すふれそふとさんの「きらら★キララNTR」感想です。

2020年3月発売作品。

すふれそふとさんの「きらら★キララNTR 魔法少女は変わっていく… 」は、
”魔法少女寝取られADV”。

最近、友達がおかしい。
そう思いながら迎えた誕生日に、十萌きららは、
おばさんのプレゼントから出てきた飴玉みたいな動くぬいぐるみから、
魔法少女になって戦えといわれる。

事件の起きた場所に向かうと、学園の先生や友達が操られていて……。

それでは、感想です。
ネタバレはほんの少しあります。
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非常に良かったと思います。

まず、体験版をプレイされることを推奨します。
体験版が良いと思えた方の中で、
本を読むようにテキストを読むことのできる人、
声をしっかり聴いて楽しむことができる人。
こういう方に、お勧めです。

「きらら★キララNTR 魔法少女は変わっていく…」という原作本が先にリリースされており、
それを元にCGと声をつけた作品なのです。

ですので、テキストによる場面状況描写は一流。すごくしっかりしています。
グラフィックより情報量が遙かに多く、その上で、こう、ぐっとくる表現が多いです。
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十萌きららの身体反応。
十萌きららがどう思っているか、どう感じているか。
この描写が非常に魅力的。

ふんだんに、直接的すぎない表現で描かれていて、伝わるのです。
描写が細かいと言い換えても良いでしょう。
そこがすごく良いのです。


シーンが複数ある作品性質上、どうなっていくのかの変化描写、
何より、どうして受け入れてしまうのかの理由に、納得感がすごく高いです。
これはぜひ製品版で読んで欲しいところです。
こんなにも眉目麗しいヨーロピアンクオーターの十萌きららが、どんな理由で変わっていくのか。

その仕掛けの一つ、微かな伏線は、体験版でも描写されています。

アキラが、平坂ミサトと付き合っていて一緒に居るのに、きららを遊びに誘ってくる。
一度はっきり断るのですが、アキラはプレイボーイさを発揮して、お構いなし。
このアキラの攻勢に、きららは困った顔をします。
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(どーしよ)
この部分に、十萌きららに少しでも引っかかりを感じた方なら、
その後の製品版も楽しめると思います。

すごく納得感のある仕掛けが、しばらく後に明かされます。
この、一度は断るというのも、成長したからできていることなのでしょう。

場面に出てはこない、シーンとシーンの間にあったことを示すテキストも秀逸です。
それは、もうしょうがない。すごく納得してしまいました。

それをしっかり読み込んでくれているのでしょうか。
十萌きらら役の姫川あいりさんが、すごく上手いのです。

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シーンと、次のシーンとで描かれる、十萌きららの変化を楽しんでいくものだと思うので、
CG&シーン回想フルオープン機能もありますが、作品と馴染みません。
これはロープライス作品だったり、製品に付加をつけようとすると、
そういう方向性になるのかもしれません。苦肉の策というか。

不満は、それ以外でふたつ。
まず、男性キャラクタデザイン。
体験版から分かっていたことですが、もう少し何とかならなかったのでしょうか。
ファンタジーさを加えることで、重たい雰囲気に仕上げないコンセプトなのかと思いましたが、
違いますよね、きっと。

アキラはもっと軽薄かつモテそうにして欲しかったですし、
タダシはちょっとイケメン風に、頑張ってるのが分かるデザインにして欲しかった。
木村先生も、宮代もそうですね。
このデザインでアキラがすごいといわれても納得しづらく、バスで会ったおじさんのほうが凄い印象です。
(おじさんエンドがあってもよかったかも)

それと、システムはもっと使いやすくして欲しいです。
システム、UIも画面の一つと考えると、演出の範囲ともいえますから。



ダウンロード販売もあります。


上記とやや重複していますが続けます。

読み始め、大丈夫だよね、なんてどうして思えるのかと不満でした。
友達だと思っていた人や先生に遭わされた事を忘れたのかと。
マカイジュの種の影響下にある木村先生に対し、何故、一目散で武器を取りに行こうとしないで、
「先生、もうやめてください」と訴えるのか。

元々素質があって、受け入れがち、流されがちなだけか、と思っていたのですが。
これも、アキラに強くでられなかった理由と同じだと思います。

伏線とも思えない部分がきれいに伏線になっていて、納得感があること。
もう仕方ないかなと思えて、シーンに集中できてしまいました。

見合ったタイプに相手をさせている進行だと感じがします。
この状態の十萌きららに、こういう相手にさせると、自覚が促進される。
音沙汰なかった間にやっていたことが、ある意味、活きてしまうから。
ややわざとらしい箇所ですが、バスおじさんの水の向け方も、そうでしょう。
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また、キャスティング。
姫川あいりさん。これがすごく良かった。
何かされても、次の日には普通の日常があるわけです。
いつものきららになろうとしている、でも前日のことは消せない、というのが良く伝わります。
音声から、取り繕いが感じられるのです。

シーンで乱れたの後、平然と誰かと話をしていると違和感を持ちますよね。
そういうことがありません。
あくまでも、それは在ったこととして描かれます。
だから生まれる後ろめたさ。
マカイジュの種で操られている間だけの記憶とはいわれているが、もしこの相手の記憶が戻ったら。
普通に会話していたとしても、相手の匂いや声は同じなのです。
そこに、ドキドキのような、焦りのようなものを抱えているのがうまく描写されています。
これは本当に良いと思います。

そして、悦び方、受け入れ方がオーバーでなく、リアルさがある。
「ぅう……ンむ。ぅん」
何かをすることに集中しながら、ゆっくりと素直に、相手に応じる。
ぜひ、BGMとの音量バランスさせて聴いてみて欲しいです。

「ああ……」
テキスト上の表記はこれだけでも、していた行為の直後ですから、
きちんと行為の音を滲ませながら、なのですよね。
すごく上手だと思います。
きちんとセリフ前後の状況を理解した上で、演技してくれています。

姫川あいりさんは、声質のかわいらしさも良く合っていたと思います。
十萌きららは金髪で、その姿は戯れる女神や天使のよう。
けれどかわいらしさだけではなくて、
美しさとかわいらしさは維持したまま、悦びまで声に乗せて表現してくれていました。

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逆らっちゃいけない。
それが、逆らいたくない、受け入れたいに変わっていく。
すごく納得感がありました。
だから浸りきっているのがよくわかる……。
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希望つばめさんデザイン、一葉モカさん原画で描かれた十萌きららのビジュアル。
十萌きららに、原作さかき傘さんがどんな設定を与えるか。どんな反応を描くか。
反応をより伝える、姫川あいりさんの声。

描いた状況や環境がどんなにおかしくても、それで鑑賞者を納得させること。
これができた時点で物語は成立すると思います。
テキストだけでも、グラフィックだけでも、声だけでも無い。
この作品は、要素の相乗効果で成り立たせているのです。


すふれそふとさんには、今後も良い原作本を探し出し、
しっかりと役に合う、演技力のある声優さんを選定して、
製品化を続けてくれたらありがたいですね。


蛇足ですが、演出をもう少しがんばってほしかった部分として。
後半、戦いの後に体調が急変した十萌きららが、
ベンチで助けを求めて電話しようとしたところへ、誰かが現れる場面があります。
ここ、演出を重くして、コミックいえば1ページ5コマくらいで描くのに匹敵するビジュアルが欲しいところです。
それくらい、ここで登場する人物と、その人物に十萌きららがどう思うかは大事だと思います。
ここで分岐しても良かったかなと思うほどに。