あざらしそふとさんの「メイドさんのいる暮らし」感想です。
流れの中で、イヴも、佑馬も、変わっていくのです。
その、ちょっとした変化が素晴らしく良く感じるんですよね。
前半は何かを受け入れても、それはイヴ自身に主体があることではなく主人が望むなら、だったのに、
2019年3月発売作品。
あざらしそふとさんの「メイドさんのいる暮らし」は、
会社生活で疲労を抱える北見佑馬が、自宅入り口で倒れているメイド姿の女性を助けたことから、
その女性から、メイドとして仕えさせてくれと言われ、同居することになる物語。
”メイドさんに心から癒される日常恋愛ADV”です。
それでは感想です。
ネタバレは一部を徹底的に回避しています。
あ、でも公式サイトでは公開されている情報ですので気になる方はそちらを。
うーん。かなり楽しめました。
前作「アイベヤ」と同じくらいのボリュームなのに、満足度がかなり違います。
体験版をプレイした時には、こんなに満足できるとは思いませんでした。
yaman**さんの原画はどうかなと思っていたのですが、
シーン中も含めて、キャラクタの、イヴさんの表情がすごく良いですね。
グッとくる表情があります。
彩色の効果も高くて、結果、イヴさんが清冽しっかりという前半のイメージから、
時折見せる色っぽさが花開いていく。
少女のように、艶女のように。
またそれを、海原エレナさんが上手く変化を与えて表現してくれています。
うーん、これは本当に良いですね。
そうなんです。この作品で楽しめるのは、変化です。
イヴ。
佑馬をご主人様と呼び、突然同居して、身の回りのことを全てしてくれる人。
家事能力はとても高いが、
いろいろして貰うのが申し訳なく思うし、佑真は感謝を伝えるけれど、
「これもメイドの嗜みです」と感謝を受け取ってもらえない。
何故、メイドとして居てくれるのか。
本編でもそこが少し弱く感じていますが、縁みたいなものとして捉えたら良いのかもしれません。
恐らく惹かれるという感情がそこまで育っていないので、
ストレートに伝えられないのかな、とは思ったりしました。
全て整ってから、お互い気持ちに気付いてから、関係が成立することは多くないと思いますから。
お世話をする。そのことだけが頭にあって、何故自ら進んで仕えようとしてしまうのか、
その部分も段々と分かっていく流れです。
流れの中で、イヴも、佑馬も、変わっていくのです。
その、ちょっとした変化が素晴らしく良く感じるんですよね。
関係の進め方が、ゆっくり。素晴らしいです。
シーン挿入を慌てていない、少しずつ進めていく関係という構成。
佑馬も女の人に免疫の無いタイプだし、
イヴもメイドとして節度を弁えないといけないと律しているし、すごく合っていると思いますね。
ただ、ロープライス作品としては非常に珍しいこと。
前半は何かを受け入れても、それはイヴ自身に主体があることではなく主人が望むなら、だったのに、
後半では、少しやりたいこと、気持ち、要望を出すようになっていくのです。
そこがまた、かわいいですよね。
それでも淑女っぽさは残したまま、なのは、海原エレナさんの声の特性でしょう。
これは本当にキャスティング大正解だと思います。
それら全ての要素が合わさって。
関係が変わってからも、この膝枕は行われるのですが、
最初と後半では、全く雰囲気が違うんですよね。
最近の彼女は、かなり変わってきた気がする。最初は本当に感情を露わにしなかったのに、今では笑ったり拗ねたり、喜んだり怒ったりが、表に出るようになっている。
イヴのことをこんな風に感じていた佑馬ですが、
イヴとの生活は、佑馬にもプラスを与えています。
イヴがいる、というのが心の支えになっていて、仕事も捗る。
待っていてくれるのが楽しみで早く帰ろうとし、仕事の効率化も出来て居る。
さらにこうしたらイヴが喜ぶかな、なんてことを行動できるようになっている。
好循環、というのでしょうか。
その結果、
「メイドの嗜みです」
このセリフが変化していく様を見ることができるのは、楽しかったです。
シナリオは前作と変わらず栗栖さんですので、今作の方が好みだったというだけかもしれませんが、
それでも上手いなぁと強く感じましたね。
CooRieさんが歌うエンディングテーマ『君と愛を知る』。
このエンディングにふさわしいと思います。
こういうの、良いなぁ。
ちょっと佑馬がうらやましくなる、そんなメイドさんのいる暮らし、でした。