Triangleさんの「魔法戦士レムティアナイツ2」感想です。
魔法戦士シリーズは、20年以上続いています。
イオタが捕らえられていることがシータに分かる場面。ぼやけて、整合性が気になります。
負けが確定していないのに負けイベントCGが表示されるところ。
気になるところばかりを挙げましたが、では良かったところは、
二人は妙に弱く、油断もありますが防御力が薄い。1クリック敗北になってしまっています。
パッションは相手が誰でも強気。
また次回作が楽しみです。
2021年11月発売作品。
Triangleさんの「魔法戦士レムティアナイツ2」は……。
日頃は魔法療法士として活動しながら、ひとたび魔法災害が起きれば魔法戦士レムティアシータに変身して戦う彩姫くるみは、
魔法戦士の中で最高の魔力を保有しているといわれながら、しかし最近は魔力が安定しない日々が続いていた。
地上では、かつて魔法災害対策室が設置されていたが、責任者の失脚があり解体されている。
しかし、そこに所属していた先鋭的な思想を持った研究者や官僚達がエニグマなる組織を作っており、
魔力を支配しようと目論んでいた……、という導入です。
それでは感想です。
ネタバレは多めにあります。
魔法戦士シリーズは、20年以上続いています。
それだけの強いコンテンツであることは間違いないと思います。
その新作ともなれば、一定の購買層が動くようです。
実際、ある程度の本数が売れたのでしょう。げっちゅ屋さんでは発売日前に「次回12月上旬の予定」となっています。追加生産を試みたのかもしれませんよね。
それだけ期待されるシリーズ新作はどうだったか。
概ね納得はしているのですが、もう少し丁寧に作って欲しいなと、強く思います。まず、音質。
改めて製品版の音声を聞くと、音質がとても残念ですね。
どうしてこう低音質なのでしょう。
バランシングされていない、何かの布越しに発せられたかのような声。
前時代の音源で聞いているかのよう。
聞いていて辛いです。嫌になって途中何度かプレイを止めてしまいました。
他作品、他媒体の前後に聞くと、差が明らか。
今作は、ブランドさんとしては初使用だと思いますが、PIXSTUDIO。
前々作「プリンセスクライシス」からQLIE engineと、システムを変更しています。
その前のシステムでも音質が悪い時があるため、収録など音声制作時点で発生しているのではないかと思います。
演者さんがもしプレイして聞いたら、納得するのでしょうか。
せっかくの演技がもったいないです。
音質の問題とも重なるのですが、恐らく収録立ち会いが無いか、監督がいないのではないかと思われます。
為政者の読みは、ぎせいしゃ、ではありませんし、
パッションが庇ってレムティアシータの名を挙げる声が、呼びかけ声になっているのはおかしいです。
現場で指摘してあげて欲しかったですよね。
次にシナリオ。
構成と細部と両方です。
前のシーンと後のシーンの整合性。
これまでの作品でもありましたが、前にされたことを魔法戦士が覚えていない。
例えば、胸を責められた後日、また同じように責められてシータ自身が驚きます。記憶喪失なのかなと思ってしまったり。
ここは整合性を取って欲しいですね。
中盤あたりからシーンが連続する構成です。
多く入れることで色々な需要を満たす向きがあるのかもしれません。
とはいえ、羅列が続く形になってしまっています。
シーンの導入が、例えばレムティアシータの場合で、
魔法災害が発生して、出動して、負けていました、が3クリックなのですよね。
続くシーンでも同じように3クリックでシーンへ入る。いきなり負けている場合もあります。
戦闘を描かないのも思い切りがあって良いと思いますが、でも何か、
シーンを続けるのに最適な構成があると良いですよね。
選択肢も。
どういう意味で捉えたらいいのかと考えてしまいました。
どのシーンが見たいか聞かれているだけになっていますので、もう少し盛り上げて欲しいですよね。
シーンの組合せ方も少し調整した方が良いですよね。
例えば、先にイオタが責められて、シータと感覚を繋げていると宣告されます。しかしその感覚を繋げている場面は、ずっと後になって登場するのです。
確かに60シーンをどう構築し割り当てるかは難しいと思いますが。
誰かが捕らえられているというのは、魔法戦士にとって手向かえない条件。
本来は緊張感を生むものなのに、ここにズレがあると逆に作用してしまう。
いつ報されたのかなと首を傾げてしまっていて。
その前まで。イオタの無事を最後まで確認せずにぼんやり考えている場面があります。
勘も働かず行動もしない迂闊さの表現になってしまいます。
気遣い細やかさ、ちょっとした違和を察知する能力を求められる療法士とも言い難いし、
ヒーローまたはヒロインって行動する者に与えられる称号だと思うので、もう少し何とかうまく立ち回らせてあげて欲しいですね。
作品の根幹となる、レムティアシータの魔力安定性の問題。
何が理由で安定したのか明かされないまま、メルフィーネを説得に掛かっています。
何だか分からないけど一緒に居ると安定するから、もう大丈夫ですよ、って変ですよね。
説得するのであればその理由がその場に必要に思います。
それと、安定するから一緒に、となると、付属物になってしまいがち。
メルフィーネだからと説得して欲しい場面ではありました。
策謀を後半に明かされるのですが、魔力が不安定な理由が微妙なもので、納得しづらい。
そんな理由で乱れるのか、それだったら今までも乱れていたのでは、と。
他の要因を持たせるべきだと思います。
世界を超えた新形態との力の相互作用で、とか。
たぶん、ここがしっかりしていなかったので筋道が通せず、
作品構造がシーンの連続で、意味の分からないものになってしまったのかな、とも。その他細かいところ。
仕掛けをしっかり活かせていないと思います。
シータが身体の操作を乗っ取られる魔法を受けるシーンがあります。いつの間にか強制操作魔法が解けている。これが有効活用されていない。ちょっと恥ずかしがるだけなのです。
解けていたけど衝動のままに行為を続けたとか、行為を肯定する叫びをあげたが操られているのでは無く自分で発してたと自覚させるとか。
エニグマ側が、効果は切れていると指摘してシータを追い詰めるとか。
こうしないと仕掛けは完成しないと思うのです。もったいないですね。
せっかく魔法効果時間は短いと予告してあるのに。
シータの属性があまりそそられませんでした。
されること全て受け入れるのですよね。通り一遍で恥ずかしがって。
見ていて、盛り上がらなかったです。
「魔法戦士ネクストイグニッション」の時は、すごく良いなと思ったのに不思議ですね。
レムティアシータ、立ち絵もそうですが、新フォームもこだわりを感じられず、
もしかしたらあまり大事にされていないのかなと思ってしまいました。
例えば、「sin光臨天使エンシェル・レナ -REINCARNATION-」で登場したラエリスフォームほどのこだわりが無さそうに見えてしまいます。
負けが確定していないのに負けイベントCGが表示されるところ。
タイミングがしっかり合わせられていません。
イベントCGの表示タイミング、CGで描写されるものとテキストとの違い、ここにズレがあるのは冷めてしまいます。
キッスのシーンなのに、BGVはパッションに設定されているところもあります。
キッスとパッションは、最後の場面でフォーカスされるところも逆です。
観客がいるときのSEが入ったり入ってなかったりします。
液体のSEやタイミングとシーン進行があっておらずフライングなところもあります。
後に口に入ってると記述があるのに、普通に声を発するとか。
テキスト上も心の中で思っている丸括弧でなく鉤括弧のまま。音声処理もされていません。
その場にはイオタしかいないのに複数魔法戦士がいるSEが設定されているとか。
やっぱり、音と画面ビジュアルは大事な要素だと思うのです。
1回気になると、それなりに見つかり続けてしまうので、そこが残念ですね。
そのため、いわゆる使えなかった状態でした。
気になるところばかりを挙げましたが、では良かったところは、
一部のビジュアルと、やっぱり歴戦魔法戦士の登場かなと思います。
ロアからの新魔法戦士、メルフィーネことレムティアイオタ(羽崎浮木さん)
スレンダーで妙にかわいらしいデザインです。
私服はロア近衛団服ですが、変身後も共通化されているところが見られ、
格闘や剣術の成績は良かったようで、その設定ともハマるデザインに思えます。
堅物だけれどかわいらしいものに出会っては喜ぶあたり、
やっぱりロアは厳しく律される人が多いのかな、とも。
知識的には疎いはずなのに、教えられる前に頂を知るのは少し不思議でした。ここだけはもう少しなんとか。
なので、体験版の感想の時にも書きましたが、教育と育成ルートがあってもいいと思います。
そして、シンフォニックシュガーとスイートナイツの2人がやっぱり良かったかなと思います。
シンフォニックシュガーは、ロアで研究を続け、シータたちが過ごす世界とを往復する日々のようです。
魔法戦士たちから相談を受け、ロア王宮でも顧問のような形で、全周囲から頼られているようです。
その今に繋がる大事な過去を掘り返す、だから強く反発する、といったことなのかもしれませんね。
表情もかなりいいですよね。
シンフォニックシュガーは、後半になると歯を食いしばり責めに耐えるCGもあります。
良い表情で、思わず保存したくなりますね。
それにしても成瀬未亜さん、すごいですよね。音が安定しているのはすごいと思います。
甘樹博士としてロアの者と論をぶつけあう場面など、声のお陰で説得力が強かったです。
責めはイマジナリーなものが多いので、別なタイプのシーンも見たかったと思います。
そして、スイートナイツの2人。
でもスイートナイツ、ビジュアルと声が良いのですよね。
スイートナイツは二人の性格設定がわかりやすい。
パッションは相手が誰でも強気。
同じ魔法戦士にも格闘術の指導を行うレベルで、その動きはロアでも教本になっているようです。
シンプルにいえばフェイスが良い、ですよね。
活動的な変身後の衣装と、やっぱり活動的な私服。日焼けの肌が特徴的。
肌と髪と瞳の色バランスがすごく良いですよね。
先に攻めるタイプで、思いつき発言で正鵠を射るタイプ。
責められても強気に出るけれど、反応が良くてさせられていることに熱が入ってしまう。
これにヒマリさんの声が乗るわけで。
お約束だとしても、「こんなことして、一体どういうつもりよ!」がすごく良いですよね。
言葉で抵抗し続けるところも。
キッスは、シンフォニックシュガーほどではないにしても、状況分析と解析をして、使う支援魔法に応用させる力があります。
多くの場合に冷静であり、それはもしかしたら突っ走るパッションを諫める役回りだからかもしれません。
パッションより一回りスレンダーながら、身体に見合わない責めを受けることがあるのも特徴でしょうか。
過去作ではボランティアしていたこともあるのですが、今作ではパティシエに専念しているようです。
カフェらしき場所で責められるシーンがあります。
どうしてこのような環境になったか等の前提が不明ですが、最後までトレイを手放さなかったことを褒めたいですね。
シンプルにいえばフェイスが良い、ですよね。
落ち着いたタイプのキャラクタに結城ほのかさんの声は最適だと思います。素晴らしい。
責める敵から、やめてもいいがどうするか問われて、止めて欲しく無さそうな声音の乗った、
「ううっ……ッ、そ……ッ、それはぁぁ……ッ」の蕩け感。
演技が上手いのです。
二人ともスタイルはスレンダー寄り。
でも、どちらも大人数を相手にしているはずなので、大人数を表現してほしいですね。素直にいえば、もっと見たいのです。シーン数は倍の割当が欲しかったです。
全体的に見ると、ブランド作品に慣れている特定層向き、なのかもしれません。
お約束が分かっていて、足りないところ、おかしいと思っても許容できる方向きかなと思います。
お約束が分かっていて、足りないところ、おかしいと思っても許容できる方向きかなと思います。