桜夜が自分のことを明かしてくれる場面など、ほーっと思ったりして。


話の登場キャラクタとしては、どのヒロインも良いキャラクタに仕上がっていますよね。
バトルものとして捉えてしまっているからきちんと楽しめなかったところはありますが、
すごく良い設定作ってるなと感じました。全体的に。

それはそういうもの。
そうとらえて、話に乗っていけば、もうちょっと違った楽しみ方ができたかも。


ダウンロード販売もあります。