Sonoraさんの「ウチはもう、延期できない。」体験版プレイしました。

体験版は、1.02GBでした。
椎馬さやか(桃山いおんさん)
キャラクタに良い人生を歩ませてあげるために、手伝って欲しいと、
榊原愛(小波すずさん)
必要なもの、それでもやる理由は、好きだからという熱量。
プロとして守るべきことと好きなことは衝突するかもしれない、その折り合い。

2021年11月26日(金)発売予定です。
Sonoraさんの新作は、「ウチはもう、延期できない。」。

柔らかな春の日差しが降り注ぐなか、
椎馬雅史は、幼馴染みでクラスメイトの宮村未来と一緒に下校していた。
来年も同じクラスになれたらと、思いは一緒だった。
駅前に差し掛かると、外国車が猛スピードでこちらに突っ込んできた。
運転席側のガルウィングドアが開いて、現れたのは雅史の姉、さやか。
「さあ乗って未来ちゃん。”ウチの未来”はキミにかかってる!」
そうして連れられてきたのは、商業ビルの一室。
パソコンが設置された作業用のデスク、奥には会議スペースもあるようだった。
少し古めかしいビルの外観とは裏腹に、内装や設備は手入れが行き届いているように見えた。
ただし、壁に女性キャラクタの裸が描かれたポスターが張られ、
成人向けゲームのパッケージが棚に並べられているのだ。
「ようこそ地獄の一丁目、ハーデスソフトへ!」
姉さやかの会社の新作ゲーム開発が遅れて困っているので、二人に手伝えという。
しかしそれは、エロゲーで……。
体験版は、1.02GBでした。
企画・原案は、かたひとさん。
音楽は、Peak A Soul+さんです。
いつもの前説が延期告知芝居で、いきなり笑わせていただきました。
作品舞台の中心は、業界というより制作会社そのもの。
自虐ネタになりそうなところをうまく笑いに変えていて、
明るく楽しいエンタメ作品に仕上がっているようです。
最初に、気になることを。
作品の方向性です。
体験版をプレイしていくと、エロコメディと表現して良さそうな要素がふんだんにちりばめられています。
そこが、どうも納得しにくい。
ゲーム制作は、どのジャンルであったとしてもかなり厳しいと聞きます。
その内容を真に迫る形で描こうとしたらブラックになりすぎてしまう可能性もあるし、
ゲームがエンタメであることを考えると明るく楽しめるような要素を加えるしかない。
なので、方向性に同意は、できるのです。
しかし、ぼかしたり、悪く描かないように気を遣って描写したりしていくと、
体験版で見所が終わってしまっているように思えるのです。
体験版中に、マスターディスクをバイク便で送っています。
すると残るのは、エロコメディであるところだけ。
そうなってしまっていないでしょうか。そこが不安です。
確かに、シリアスに描いていくと、ドラマはありますがブランドカラーとは違うのでしょう。
でも、CUFFS系列ブランドさんの作品は、どうも体験版より後、製品版パートが弱いように思えてしまって。演技が上手く、音を聴いていて心地良い声優さんばかりなので、その能力を最大限活かすような芝居を、ドラマを見たいなと思ってしまったのです。
椎馬雅史の実姉。
ゲーム会社に就職した、と思っていたら、上司と合わずに辞めてしまったらしい。
そして両親からお金を借りて独立、起業していた。
ハーデスソフトではメインライターでもあり、デビュー作では好評価を受けた模様。
同人経験者。
執筆をし始めるとそれ以外を何もしなくなるため、雅史は制作を手伝ったり、
食事や健康面などでもフォローをしていた様子。
代わりに、さやかの部屋の棚からゲームをこっそり拝借していたが、
取りやすい位置に置いたものを手に取っていたようで、
つまり、雅史の性癖はさやかに全て知られている。
絶対センターヒロインだろうなと思っていたのですが、
公式サイトによれば、なんとサブヒロイン。
ここが引っかかりますね。
ストーリーとして面白くなりそうなのは、
最初に作ろうとした人の気持ちなのだと思うのですよね。
その中心人物がサブヒロイン、となると。
雅史の7歳年上だが、見た目には幼く間違えられやすい。
勢いで突っ走るタイプのようだが、それでも責任は代表の自分が取ろうとする。
テンション高く突っ走る芝居。
バッドエンド時のテンションどん底の芝居。桃山いおんさん、良いですよね。
宮村未来(立花萌音さん)
椎馬雅史の幼馴染み。
ネットの小説投稿サイトで、2年も恋愛小説を投稿し続けている。
家族にも内緒にしているが、読み専の雅史に下読みをしてもらっている。
実は、雅史にも内緒にしているが、官能小説アカウントにも投稿をしており、
その描写が良かったため、椎馬さやかがスカウトを決めた。
つまり、恥ずかしがってはいるが……。
隠していた小説投稿のことよりも、
姉が自分を信じてくれていなかったことに対し、感情を爆発させてしまう。
やや甘えん坊。不満があると膨れたり、感情表現豊かなタイプ。
スタイルに自信が無い、というよりも、雅史の好みと違うことを気にしている様子。
うみゃい棒が大好物。
エロラノベで培った力で、どんな喘ぎを書き上げるのでしょうか。
立花萌音さんにはぜひ、音読してほしいところ。
クラスメイトには、響野紡や悠木和心、鳴瀬かなえがいる。
時期的に、響野商店がリニューアルオープンした頃のよう。
宮村花梨(葵時緒さん)
椎馬さやかと幼馴染み。
声優デビューし、バイトを掛け持ちしてレッスンに通う。
ハーデスソフトでは事務を担当。
そして、ハーデスソフト処女作「女神の未来は僕のオナペット」で人気を集める。
音響監督からも太鼓判を押される実力がある。
キャラの人生を背負うかのような声優の仕事は好きで、ジャンルは問わない。
恋愛ゲームが好きなため、恋愛が要素として用いられやすいエロゲーは好き。
そして自身の艶のある声質ともマッチしていると感じている。
両親や妹の未来には、エロゲー声優であることを言っていなかった。
そのことで諍いが産まれるが、収録現場に立ち会ってもらうことで、
演技と本気が未来に伝わった様子。
色気があり、スタイルも良い上にコスプレもこなすが、
漢字には弱い。
キャラクタに良い人生を歩ませてあげるために、手伝って欲しいと、
未来に頭を下げるところ、とても良いですよね。
艶のある声という役に葵時緒さんを選んだのは正解だと思います。
鈴本千紗(森谷実園さん)
ハーデスソフトの原画家。
椎馬さやかと一緒に同人制作をしていた頃からの友人。そのまま同じ会社に入り、一緒に辞めて、そしてハーデスソフトを立ち上げた。
そのため、外部的には役員。
ハードスケジュールになる時は泊まり込み、下着姿のまま雑魚寝をしている。
マンションを持っていたり、身につけているものも質が良く、
車もガルウィングスポーツカーだが、社用車の扱いをされることも。
散財こそ良質なコンテンツ作りに通じるもの、という考えがポリシー。
椎馬さやか、宮村花梨と同じ年齢だが、やや年齢のことを気にしている様子。
そして、自分の身の回りのことがうまくできていない素振りがあります。同人時代にも極限入稿をしていたというマジモード。
壊れたように発する「愛してる!」の音がかなり好きです。さすが森谷実園さん。
ハーデスソフトのグラフィッカーチーフ。
背景は担当しないが、塗りはほぼ全て担当している。
実は独学でグラフィックの腕を磨き上げている。
マイペースで男性が苦手。
人に教えることも苦手なこと、塗りが独特といわれることも相俟って、
結局独りで仕事を抱え込んでしまうことに。
宮村花梨をやや苦手にしている。
いやー、相変わらず芝居の調整が巧すぎますね。
会社に入ってきて声を掛けている、不意に後から声を掛けてきている、など。
そしてセリフ中に調子が変異する「ふへへ、あざまぁす」はすごいですね。これはさすがの小波すずさん。
ただ、一気に仲良くなりすぎている印象があります。
人見知りで男性が苦手の設定。
たとえ弟と似たところがあるにしても、そんなに素をいきなり見せるかな、とは。
テンポはすごく良いと思うのです。
が、先述したように、ある意味もう楽しい部分は終わってしまっているように思える。
椎馬さやかは、同人時代から苦労を抱えていたわけでしょう。
ドラマはたくさんあると思うのですが、体験版以降でそこは描かれないように見えてしまう。
部屋にこもって色んなゲームをしていたから、椎馬雅史に身の回りのことをやってもらうくらいに没頭し創ることを楽しんでいたはずなのに。同人制作から、ゲーム会社へ入社、折り合いつかなくて気の合う仲間と創業。
好きだからといって、会社を興すかといえば相当に必要なものがあります。
「おかげさまで、法律関係の手続に詳しくなりましたよ」なわけでしょう。
やりたくないこともたくさんある。
でもやる。やりたいことを、やるために。
必要なもの、それでもやる理由は、好きだからという熱量。
その発露はまさにドラマになると思います。
プロとして守るべきことと好きなことは衝突するかもしれない、その折り合い。
様々なことを乗り越える。
それが発露の過程と結果で、ドラマになるはずです。
それがない。
そうだとしたらもったいないし、なんとも判断が難しいですね。
だから、どんなに素敵なイベントCGが用意された場だとしても、
椎馬さやかが雅史を誘った理由がふわっとしていて、良い場面とは思い難いのです。

そうそう。
椎馬さやか役、桃山いおんさんのキレ味ボイスばかり登録してしまっているのですが。
バックログ中にもお気に入りボイスが登録できるといいですね。
このあたりのシステムは、これから洗練されていくでしょう。
公式サイトURLが「enking」になっていて、何とも味がありますね。
2021年11月26日(金)発売予定です。
ダウンロード販売もあります。
細かいところですが。成果主義でも労働時間管理は必要なのでしたよね。