でぼの巣製作所さんの「神楽黎明記~ましろの章~」感想です。
2022年4月発売作品。
でぼの巣製作所の「神楽黎明記~ましろの章~」は、シリーズ21作目のローグライクRPG。
「すまんが、行ってくれるかのう?」
「もちろんだよ!」
容姿は幼くみえるが、妖怪退治は初めてではない。
佐伯ましろは、祖父の知り合いがいる町へ出向く。
町の人は、封印されていた何らかの妖怪が解き放たれたのではないかと推測しているという。
まずは静かな桜並木へ踏み入る。
「綺麗だからって、油断しちゃダメ……」
それでは感想です。
ネタバレは強めにあります。
うん、今作も楽しめました。
シリーズも21作目となり、何回か変更が加えられていますが、
また今作でも変わってきています。
その変更点で、より最後まで楽しめるようになっていると思います。
変更点とは、ローグライクRPG部分。
ローグライクRPGとは、2Dタイプのダンジョンを、プレイヤーが1回動くと、そのフロアにいる敵も1回動くターン制と、
潜るたびにダンジョン構造が変わるもの。
歩くたびにまんぷくゲージが減り、食べ物を食べると回復しますが、無くなると倒れてしまいます。
そんなルールの上で、最下層にいるであろう、封印されていた何らかの妖怪を倒し、
町に平和をもたらすことが、佐伯ましろに依頼された退魔の仕事です。
作を重ねるたびに新たな退魔巫女が登場し、多くは1回だけの登場となりますが、
「神楽黎明記~舞歌の章~参」の遠野舞歌のように、3回登場している退魔巫女もいます。

今作21作目は、佐伯ましろが新登場しています。
見た目はとても幼い、でも身分証明書が必要になる年齢。
ビジュアルを見ても、微かに化粧でより若く見せている感じがしますよね。
さて、面白かったのは変更点です。
まず、過去作をプレイされていた方が選択する引き継ぎ機能。

武器と、その他のアイテムを別々の作品から引き継ぐかを選べるようになりました。
佐伯ましろが装備できる武器は扇。
シリーズ21作中、扇を武器とした退魔巫女は「神楽黎明記~奏の章~」の白山奏しかいません。

他の作品から引き継いでも、装備できない武器が倉庫に送られることになります。これの解消ですね。
また、引き継ぎできる他のアイテムとは、退魔巫女たちが装備する衣や符だけでなく、仲間妖怪もなのです。
これはすごい変更点ですね。
過去、成長させた仲間妖怪を今作でも使用できるのです。

ゲームスタート時点で、引き継いだ水母だけがレベルも妖力も高い状態です。
(妖魂も引き継がれるようですが、使っていませんでした)
よく考えますね、新しい機能を。
探索するダンジョンでは、無音領域という罠が新設されました。
術など声を発するものはおろか、食べ物を食べることもできません。
(沈黙をすると口が開かない設定なのでしょうか?)
BGM、SEも一斉にオフになります。
(ただしBGMは環境設定のサウンド項目を操作すると、無音領域中でも聴くことができます)

敵も沈黙状態になるので、一方的に不利とはなりません。
でも、食べ物を食べられないのは無音領域の設定として正しいのか分かりませんが、とにかく困ります。
解除方法は、領域解除まで粘るか、次のフロアへ移動するか、侵入警報の罠の踏むことです。
沈黙の守りなどがあると、効果時間が減るようです。領域タイプの新しい罠も面白いですね。
そして、佐伯ましろの技、どこでもスイーツ。
得た食べ物をスイーツに変化させるものです。

・こんぺいとう。満腹+10%。
・あんみつ。満腹+25%、体力+2。
・アイスキャンデー。満腹+5%、気力+3。
・フルーツ蜜豆。満腹+40%、体力+3。
変化させる元の食べ物は、毒林檎などでもかまわないので、ここがいいですね。
ただし、今のところは運用しにくいです。
スイーツデータを見ると分かるように、変化させる前の食べ物のほうが性能が良い場合が多いのです。
優位性がありそうなのはアイスキャンデーのみ。
ナイトメアモードで、あがらない体力を増すために使うのかなと思ったのですが、
博打ですよね。気力ゲージが消費3。(ver.1.00aアップデートで消費2)
気力ゲージ10使って、期待できる体力アップが5程度。運用が厳しいです。
例えば、スイーツに変えると、概ね満腹ゲージ回復量は減ります。
代わりに、体力上限も同量にアップする嬉しいですね。
やるだけの理由がほしいです。折角搭載した面白い技なので。
他にも細かい変更点は色々とありますが、攻略的なお話を進めていきますと。
佐伯ましろの武器は扇で、初期ステータスは弓や薙刀などのキャラクタより攻撃と防御が高く設定されているようです。
佐伯ましろは小柄という設定なので、これは少し意外ですね。
武器による設定が優先されているのだと思います。
成長率は初期ステータスに依存するようですので、多少打たれ強く、攻撃ダメージも与えやすいと考えられます。
武器の扇は、1マス前を攻撃するもの。
よって、攻撃が高く付加がある扇を拾って装備していきます。
仲間妖怪は、すねこすりをお勧めします。
ダンジョンは三層に分かれていますが、上層では佐伯ましろの装備が整っていないこともあり、
少しずつ進める形になると思います。
すねこすりは、通常攻撃に会心の攻撃が含まれており、低確率で大ダメージを与えてくれます。
そのため、体力が通常体の数倍多い突然変異妖怪に遭遇しても大丈夫。
中層の戸惑いの山あたりから、一層ごとのマップが広くなり、隠された罠に掛かりやすくなります。
前述の無音領域もあります。まんぷくゲージに注意が必要です。
また、ヒダル神が戸惑いの山から登場します。
確保しておくと、下層の攻略が少し楽になるかも知れません。
ヒダル神は、成長すると相手から食べ物を盗みます。
下層の破滅への雪道は、降雪フロア。
寒さでお腹がすく。
さらに、まんぷくゲージが減りやすくなる仲間妖怪召喚を行っていると、4歩でまんぷくゲージが1減ります。
となると、ヒダル神の敵から食べ物を盗む技が有効となります。

食べ物は売店でしっかり買って備えている。でも装備が整わないなど、攻撃力が欲しい場合は、
経凜々か鵺がお勧めです。
経凜々は子守唄で相手を眠らせ、成長すると韋駄天まで使ってくれます。
韋駄天は天狗も使いますが、経凜々の行動は子守唄か韋駄天(妖力解放していれば火炎)になりやすい。
佐伯ましろの行動した後に眠らせ、敵の反撃ターンを強制的に休ませるのは強いです。
鵺の強さは、攻撃が必ず状態異常を備えていることでしょう。
通常攻撃に沈黙が付与されており、範囲攻撃の雷撃は混乱付与があります。
妖力解放させなくても強力です。
お勧めしないのが百々目鬼。攻撃中に、佐伯ましろと一緒にとんずらをするようになってしまいます。
攻略距離または時間が長くなるだけですので、お勧めできにくいです。
最下層ボス、封印されていたのは牛頭馬頭でした。

シリーズお馴染みの2体ボス。
挟み込んで迫ってくるため、距離が取りづらく、体力はそれぞれ2,000。
豪椀や鉄壁などで保護しつつ、タックルやソバットなど、痺れや混乱付与の攻撃を織り交ぜ、
体力が減ると伏魔殿・肆を使い四体召喚します。
力押しのボスなので、防御を高め、回復薬などを備えておけば問題は無いでしょう。
さて。お楽しみのシーンです。
敗れてしまった妖怪とのシーン。
佐伯ましろの特徴として、容姿が幼く見られることを自覚して、それを使おうとすること。
自身を捕らえた妖怪に対し、一回は、そんなことをしても妖怪の目的は果たせないと主張します。
佐伯ましろは、妖怪が何のために捕らえるか、これから何をされるかを知っているわけですね。
その主張を聞くでも無しに、妖怪は行為をはじめるのですが。
やはり、星空ユメさんの巧さが良く分かります。
星空ユメさんが担当したから佐伯ましろが成立しているといっても良いくらいでした。
まず、ビジュアル面で目を惹くのは、ヒダル神のLive2D描写。
ましろは見た目に小柄。ヒダル神が何かしようとすれば、ましろの頭は揺れます。
その揺らし方がいいです。
瞳の揺らぎなども含めて、見応えがありますね。こちらは体験版第二弾で見ることが出来ます。

演技面。
体験版でみられるものとして、大蜘蛛の1回目。
大蜘蛛に責められ、しかし達してしまう。
余韻に浸りそうになるところへ、大蜘蛛の目的が果たされて、ましろは怯えるのですが、その怯えの演技が上手すぎますね。
「ひいっ……! ぁ……あぁ……」としかテキストには書いておらず、どうとでも発声できるわけです。
この怯えの演技が、いや、巧い。さすがです。
大蜘蛛の2回目も。
あっという間に屈してしまうシーンシナリオですが、短い中でもきちんと変化を感じる演技がされています。
通して見ると、1回目では気絶したのに、2回目では受け入れたとも読み取れる変化になります。
これは、牛頭馬頭の2回目でもそうです。
苦しそうに、でも喘ぐ。巧いですよね。
ヒダル神の2回目も。
飢餓感から、自ら動く時と、ヒダル神が乗ってきて動く時との艶技が明らかに違います。
この演じ分けをしているとは。聞いていて驚きます。
場にましろが置かれた状況を理解して、地の文やセリフになくとも演じ上げる。
体験版でも見られる、油すましの1回目。
拒否しているはずが、油の効果で感度を上げられ、身体を明け渡す。
しかし続けて油すましは佐伯ましろの後ろを狙います。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……! んんっ……! お、お尻っ……お尻がぁ……!」
これ、何回聞いても巧いなと思いますね。
ましろは、苦しさに悶絶した後です。呼吸を整えるようにし、そして困惑するのです。
そんなところでするのはおかしいという気持ちと、そんなところなのに反応している自分がおかしいという演技でしょう。
前段に、嫌なのにどうしてと、混乱している様が表現されていますから、それを継続させての演技。

油すましは、2回目も楽しめます。
時間を掛けて責められ続けた、ましろの声音がすごくいいです。
最下層ボスに2回敗れ、特定の選択肢を選ぶとバッドエンドになります。
選択肢からバッドエンドへの流れは、過去作に比べ分かりやすく変わりました。
耐えると心に刻んだ退魔巫女。牛頭馬頭が飽きるまで耐え切り、逃げ出していく。
体力が無いところへ、別な妖怪が……。
耐える意志を見せたのは素晴らしい、けれど、返って長い時間、責めを受け続けることになった身体と精神はギリギリだった、ということでしょう。
尺は短いですが、状況がわかるようになって良いと思います。バッドエンドの展開は、体験版プレイ時点で想像通りでした。
そして、星空ユメさんだからこそ、できる芸当ですよね。
何回聞いても、サブキャラクタとして聞こえるのがすごい。
シーンについて、全体的に短いのは相変わらず。もう少し楽しみたいです。
それと、佐伯ましろの体格的特徴を活かしたシーン構成または描写になっていてもよかったのかなと思います。
例えば、佐伯ましろなら、巨躯の牛頭馬頭は、さらに大きく感じるはず。
天狗も、過去作ではその赤い鼻ですら一般人間並みだったはず。
色々と活かして、より楽しませて欲しいですね。
でも、今作の天狗の2回目シーンはお勧めです。
展開がとてもいい。シリーズ中でもトップだと思います。
「天狗様」。
懇願だけではありません。自発的に、だけでもないのです。

作品冒頭で触れられていますが、妹の紅葉も退魔巫女のようで、同時期に別の場所へ出掛けるようです。
次作は、この佐伯紅葉が登場しそうですね。
姉のましろが自由に見せかけるタイプなので、紅葉はしっかり者でしょうか。
ダウンロード販売もあります。

神楽黎明記 ~ましろの章~
一定期間、30%オフです。
#追記
今作、もう一つの追加コンテンツがあります。
この2つのダンジョンのルールや特徴を挙げますと。
・難易度設定に限らず、レベルは1から。
・道祖神があるのは20層目のみ。セーブポイントはありません。・深さは本編と同じ21層目。21層目にボスがいる。
・登場妖怪は本作登場妖怪がランダムで登場する。
・最下層になると敵妖怪のレベルが高い。倒すことで最大レベルになりやすい。
・最下層では強い武器が手に入りやすい。
・鉄の手裏剣が無く、格安手裏剣しか出て来ない。
・このダンジョン専用と思えるアイテムが登場する。
・クリアしても特典がない。
これらの共通の特徴に加え、帰らずの迷宮は、途中で帰還できません。
物いらずの迷宮は、アイテムの持ち込みができません。
補足を、攻略情報と合わせて綴ります。
まず、レベルが1からスタートなのは、ノーマル設定でプレイする方にはお馴染みですね。
上層中層下層といった三層に分かれていません。
途中に道祖神、回復ポイントやセーブポイントがありません。ランダムにおかれたマップ設置の気力の泉などでしか、回復する箇所がありません。
本作登場妖怪がランダムで登場するため、本編では上層の静かな桜並木にしか登場しなかった大蜘蛛が、最下層でも登場します。
下層に潜るごとに敵妖怪の体力は増しますので、最下層の大蜘蛛は体力が500超え。
一層目では体力27程度ですから、相当妖気を浴びて強くなったのでしょう。
倒すために必要なターン数が増えますので、より囲まれないようにしなければいけません。
佐伯ましろの最大レベルは60で、仲間妖怪も60です。
敵のレベルは61までのようです。それは強くなりますよね。

本編ボス以上の体力で登場する突然変異の河童。体力2800です。
装備の選択が大事になってきますが、アイテムを拠点からダンジョンに持ち込めない、物いらずの迷宮の場合。
仲間妖怪を育ててから挑戦したほうが良いかもしれません。
重要になるのは、ヒダル神と百々目鬼。
中層くらいまで、ヒダル神を召喚して食べ物を敵から集めるのですが、
最初に百々目鬼を召喚して、百里眼を使って貰うのが安定しそうです。
使用すると、一定時間、フロア内にあるアイテムの位置をマップに表示します。探索には向いていると思います。
ただ、百里眼は300の妖力解放が必要です。
装備が安定してきたら、経凜々か鵺に切り替えて進むとよいと思います。
経凜々は、敵も同じ事をやってくるのですが、韋駄天をかけて子守唄と火炎を交互に行うことがあります。
反撃を受けにくい攻めなので強いですよね。

炎に耐性のある妖怪が今作は登場せず、経凜々や油すましも炎に弱い。
色々できて、行動に無駄がない仲間妖怪といえます。
探索を進めるに当たり、気をつけなければいけないのは、拾って即装備しなければいけないこと。
そして、もしかしたら呪われた装備かもしれないこと。
かつ、解呪の符がない場合。
なるべく保守的に進めた方が良いかもしれません。
チャレンジダンジョン専用の装備は、見つけた限りでは、
幸運の守り、不運の守り、神御衣、芭蕉扇、タミフリンDXG、転送の符。
未鑑定の場合、特に不運の守りには注意しましょう。

ターン経過で罠が増えていくのは恐ろしいですね。
なかなかの遭遇率でした。

武器は、運良くこの曇りなき絶扇-鬼斬を拾うことが出来たので、助かりました。
錆びない付与は、拾った符で付けました。

帰らずの迷宮へは、こちらの旋風-黒羽を持ち込みました。
佐伯ましろの全周囲に攻撃を与えることができるのが特徴です。
芭蕉扇も周囲への攻撃が可能ですが、付加があったほうが強いですよね。
ただ、一撃必殺は、ボスや突然変異妖怪には効果がないことに注意。
クリティカルは効果があるので、閃き付与の武器が拾えたらそちらのほうが安定するかもしれません。
転送の符は、鑑定済みアイテム。
修正aで「一部のアイテムが鑑定済みになる」と記述がありますが、まさにこれですね。
拠点の倉庫に転送できます。
さて、最下層にはボスがいます。
通常攻撃に睡眠と沈黙、混乱付与があるので注意。
装備が整わない場合には、強力な仲間妖怪を選んでから挑みましょう。
倒しても、残念ながらクリアしたというダイアログすらなく、拠点に戻ります。
もちろん、最下層ボスとのシーンもありません。残念。
でも面白かったです。
バグかどうか判断がつかないのですが、この2つのダンジョンでは格安手裏剣しか登場しません。
最下層ボスの箇所で2つ気になるのが、妖術で追加召喚した仲間妖怪の残り経験値がおかしくなるように思います。

経験値あと0で、上限レベルに至ってなければレベルアップし、次の経験値が表示されるのではないでしょうか。
それと、最下層ボスを倒す度に、売店にラインナップが増えたダイアログが表示されるのです。
増えているように思えないのですが。
油すましも強くなりましたよね。

3枚も一気に燃やすなんて。