rootnukoさんの「LIKE×LOVE ~色川 鈴音~」体験版プレイしました。

rootnukoさんの”コミュニケーション+いちゃラブ純愛ADV”、「LIKE×LOVE ~色川 鈴音~」。

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春、それは出会いの季節――。
なんて少しムズっとするような、それでいて爽やかな響きの常套句。
実際に春というのは季節の変わり目というだけでなく、多くの人にとってそれは環境の変わり目ともなる。

たとえばこうして新しい学び舎、星見学園に身を置いて、周りを知らない人ばかりに囲まれて迎える新生活。
緊張感に身を引き締め、席がたまたま近くなった者同士でぎこちない会話を始めたりだとか。
古河暦は、なんとなくそういうものだと思っていた。
始まりの季節は、そうあるべきだと。

でもそんな”期待”と言い換えてもいい感覚は、入学早々にあっさり裏切られてしまう。

隣の席の彼女、色川鈴音。
休み時間はだいたい頬杖をついてイヤホンで音楽を聴いている。
興味があって、何を聴いているのか尋ねてみたことがあったが、話が続かなかった。
会話そのものに乗り気でないのが伝わってきて、それ以来、会話らしい会話ができていなかった。

ある日のこと。
友人と図書室で長居した帰り。
人のいない、静まり返った校舎内で、どこからか弦楽器のやわらかな音色が耳に届いた。
部活は禁止の日。しかも音は美術室からしている。
差し掛かると、扉の薄い窓越しに、ギターを爪弾く女生徒の姿が見えた。
それは、隣の席の彼女、色川鈴音だった……。
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体験版は、433MBでした。
インストールが必要です。

原画は、庄司二号さん。
シナリオは、川石幸宏さんです。

ヒロイン単体完結型のロープライス作品、「LIKE×LOVE」シリーズ2作目。
前作が1年前ですから、少し時間が空いてしまいましたね。

前作でも少し登場していた、無口な印象の色川鈴音がヒロインです。

特徴として、「主人公の名前変更」、「恋人手帳」を埋めるパラメータ変化、
さらに導入を縮める「カジュアルモード」やCGを開放する「コンプリートボタン」も搭載されています。

この中でパラメータ変化は、発言チェンジボタンで起こります。
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画面右下のチェンジボタンを押すと、色川鈴音に伝える言葉を選ぶことができます。

この場合は、
「あのときのことは悪かったと思うよ」と「いや、違うな。根に持っているはずがない」。
2択で、選んだ後に表示されるテキストをクリックすると決定されます。

選んだ伝え方で、色川鈴音の反応が変わり、二つのゲージが増えていきます。
基本的に増加だけが起こり、減少はありません。高いほど恋人手帳が埋まります。

会話のやり取りを楽しむのが目的で、選んだ言葉によってはさらに会話が弾みます。

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色川鈴音(渦井ゆきのさん)

クラスでは主人公の隣の席。
誰とも仲良くして居らず、気さくに話しかけてくれていた十津川光とも今は会話をしていない。
日頃はイヤホンで音楽を聴いている。
飽きっぽいが、それでもギターは小さい頃から続けている。
誰かに教わったこともないが、聴いた古河暦は感動するほどの腕前。

音楽はsolfaさん担当なのですが、前作でも使われた印象的なギター曲。
あの曲を、ソロギターで色川鈴音が弾いていたという流れです。

学園でしかギター練習をしていないのは、
どうやら、父親がギターを弾くことに反対をしているからのようですね。

担任となった立川彩音(あらいひなこさん)とは、姉妹。
あまり噂になりたくないのか、積極的に公表していない。
それでも車で送って貰い通学することもある様子。

恐らく等身大の彼女を表現しようとしたデザインなのでしょうけれど、
それがすごく良いですね。
照れを素直に見せられない表情が魅力的。

1作目の十津川光に劣らずスタイルが良いので、シーンもかなり見映えがあります。
公式サイトのギャラリーでぜひ確認を。


ただ2作目になってくると気になるところも増えてきました。

まず、主人公のキャラクタ像が掴みにくい。
前作でもそうだったのですが、性格に沿わないだろう選択肢もあるなど、少し気になります。
「いいんだぜ」なんて言わないだろうし、「よっ、来てやったぞ」も合わない気がします。

これは穿った見方ですが。
古河暦は、どちらかといえば、周囲への甘えがあるように思います。
自分だけでなく、色川鈴音は周囲に対しても冷たいのだ、と弁明しますが、
明らかに外部をシャットアウトしているのですよね。
そこで、自分の価値観とは違う人がいるとは思わない。
出会いを求めていることは是で、相手も出会いを求めている、と思い込んでいるともいえます。
シャットアウトの壁を乗り越え入り込むなら、相手が悪いと考えてしまうのは違うと感じますが、
このあたりは、年頃らしい表現なのかもしれません。そこまで察知できない。
あるいは、挫折を経験して過敏になっているのかもしれません。

色川鈴音の応答は割と普通だと思いますが、それに怯んでいた主人公であれば、
「ノートは明日返してくれたらいいから」と言い置く印象ですよね。
この選択肢ではゲージが増えません。
関わり合いを増やすことで加点する設計で、色川鈴音は、関わってくれた方が好意的に見てくる。

いうほど会話が弾まないわけではありません。
きちんと応答をしてくれます。
色川鈴音は、変な応対をしてしまったら、きちんとその場で謝ることもします。
ガードも甘く、さほどゲージが溜まっていない状態、つまり会話や日数を待たず、仲良く話ができます。

魅力的には思えるのですが、色川鈴音のほうもキャラクタが掴みにくい。
イヤホンをして日中を過ごすほど、人との関わりを遮断する理由があまり見えない。

それと、色川鈴音、朝は車で送って貰って、どうやって自転車で帰るのでしょう。
レンタルサイクルがある学園なのでしょうか。

全体的に、キャラクタを登場させながら、キャラクタよりゲームの流れに沿わせているかなと。
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とまあ、細かいところは気になりますが、クオリティの高い素材を中心に、
一年を通して色川鈴音と過ごせるのは、とても良いと思います。
冬にまで進んだ色川鈴音は、どうなっているのでしょうか。


予約特典の複製色紙デザインがすごく良いですね。

2020年8月28日(金)発売予定です。

ダウンロード販売もあります。