Triangleさんの「魔法戦士エメロードナイツ」感想です。
2019年7月発売作品。
Triangleさんの「魔法戦士エメロードナイツ」は、”変身ヒロイン 絆と裏切りADV”。
物語は前作から続きながら、新ヒロインが登場し新たな展開を迎える新作です。
各地で、魔物が出現する魔法災害が起きている。
国の対策は、魔プリ提供による国民への災害通知。
魔物と直接戦うことのできる魔法戦士については、
過去にあったイクシードナイツのような事態になっては困ると、監視管理を行っていた。
実際には、その力を管理、解明することで諸外国に先んじたい思惑があった。
百合瀬莉々奈と甘樹菜々芭、シンフォニックナイツの二人は異界へ旅立ち、
国際教導学園の理事長には、国から派遣されてきた男が居座る。
一方で、新たな魔法戦士、エメロードフィーネの変身システムを狙い、
そのためなら、魔界の組織デプレダとも手を組む者も現れた。
ノエルを救おうと酷使したキールは魔力を失ったが、
シルヴァの組織アルケゼストの末席を得て、再起を図ろうとしていた。
キールの望みは、世界の支配と、ノエルを取り戻すこと……。
それでは感想です。
ネタバレは、ほぼありません。
Triangleさんの魔法戦士シリーズは、そろそろ20年になるようです。
新作に起用したのは、瀬之本久史さん。
パッケージ裏にも、”瀬之本久史×魔法戦士!”とアピールがありますが、
このビジュアルはすごく良いですよね。新しい風を起こしてくれています。
つまり、新ヒロイン登場、楽しみなわけですが。
体験版をプレイした際に、ものすごく気になった箇所がありまして。
その箇所は直ってはいました。再録されたんですね。
ですが、その悪影響ですね。
その時の姿勢をリセットして接することができなかったんです。
こう、楽しむのではなくチェックする姿勢でプレイしてしまっていました。
ということで、最初に気になるところを書いておこうと思います。
テキストの表示ミスが残っているのは仕方ないとして。
やっぱり体験版の箇所以外にも、セリフ音声関連でおかしいところがありました。
ミスティのセリフ。
「魔法戦士の使命に終わりはないのですから……!」とテキストにありますが、
「ないのですから?」と発声されていたり。
ミスティのプラントとのセリフ。
音声を重複再生しているのではなく、録音時に重複してセリフを読んだようです。
それはいいとして、修正点に気付かず切り出したのかなと思います。他にもローズが、地の文で口から吐き出したのに、口に入ったままの演技になっていたり。
台本が収録時と変わっているのかもしれませんが、CGは地の文通りになっています。
もしかしたら、もっとあるのかもしれません。
システム面では、現在AUTOモードなのかどうか、判別つくと良いですよね。
あと、セーブファイルそろそろ増やしてほしいです。
気になる箇所だけではなくて、結構見せ場が多いと思うんですよね、今作。
あと、セリフとしての表現と、思っていることの表現の差異をつけて、
BGV入れてほしいと思います。
そろそろ、キャラクタごとに台詞規則も作るべきじゃないかと。
ローズで例えますと、公式サイトのキャラクタ紹介では、
”真面目で上品な性格。その美貌とお堅い性格のためか生徒からは憧れの存在として”、とあります。
そしてこのビジュアル。まさに上品。まさに美貌。真面目そう。
となると、「先っちょ」なんて言わない雰囲気がしませんか。
セリフからキャラクタのカラーを出して良いかなと思うのです。
ビジュアルと声でいえば、フィーネ役の君島りささん、
もしかしたら、もう少し幼い容姿のキャラクタが合っていたかなと思います。
瀬之本久史さんデザインのフィーネがエレガントで、
そのデザインに負けてしまっているように思います。
例えば、体験版範囲内。
敗れたエメロードフィーネが、運ばれた保健室で独り泣くのですが、
その直前、キールに責められている時と、同じ反応なんですよね。
もう少し演技に差をつけてほしいかな。
細かいところばかりです。
そうなんです。今作、相当良かったと思います。
やっぱり、瀬之本久史さんが加わったというのがすごく大きな変化です。
立ち絵からイベントCGまで、正面だけでなく横からキャラクタを見ているCGでも、
スタイルのバランスが絶妙ですよね。
そして変身シーンのこの表情。惹かれます。
けれど、触発されたのではないかと思うくらい、
他のキャラクタのCGも良くなっているんですね。
リモデルされたキャラクタがいますが、すごく好みです。
今作の魔法戦士たちは、負けてやられてしまうばかりではなく、
撃退できる展開も用意されているのですが、その時にカットインされる戦闘CGが映えます。
各魔法戦士の武器ギミックが明解で、そこから産み出される多彩な攻撃。
これまで、敵側の方が豊富な攻撃手段を持っている気がしましたが、
バランスが取れてきたかもしれません。
これまで戦っている雰囲気が乏しかったのは、このあたりなのかもしれません。
単にセリフだけよりも、ですよね。
それと、全体的に声優さんにも満足しています。
置かれている状況に合わせて、きちんとセリフを発することができる。
当たり前なようですが、シチュエーションを多様に産み出すのがTriangleさんなので、
どうしても必要な要素です。
難しい要求をされていると思うんです。
感じながら、状況説明セリフを言わなければならず、
それでいて魅力的に聞こえるように調整して発声しないといけない。
でもだからこそ、うまい人は有り難いし、讃えたいですよね。
そして、それらで創るシチュエーション。今回も凝っていますし数が多いです。
今回、お小水展開が多かったり、尾堂先生の責めている時のセリフが意外に紳士だったり、
池岡は黒宇霞の後を既にいじっていたような気もするし、
フィーネがキールに奪われたのは純情ではないのでは?と思ったりもするし、
いわゆる、変顔というのでしょうか?瞳が上にいっている差分は魔法戦士向きじゃない気がします。
けれども、20年も創ってきているのに、すごいなと思います。良く考えつきますよね。
エリクシルナイツの二人はシーンも良い感じですね。
リモデルされ、差分も含めて特に良いです。戦闘カットインがすごく格好良くなった気がします。
エリクシルローズ(渋谷ひめさん)
国際教導学園の教師にして、後輩となる魔法戦士を導く役目も負っているようです。渋谷ひめさんは流石にうまいし、キャラクタにも合っていたと思います。
魔法戦士の中ではお姉さん枠だと思いますが、そういう色気が出ていますよね。
戦闘もそうですが、シーン中も演じ分けがきちんとされていると感じます。
で、いつの間にか積極的になっちゃうのは、ローズだから仕方ないですよね。
お願いセリフが非常に強力です。
なので、もう少しシーン数がほしかったかも。
あと、髪が長いこともあって、背中を見せるスタイルが美しいですね。
エリクシルライム(風花ましろさん)
すっかりキャラクタが立ちました。
ちょっと不敵な表情差分があり、頼れる先輩魔法戦士としての印象を深めています。
あと、武器と技が強かっこいい。
その上で、親しみを持てる教師でもある。状況によって亜梨子ちゃん呼ばわりされたりも。
こう、突きつけられたからってじっくり見ちゃって細かく観察しちゃうのは、
ライムだから仕方ないですよね。水着姿って久しぶりに見るような気がします。
体験版に収録されているシーンで、もどかしい声を出すところがあるのですが、
きちんとそう演じてるんですよね、風花ましろさん。
すっかり自分の役になっていると思えます。
あと、デザインがすごく良くなったと思いますね。戦闘カットイン格好いい。
マリエラ(宇佐美日和さん)
アルケゼストの一員でシルヴァに憧れを持つ、キールの上官。
ですが、今作のポンコツ担当。
前作で登場した副官ノエル(八ツ橋きなこさん)の代わりですが、
「代用品じゃねえ」なんて言ったり、純情でかわいい。
悪っぽいモード、お淑やか報告モード、デレと3タイプ味わえます。
デザインも含めてかわいらしかったのでよかったです。
ラストの、キールを囲むノエルとマリエラが非常に良いですね。こういうの好きです。エメロードミスティ(榎津まおさん)
池岡の部下として動いていたときの、スパイらしさ。
冷徹な雰囲気が榎津まおさんで上手く引き出されていたと思います。
魔法戦士となって、戦闘アクションのエフェクトがなかなか格好良いですよね。
ダイダロアがミスティに良い仕事してますね。
他の魔法戦士に比べて一番スレンダーであるため、ミスティとハチマキは合うんですね。
そろそろギリギリだという演出、すごく良いですね。
晴香からの勉強会への誘いを断って走り去ってしまう。そしてトイレに。
さらに、状態が進行すると……。
イクシードナイツの二人は、過去の失敗を悔い修練に励んでいます。
イクシードピーチ(ありかわ真奈さん)
ありかわ真奈さんは前作の時から上手だったように思いますが、今作でもうまいです。
戦闘の掛け声も、シーン中もですが、キャラクタに合っていますよね。
そしてバッドエンドではピーチに望まれるシチュエーションが用意されたと思いました。
イクシードアイリス(桜水季さん)
また、アイリスへは精神的な責めが多いかなと思います。
耳をつけるのは、なるほどと思ってしまいました。でももうちょっと力を掛けて上げてほしいかな。
イクシードナイツのシーン数、もう少しほしいです。
あとカミネラ(月森ねねさん)も。そして、今作はストーリーの締め方が良かったと思います。
少しネタバレになってしまいますが、魔法戦士たちが、誰かの管理下にあるという、
決して好ましいものでない状況下。
それを超えることができるのは、魔法戦士たちの日頃からの献身。
その身を犠牲にしても厭わない、誰かを助ける行動が、事態を動かす繋がりを得るのです。
変身ヒロインものとして、大事に扱ってほしいところ。心の部分。
本当に良いと思います。
一方で、キールをずっと主役として扱ってきたわけですが、
ついに主役らしい箔をつけることになります。
それは銀髪の魔王の……。
バリエーション豊かなシチュエーション。政治的解決、大きな総力戦。
次回作への流れまで提示した今作は、シリーズ中、かなりハイレベルな仕上がりだと思います。次の敵は強そうで、次回作が楽しみです。
大団円を迎える展開になるのではないでしょうか。
もしかしたら、予約特典ダウンロードコード付きが残っているかもしれません。
ダウンロード販売もあります。
魔法戦士エメロードナイツ -絆を紡ぐ女神たち-