ま~まれぇどさんの「スタディ§ステディ」感想です。
ま~まれぇど新作第12弾『スタディ§ステディ』

2019年9月発売作品。

ま~まれぇどさんの「スタディ§ステディ」は、”ふたりっきりの甘いお勉強しちゃおうADV”。

愛鷹町へ転居した主人公が、出会うヒロインたちとの物語です。

E-moteアニメーションや、製品版には手紙の搭載などもあり、意欲作といえるかもしれません。

それでは、感想です。
ネタバレは、ほぼありません。

まず、修正パッチ1.01でプレイしました。当てておいたほうが良さそうです。

全体的に、まだちょっと時間が足りなかったかなと思う仕上がりです。
それでも一定部分のクオリティが高いからか、製品としての体裁は整っているのが、
ま~まれぇどさんのレベルの高さを表しているように思います。

しかし、好みの部分が無かったというのが、残念に思っています。
ま~まれぇどさんに、体験版で抱いた期待の部分が、入ってなかったかなと。


まず。
E-moteを搭載した意欲作、ではありますが。
修正パッチ1.01はリリースされたものの、全体的に、まだまだ動きが多く、場に合っていません。
素材が色々あるから、たくさん動かしたい、そんな設定になっているように思えます。
あくまでも、画面にいるヒロインを魅力的に描くためのもの、という視点に立って設定して欲しい。
差分が豊富なのですから、プラスアルファ程度で設定すると、ちょうど良かったのかも。
 
E-moteって、その場面の基本立ち絵の設定が必要でしたでしょうか。
基本立ち絵→セリフと共に動く→セリフが終わると基本立ち絵に戻る、という運びになっていますが、
この、最後のプロセス、基本立ち絵に戻る、がおかしいと思います。
ほとんどのセリフの場合、セリフのトーンに合わせた動きで終わるのが合う。
むしろ、その後に続く相手のセリフが終わるまで、その姿勢で良い場合があります。
相手のセリフ中に動き出すくらいでも良い。相手のセリフがツッコミになっている場合とか。

本来は、きちんと会話している。
そんな風に感じさせる、没入感を深めるためのもの。そうなっていないのです。

贅沢に、創った素材を使うとは、バンバン動かすことでなく、場に合った使い方をすること。
素材によっては数回しか用いることの無い、そんな贅沢な使い方を差すのだと思います。
でも、その一場面にその表情を用いることこそ、
キャラクタの感情を伝えるために大事なこと。だからしている。

これこそが演出なのだと思います。
そして、監督の視点なのだと。
これがカッチリハマると、本当に魅力的になるはずです。

でも、これをやるには、一から最後まで繰り返し繰り返し監修する時間が必要です。
捻出が難しかったのかなとは思います。
ss35
それと、特典の直筆ラブレター
これ、面白い試みだと思うのです。
こういうタイプの演出が、これまで全くなかったわけではないんですが、それでも。
でも、どういう意図でやったのかな?とは思っています。

キャラクタによって筆跡が違う。書いている文章にはキャラクタがにじみ出る、
だからこそのお手紙、という演出。
中身だけでなく封筒にもこだわっていて、御前崎悠羽は、藤色のものに達筆で。
舞阪茉衣は、生真面目な筆跡に、けれどかわいらしいピンクの便箋を。
良いですよね。キャラクタを感じ取れるよう、デザインしてくれた方には感謝したいです。
けれど、作品が見せるヒロインの場面とズレているものが多い。

というのも。
体験版で期待して、無かった、残念に思うところ……、
恋愛が、ほとんど描かれないんです。
彼らの恋愛は、行為しか取り上げるところがなかったのかもしれませんが、
いや、本当にそうなのですか?そんな風に思ってしまうのです。
彼らの恋愛は、気持ちの繋がりは、言葉での、メッセージでの、手紙でのやり取りは、日常は、
切り捨られているように思えました。

公式サイトでゲーム紹介に挙げていた、髪型変更なども、非常に扱いが軽い。

そこはいいから、さっさとシーンに入りたい、と思うような運び。
主人公の動きも、ヒロインが高所から落ちるのを身体で支えて頼りがいを見せる、が繰り返されます。
惹かれる感情の動きは、それだけで終わりにしてしまっている。
そして、誰かと仲良くなったら、他のメンバーはフェイドアウト。

ただ、集中しただけあって、シーンはすごいと思います。
下着を含めた衣服の描き方。シーンCGも見応えあるし、構図もなかなか見ない。すごく派手です。
でも、いっそのことE-mote仕様のシーンも良かったのでは。


今後、修正パッチが新たに作成されるとのこと。
誤字脱字などではなく、動作負荷軽減と、音声追加。
確かに音声抜けがありますが、たった2箇所。
それに対し、新たな収録必要性がある事柄については、
悠羽先輩に言って欲しいセリフキャンペーン」(現在は締め切り済み)なども行っていて、
好感は持てます。
寝ているのに、E-mote立ち絵は目をぱっちり開けているところも修正されるでしょう。
タスクバーに表示されない場合があるのは、修正が難しいでしょうか。
ss37
けれど、搭載されたネームエントリーも、あまり良いとは思いにくい。
こういうネタみたいなものを受け入れる余地がある、として。
投票した方は本当に使うのか。あそこまで作り込んだシーン中にも呼ばれるのに。
だったら、アンケートよりも、プレミアム版注文者限定としたほうが良いと思います。


少しだけ、各ヒロインへのコメントを。
ss39
「これが、私の気持ちだよっ」
来宮なのか(あじ秋刀魚さん)

来宮なのかが、気持ちを自覚するのが早いのと、
ヒロインとして魅力をもうちょっと出してから、ルートに入って欲しい気がします。

また、クラスメイトに質問攻めに遭いながらも、来宮なのかが非常に親密な感じで接してきますが、
人前でああいうことができるのは、二人でいる時に、そういう時間を見せている場合だと思うのです。
それをしていないから、画面越しに見ていると、伝わらない。
恋愛部分が駆け足です。
手紙の内容がソレというのもちょっと違和感が。メッセージアプリでやりそうではありませんか。

ハイタッチのSEが引っぱたき音。花火、映像でも見たかったですね。

晴れた雪道の上、マークを描くなのかの笑顔は、雪に反射する光とともにキラキラでしたね。

ss40
「野球やろうよ。私キャッチャーやる。女房役っていうし、私にピッタリでしょ」
掛川葉月(ヒマリさん)

男勝りというか、男友達のような雰囲気の葉月。
しかし、その葉月に恋愛を意識させる流れが、もう少し練って欲しいかなと思うのですよね。
力強く守ってくれる主人公を表現したのは、男勝りでもヒロインだと見做しているから、でしょうか。
そして主人公も、男友達に女っぽさを感じる、という流れ。
この流れには少し不満もありましたが、
お互い気持ちの固まらないまま行為に及んで、それが上手く出来なくて、
変わらず友達でいようとするのも、なかなか面白かったです。

そして聞いたことない告白。ラブレターに繋げる。
うん。この二人らしくて良いかも。

ただ、お互い友達のように認め合った関係という流れから、
一緒にいるのがいつも当たり前になって、そこから派生したほうが面白そうだったかな。

ss41
「私だからじゃ……ないんですか」
舞阪茉衣(結城ほのかさん)

特売の大根が繋いだ縁。

うーん。E-moteが一番セリフにマッチしています。
上目遣い差分を指定したのは、とても正しいと思います。
お弁当褒められて照れてる場面、セリフが、結城ほのかさん上手すぎますね。
容姿は幼く見えるけれど、しっかり者、苦労人。だからこその優しさ。
そういったことが、しっかり声にあるのが素晴らしい。
この声だから、E-moteのデフォルト立ち絵表情と合っていると思うんでしょうね。

気持ちの自覚が早くて、それを何とか伝えようとしているところがいじらしくて。

知識が無いから教え込んで変化していくのは、今回の作品に合っていたキャラクタですね。
一気に最高速に達してしまうのは、もうちょっと時間をおいて欲しかったです。

ss42
「でも、小説のようにはいかなかったのよね……」
御前崎悠羽(桃山いおんさん)

先輩ってどんな人なんだろう?というのがちょっと疑問に思えてしまう描かれ方でした。
さらに、スムーズに恋愛が始まる。
思い込みが少し強いのですが、その強引さを主人公に出すところがほとんど無く、
シーン中のみ見せてくれます。

答辞を行って卒業するのですが、その内容もちょっと。
学園生活に興味が持てなかったのは、仕方が無いけれど。
それをそのまま、昇華することなく伝えることが答辞になってしまうのは。

主人公、訪れた悠羽先輩に、だめだ目が離せないって。
直前まで何を考えていたのかすっかり忘れて、そういうことしか頭になくなっていて。
舞阪茉衣の時もそうでしたが、ちょっと主人公に首を傾げるところがありました。

でも、電話をかけてきて、なかなか切れないところはかわいらしかったです。


それと、音声が全体的に小さいです。
前作「お家に帰るまでがましまろです」を同時に起動して聞くと、分かりやすいですよね。
御前崎悠羽でいえば、通常会話よりも、
電話をしている時の「切り方がわからない」というセリフのほうが大きいのです。
せっかくのセリフ、もうちょっとハッキリ聞きたいです。

あと、クーグルの退場が早すぎて、何も関わらなくて、その後も何も無くてちょっとびっくりです。
あのエラーの意味は?

繰り返しになりますが、シーンが連続しています。
ビジュアルや構図は流石だと思うんです。
シーンそのものも悪くない、のかもしれませんが、期待したものは違っていました。
恋愛物語を読みたかったです。
ss38
公式サイトにも掲載されていますが……、
だって、こんな印象的なイベントCGがあるんですよ?
即した場面が描かれると、イベントCGの美しさのように気持ちを動かす物語があると、期待しますよね。

なかったのです。
”あなたと彼女とのかけがえのない物語”は。
CWF美術部さんと、アトリエ空機関さんと、背景サポートとして、染谷真衣さんとを起用しながら。
そこが、すごく残念でした。

ま~まれぇどさんには、「PRIMAL×HEARTS2」の月夜野兎姫ルートを越えて欲しいと、
毎作期待しているのですが……。


とはいえ、ビジュアルの良さは逸品といってよいです。
ヒロインの服装も本当に良くて。髪型変更よりも、すごく惹かれました。

例えば、来宮なのかはやっぱりダッフルコートにバーバリー柄マフラーが。
舞阪茉衣のスキーウェアとか、ハイネックにエプロンとか。本当に良くデザインしたなと思うほどかわいいです。
掛川葉月のアウターとかキャラクタに合いすぎですし。


アンダーウェアのこだわりとか。ヒロインを立体的に見せ、厚みを感じさせてくれました。

だからこそ、そう。恋愛師匠の出番が活かされるような展開を期待していました。


ダウンロード販売もあります。