でぼの巣製作所さんの「神楽黎明記~奏の章~」感想です。


落とし穴の先、妖怪の巣で、疫病神と金槌坊の突然変異体が複数。


神楽黎明記 ~奏の章~
2019年9月発売作品。
「神楽黎明記~奏の章~」は、
ローグライクRPG神楽黎明記シリーズ12作目になります。妖怪に襲われた老人を助けた白山奏が、代わりに退魔調査に向かいます。
それでは感想です。
ネタバレ少しあります。

これまでの作品よりも、フィールドがすごいです。
疑惑の平原奥地、怨嗟うずまく山道奥地、惨たらしい火口奥地の三層。
名前だけではなくて、フィールドの造形がなかなか良いです。
惨たらしい火口は火の粉が舞うエフェクトがすごく、魔界級です。
気軽に調査を請け負ってよい場所ではなさそうでした。
さらに音楽が、山道奥地時点でラストダンジョン感を漂わせています。
体験版での予想通りで、三層ごとのボスは強くありませんが、ボスに至るまでの妖怪が強いです。
まず、疫病神。
攻撃を受けても攻撃をしても、複数の状態異常に掛かります。
捕縛してみると解るのですが、通常の攻撃(毒・眠り・混乱・麻痺)と付与されているのです。
そして、触れるとそれらに感染します。
さらに、疫病神自身が状態異常になると、鉄壁が付与され、ダメージが通りにくくなります。
疫病神対策には、混乱と麻痺を防ぐ、お守りと衣を見つけて装備させます。
どういうわけか、混乱守りや麻痺守りが全く出てこなくて、クリア後に売店で買ったほどです。
ランダム性のあるローグライクRPGですから、こういうスリルも楽しみですね。
辛かったですが。
もう一つは金槌坊。
他の妖怪に比べて攻撃力が高く、最下層のボスである牛頭と馬頭が霞むほど。
さらにクリティカル攻撃を繰り出す必殺の一撃を持っており、使用頻度が高い。
白山奏の体力は、LV40でも体力は700くらい。なのに一撃で200削っていきます。
防御力の高い衣を装備するくらいしか対策がありません。
これらが複数現れたり、まして突然変異を相手するときは緊張します。
侵入警報、落とし穴には注意が必要です。

落とし穴の先、妖怪の巣で、疫病神と金槌坊の突然変異体が複数。
通常3桁台の体力の敵妖怪が、全て4桁。しかもこの数。
どれだけレベルを上げても突破は難しいと思います。
ですので、出来る限りの対策をして臨んだ方が良いです。
タミフリンは3個セット持って回復に、技の烈風扇で妖怪を弾き飛ばす、
強いなかま妖怪を捕縛する、百鬼夜行・蒼の反射で耐える、
それでもダメなら、緊急離脱できる帰還の符は最低一枚保持。これくらいでしょうか。
防御を底上げしたいのですが、ローグライクRPGのため、アイテムを拾うしかありません。
となると、回復を重視して、なかま妖怪は座敷童と水母をメンバーにしました。
座敷童は体力と状態異常の回復をしてくれます。
水母は、通常攻撃に麻痺が付いていて、さらに癒やしの水も使えます。
妖力解放すれば、相手の付与効果を奪う乳吸いも使えますから、
疫病神や牛頭あたりの韋駄天、豪腕も吸い取ってくれます。
座敷童を水母も、上層で捕縛できるところが良いですね。
妖力が貯まれば、妖力解放を行って、なかま妖怪に新たな力を付けることができます。
疫病神は追い打ち、防御力+20、疫病と、できることは増えているはずですが、
性能は解放前とあまり変わりませんでした。
座敷童は前作と同じ。頼りにした水母は、乳吸い、氷吸収、共鳴打ち。乳吸いまでで大丈夫です。
今作では吸収する氷攻撃を受けませんし、共鳴打ちを解放前にクリアできる可能性が高いです。
この妖力解放は、やり込み要素なのかもしれませんね。
白山奏の武器は扇です。
だからでしょうか。今作では、扇の名前も雅を感じるものが多くて良いです。
中でも、金扇木枯らし、白扇落葉などは、攻撃すると銀杏や紅葉が舞い散ります。

攻撃効果もあり、白山奏の全周囲1マスを一度に攻撃することができます。
なかま妖怪がいても2体以上の敵妖怪に攻撃を受けることがあるため、これは強い攻撃法です。
全周囲1マス攻撃の意外な効果は、マップ上の罠を発見できること。
信玄の軍扇の、物理回避なども良い付与です。
太刀を受け止めた逸話があるので、希に攻撃を回避できる。良い設定です。
金槌坊の必殺の一撃を避けてくれるとすごくありがたい。
最下層でしか手に入らないので、攻略の主軸にはできません。
今作だと、旋風黒羽が一番使いやすいかもしれません。
紅葉と同じように周囲1マスを攻撃し、さらにデフォルト付与として一撃必殺がついています。
ローグライクRPGは、こちらが何か行動すると、次は相手の行動番となるので、
相手に与える手番が少なければ生存率が上がります。
囲まれたとしても、一撃必殺が発生すれば、多少くぐり抜けやすくなります。
ヒーロー装備は全周囲2マス攻撃を行うことができますが、
ヒーローフェザー、ヒーロースーツ、変身ベルトと集めるのが大変。
一撃必殺が付与されませんでした。
と、攻略についてはこれくらいでしょうか。
肝心のシーンですが。
体験版にも収録されていたように、白山奏は白山家の娘であることに誇りを持っているらしく、
そのように喋るのですが、バックボーンが良く分からず、スパイスになりませんでした。
代わりに、誇りを持っているからこそ生まれる被虐心があるようです。
そこをもう少し掘り下げて表現してくれたら、なお良かったかもしれません。
疫病神の2回目など、はっきりと相手に言葉でねだることはできないけれど、
相手を見つめることでお願いしてしまう。
そういうところも良かったです。
身体はすっかり相手の動きに合わせながら、視線に思っていることを込めてしまう。
白山奏を演じた大波こなみさんは、苦しそうにする演技が上手いですね。
なので、牛頭と馬頭、囚われエンドあたりも良かったです。
気になるところは、まずグラフィック面。
公式サイトにも掲載されている水母とのシーンですが、
よく見ると、白山奏の先端が吸盤みたいになっていませんか。
痺れたとき、眠ったときに、まずダメージを受けて驚くボイスが発せられ、
その後に眠っているボイスが出るのですが、このふたつのボイスの間が空いてないため、
二つ目のボイスの頭が聞こえにくいです。もったいない。

これはどういう表現なのでしょう。
体験版にもあった座敷童の気になるSEはそのままでした。
近い音としては、光線銃の電子音みたいな。
野衾の2回目。良く分からないテキストがありますね。
奏の体も野衾からの快感を覚えているのか、というのはどういうことでしょう。ビジュアル面はもう少しがんばれそうな気がします。
あと、テキストに表情差分は合わせて欲しいです。
直前に相手を見つめるクセがあるようなので、大事なポイントだと思うのです。
今作の子泣き爺と、過去作における油すましの責め方、退魔巫女側の反応が似ていますが、
もう少し掘り下げて欲しかったです。
座敷童は座敷フィールドを形成できるということなのでしょうかね。
捕縛成功すると、妖力は得られますが経験値は入らなくなっています。
名前にこだわっているように、攻撃SE、扇を振る音は、らしくして欲しかったかな。
痺れたとき、眠ったときに、まずダメージを受けて驚くボイスが発せられ、
その後に眠っているボイスが出るのですが、このふたつのボイスの間が空いてないため、
二つ目のボイスの頭が聞こえにくいです。もったいない。

なかま妖怪に補助をしてもらうと「ご苦労様」なんてセリフが、
いちばん白山家の娘らしかったかもしれません。
残念ながら今作では、国見晶の影も感じませんでした。あんなに仲が良かったのに。
もし「奏の章~弐」があるとしたら、登場の機会があると嬉しいですね。
ダウンロード販売もあります。
発売1ヶ月間は30%オフとなっています。

神楽黎明記 ~奏の章~