エレクトリップさんの「魔法姫士アリカ&リン」感想です。
erectlip『魔法姫士アリカ&リン 乙女に群がる男たちの魔の手「それでも私たちは負けない!!」』応援中です。

2015年発売作品。

エレクトリップさんの「魔法姫士アリカ&リン」は……。
「ほんと、ありかの無限の愛情には尊敬するよ」
「でもリンちゃんのほうが尊敬しちゃうよ。言いたいことをずばっと言えるもん」

愛彩ありかと鈴倉りんが用事を終わらせて学園を出ると、耳の長い小動物をいじめる男達を見つける。
止めさせようと声を掛けるが、男達は二人に襲いかかってきた。
「君たちの力を貸してだモ!」
兎の声が響き、二人の服が変わっていた。まるで漫画の世界に出てくる魔法使いであるかのように。
「それが魔法姫士だモ!」


という導入でした。
それでは感想です。ネタバレは少しあります。

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うん。すごく楽しめました。
6年前の作品とは思えないくらい。何故この作品の続編が出ていないのか不思議に思います。

原画は、がおうさん、織澤あきふみさん。
シナリオは、栗栖さん、瑞守ねおんさん。


エレクトリップさんはアミューズクラフト系列ブランド。
システムUIなどは同時期発売の系列ブランド作品に即しています。
SEや背景等は、最新発売作品でも見たことがありますね。

つまり、現在でも通用する画面をしているのです。
演出などは6年前の作品とは思えませんし、
彩色も、クオリティの高さはさすがアミューズクラフト系列ブランド作品なのです。

そして、キャラクタを活かしたシーン構成。
テキストもしっかりしていますし、納得度が高い。

これでロープライス作品とは。

さて。
異星人は、生体エネルギーを求めて襲来しています。
その目的のために特化しており、人間の精神に影響を与えてコントロールしたり、魔法遮断を行うこともできます。
兎のような人工生命体モルルにより、思いを力に変えて戦う魔法姫士となったアリカとリンですが、果たして……。

進行は、選択肢はありますが、ある程度は一本道。
シーン選択が提示され、全てを読み終えると次に進みます。
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アリカ単体か、リン単体か、同時にか。

良いなと感じたのは、愛彩ありかと鈴倉りん、それぞれのキャラクタ設定を活かしたシーンが綴られていることなのです。
アリカのほうが知識も身体の反応もいい。リンはスレンダーで知識が乏しいといった形です。
これらがきちんとシーンに反映されています。

愛彩ありか(花澤さくらさん)は、母から遺された「みんなを好きになりなさい」という言葉を大事に、
日々過ごしています。
奉仕精神が高いといってよいと思いますが、周囲から都合良く使われる面もあるようです。でも本人は気にしていません。
スタイルはグラマー。知識もあるので色々分かっています。

この、知識がある部分と、奉仕の姿勢とが良く噛み合うシーン構成なのです。
異星人が男子生徒を苦しめ、されたら恥ずかしいこと、でもお願いされたら応じてしまう。
いけないことをしている背徳感と臭いとで、アリカは自分の内側の熱が上がるのを感じ取っていく。
望んだ行為ではなくても、した相手がそれで悦んでいると、アリカは嬉しいと思ってしまう。
だから言われた通りのやり方で続けてしまう。それで興奮してくれるのならやりたくなる。
そして、アリカ自身の恍惚へ、辿り着いてしまう。
この進め方がとても良いのです。

奉仕精神を供えている設定がうまく活かされたシーン構成。
行為を受け入れる理由に納得がしやすいのです。

感覚が育っていくと、相手のためにしていることと、気付かず自分が欲していることが混ざり合う。
その時点で、アリカの性質、悪い人に騙されやすいところも活かされます。
それでも、アリカにとっては人助け。これもなかなか上手いと思います。
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こんなアリカのことを悪く思えないのは、花澤さくらさんの声で、真剣だと表現されているからなのかもしれませんね。

地の文も丁寧で良いと思います。
気持ち、精神状態、身体の反応と、読んでいて楽しめます。
何をしているのかがわかりやすくて、上手い描写がなされているのです。

相棒となる鈴倉りん(唯香さん)は、スレンダーで強気。
唯香さんの声がとても合っていて、ツンとしたところがいいのですが、
その強気なリンだからこそ、催眠を絡めたシーン構成が良いのですよね。

実は、スレンダーなところにコンプレックスがあったり、正義感から強気に出るのですが、
そこもシーン展開に上手く組み込まれているのです。
魅力が無いと思っているから、魅力があると言われると弱かったり。
強気に出るといっても、正しいことに賛成する程度の正義感であるから、打たれ強いわけでない。
リンの弱点に上手くガイドして進むのです。
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相手に好意的であるかのように振る舞う。
相手の要望にもっと応えていく。
催眠誘導が元。でもそれは、リンが元々欲していた気持ちに沿うもの。
誘導をいきなり解かれても、走り出した快感は止められない。

上手い進行ですよね。
もちろん、このタイプばかりではありません。バリエーション豊かです。

音声のクオリティも確かですし、バックグラウンドボイスもあって聞き応えあります。

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キャラクタ設定に沿ったシーン構成が為されていると、進めることで一貫して楽しめることも多いと思います。
見ている側の感覚や興奮を育てることができるからです。


変身ジャンルだから負けることが前提、という構成ではない。
エンディングも一つではない。
意外性もありましたし、とても楽しめました。

テキストが巧く、ビジュアルも良く、音もいい。
続編または系列作品のリリースを待ちたいです。






どうして積んで置いてしまったのかなと考えると、
購入当時は、こういう特化作品の理解が進んでいなかったためだと思います。