LiLiMさんの昇龍戦姫 天夢」感想です。

2008年8月発売作品。

LiLiMさんの「昇龍戦姫 天夢」は、”和風変身ヒロインAVG”。

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「それにしてもあれはないよなぁ……」
秋山直道は、部活であった事柄を思い出しながら歩いていた。
その帰り道。ふと空を見上げた。

暗い夜空に煌々と輝く満月。
その中心にはっきりと人の影が見える。それは急速に大きくなっていく。
月の光があたりを包み込んでいく。
収まると、一人の男性が立っていた。

「余の気配に気づいたのか?顔を見られてしまった以上、仕方ない」
現れた武士のような佇まいを漂わせる男に、直道は害意を向けられていた。
身体がしびれて動けないような感覚。
その直道の耳に、鈴の音が聞こえてきた。

合わせて、月からまた、新たな影。
それと、悲鳴が。
「あ~れ~!! ど~い~て~!」
その影は、そのまま直道の頭へ……。
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という導入でした。

それでは、感想です。
ネタバレは少しあります。


プレイしたのは、2020年1月に発売された「風雷戦姫 神夢」の特典として付属していた、
Windows10対応版です。

原画は、金目鯛ぴんくさん。

鳳凰戦姫 舞夢」シリーズの一作と捉えて良いでしょうか。

顔に3面の般若が貼り付いている、平安界から現れた、
さらに空から舞い降りる登場場面も継承されています。
が、着地を失敗している。

今作は、全体的にコメディタッチです。

強大な敵も存在しますし、戦って勝たなければ、平安界だけでなく地球の平和も危うい、
そんな状況ですが、コメディ要素がふんだんに。
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天夢は明るいドジっ子寄り。
料理を作ろうとすると面白い物が出来上がるし、虫を見て慌てる場面もあります。
天夢のキャラクタと青葉りんごさんの声はマッチしていますし、
魅力はあるのですが、やっぱりコメディ寄り。

天夢だけでなく他のヒロインも変身し、一緒に戦ってくれます。
前作で登場したキャラクタも継続登場します。

登場するキャラクタがライトな雰囲気で、ちょっと受け止めにくいところもありました。
夏川りんね(金松由花さん)など、マイク持って学園で歌っている設定です。
10年前であれば、かわいいなと思っと思います。
ただ、色々な作品をプレイして慣れ、これだと物足りないと感じます。
ファンシー過ぎてしまっている。

コメディやファンシーな部分と、シーンとの噛み合わせが悪いように思うのです。

敗北したヒロインが、相手を受け入れてしまう、というのがバッドエンドで、
そのバッドエンドがウリ。
これはネタバレになってしまいますが、ハッピーエンドはひとつだけで、
それ以外の19ものバッドエンドが用意されています。

コメディやファンシーな部分は、彼らの日常を明るい場面として彩ります。
日常以外へ踏み込んだと示す、夢幻時空による戦い。
そこまでは良いのですが、敗れた際、もう少し重み付けをして欲しかったです。



突然、天夢をはじめ、ヒロインの反応が豹変することがあります。
クリックした瞬間に、相手にコロッとなびいてしまう。
この部分、段階を経て欲しかったです。

前作で人気だったのでしょうか、ミスターNTRと同種の敵キャラクタが登場しますが、
敵ボスキャラクタの不知火謙信に近いシーン数があります。
大活躍ですよね。

先述したとおり、あっさり相手を受け入れているため、
敵キャラクタの存在や名前で、これはこういうシーンなのです、と画面のこちらに説明しているようにも思えてしまう。
やや強引。シーンの密度が足りないです。

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そういう意味では、黒川亜弥(カンザキカナリさん)のシーンが一番良いといえるかも。
自分勝手な行動が目立つ黒川亜弥は、清盛だけには従っていた。
なのに、というところが。

例えば、敵側の風魔三姉妹は、風魔小百合を甦らせる条件で協力し始めたけれど、
不知火謙信を慕っています。
そこから、風魔三姉妹が人気ヒロインになりそうな物語の展開も描けたはずです。
不知火謙信を立ち直らせるために刃を向ける、とか。
負ければ隷属、勝ってもビター。そんな話があっても良かったと思います。


もしかしたら、敗北ものが苦手な人向けなのかも知れませんね。
プレイしていて、心理的に重くならないのです。
お陰で、スムーズに進めることができました。

とはいえ、ギャグとシリアスの切り替えがうまくいかないと、
敗北エンドを楽しめないのですけれど。


あと、不思議に思ったのが、この状態でハーレム展開ないのですね。
主人公以外でしか触れられないキャラクタがいるということになっています。

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青葉りんごさんをはじめ、楠上ありかさん、山田ゆなさん、藤森ゆき奈さんの声も楽しめたので、
良かったと思ってはいます。
上手い声優さんは、10年前に収録された演技だろうと巧いのです。


それと。
Windows10対応版とのことでしたが、インストールテストはされているのかな?と少し疑問に。
というのも、バージョン1909上では、アプリにもプログラムと機能欄にも、名称が出てこないのです。
さらに、インストールすると、他のアプリのインストール日が消失してしまう。
再インストールを試しても変わりません。
これ、「風雷戦姫 神夢」もそうなのです。ちょっと困りますよね。


単体版のダウンロード販売もあります。