まどそふとさんの「ハミダシクリエイティブ」体験版プレイしました。

まどそふとさんの新作は、”学園に来ない女子と見過ごしがちな青春を探す学園恋愛ADV”、
「ハミダシクリエイティブ」。

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ソーシャルゲームガチャを妹の稼ぎで天井まで回し、Vtuberの放送を巡回、
推しの絵師にガチ恋する。
学園に行ってもあまり気付かれず、名前を知られていない学生、和泉智宏。

隣の席は2カ月空席。千玉学園は不登校が多いらしい。
智宏の妹も、理由があって登校していない。

登校すると、この日は全校集会だったらしい。
不登校生徒に対する何らかの通知かという話を耳にした智宏が、
妹のことを心配しながら体育館へ向かうと。

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「生徒会長逃げたし」
従姉でもあり担任でもある和泉里先生がマイク越しに言った。
なんでも、現生徒会長と連絡が取れず、やっと返信が来たと思ったら、四国に居るという。
不登校である件を置いておくとして、数日後にシンポジウムがあり、
生徒会長が不在なのは困るというのだ。
「なんで、いまここで生徒会長決めるから。おけまる? や、マジでいま決めるよ?」
全校生徒を集めたとはいえ、立候補が出るものでは無い。
前と呼んでよいのかわからないが、生徒会長が逃げ出したなんて聞けば、
何か問題のある業務なのかと疑って、立候補なんてする気にならないだろう。
内申が上がるといわれても、怖くて推薦もできない。
「じゃあ時間ないし、生徒会長くじで決めるのでー」
やがて教師たちから筒のようなものが配られて、一斉に蓋を引かされた。

そしたらこうなった。智宏の筒からロケット花火が打ちだされ、
やがて「当たりダヨ」と書かれたパラシュートがふわふわと頭上に舞い降りた。

並み居る教員、全校生徒の視線が集まる。これほど目立ったのは人生でも初めてだと智宏は思いながら、
壇上の里先生の声を聞いていた。
「当選おめでとー! 千玉学園の次期生徒会長は2年A組の和泉智宏クンにけってー!」
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体験版は、995MBでした。

原画は、宇都宮つみれさん。
シナリオは、甲木順之助さん。
BGMは、まつむーさんとなっています。

うーん。すごく面白いです。
キャラクタコンテンツを良く分かっているなと強く感じました。

まず、ヒロインが全員魅力的。すごくかわいい。
それどころか、サブキャラまで魅力的なのです。          
これ、最初からファンディスクを想定しているのかもしれませんが、出しても違和感がないですね。

なのにそう、無理をしていないところも素晴らしいですね。
ヒロイン、サブキャラクタが持つエピソードに対して、わざとらしく匂わせないところも好印象。
個別ルートまで進ませたくない話題だから、提示はするけれど、
違和感があってもその話題を進ませない、といった強制回避が少ないです。
だからとにかくスムーズ。

不登校になったヒロインたちと出会い、生徒会に勧誘、来たるシンポジウムを乗り越える。
この流れを楽しめる体験版、かなり良かったです。

不登校ヒロインたちはそれぞれにクセがあります。

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「お兄を大とぅきな愛妹(まないもうとと読みます)との約束だよ!」
和泉妃愛(柳ひとみさん)

現役人気声優。
ソーシャルゲームのほか、アニメ出演、アルバムリリース、雑誌の表紙を本人が飾ることも。
両親が他界したため二人暮らし。
家事は一切を受け持つし、和泉家の大黒柱でもある。
兄の智宏をとにかく甘やかしているが、一緒に登校することはほとんどない。
不登校なのは声優の仕事が忙しいから。

感心するほどに柳ひとみさんを使い倒しているといって良いのではないでしょうか。
現役声優という設定のため、様々な役をこなしていて、智宏も知っているからか、
役名で言ってみてくれと振ると演ってくれる、このくだりがいくつもあるのです。

柳ひとみさん、相変わらず素晴らしいですね。
テキストでインパクトを出す表記がなくても出す。
セリフのうち、サラッと流せそうなところもきちんと感情を拾って表現してくれるのです。

体験版中盤の「一発勝負とは。」。これを「一発勝負とはー!?」と発声しています。
また、後半、恥ずかしさを誤魔化しつつの「うむ、うむ。」を、「うむっ、うむぅ……」。
それらの反応が、妃愛になっているんですよね。キャラクタとしての統一感。
たぶんパート文章の全体を把握して、どこに重きを置くかを考えているのでしょう。
演技指示だけではできないですよね。本当に巧みだと思います。匠といってもよいです。

妃愛の「お兄、とぅきー」は、言葉にできるギリギリなのでしょうね。
しかもそれを連発するのではなく、ここぞという時に出すあたりが、
妃愛の気持ちの大きさを物語っているように思います。

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「別人と勘違いしてるとか期待してたのに……ぜんぶ、ぜんぶ覚えてた……」
常磐華乃(秋野花さん)

智宏と同じクラス、のはずが不登校。智宏も1日だけ見たことがある。
実は、SNSフォロワー6桁、ソーシャルゲームなどで活躍中の絵師ののか。
智宏の推し絵師でもあり、ご尊顔は見たこと無いが絶対可愛いと思っていた。

不登校の理由は、以前の学校で、推しの作品がアニメ化されたら自分が声を担当する、
推しのカップルについてなど語った自己紹介を、智宏が聞いていたこと。
その事を一言一句再生されて、ご覧の通り。

遠慮の無い性格で、感情をストレートに表現してくれて、反発するときはしっかり言う。
きちんと周囲も見ているし、絵師として仕事もしているため、対大人への対応も可能。
けれど、過去は趣味を明かしてクラスで浮いてしまった。それが転入の理由。

感情が昂ぶったりすると、漫画喋りになる。
その喋りが反映されたシステムボイス「セーブわよ」がとてもかわいい。

中でも、智宏と出会いの頃の、「ふうん……はあい?」が最高ですね。
トーンは、→↓↑とでも表せるでしょうか。何回聴いても楽しめます。
これは秋野花さんで保っているキャラクタだと思います。
最適な声優選択。

たこ焼きがとにかく好きなようで、「男の子だもんね、6パックいっとく?」も素敵。

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「もし嫌じゃなければ、半分こしませんか?」
錦あすみ(紬雪乃さん)

真夏日を記録しかけたコンビニで、智宏が肉まんを譲った間柄。
不器用な譲り方をした智宏を追いかけ、きちんとお礼をし、その肉まんを智宏と分け合う素敵な出会い方。
性格が天使。他人の気持ちを汲むこともできる。

対応は丁寧でも、軸をずらさないところがなお好感。
誰の方を向けば良いのか、きちんと分かっているのですよね。

智宏と共通するポイントが多く、穏やかに会話が弾みます。
男性が苦手とのこと。
しかしながら、常磐華乃にいわせると、恋愛したら相手にハマってしまうタイプ。

実はVtuber雪景シキの中の人。
雪景シキとしてはかなり流暢に喋る。
智宏は雪景シキがフォロワー3桁の頃からのファンで、
つい熱く語ってしまったのが本人だと、気付いていない様子。

四人の中では一番クセがないといえるでしょうか。
錦あすみとしての大人しい雰囲気も良いですが、
生徒会に加わる流れで、人と関わっていくことに喜びがあったのか、
「この度わたし雪景シキは、一身上の都合によりいつも通り歌います!」もかわいいですよね。

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「でも君、年上の女性にからかわれるシチュエーションとか好きだろう?」
鎌倉詩桜(浜辺実雨さん)

前生徒会長。足がとてもきれい。
智宏は認めたくないので三浦大根足とか桜島大根足などといってしまう。

実は売れ行きを誇る小説家。
全てが芸の肥やしと、経験することに積極的。
その行動基準により、生徒会活動を放り出し、執筆舞台の四国へ飛ぶ。

生徒会長としては有能であり、近隣の生徒会にも名前が知れ渡り、かなりの人気があった様子。

四人の中でクセは一番強いかもしれませんが、
物事に対しての判断軸が決まっていて、それに合致すれば公平であるように思います。
そのせいか智宏も、自分を見ているようだと思うことがある様子。

気遣いもできる。相手によってはしないだけです。
態度が硬いのは、先輩作家陣から舐められることがある防御姿勢である様子。

実は、和泉智宏の妹でもある声優ひよりんファンクラブに加入済み。曲は全て履修。
ライブチケットはファンクラブ先行で購入。
実力がある、きちんとしている人は認めるようですね。

恋愛に対する姿勢は、創作のテーマとして必ず題材にされるから興味がある。
恋愛は来るモノだと聞いていたが、来ないと不満を持っています。
その時に、塩対応がどれほど甘く変わるのでしょうか。楽しみですね。

ただ、詩桜と莉々子の音声、ちょっと音質が悪くなっているのがもったいないですね。

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とにかく、キャラクタを魅力的に見せる要素をふんだんに加えています。
まずここが素晴らしい。

まどそふとさんくらいのニュアンスであれば、
ヒロインがVtuberでした、というのはアリだと思うのですよね。
人気絵師、人気声優、人気小説家というのも、登場させて違和感を感じません。

そして、声優さんの配役がピタリと合いすぎです。


さらに面白いと感じたのは、全員が何らかの理由で不登校に至っていますが、
人か発する、あるいは受ける感情の表現を避けていないこと。

妃愛は人気声優ですから、積極的に写真に写ることを回避しています。
今のところマネージャーが学園に出向いて釘を刺しているため、盗撮などは起こっていない様子です。
常磐華乃が転入に至った理由もそうですし、
錦あすみが男性を怖がるようになった、むしろ人に強くでられると固まってしまうこともそうですし、
鎌倉詩桜は、自分で述べたように、作家たちに揉まれたのではないでしょうか。

和泉智宏もそう。不登校の時期がありました。
だから守ろうとするのでしょうか。
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「ちなみにその特例がないと、妃愛の進級って危ないんですか」
くじ引きで生徒会長にされてはたまらないと思っていた智宏も、
妹の単位や出席日数での便宜を持ち出され、生徒会長となることを受け入れます。

これから更に仕事で忙しくなることが確定している妹のためになればと。
日頃から小泉妃愛、ひよりんとしての活動を応援しているし、
さらに、任期は半年を切っている。文化祭まで。
心理的なハードルが下がったのでしょうね。

妃愛のことをきちんと見ていて、気付くこともできます。
本人が悪くないことで謝らせようとしない。きちんと守る。
スケジュールが急に悪くなり、生徒会活動できなくなった妃愛が謝ろうとするのですが、
させない智宏はとても格好いいと思います。
自分がどれだけ不利な状況に陥ったと感じても、妃愛が悪くないのなら強がってみせるのです。

昔、それが嬉しかったと妃愛が言った。
智宏はきちんと覚えていて、変わらず今も守ることできる。
なかなか、できることではないですよね。

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和泉智宏のクラスメイト、新川広夢(小波すずさん)は、女の子のような容姿。
智宏に話掛けてきますが、ある日、とても気落ちしてお昼から登校してきました。
その日は朝、Vtuberの雨野葉レマが身バレしたという話がありました。

竜閑天梨(歩サラさん)は読者モデルとして活躍していますが、
最近クラスメイトの中では浮いてきているようです。
SNSで悪口をいわれたり、グループでは盛り上げ役にしかなれなかったり、
辛さからなのか、朝早く登校して誰も居ない教室でぼーっとしていることもあります。

そして、肝心の生徒会シンポジウムの内容は、不登校生徒に対する対応でした。

気持ちの部分の描写。
集団に加わることになって改めて感じる、集団からはじき出される恐ろしさ。

こういう表現は、ストーリーのテンションを下げてしまうと考える向きもありますが、
下がってないのですよね。むしろヒロインの核心に触れられると受け止めることができました。

表現がしっかりされているのは好感ですが、
だからこそ、体験版の終わりはハラハラしますね。
もしかしたら竜閑天梨は、不登校になってしまうかもしれません。
一方で、和泉智宏、生徒会役員になってくれそうなヒロインたちの信頼を勝ち得たはずが、
竜閑天梨と接触しすぎて、信頼が落ち込んでしまっています。

それを竜閑天梨のせいにしてしまうのも酷ですし。きっと智宏はしないでしょう。
でも、そんな場面に出くわしたヒロインたちのショックも分かりますし。
うん、面白いです。


お、と思わせる要素が多いです。
キャラクタづくりが凝っていて、そのキャラクタにどういう場を用意すれば光るかを知っている。
うん、上手いですね。ちょっとびっくりしました。


2020年9月25日(金)発売予定です。

予約数も好調ですね。

ボーカルアルバムも同日発売です。

あすみルートエンディングテーマは『ゆきどけ』。なるほど。

ダウンロード販売もあります。