SMEEさんの「ハジラブ-Making*Lovers-」体験版2もプレイしました。
SMEEさんの新作は、「ハジラブ-Making*Lovers-」。
プロモーション版に続き、本体験版がリリースされました。
潮鳴神社の七夕祭り。
ライブステージ上の金髪の少女が紡ぐ歌詞に共感を誘うフレーズがあった。
”この出逢いはきっと運命だって信じてる”。
恋に出逢いは重要だ。ある程度バカにならなきゃ恋なんてできない。二の足を踏む理性を吹っ飛ばしてくれるような刺激的な出逢いこそが、恋には必要不可欠だ。
この七夕祭りの日は、様々な出逢いがあった。
両親や親戚を除けば一番付き合いの長い幼なじみは、人混みの中で屋台を物色していても見つけ出した。
浴衣の着こなしも完璧な、園池桜子。
ライブステージのチケットを譲った相手は後輩のギャル風の女子。
ライブの盛り上げ役になりそうな、秤結衣。
運営捜していた迷子は、同学年の他のクラスの女子の弟妹だった。
小唄ママとあだ名のつく、篠原小唄。
宮司を呼び出しにいった本殿で、美人だが変わりものだという夜舟初穂からは、
七夕祭りの日に願うと、その願いが叶うといわれる星見の滝を示唆される。
祭りのフィナーレとなる花火を見ようと行ってみると、何故か四人全員がそこにいた。
打ち上がる花火の音にかき消されながら、呟く。
「もしも本当に願いが叶うとしたら、俺は――本当の恋がしてみたい」――。
原画は、K子さん、まんごープリンさん。
シナリオは、雪丸仟さん、ギハラさん、誘宵さん、早瀬ゆうさん。
ディレクターは、カスカベシシオさん。
シナリオは、雪丸仟さん、ギハラさん、誘宵さん、早瀬ゆうさん。
ディレクターは、カスカベシシオさん。
BGMはSONO MAKERSさん。背景はアトリエ空機関さんです。
さて、今作はタイトルが表すように、「Making*Lovers」と似通ったコンセプトを持つ新作です。
このあたりはSMEEさんの徒然生放送 SMEE最新作「ハジラブ-Making*Lovers-」についてを視聴すると良く分かります。
”いきなり付き合うことからはじまる恋、恥じらい+”というコンセプト。
かなり早い段階で付き合う流れが体験できます。
今作の特徴となる俺デートやカノジョカイセキ、恥じらいシステムなどの体験はできません。
こちらも製品版で、ということでしょう。
ところで公式サイトのタブが未だ「プロモ版で遊ぶ!」になっているので、変更しても良さそうですね。
(#追記 マスターアップ時点では修正されました)さて。
今作では名前を入力させる仕組みとなっていますが、これが苦手です。
ランダム入力できるので、自由入力したい方も、そうでない方へも対応できているということなのでしょう。
けれども、名前を入力したからといって没入感が上がることはありません。
どう考えたって他人の物語です。
例えば、今作の主人公はPA系を一通り勉強した人生を過ごしてきています。両親がドラマティックな恋愛の末、結婚に至っています。
そして、かわいらしいヒロイン達との出会いがある。
果たして名前を入力しただけで、そんな人生と合一できるものでしょうか。
何よりも、ヒロインが主人公の名前を呼ばなくなるのが好きでは無いのです。
すごくもったいない。名前を呼ぶから関係性が味わえるのに。
最初はそれこそ代名詞でしか呼ばない、名字を呼ぶといったスタート時点から、
親しみを込めて名称をつけたりするようになる。音が明らかに変わるのです。
この瞬間ですよね、すごく良いなと思うのは。
気持ちが通る、通らない。隠したい、隠したくない。信頼、恋愛。
それが全く無くなってしまう。
場合によっては、一般的に知られる名前から、名を捩った渾名呼びへ変わることもあるでしょう。
この機会が失われてしまう。
いや、秤結衣は出会い頭の呼び方、先輩で大正解です。
秤結衣(白雪碧さん)
アイドル青海ソラがとにかく好きで、ライブであればコール完璧を主張するファン。
ライブのチケットが手に入ると聞き、主人公の元を訪れる。
青海ソラと同じリップを使い、髪型やシュシュ、ヘアカラーも同じにし、スカート丈まで合わせるこだわりの強さがある。
そのおかげなのか、見た目が良く、ファッションリーダーのような扱いを受け、周囲との関係に困ることも。
いや、このポーズ、本当に秤結衣が魅力的に見える立ち絵ですよね。
しかも笑顔差分が豊富で、ものすごくかわいいです。
瞳の描き込み、口元でしょうか。彩色もすごく良いですよね。ネイルをきちんと見せていたり、つい見てしまうキャラクタです。
ビジュアル強い、すごく良いなとは初めから感じていましたが、
これに何を言わせるか。これがすごく正しい。かわいいです。
そして、キャスティング。
「り」。
いわゆる了解の返答なのですが、この「り」だけですごくかわいいの、ズルくないでしょうか。
いや、素晴らしい配役ですね。素晴らしいビジュアルですね。素晴らしい進行ですね。それら前段があってこその「り」なのです。
後の「あっ」もすごく巧いですよね。さすがです。
場面は、ここに入れておけば落とさないと言い張る秤結衣がスマートフォンを無くし、探すために主人公が電話を掛けるのですが、妙なところに入り込んでいて。
すると秤結衣役の白雪碧さん。狼狽え、マナーモードの振動に反応、どちらも感じさせる一言なのです。巧い。なのですかさずセーブするのですが、やっぱりシステム改良をお願いしたいですね。
そもそも、テキストウィンドウにセーブボタンがないのは何故ですか。
これだけ魅力的なヒロインがいて、魅力的な場面を産み出せるのにセーブファイル上限があるのは何故ですか。
ともかく、秤結衣は受けた恩を大事にする性格の良さがあるので、一緒になってからも絶対に良い関係が作れそうです。
自分に自信をもって、本当の自分で過ごしたいと思う秤結衣。
今は、なりたい憧れを、それこそコスプレしているようになってしまっているけれど、いつかは。
そんな願いを持つ、秤結衣の彼氏のフリをすることからはじまる恋。楽しみですね。
後半の髪型もなかなかにかわいらしく。
好きな相手には甘い、のは、主人公も秤結衣も変わらないのです。
篠原小唄(月野きいろさん)
弟妹が4人。新たに5人目が産まれる予定の大家族。さらに実家は居酒屋。
篠原小唄は、弟妹の面倒を見たり、お店の手伝いをしたりと忙しい。
その弟妹たちが七夕祭りで迷子になっているところ、運営側として迷子を捜す役を負った主人公と出会う。
初登場のビジュアルがびっくりするくらいかわいい。
いや、大正ロマン着せましたか、そうですか。
七夕祭りの矢絣がとてもいい感じですね。きっと足元はブーツでしょう。なるほどと納得してしまいました。
魅力の一つだと思うのですが、篠原小唄は、
誰かに食べさせたり、小傷の手当てをしたり、お風呂で洗ったりするような、面倒を見る動きが自然にできてしまう。
もうすっかり身についているのですよね。長くそうしてきたから。
そうなるまでに過ごしてきた日々を、決して悪いと思っていない。
今が楽しく充実していて、あえて一歩を踏み出そうなんて考えない。
でもそれは、自分が気付こうとしていないだけではないのか。
弟妹達や主人公とのやり取りで、篠原小唄は日常から踏み出す事を決めるのです。母性が強いキャラクタという紹介があったので、自分で決めて自分で踏み出す物語だとは思いませんでしたが、良いですね。
積極的になった篠原小唄は、付き合うようになると、結婚5年目の枯れかけた夫婦役を演じる遊びをしたりと、仲良く過ごすようです。
ご無沙汰人妻風味小唄ママを演じてみせる月野きいろさん、器用ですよね。
囁き声が既にASMRめいています。
学園の料理部では、料理を振る舞いながら他の生徒の愚痴を聞くこともある、酒場の主人のようなことしており、それが元で小唄ママというあだ名がついているとのこと。
主人公に何かあった場合に、同じように話を聞いてくれる場面もあるのでしょうか。
弟妹達は、篠原小唄が恋をして幸せになってほしいと願うから、星見の滝を探していたのですから。
あの暖かい家族が、その後も登場すると良いですよね。
夜舟初穂(白月かなめさん)
潮鳴女学園のに通う、ある意味有名人。
祭りを運営する青年会にも、美人ながら変わり者だと知れ渡る、現宮司の娘。かなり特殊能力を保持していて、そのくせ何をやっていても様になる。
他のヒロインたちと接し方が違い、一方的にツッコミを求められるタイプのキャラクタです。
からかってくるのが基本で、丁寧語で接してくるが、主人公にはフランクな対応を求めたり、妙なところで照れて見せたり。恐らく登場時点なので、夜舟初穂の間合いというかスタンスが掴みにくいのでしょうね。
ツッコミがないと突っ込まれるまでアピールするところから、構ってくれるのが嬉しいようです。
代々の社家であり、祖父からお見合いをするよう求められているため、婚約者の代わりになってくれるよう願い出ます。
が、その願い出方がなんとも言い難い。
素直にお願いをしてくることなく、主人公に良縁を持ってきたような言い出し方なのです。
「もしあなたが本当に願いを叶えてあげたいと思う誰かがいるのなら、どうか私のことは忘れて、その方を誘ってあげてください」
しかも、自分は選ばれなくても良さそうな言い回し。
でも、何となくですが、それは夜舟初穂なりの予防線であるようにも思います。
夜舟初穂は、運命を、運命的な恋の場とを用意してくれた人でもあるのです。
幼い頃から主人公との縁があったのであれば、なお。
それは、相手の幸せを願うというタイプの。
夜舟初穂は、本当に能力を持っているかのように予見をみせますし、
その言葉には、感じ取れるものだから、理を知るからという重みがあるようにも。
また、願いに代償が必要という摂理を以て事に当たることも。
なお、主人公の両親も星見の滝で将来を願い逢ったが、その案内人となったのは夜舟初穂の母とのこと。
その母を想うから、主人公に協力させようとするようです。
知る限り、白月かなめさんに「なんて?」と発させたシナリオはこれが初めてに思います。
以降も、どこからくるかわからない謎会話の投げかけで、飽きること無く過ごせそうです。
どのヒロインも素晴らしく魅力的に思えるのです。
しかし。この主人公には無視できない存在が居ます。
園池桜子(鹿瀬紫卯さん)
主人公の幼なじみ。
朝起こしに来るが、朝食の用意と昼食の用意すらしてくる。
詳しいことを言わずとも伝わる関係性。
桜子はすごいですね。
主人公が愚図ったり軽口を言っても、受け止めながら受け流せる。宥め賺しが上手い。
食事をしている主人公が何をいわなくても、気に入っているかどうかが分かる。
主人公がどんな考えで何を選ぶのかがわかるし、離れていてもどこに居そうなのか想定ができる。
これ、主人公をよく見続けているからできることなのですよね。
そういう距離感だと表しているのです。
キャラクタコンセプトとして、恋はないけど愛はある、だそうなのですが。
いや、この関係を夫婦と見做すなというのは無理がありますよね。
この主人公の場合、どう考えても桜子以外を選ばないのでは無いかと思うのですよね。
そこがやや難しいなと感じます。
だって桜子。こんな気持ちを言ってくれるのですよ?
「二人で一緒に、縁側でお茶を飲みたい。この先も変わらずに……おじいちゃんおばあちゃんになっても」
これ、本当の告白に至る前でも、ですよ?
園池桜子は、主人公のことなら何でも理解している。だから、あとは言葉での手続き。
一緒に星見の滝に居ることは、気負うでもない確認のため。
主人公もそうですが、周囲が冷やかしてくるだけだ、という姿勢を取っては見せますが、
人生最期に至る気持ちが同じなら、相手は最初から桜子だけですよね。
プレイヤーとしては選べると思うのです。
どの相手も魅力的。各キャラクタの出会いから、それ以降の流れは素敵なのです。
ただ、この主人公は、少なくとも園池桜子を無視を出来ない。
他のヒロインを選ぶのなら、何らかの決着が必要な相手でしょう。
ということで、園池桜子、素敵なヒロインでした。
あらゆるセンターヒロインの設定を、しっかり受け止めてくれるだけのキャラクタになっていたのです。
鹿瀬紫卯さんをよくぞキャスティングしてくださいました。
プロモーション版を見た時から期待はありましたが、ここまでの完成度があるキャラクタだとは。素晴らしいですね。
何でも理解してくれている幼なじみって、形成しづらいキャラクタではあるはずなのですが、そのハードルを超えてきています。
良いものなのですね、理解ってくれる人って。
ビジュアルの良さはプロモーション版を見た時点で理解していましたが、
その後も本当に良くてびっくりしました。
原画、彩色担当の方、本当に素晴らしいと思います。
また、演出もなかなかで、『Girls Carnival』の使い処もとても良いです。
声優さんの配役も良い。どのヒロインも良くて選びにくい。
期待値がまるで落ちないことにとても感心していますし、新体制でもさすがと感じました。
誤字、指示スクリプトが残っているところがありますし、
セリフ中の表情差分変化を、他の箇所と同じようにつけた方がいいセリフもあったりします。
でも、製品版発売までには修正されていくでしょう。
あと、たこ焼きのビジュアルクオリティが異常です。
それと、園池桜子の友人の木村あつみが良い声ですね。またヒロインを担当されても良いはず。
細かいところですが、主人公の着信音も丁寧。こういうところに気を遣えるのはすごいと思います。
体験版では公開されなかった俺デートなどは、二人の関係性を楽しむためのスパイスとなってくれると期待します。
カノジョカイセキは、製品版でじっくり見せて貰いたいですね。
2021年6月25日(金)発売予定です。
関連作とのセットもあります。