でぼの巣製作所さんの「神楽黎明記 ~桂香の章~」感想です。

それでは感想です。
ローグライクRPGは、ターン制。



この辺はプレイヤーに頑張ってもらってと設計する部分が、頑張らせてくれる余地が入っているというか。


ネタバレが強いので伏せていますが、トドメは鉄の手裏剣で。
これが出てきたことで、次作以降の派生を期待しても良いのかなと思います。



2021年1月発売作品。
でぼの巣製作所さん「神楽黎明記 ~桂香の章~」は、”巫女さんローグ型RPG”。
水杜神社の退魔巫女、音羽桂香への依頼は、
大きな猿の妖怪が、他の妖怪も率いて悪さをしているというものだった。
桂香は、刀の柄を握りしめ、湿気の強い異形の森へ……。

少しネタバレがあります。
かなり楽しませていただけました。
神楽黎明記は、今作の桂香の章で17作目になるのですが、
前々作から大きな変更点が加えられ、前作でも少し変更点があり、
そして今作でもちょっとした楽しみが盛り込まれていました。
ローグライクRPGは、ターン制。
同じフロアにいるキャラクタ全てが、一度動くもの。
最下層にいるボス、今回の依頼では大きな猿の妖怪だという存在を探して進みます。
依頼された村の社を拠点として間借りし、ダンジョンへ挑みます。
依頼を受けたのは、水杜神社の優秀な退魔巫女、音羽桂香。
温和で礼儀正しく、妹の初花の手本と成るべく律しており、
刀を取れば敵対した妖怪に率先して向かう強さがあります。
術よりも刀を振るうほうが得意なタイプ。
実は壊滅的に電子機器が苦手で、残念ながら電子機器にも嫌われています。
なんでも、触れると壊れる、とか。そんな弱点を持つ音羽桂香を操作してダンジョンへ潜りますが。
まず。ネタバレになりますけれども。
大きく三層に分かれたうち、中層の仕掛けが面白かったのです。
悍ましき湖。

このマップでは、雨が降っていると、水妖が強くなります。
いいですね、こういうマップは楽しいです。
具体的には、例えば水たまりの上に水妖が位置していると、体力がターン回復します。
それが雨マップ上なら何処でも行われることになります。
また、この中層にはおちみずがいます。
おちみずは、擬態が得意。
回復または付加を得られる泉に変化して、近づいた人を攻撃します。
今回は、硫酸を多く受けてしまい、多少苦労させられました。
が、悍ましき湖の特殊環境、雨が降っていると、そのオーラ(?)が見た目に残っていて、
つまり、分かりやすい。

この満腹の霊脈は強いオーラが見えますね。
遠間から手裏剣で先制してしまいましょう。
この中層では岩が多く、逃げた先の通路に岩が置かれている、ということも起こりやすいです。
一撃必殺の付与がされた武器であれば、岩も一撃で壊せます。
斬鉄剣などが相当します。
細かいところですが、演出負荷を下げるためでしょうか、
どの妖怪をなかまに選んでも、攻略しやすいと思うのです。
そして子泣き爺。
雨が降っていると、ダメージフォントなどが小さくなります。
今回は、攻略で苦労した部分がほぼ無かったのですが、
(それこそ、硫酸を受けて武器精錬値がどんどん減らされることくらい)
これは、なかま妖怪が強かったからだと思います。
なかま妖怪は、敵を倒すことで得られる妖力によって新たな技を覚えたり、
なかまとして連れていると、新たな技が使えるようになりますが、
なかま妖怪を少し成長させると、攻略に効果的に育ちます。
大蜘蛛や小豆洗いの粘着液は敵の行動回数を減らしますし、
畳叩きの畳返しは、サトリの読心と同じで1回攻撃を無効化します。
おちみずの硫酸は敵の攻撃力を落とします。
神楽黎明記はローグライクRPGで、ターン制ですので、
相手の攻撃回数を減らしたり、桂香への被害を抑えると、攻略しやすくなるのです。
敵との相性が良いともいえます。
お勧めするとしたら、鉄鼠、蝦蟇、子泣き爺でしょうか。
鉄鼠は、刃砕きで敵の攻撃力を落とし、妖力解放させると、行動回数が増える韋駄天を桂香にかけてくれます。
蝦蟇の甘い息は相手を眠らせてターン行動を休みにしますし、乱れ息で混乱させれば明後日の方向に敵は攻撃します。
特徴は、乳吸いにあります。
霊脈で韋駄天を得たから少し経験値を稼ごうとすると、乳吸いで韋駄天ごと体力を奪われます。
サトリの読心も吸い取ります。

現状、乳吸いによる付加吸収を防ぐことはできません。
また、子泣き爺は、サトリが読心を使っていても、抱き付きは通りますし、抱き付きの持続ダメージも読心では防げません。というわけで、敵として接すると少し手間になります。
そうそう。サトリの読心は、油すましの火の瓶を防げなくなっています。
ダメージを受けた上に読心が解除されてしまう。
また、おちみずの硫酸も防げません。
攻撃を受けた時の武器飛ばしも、少し頻度が減ったように思います。
サトリ、なかま妖怪として連れていると、その読心をサトリ自身に使うのですよね。
最初に桂香に使って欲しいところです。
でも、おちみずのとんずらもそうですが、自分が危うい時に使うあたり、妖怪らしくて良いのかも。

油すましは、成長して火炎の瓶を覚えると、なかなかのダメージを与えてくれます。
桂香の攻撃が届かない、数マス先の敵妖怪相手に、桂香がその場で素振りをしていると、
直線さえ合っていれば攻撃してくれるので、ちょっとお得です。
意図してレベルデザインされたのであれば、素晴らしいと思います。
プレイしていて、やり応えを感じるのです。
ゲームって、進めていて、プレイヤーが成長させて、その上で工夫をしながら進めることができると、達成感がありますよね。
しかしながら。
新技、また利用方法がわかりません。
相変わらず、大妖怪召喚は、九尾の狐のようなものしか出てきませんし、
(デモムービーだとナツ様が出て来るようなので、何か条件が違うのでしょう)
大妖術、六道輪廻の運用方法が分からないのです。

妖怪が倒れても生まれ変わり続けるとのこと、ですが。
名前も内容も格好いいのですが、使い処が分かりません。
もしかしたら、妖術ゲージ維持のために使えるのかな?と思ったのですが、
六道輪廻発動中は、妖術ゲージがどんどん消費されていってしまうのですよね。うーん。
もう少し研究が必要そうです。
それと。
今作から、ボスに勝つと、場に召喚させていないなかま妖怪の妖力が溜まるようなっています。
ボス以外の突然変異妖怪と戦っても加算されないので、ボス用のボーナスだと思いますが。
こういう部分はやり込み要素なので、従前のままの方が良かったと思います。
簡単にさせすぎると、作品の最終寿命が減るからですよね。
実際、今作はあと何をやり込めば良いのか分からなくなっています。
とはいえ、でぼの巣製作所さんは長年開発されているだけあって、論理不整合が見つかりにくく、
修正も小まめにされているので、プレイしていて安心できます。
今作の、例えば中層の仕掛けのように、新しい要素を発想したり追加するのもなかなか大変だと思いますが、
毎回手を出してしまうのは、プレイの中枢部分が安定しているからですよね。
毎回手を出してしまうのは、プレイの中枢部分が安定しているからですよね。
あ、そうそう。やり込み要素といえば、あれも倒せます。

ネタバレが強いので伏せていますが、トドメは鉄の手裏剣で。
ただし、倒しても何のボーナスもないので、何か欲しかったところ。
でも、この登場は凄く良かったですし、オチもらしくて良かったです。
これが出てきたことで、次作以降の派生を期待しても良いのかなと思います。
実はナツ様も音羽葉子もそれらに強くて、滝峰幹也もやや音羽桂香と同じように疎いのかもしれません。
では、期待のシーンですが。
全体的には満足していますが、企画やプロットの時点でもう少し練ってほしいと思います。
というのも、妖怪の特徴らしいものがさほど出ていないように思うのです。
似てしまっているといえばいいのでしょうか。
これは責め方もそうだし、反応もそうなのです。
そして、特徴らしいものが描かれる場合、もう少し頑張っても良いと思います。
例えば子泣き爺。
相手の身体、胸を変化させるのであれば、もっとそこを深掘りするべきなのかも。
2回目、桂香は子泣き爺の身体変化妖術を嫌がるわけですが、嫌がるほど1回目に影響を与えた描写がされていないと思います。
油すましは、桂香の快感を引き出し切れていない。
前々作「神楽黎明記~初花の章~」でも登場し責めていましたが、
妹の初花に乱れ方が負けている気がします。
いえ、油すましが桂香に勝ちきれていないのかもしれません。
全体的に、桂香の反応はお淑やか寄り。
達することは口にしても、妖怪にされているという受け身のスタイル。
「夏神楽」では、あれほど積極的なところを見せたのにな、と。
”乱れコウグチの太刀”な桂香が見たかったかもしれません。
とはいえ。
ビジュアルとマッチすると、やっぱりシーンはなかなか。

体験版でも見せた、蝦蟇の1回目。
蝦蟇には油すましと同様の、身体の反応を良くする蝦蟇の油があり、
塗りたくられた桂香は、本格的に何かされる前に、身体から力が抜けてしまうわけですが、
そこでこの表情差分。すっかり感じ切っているのが見て分かります。良いですよね。
さらに、桂香役のはるかめぐみさんが、
同じ「いや」や吐息でも、シーン始まりから変化していき、明らかに力が抜けて、何かを堪え切れなくなっている演技をしてくれています。
テキストも、桂香の喘ぎから続けて、
「漏れ出す吐息も甘い響きを帯び、官能的ですらある。」と綴られています。
まだ、責めが本格的に始まる前。でも、もう身体は受け入れ可能という描写に、シーンが成形されているわけです。
これがうまいなと感じますよね。
声、ビジュアル、テキスト。
上手く噛み合うと、いいシーンになりますよね。
とはいえ、もう少し長く味わいたいと思うのは、シリーズ通して変わりません。
何よりも。Live2Dモデルです。
そうそう、体験版では揺れなかったのですが、製品版ではクリックで揺れるようになりました。
わざわざ実装してくれて有り難いです。

体験版の時にも思っていましたが、

体験版の時にも思っていましたが、
「はい?なんですか?」の音声のテンションと、表情差分の動きは少し合ってない気もします。
でもいいのです。
このLive2Dモデルはとても美しいです。
「どうかしたんですか?あまり見つめないでください」といわれても、しばらく放置して見ていたくなるモデリングです。
美人ですよね、桂香。
この美人ビジュアルに対して、はるかめぐみさんはとても合っていると思います。
ダンジョン探索中の攻撃ボイス、「はっ!」「てやっ!」が凜々しく、
状態異常時のボイス、「あれ?あれ?!」がとてもかわいい。
そしてシーン中も。
特に、鳴く、が上手ですね。
全体的に、はっきりと言葉にしなくても、抵抗が段々となくなっていく、受け入れていくのが良く分かる演技。
畳叩きの2回目なども、吐息表現というのでしょうか。
蝦蟇の1回目、2回目もそうです。
鉄鼠の言ですが、悶える姿はいいですよね。
なので、もっともっと見ていたいと思います。
Live2Dモデルに限らず、全体的に桂香のビジュアルやスタイルが良いのが伝わりやすく描かれていて、
とても良かったと思いますね。

神楽黎明記17作中、少し大人な退魔巫女は、音羽桂香と遠野舞歌くらいですし、
その中でも、戦っていて凜々しい音羽桂香は、珍しい退魔巫女なのですよね。
次回の登場を楽しみにしたいと思います。
あ、そうそう。タペストリーの絵柄、なかなか良かったですよ。
#追記
武器の精錬のためにダンジョンへ潜っているのですが、
なりすまし。
敵妖怪として出て来ると、一刀両断は随時、遠間から隼猛襲斬で襲ってくるのですが、
なかま妖怪として連れていくと、隼猛襲斬は使ってくれませんでした。
油すましは、軸を合わせると火炎の瓶を使ってくれるのですが。
技が既に記録されているのに使用されない現象の一つかと思ったのですが、どうも違うようです。
(恐らく発動条件に合う場面がない)
代わりに、浄化の符を小まめに使ってくれます。
浄化の符は、状態異常を治すだけでなく、使用後数ターンは状態異常を防いでもくれるのです。
こうなると、ボス戦以外はお守りの装備を状態異常抵抗にしなくても良さそう。

そこで気付いたのですが、今作、なかま妖怪の技の使用頻度がかなり高いですね。
上記で、なかま妖怪の技の相性が良いと書きましたが、技の使用頻度の高さも難易度低減に繋がっているのかも。
あと、改めて思うのは。
「初花の章」でもそうでしたが、ボスでの敗北選択肢。
助けを求めるとバッドエンドに移行するのが少し理解しにくいです。
流されたほうが、バッドエンドになりそうですけどね。
でも、やっぱりいいですね、桂香。
朝の一撃を見ていて、寝ぼすけ組、初花とか幹也あたりを起こしていそう。
桂香はしっかり者なので。
(葉子は、そもそも寝ていないかもしれないですよね)
そういう、水杜神社組のやり取りが垣間見えて楽しいです。