metalogiqさんの「魔法少女消耗戦線」体験版プレイしました。
metalogiqさんのデビュー作は、「魔法少女消耗戦線 DeadΩAegis」。
西暦2099年。
人類は新たな大航海時代を迎え、生存圏の最前線は土星にまで到達。
火星には基地が作られ、月は自治権さえ得ていた。
そこへ、災厄が訪れた。
天王星から帰還途上の有人宇宙船が消息を絶ち、調査団も次々と消息を絶つ。
そのうち一隻が送ってきた通信が、エイリアンの襲来を告げた。
クラゲやイソギンチャクを思わせる姿のエイリアンは、宇宙的刺胞生物C.Cと呼ばれた。
対抗するため地球統合軍が編成されたが、迎撃に向かった統合軍は壊滅。
火星基地を殲滅の後、C.Cは地球へ侵攻を続けた。
大量破壊兵器を投入してもC.Cの母船らしき存在に傷をつけられない。
コンタクトも受け付けられることなく、人類の破滅は避けられないと思われた時。
特殊戦技兵団が投入された。
通称、魔法少女部隊。
アニメやMANGAから抜け出したかのような彼女らは、
慣性も重力も無視しあらゆる物理法則を薙ぎ倒す軌道でC.Cを蹴散らしてみせた。
さらにC.Cの侵攻ルートを辿ると、未知なる空間の先にC.Cの本拠を発見する。
95%を損耗した統合軍は新たに資源を集結。
C.Cの本拠を監視、対峙する巨大基地を建設、魔法少女部隊を常駐させた。
月軌道会戦と呼ばれる戦いから9年後。
孤児になった火星生まれの飯塚みのりは、目指すもののために統合軍士官学校へ通う。
助けてくれたのは、英雄と呼ばれる魔法少女リゼット・オージュロー。
彼女のように、人々をCCの脅威から救う。
二度と、みのりのような人間を出さないためにも。魔法少女へ……。
体験版は、654MBでした。
原画は、上田メタヲさん。
シナリオは、丸谷秀人さん。
システムは、SYSTEM-NNN。
古いシステムですが、現役なのですね。
このmetalogiqさんは、尖ったブランドコンセプトがあります。
今作のコンセプトは。
可憐で勇ましいプロパガンダの裏で、酷い目に会いながらも、折れずくじけず戦う少女の姿素晴らしいなと思ったのは、このコンセプトを本当に描いていること。
そのために徹底していることです。
重たい展開を、重たいと感じられるために、必要なことがなされているのです。
たとえば。
みのりと、光臣。
二人のこれまでを、いかにドラマティックなものであったのか、きちんと描写されているのです。
飯塚みのりは、戦災孤児。
宇宙的刺胞生物C.Cに襲われた火星基地の生存者で、生真面目に特訓を続け、優秀な成績を収めて魔法少女選抜を通った。
光臣は、世界経済を手にするハーゲンホルム家に産まれながら、親族に寝首を掻かれないよう警戒し、かつ努力を続けて、C.Cとの戦いに商機を見出したことから軍を志願する。
互いに、相手の出自や立ち振る舞いが気に障り、反発していた出会い。
普通であれば、重なることのなかった二人は、訓練中の非常事態を共にすることで互いを認め合う。
それから、年数を経ていくごとに光臣の隣にいる女性の数が減り、
気付けば周囲から噂されるくらいになって。
卒業目前のクリスマス。
選抜試験のことを話題にしながらも、落ちたら自分の会社に来て片腕となってほしいと誘うほど信頼を寄せる光臣。
最後になるかもしれないからと、いつもの場所を提示しながら、実はと取り出すディナーチケット。
けれど、出会い当初に軽薄だと誤解される、本気かどうかわからない態度は崩さず。
みのりも、最後だから。いつもより以上に、光臣の隣にいる自分が周囲からどう見られるか気にしてしまう。
しかし。
C.Cとの最前線基地となるカテドラルへの出発命令が下り、二人はやっと繋いだ手を離してしまいます。
このあたりの前段をしっかり表現してくれたことがすごく良いですね。
そして。
最高軍事機密とされていた、特殊戦技兵、魔法少女への成り方。
このあたりはストーリーの肝になるのでぜひ体験版で味わって欲しいですが、
魔法少女はC.Cの力を借りているということ。
一律に受ける、雑なふるい落とし。
折角育てて選抜して、でもあとは蛇の巣穴に放り込むかのような。
巣穴から抜け出で、魔法少女化しても、追うC.Cに喰われるなら捨て置く。
過酷な魔法少女化ミッションが訓練生を待っているのです。
今年度は200名余が選抜され、そして魔法少女化に至ったのは四分の一。
これでも、生存数は最多であるかのように思える記述が見られます。
魔法少女化すると、宇宙空間で活動が可能となり、光線放ち勇ましく戦うことができます。
しかし。身体はどんどん疼いていく。
戦闘中でも、戦闘後でも。
自分に厳しい飯塚みのり(いねむりすやこさん)でさえ、戦闘中は力を使う度に強烈に刺激を受け、
戦闘後は冷たいシャワーを浴びても収まらずに……。
憧れのリゼット・オージュローと同じ姿を得て戦える、守ることが出来る。
なのに。
身体に住まわせた、いや巣くう”聖杯”が、憧れのままでいることを許さないのです。
全てを監督するのは、月軌道会戦のもう一人の英雄とも呼べる存在、ルパート・キニスン司令。
特殊戦技兵団創設者で、半ば強引に前線投入を行った果断の人と知られています。
その後、対C.C前線基地カテドラルの建設を行い、指揮を執っている、
……のですが、事前に知っていた最高司令と、顔がまったく違うといいます。
けれど、アイドルとして様々な営業をこなしていたイリューシャ・ペドロワ(手塚りょうこさん)すら、手玉に取るのです。
しかもそれが、特殊なことをするのではなく、ずっと最高司令という最前線にいたからこその経験で。
人の分析。
対峙した相手を、その応答と仕草から性格傾向を見抜き、データと合わせて遍歴まで見抜く。
イリューシャは、心の内側を見せず応対することなど、アイドルとして茶飯事。アイドルとしてなかなか芽が出ず、経験を積んできています。
弁えるべき時が分かっている理知がある。
なのに心のガードを丁寧に剥がされてしまいます。
その後も何かと関わり、新任隊員の中で一番優秀といわれるイリューシャは、
キニスン司令に落ちてしまいます。
シーン中、行為による服従でないところがすごく良いなと感じます。
もちろんその上で、責め方も巧み。
魔法少女の成り立ちを当然知りながら、これまで幾度となく対応してきた経験を見せます。
イリューシャだけでなく、彼氏がいることを公言していた如月七虹(今谷皆美さん)すら、あっさりと。
訓示は潔く、覚悟の男といった噂通りではありますが、
本当は何をしているのでしょうか。
キルケ・ベルンハルト(柏木逢花さん)の理由は何なのでしょうか。
キルケは、元魔法少女。
特殊通信能力を活かして基地でオペレーターを行っています。
英雄リゼット(みるさん)と一緒に戦っていた過去があり、語る口調から未だにリゼットを讃えているのがわかります。
様々なことを知りつつ、それでも軍に身を置いていることになります。
新任隊員たちに「主役は貴女たち」と伝えながら。
すごいですね。ここまで密度の高い展開が描かれるテキストとは思いませんでした。
描写のためになら、音楽にだって手を抜いていません。
背景もかなり凝っています。冒頭のクリスマスなど、人々が生活を謳歌しながらも、統合軍反対運動が行われているのが見られます。
統合軍のプロパガンダがどう受け止められているか、テキストで表しつつ、です。
このあたりもコンセプトに沿ったものでしょう。
キャラクタは上田メタヲさんデザインのため既に信頼感がありますが、枚数もすごいと思います。
一瞬しか映さないのですが、C.Cに喰われる魔法少女も、わざわざCGを用意しているのには驚きました。
良くここまでできるなと、納得させられてしまう体験版でしたが。
それだけに、metalogiqさんのブランドコンセプトが突き刺さります。
これを楽しめるだけの度量が、プレイヤーにはあるのかと。
でも、これだけの前提を敷いてくれた物語。
どんなエンディングになるのでしょうか。
2021年3月26日(金)発売予定です。
なお、豪華版にはリゼット・オージュローが英雄と讃えられることになった戦い「月軌道会戦~最初の特殊戦技兵達~」が付属します。
残雪はどのように散ったのか、キルケの理由は何かも明かされそうですね。
ダウンロード販売もあります。
製品版をプレイしました。感想はこちら。