はむはむソフトさんの「雪の夜、俺は妹を裸にする。」体験版プレイしました。

体験版は、683MBでした。
まばたきだけでキャラクタの愛らしさが増しますね。

シーン中の表現もなかなかです。

はむはむソフトさんの新作は、「雪の夜、俺は妹を裸にする。」。
斐川慎吾は故郷の寂れた村を出て、一人暮らしをし、理容師の専門学校に通っている。
修学後は、美容師の資格も取ろうと考えている。やれることを増やすためだ。
そもそも、村を出た理由は……、理容師になろうとした理由は……。

慎吾には妹が居た。
思い出しても、妹の有希は、いつも泣いている。
ボサボサの髪の毛で、出来る限り前を見えないように、見ないようにしながら。
誰とも話せず、友達も作れず、慎吾の背中に隠れている、そんな子だった。
いや、それは、慎吾が言い出したのだ。
嫌いなヤツに、目を合わせようとしなくてもいい、周りはそれを愉しんでる部分もあるから、と。
その頃は守ろうと思ってのことだ。
有希が、愛想笑いや謝ることを繰り返すようになって、慎吾は”いらだち”を抱えるようになった。
このままでは有希を叩いてしまうかもしれない、それとも、もっと別の……。
ある日、両親が言い出した。
引っ込み思案になった原因は、慎吾が過保護に扱ったからではないかと。
最初に、世話を頼み込んできたのは両親だというのに。ずっと任せきりだったというのに。
だから出たくもない授業参観も出たし、子供会の幹事だってした。
全て妹のためと思っていたから。それを身勝手に否定されて、慎吾は心の距離を、そして物理的に距離を置いた。
同じ路線で一本とはいえ、それなりに時間の掛かる距離での一人暮らし。
ここは、親戚の伝手で、かなり安い家賃にしてもらっている。
その親戚の娘、従妹の家庭教師のアルバイトをしたりしながらの生活だ。
学校は課題も多いし、決して楽では無い。
疲れて商店街で弁当を買い、家路についたある日。
慎吾の部屋の前に、雪を頭に積もらせたままの小さな人間がいた。
大きい荷物に座って、長い時間経っているのが分かる。
「……っ、ぁっ……、ぉ、お兄ちゃん……」特徴は、ボサボサの髪……、妹の、有希だった……。

タイトルを読んで、これはなかなか自分のことを伝えられない妹を、
精神的な意味で解放するのかな、と考えながらプレイしていましたが、違いました。
希望する展開は無さそうですが、それよりも、発見がありました。
プレイしてみると、なんというか、色々と凝っているのです。全体的にSEが素晴らしいです。
雪のSEは特にリアリティが高いです。しんしんと降り積もる音、出しているのは珍しいです。
良いですよね。
立ち絵は、まばたき搭載。

どうしてずっと立ち絵が上下動しているのかは不明ですし、
立ち絵に背景と同じ斜めの破線を入れているのは、影表現なのでしょうか。
背景と同じレイヤーを使うのはちょっと違和感ありますね。
シーン中の表現もなかなかです。
一部シーンに、アニメーション動作が採用されています。
通常、肌と肌が打ち合うようなSEが、場面に会わせて強弱あるとか。
それが体型に合わせて軽い音を用意しているとか。
BGVもあり、さらにステレオパン機能もあるそうです。
画面にエフェクトをかけるカメラモードは通常単種ですが、複数あるとか。
公式サイトのアピール、
「かなり細かくお好みの環境にカスタマイズできます。」が本当に備わっている作品です。
こだわりが強い。
ただ、展開がとても退廃的です。
退廃的だからこその魅力があるのは分かるのですが、そうしてしまうと、
どう考えても登場人物たちが幸せにはなれないんじゃないかって思うんですよね。
せっかく、一生懸命努力して、できるようになって。
そして田舎から出てきて、主人公に真っ直ぐ目を見て、見つめ合って会話できるように。
そんな気持ちが、そのままの属性で叶ったらな、なんて思うのですが、
それはこの作品が提供するものでは無いので、お門違いですよね。
素直になれない慎吾は、有希と話していると問うのではなく咎めるようになってしまう。
どうしても、強く当たってしまう。まず舌打ちしてから、そして言葉はぶつけるようになってしまう。
底意地の悪い質問を重ねてしまう。
それは、慎吾が、どこか仄暗い願望を押し隠しているから、という流れになるのは、
納得感は高いんですけどね。

けれども、有希の直向きさを見ていると、なんだか普通に幸せになって欲しい、
ゆっくり成長していって欲しい、なんて思ってしまうんですよね。
そんな風に思ってしまうほど、愛想笑いが上手いんですよね。有希役のよぴこさん。
あんな愛想笑いさせてちゃ駄目だなと思うのです。
有希の髪を整えるのだって、慎吾の望みの一つであるはずだから。
それに、有希だって、すごく満足していたはずです。
あの慎吾に、こんなことをしてもらって。
繰り返しますけど、ハートフルな展開を望むのは、お門違いではあるんですが。
とまあ、シナリオ進行が良くて驚きました。
電話越しとはいえ、両親との会話、重みがあって良かったです。
敢えて書いていませんが、ぜひ体験版をプレイして欲しいくらいに。
あれを、両親も声無しでやってしまうとまた変わってくると思いますが、
最初に電話に出た母親の腰が引けてしまうところも含めて、上手でした。
そして、有希がこちらへ出てきた理由も。
ただ応援したくなるほどに。
2019年7月26日(金)発売予定です。
ダウンロード販売もあります。