でぼの巣製作所さんの「神楽黎明記~舞歌の章~参」感想です。

2022年1月発売作品。

でぼの巣製作所さんの「神楽黎明記~舞歌の章~参」は、シリーズ20作目のローグライクRPG。
「ここが今回の試験会場の入口かぁ……」
雉杜神社で退魔巫女の指導をする遠野舞歌が、
退魔巫女たちの卒業試験失敗の調査に赴く、そんな導入でした。

それでは、感想です。
ネタバレは少々あります。
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少々攻略に苦労した部分はありますが、変更点もいくつか見られ、楽しめました。
また、今後の展開も期待できそうなところもあります。

過去には、杜崎莉音も突破した人面樹をボスとする退魔巫女卒業試験に対し、
雉杜神社の指導役、遠野舞歌が挑みます。
神楽黎明記シリーズにおいて、三度登場する退魔巫女は遠野舞歌が初めて。
遠野舞歌は、過去作では九尾と龍神を鎮めており、シリーズに登場する退魔巫女たちの中で最高実績を挙げています。
遠野舞歌であれば問題無いはずですが、さてどうでしょうか。

まず、攻略。
薙刀を武器に、単独でダンジョンを踏破するのがローグライクRPG。
難易度ノーマルでの攻略をしています。

入る度にマップが変わる。
キャラクタが1アクションすると1ターン経過し、マップ上の敵妖怪も1アクションする。
神楽黎明記では、三層に分かれており、層ごとにボスがいます。

体験版では上層、不穏な平野のボスとして水妖が登場しました。
中層、慰み者の沼では野槌が、最下層では人面樹となります。
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中層は雨降り層。
水系の妖怪が回復します。
今作は、水母、河童、おちみず、水妖と四妖怪が影響を受けます。

中層で登場するおちみず。
擬態が得意で、舞歌を誘うように有益な泉に化けます。
近づくと攻撃してくるわけですが、武器の精錬値を減らす硫酸を放ってくるところに、注意が必要。

擬態を暴くために遠くから攻撃すればいいわけですが、2マス攻撃可能な薙刀を持っている舞歌は、通常攻撃で対応可能です。
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おちみずに近づいても、錆びない付加の武器があれば、硫酸対策になります。

退魔巫女は単独であるため、どんな武器を選ぶかが重要になります。

薙刀のキャラクタは、刀のキャラクタよりも攻撃と防御がやや弱い。
その分、薙刀は2マス先まで貫通攻撃が可能です。

基本的には攻撃力の高いものをどんどん装備しなおしていきますが、
前述の硫酸対策のように、あったほうが有利になる付加があります。

今作では、錆びない付加は優先度が高いです。
攻撃力に決め手を欠く薙刀で、おちみずと水妖と2つの敵妖怪が使ってくるため。
敵妖怪への攻撃として考えると、鈍足、睡眠、麻痺の付加が武器にあれば、攻撃の度に相手を状態異常にする可能性が高まります。
また、曇りなき(クリティカル)、一撃必殺の付加は、1ターンあたり攻撃力が激増します。

お守りと防具では、睡眠と鈍足の対策をしたほうが良さそう。
どちらかを選ぶなら、下層では鈍足でしょうか。
これは敵妖怪がしてくることに対しての対策です。

ローグライクRPGであるため、ダンジョン内で拾ったものが良い武器や防具であればになるわけです。

マップ上の敵妖怪は数が多いので、一気に囲まれやすい。
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一気に四体の妖怪に囲まれる、待ち伏せの罠もあります。

その対策としては、ヒーロー装備か戦国無槍がお勧めです。
薙刀は、貫通攻撃の性能を活かしても、止めを刺すのには物足りない威力。
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この二つは、振るった舞歌の全周囲を攻撃することができます。

舞歌の前にいる4体に、一度にダメージを与えることができる。
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曇りなき付与もあるので、舞歌の正面手前にいる妖怪にクリティカルが出ています。
一度これを使ってしまうと、なかなか他に持ち替えることができなくなるほど便利です。

ただ、どちらも下層に辿り着かないと拾えない。
またヒーロー装備は、武器にヒーロースピアまたはヒーローランス、防具にヒーロースーツ、お守りに変身ギアと3つ揃わないといけないので、入手難易度が高いです。

舞歌のもう一つの武器として、なかま妖怪がいます。
これに助けてもらうわけですが、初期に用意されている大蜘蛛、水母、猫又のどれも良いので、プレイスタイルに合わせて試してみるのが良いと思います。
これらは、状態異常攻撃手段を持っているのです。鈍足、麻痺、沈黙を与えてくれ、舞歌を有利にします。
上層から中層では、油すまし、河童、枕返し。
油すましは火の攻撃、枕返しは睡眠を与えて相手からの攻撃をお休みにします。
河童は、甘い息で睡眠を与え、成長すると舞歌の攻撃力を一時的に増やす、ごっつぁんですを掛けてくれます。
下層では、野槌がお勧めです。
野槌は、攻撃に鈍足が付与されていて、周囲を一気に攻撃する起震も備えています。
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一番頼りになるのは野槌かもしれません。

これらのなかま妖怪のお勧め基準は、妖力解放の強化に頼らなくても、安定した支援を受けられることです。

妖力解放するなら、水母。
一段階だけ強化して、乳吸いを覚えさせるのがお勧めです。
天狗の韋駄天、野槌の鉄の印、人面樹の強化までも吸い取ってくれます。


舞歌もレベルアップすると技を覚えていきます。
舞歌の最大の技は、レベル40で覚える奥義・龍牙突ですが、
中層で概ね覚えられる気配察知と吸鬼斬がお勧め。

気配察知は、一定時間、敵の位置をマップ上に表示してくれます。
ローグライクRPGは進んだ箇所が踏破済みとしてマップに表示されていきますが、
行ったことの無い場所にいる敵も表示してくれるのです。
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白点が舞歌。舞歌がいる部屋は識別できるので青くなっています。
部屋に通路が四つあり、赤点3つが敵妖怪。上か左か右かに行くと出くわしそうですね。

気配察知は効果時間がある程度の長さがあり、使いやすい。300ターン以上の効果があります。
気配察知を使うための気力消費は1。道祖神に触れて次のフロアへ進むと、気力1つ回復しますので、あまり消費を考えすぎなくても運用できます。
効果時間中に敵妖怪がリポップしたら、それも表示してくれます。
今回は居ないようですが、突然変異妖怪は大きな赤点で表示されるので、警戒して進むことができます。
弱点として、おちみずの擬態中はわからないことでしょうか。

吸鬼斬は攻撃力も高く、かつ相手から体力を吸い取り、回復します。
薙刀の性質通りに前方2マス貫通しますので、2体居れば2体から回復するところも良いですね。
防御がやや弱い舞歌の非常回復手段のひとつです。
気力3消費と、気力ポイントが多いところが注意点。

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下層、明日無き洞窟のボスは人面樹。
シリーズ中に何度かボスとして登場していますが、強化されて戻ってきました。

周囲を攻撃する回転アタックは、鳳仙花をばらまくように。
鳳仙花は何か触れると100程度の破裂ダメージを与えてきます。人面樹はこのダメージを受けません。
伏魔殿・肆を使い、敵妖怪を四体召喚します。
体力ドレインは範囲が広く、舞歌の後に配置したなかま妖怪からも100程度吸い取ります。
追い込むと、韋駄天、豪腕、賢精、状態異常解除が同時に掛かる森の怒りを使います。

さすがにボスだけあって体力が多いことと、ドレインで舞歌の体力を持って行かれてしまうので、
タミフリンなどの回復薬を複数持っていった方が良いかもしれません。
タミフリンDXなら体力を180回復し、使った後も行動できます。つまり一気に3本飲めます。

攻略に苦労した部分は後ほど。


今回の気になったところをいくつか。

なかま妖怪には2種類成長があり、戦っているうちに覚える技と、戦って貯まる妖力を解放することで覚える妖術がありますが、
この、戦っているうちに覚える、油すましでいえば火炎の瓶は、
ダンジョンに潜り直してレベルが下がっても忘れず、使ってくれます。
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今作でも、既に覚えている技を新たに覚えたかのような表示がされるのですが、表示上のみの問題でしょうか。

罠の発見も同じように重複表示がなされますし、妖術伏魔殿の効果が切れた後の妖怪が帰還するログも何かおかしいままです。
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気力は、道祖神に触れると1回復するはずですが。落とし穴に落ちても回復しますね。
そのほうがありがたいのですが、フロア移動したら1回復と設定されているのでしょうか。

前作「神楽黎明記~護の章~」から、ばらまく演出に変わったバナナトラップ。
なんと、回復薬系の瓶が割れることがあります。
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集めたタミフリンDXが全部割れてしまってショックです。でも、これはいい演出だと思います。考えてみれば納得です。

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食べ物を備えてダンジョンに潜っているつもりですが、苦労しているうちにまんぷくゲージ管理がおろそかに。
満腹の霊脈が見えたので進んでいったら祟りの罠。
祟りの罠は、抵抗無視した状態異常をフルセットで与え、かつぶっ飛ばします。
しばらく動けないまま毒ダメージを受け続けます。

飛ばされた先で痺れから回復して満腹の霊脈へ突進する舞歌。水妖は後回しです。

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抱き枕のカバーは洗濯中でしょうか。以前は良い抱き枕カバーをお使いでした。


さて。お楽しみのシーンです。
神楽黎明記は20作リリースされていますが、遠野舞歌だけ、3作登場しています。
人気も伺えますが、遠野舞歌が他の退魔巫女よりわずかに年上の設定と、風鈴みすずさんの演技によるものと思っています。
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本作体験版冒頭でも、年齢について少しネタにされているキャラクタ。
でも風鈴みすずさんの声自体はかわいらしく、わずかにギャップを与えているところもあります。

神楽黎明記では、敗れた退魔巫女は妖怪にいろいろとされてしまうわけです。
妖怪は一方的で、人にできない責めが可能。
多くの場合、退魔巫女は妖怪の責めに翻弄されていきます。

この時、責められた反応の表現が、風鈴みすずさんは良いと思うのですよね。

責められて苦しんだり、拒否の反応を見せても声質で。
責めに圧倒された舞歌の演技も伝わりやすい。

芝居の巧さを体験するなら、体験版をプレイするとよくわかります。
古狸は、多くの神楽黎明記シリーズで初めに出くわす妖怪で、体験版でも良く登場します。
特徴は、もふもふしていて巨躯。そしてドリル持ち。
話を全く聞いてくれず、一方的に、延々と行為を続ける。
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これと、息も絶え絶えの演技が上手くて、聞き応えがあります。

天狗とのシーンは、ぜひ、1回目と2回目とを通して聞いて、舞歌の変化を味わって欲しいところです。
1回目でも屈してしまう舞歌、ですが、1回目と2回目のシーン、それぞれ全く艶声が違うのですよね。
よく考えて演技に挑まれているのが分かります。素晴らしい。

舞歌は、おちみずに対して強気なことを言うのですが、そのセリフは神楽黎明記シリーズで初めてかもしれません。意外でした。
おちみずは、対象を幼くさせてしまいます。
幼い頃の舞歌は、今よりもはるかに勝ち気だということでしょうか。

その他にも、部位呼称もしますし、風鈴みすずさんの声で発されると違和感なく聞くことができますが、遠野舞歌としてはどうなのかなと少し思うところも。
ASMR作品と同じ流れなのかもしれません。

油すましは、残念ながら期待を上回りません。せっかく感度を引き出す油を使っているのにもったいない。
天狗は焦らし責めで抵抗する気持ちを折るのですが、その後すぐに終わってしまうのがもったいないです。
待たされたのですから、甘受表現がもう少しあってほしかったです。

焦らす演出は上手いと思います。
バッドエンドに続く選択肢設定も逆じゃないかと、今回も思います。気持ちが折れたらバッドエンドになるなら、わかるのですが。

面白かったのは、枕返し。
枕返しは、対象を夢に誘います。
遠野舞歌の夢は、”もし退魔巫女をしていなかったら”。

公式サイトにも掲載されているイベントCGがそれですが、とてもかわいらしい夢で、冒頭の年齢についての話題はここに繋がったのかなと感じますね。

2回目のイベントCGを見ていると、舞歌の容姿は確かに制服に合いますね。
枕返しが悪夢に変え、教師が豹変するのも面白かったかもしれません。
例えば、他の教師を呼んでいて、とか。
素直にいえば、もっと聞いていたい、見ていたいのです。

音声は、アルカディアプロジェクトさん収録でばっちりです。
責めのシチュエーションが大変だったのまで伝わります。

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さて。遠野舞歌は、変異した人面樹を撃退しました。
その人面樹の最期の言葉から、黒幕が別にいると感じ警戒をします。
……が、一旦解決の向きを見せ、本作は終了。

果たして、伏線を受けて続く作品が出てくれるでしょうか。



ダウンロード販売もあります。
一定期間、33%オフです。


#追記
苦労した部分について記しておきます。

今回は攻略を失敗してしまいました。
最下層ボス、人面樹に対し、さあ百鬼夜行・空亡の出番と思ったら、
……覚えていなかったのです。
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これは、敵妖怪を捕縛し切っていなかったため。
攻略が順調で、油断してしまいました。

人面樹に、空亡がない状態で挑むと、大変な目に遭います。
妖術百鬼夜行で戦力になるなかま妖怪を増やすと、その分だけドレイン対象が増えて、
つまり、凄まじく回復します。

人面樹の体力ドレインは、1ユニット100程度。通常は舞歌となかま妖怪1体から奪い、その半分が人面樹の回復になります。
百鬼夜行や伏魔殿・陸でなかま妖怪を6体にすると、目も当てられないことになるのです。

さらに油断をしていました。
まんぷくゲージが無い状態で戦いに入ってしまったのです。
まんぷくゲージが無いと、1ターンごとに体力が減ります。
攻撃力が強いのがボスですから、致命的なミスといえますね。

もし、そんな方が他にもいるとしたらの話ですが。

その状態で、もし戦うなら、手裏剣がオススメです。
手裏剣は、下層、中層で拾うことができる格安手裏剣と鉄の手裏剣の二種類。
格安手裏剣は40、鉄の手裏剣は100のダメージを与えます。

これに、舞歌が覚える転移・陽炎を組み合わせます。
転移・陽炎は、マップ上の何処かに移動する、ぶっとび薬と同じ効果。
気力ポイント1消費で使うことができます。

遠間から鉄の手裏剣を投げて、人面樹が近づいてきたら転移・陽炎。
これを繰り返します。
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ボスは大抵、距離2の攻撃を持っていますが、
人面樹は、毎ターン移動してこないこと、手裏剣は距離6の投擲武器で、枚数も多いので、
この方法が有効になります。

転移・陽炎で離れて、人面樹の攻撃が届く2マスに移動してくるまで、概ね手裏剣8枚800ダメージ。
人面樹がばらまく鳳仙花のダメージも受けません。
森の怒りを使うと韋駄天状態になるため、距離が縮まるターン数が早まります。転移・陽炎を使うタイミングに注意します。
なかま妖怪が油すましであれば、手裏剣の投擲に合わせて距離3になった時点で炎を放ってくれることがあります。


なかまにできなかった妖怪は何かといえば、水妖と野槌。
攻撃捕縛を狙っていました。
妖怪を捕まえるには、敵妖怪を弱らせてから技の捕縛を狙うか、
攻撃をして倒すと一定確率で捕縛できます。
または、一撃で倒せる場合にも捕縛できます。

水妖と野槌はボスとして登場するので、すぐに捕まえられると思っていたのですが。
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舞歌のレベルが53に。
フロアで粘りすぎると瘴気が満ちて、最終的には探索を続けられなくなる仕様です。
しかしまだ捕まえられません。
人面樹は手裏剣戦法で幾度となく倒し、他のなかま妖怪の妖力解放は終わっている状態です。
前述の曇りなき戦国無槍は鍛冶屋で大分鍛え上げられました。
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意地になってしまったといえます。どうしても技の捕縛を使わず、攻撃の捕縛で捕まえるぞと。

そこで、捕縛条件の一つ、一撃必殺に気付きます。
舞歌の奥義・龍牙突なら一撃必殺捕縛できるのではないかと。
試したらあっさり捕縛できました。
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苦労しました。

野槌は確かに強く、突然変異妖怪だらけの妖怪の巣でも強力に支援してくれます。
範囲攻撃の起震があり、攻撃に鈍足が付与されて、舞歌の防御を上げる鉄の印まで持っている。
ただし、妖力解放してしまうと、体力吸収を行うようになり、これはさして強くないので解放しなくても良さそうです。
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意図したわけではないのですが、妖怪の巣で残りの突然変異妖怪が水妖と野槌になりましたので記念に。

そうそう。
強力な妖術、百鬼夜行・縁と百鬼夜行・空亡の効果ターン数が減っています。
なかま妖怪だけでなく舞歌も突然変異化する百鬼夜行・縁はターン数4、
さらに反射を備えた百鬼夜行・空亡はターン数3になりました。
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強力だから調整したのかも知れませんね。これさえ使えば力押しできてしまいますし。