でぼの巣製作所さんの「霊神楽~奮闘記~」感想です。
2020年7月発売作品。
でぼの巣製作所さんの「霊神楽~奮闘記~」は、”巫女さんタクティカルSRPG”。
フリーランスの退魔士、南雲佑馬は、稲黍村を拠点と定め、
稲黍神社の一人娘、鏑木紫と、南雲佑馬が修行をしていた雉杜神社の巫女、犬童ちはやと、
退魔の仕事を請け負っていた。
ある日、依頼が舞い込んだ。
いつもと同じ、退魔の仕事。
しかし、その背後に大物が待ち構えていると、三人は気付いていなかった……。
という導入です。
それでは感想です。
ネタバレは多めにあります。

結構楽しめました。
SRPGそのものが楽しめたことと、ストーリーが展開され始めたこと、
シーンもなかなかでした。
まず、SRPG。
いきなりネタバレになりますが、7ステージ構成です。
1ステージごとにボスがおり、それを倒せば勝利。
ボスは概ね突然変異体で、見た目に一番大きな妖怪です。ステージ上に他の妖怪が残っていても、ボスさえ倒せば良い。
そのボスがユニークキャラクタになっていて、初見ではびっくりするものもあります。
特にステージ5、一つ目入道がそれ。

中州に一つ目入道がおり、退魔士たちはいきなり接敵できない配置。
周囲の霊脈を浄化しながら最後に戦おうか……と進めていくと、
一つ目入道が白光を発動。次のターンには、中州から爆裂光線を放ってきます。
ステージのどこにいても狙われる上、なかなかのダメージ。
一つ目入道に集中攻撃をするべきか、でも霊脈を放って置くと汚染されて、さらに妖怪が沸く……。
びっくりしましたし、なかなか楽しいですよね。
攻略で詰まる方は少ないのかもしれませんが、実は、一つ目入道が白光をチャージしている間に、
何か攻撃を加えると、白光をキャンセルさせることが可能です。
一つ目入道は水移動ができないので、水属性妖怪を川中に置き、
一つ目入道は水移動ができないので、水属性妖怪を川中に置き、
遠距離技を使って発動阻止するのがオススメ。
例えば水母の霊力吸収でも阻止が可能です。
ステージ構成も設定も練られています。
体験版でもプレイできる水母ステージでは、川が縦横に走り、水母の移動が有利に働く地形になっていたり、
枕返しステージでは、骸骨武者が矢を射かけやすい、高地の多い地形になっていたりとか。
どう攻略しようか考えるのも楽しいですよね。
プレイ当初、多くの妖怪がいい位置にいるため、霊脈マスが取られても仕方ないと思っていたのですが、
ちょっと工夫すれば相手に奪われないのであれば、そのほうが良いようです。
つまり、先に霊脈を占拠する。何かさせる前に倒す。
戦闘では、こんな考えでプレイしました。
ステージの地形と相手妖怪の五行に合わせ、召喚妖怪を変えていくのは前提として。
犬童ちはやは初期装備で韋駄天の符を持っているため、自分で韋駄天を掛け、
跳躍4のユニットとして機動力を活かして霊脈マスを狙う。
移動先でさらに召喚をして延伸させることもします。
南雲佑馬は攻撃力主体の装備で、豪腕の構えを掛けて烈震斬を使うといい感じです。
相手の中に飛び込む。クリティカルが出やすい豪気の特殊能力もあります。
移動距離が短いため、伸ばせるアイテムでもあると良いのですが、
韋駄天の符を誰かに使って貰うくらいでしょうか。

そして、鏑木紫がかなり重要です。
8レベル程に到達すると、退魔士は新たな退魔奥義を身につけます。
紫の退魔奥義はどちらも有用。
まず無尽読心。このターン乗り切りたい、という時に使うと、全て避け切ってくれます。
そして、10レベルで覚える滅雷。ステージ全範囲を雷で攻撃します。
あと少しのトドメに、むしろステージスタートに1回使っても問題ありません。
紫は、最終ステージボスにも必殺技の五月雨を平均3回射かけると倒せたりします。
霊力が高く、召喚は4体可能ですし、回復の符をグレードアップさせれば防御も鉄壁です。
南雲佑馬や犬童ちはやの退魔奥義は、使用場面が限定的すぎます。
退魔士内で強さに差が付いてしまっていますが、
「霊神楽~奮闘記~」の主人公は鏑木紫だからと思い、納得もしています。

ちはやの技、石破衝撃は、このような位置関係では玉突きを発生します。
一つ目入道だけでなく、なかま妖怪の餓鬼、さらに奥にいる紫にもダメージが入りますので注意です。
右クリックを押しながらマウスを動かすと、マップを回転させ俯瞰角度を変えることができます。
ターン終了時、最後に操作した箇所ではなく、南雲佑馬にカーソルが戻るのですが、
これ、最後に操作した箇所に指定できるとありがたいです。
ノーマルモードだと、丑三つ時の到来は15ターンですが、
粘って稼ぐよりステージを周回したほうが、退魔士を成長させやすいです。
退魔士にお守りを装備させていったほうが安全です。
ステージ1では、大蜘蛛から毒を受けますので、毒守り。
ステージ2では、水母から麻痺を受けますので、麻痺守り。
枕返しには睡眠守り、骸骨武者には暗闇守り……と、ステージ選択時に登場する妖怪が表示されるので、
きちんと支度をしていきましょう。

全てカバーしようとすると、攻撃または回復が疎かになりますので、
例えば水母の麻痺は麻痺守りで防ぐ。大蜘蛛の毒も毒守りで防ぐとして、
鈍足も与えてくることがあるけれど、そこは受けると割り切り、癒やしの符を持っていくとか。
装備を考えるのも楽しいですよね。
妖怪を複数持っていても、合成させても問題はないのですが、
その合成が最後まで使いこなせませんでした。やり込みが足りないのかも知れません。
合成をすると、GPは単純加算され、レベルは平均化されます。
で、GPよりLVが大きくないといけないという条件があります。
ところが、合成の追加素体には選べる。
この理由がわからないんですよね。何か違うのか。
戦闘では、妖怪のレベルの高さを重視したほうが良さそうです。
レベルの低いステージで成長させるよりも、先のステージに進んだ方が、
レベルの高い妖怪が手に入りますので、結果的に楽になります。
次のステージに、前ステージと同じ妖怪、レベルの高い状態で登場することが多いのです。
つい、前のステージで粘ってしまいました。
召喚妖怪にするには捕縛しなければなりませんが、
倒せば捕縛と同じ効果がランダムで発生します。
なお、霊力を消費して行う捕縛は、妖怪を弱らせなくても可能です。
召喚妖怪は、河童と水母、おちみずをよく使いました。
水属性妖怪は、基本的に癒やしの符と同じ効果の技を持っていて、河童は、気付を持っています。いざという時に頼れます。
それから、水移動はとにかく有用で、さらに五行属性で火属性相手に強いのです。
枕返しの設定が面白いですね。相手を眠らせますが、自分も眠りには弱い。
餓鬼でおちみず相手にぶん取りをして、果物マークがでたのに何も獲得されないことがありました。
雲外鏡が餓鬼からの攻撃を反射して、さらに鏡像で追い打ちをかけ、倒したところでシステムが強制終了しました。
が、OS側にエラーが全く登録されないのにはびっくりしました。
とまあ、色々と遊べました。
戦闘は面白かったです。爽快感もありました。

さて、今作ではストーリーが展開され始めました。
これは完全に妄想なのですが、ちょっと気になるのは、

もし仮に、鏑木紫が大天狗に神隠しをされてしまう……なんて展開になったら、
次作への促しがされているのです。
依頼を受けて退魔をしていたが、どうも頻度が高い。
実は、今作のボス、大天狗の仕業。
大天狗は、鏑木紫の秘めた霊力を狙っていたというお話でした。
大天狗を封滅させることはできず、決着は次作以降になるようです。
突然ストーリーが入っていたので驚きはしましたが、楽しめました。
これは完全に妄想なのですが、ちょっと気になるのは、
これまで鏑木紫は、退魔巫女に性格上向いていないという扱いだったと思います。
今作でも、弓は得意だけれど、人前で披露すると緊張して上手く出来ないという下りもありました。
そんな鏑木紫が、秘めた霊力を持っている。何か力が目覚める。
すると、他の作品で使いにくくなってしまわないかと。
これを乗り越えると、得てして物語から退場してしまうケースが多い。
でも、それまでは。主役としての紫を楽しめると思います。
それと、今後、大人巫女化してしまう可能性がありますね。
今の紫が好みの方には何とも悩ましい展開になりそうです。
二度美味しいと思うことができそうなので、それも期待します。なので、でぼの巣製作所さん、結構思い切ったなと感じました。
そしてシーン。
体験版をプレイした時点では、短いかなと思っていましたが、なかなか良かったです。
まず、妖怪選びが良かったです。
直近で公式サイトに餓鬼が掲載されたのですが、餓鬼は「神楽道中記」での登場から、
どの作品でも優秀な責め手になっています。
体躯が小さく、同時に何でもできてしまう。大人数で、4~6人相手というのも可能。
シーン数は予想通りでしたが、他にも責めが上手い妖怪が登場します。
餓鬼と枕返し、それに一つ目入道といった責め巧者。
それと、やっぱり犬童ちはやが良いですね。
「神楽」シリーズのシーン構成は、最近少しハードになってきてはいるものの、
他作品と比べると極端なレベルではない。
でも、だからこそ良いのですね。
彼女たちは退魔巫女。
いわゆる卑語、卑語呼称を発しないといった、巫女服が似合うラインをキープしているのです。
そこがすごく良いと思います。
次の作品に登場しても違和感がない、キャラクタを使い倒さない。
(言霊システムは本当に良い案だと思います)
前作まででも、ちはやは、退魔巫女としての誇りを感じさせないほど乱れます。
日頃は、南雲佑馬を槍の練習に付き合わせるくらいアクティブ。
ギリギリ言葉では求め切らないものの、襲う妖怪に媚びた視線を向けるほど。
(具体的には「神楽黎明記~ちはやの章~弐」など)
恍惚と受け入れるところも含めて、鶴屋春人さんがきちんと演技してくれています。
苦しさもしっかり表現してくれて、やっぱり上手いですよね。
キャラクタを形作るため、導入されたADVパート、会いに行くコマンドで見せる姿。
ここはもう少しボリュームがあっても良いとは思いますが、いいスパイスになっていると思います。
たぶん、少しずつエピソードを入れることで、キャラクタに好意を持って欲しいのだと思いますが、
好感を持たせた方が良いのは、二つの理由を思いつきます。
キャラクタ好感度が作品好感度につながる。
それと、好感度の高いキャラクタがこんなシーンを見せてくれる、という魅力の引き出しになること。
自室でこっそり、槍の邪魔になるから胸も筋肉にならないかとマッサージしてしまう、
やや妖怪殲滅派寄りの犬童ちはやが、枕返しにこんな風にされてしまう。
しかも、次第に受け入れてしまう。

妖怪に相手をさせて欲しいところですが、夢扱いだと納得できてしまうのか、これはかなり良かったと思います。
たぶん、ちはやのキャラクタイメージが育ったところへ、
もしこうだったら?という妄想で構成されたのが上手かったのだと思います。
バックボイスもなかなかです。
ADVパートにおいて、ほんの少しだけですが、いわゆるささやき音声もあります。
これは、別作品のボイスドラマ「陰陽彼女(ヒロイン)さやか ~一緒に過ごす甘々な夜~」の派生かもしれません。「霊神楽」でもリリース予定があるのかもしれませんね。
全体的に楽しめたと思います。
次作は今年末以降になると思いますが、雉杜神社から杜崎莉音を派遣してもらいましょう。
一緒に助けに行きつつ、犬童ちはやを超えるボリュームを活かしてくれるシーンがあるはずです。
ダウンロード販売もあります。

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ところで、謎の声。
「お主の内なる……」という語りだったのに、
突然、「落ち着くんだ」と口調がお兄さんみたいになりましたよね。
何か理由があるのでしょうか。
#追記
グレード10まで妖怪合成を繰り返したのですが、やっぱり必要性が分かりませんでした。
無理にしなくても良いのかもしれませんね。分かりやすい変化があったら良いのですが。グレードが上がると強い妖術が使えるとか。
フルコンプボタンはありますが、妖怪に敗れることで、紫やちはやの変化が楽しめます。
僅かではありますが、これは、物語を思い出すシーン回想では見られないADV場面ですので、
是非とも複数回敗れて見て欲しいところです。5回ほどあります。
これがあるのと無いのとでは、盛り上がりが違います。
じわじわと妖熱に侵されていく様が感じられてこそ、バッドエンドが映える。これは良い演出です。
ただ、その結末が、繰り返しているうちに変化してしまったと書かれていますが、
妖気を受け続けて変質してしまうほうが納得感は高いですね。(妖気万能説)