でぼの巣製作所さんの「霊神楽~奮闘記~参」感想です。
2022年7月発売作品。
でぼの巣製作所さん「霊神楽~奮闘記~参」は、三部作の完結となる作品です。
具同達道に、疑惑がある。
雉杜神社に向かおうとする南雲祐馬たち三人を、霊脈の穢れが阻む。
近くの上白石神社を拠点として、まずは森にある霊脈を浄化に向かうのだった。
それでは感想です。
ネタバレは多少あります。

発売同日にアップデートが配布されています。
進行不可となるバグ修正が入っていますので、適用したほうがいいでしょう。
さて。
鏑木紫、犬童ちはや、南雲祐馬の三人を操るSLG、「霊神楽~奮闘記~」も三作目。
前二作において、鏑木紫に眠る大いなる力を狙う大天狗が敵として現れていました。
この物語が果たして完結するのか。
体験版をプレイした時点では、何となく完結しそうには思えなかったのですが、
無事、三作目で終幕となりました。
ストーリーにおいては、納得しにくいところが多いのですが、
2020年に始まった「霊神楽~奮闘記~」が、2年越しに完結したことを喜びたいと思います。
ゲーム進行は、マップ俯瞰型のSLG。

攻略的な話をしますと、ボスの突然変異妖怪を倒せば良く、全ての霊脈を占領し浄化する必要はありません。
霊脈の浄化は攻略が有利になるはずですが、ボスを倒すことを優先した方が良いマップが多いです。
今作は、仕掛けがあるマップもありますが、それでも攻略方針は同じで良いでしょう。
ボスを倒すには、退魔巫女たちや仲間妖怪で囲むことが一番良いのですが、
ボスの性質が飛行や水移動可能なタイプであると、囲んでもスルッと逃げられてしまうため、
攻略難度が上がります。
例えば蛞蝓や山地乳、そして大天狗でしょう。

敵妖怪は基本的に霊脈を占拠しようと動きます。
この性質を利用して追い詰めていくのも良いと思います。
「霊神楽~奮闘記~」シリーズは攻略時間が掛かるのですが、
2つ理由があると思います。
1つ目は、正攻法でしか攻略できないこと。
例えば全霊脈を浄化してもメリットが余り無い。それ以上、敵妖怪が出て来ないだけ。
仲間妖怪で囲んでも、ボス妖怪の方が強いまま。場合によっては一撃で倒されてしまいます。
結局は退魔巫女達が戦うことになるのですが、退魔巫女たちでも数ターン保たない。
レベルを上げようとしても、20レベルの上限があり、それ以上は強化できません。敵の方が強いままで、最終戦でもやや博打になりがち。
マップの仕掛けもあり、退魔巫女たちは移動しづらく互いにフォローがしにくい。
2つ目は、妖怪合成というシステム。

強くなる過程を見つけられなかっただけかもしれませんが、別段強くはならないと思うのです。
10回合成できるのですが、強くなっている印象がシリーズ通してありませんでした。
戦闘に影響があるのは五行属性で、こちらは考えていかないといけません。

退魔巫女たちも属性設定があるため、ボス妖怪の攻撃を受けてギリギリ保つ(属性有利)か、
ボス妖怪の攻撃を1ターンも耐えられない(属性不利)かで、接敵させるかどうかを考えます。
攻略の補助になるのは、レベルアップと勾玉や符ですので、
売店で装備を整え、過去ステージを繰り返しプレイするのも良いと思います。
例えば、鏑木紫が8レベル到達で覚える、最大の退魔奥義の滅雷を使うとします。
レベル20へ鍛えただけでは、ボス以外の敵妖怪も残ってしまいます。
滅雷は金属性。風属性の天狗は属性不利なため倒せますが、イソツビは不利もなく残るのです。

精神の勾玉を3つ装備させると、大天狗のみ残る形には出来ます。
レベルと補助とを掛け合わせていく。
ただ、装備の枠は4つなので、あと一つしか装備品を使えません。
回復系すら捨てることになってしまいます。
どんな動きをしたら回復を捨てた戦闘で勝てるのかを考えていき、
最初に滅雷を放って、退魔巫女たちを一団に固め、近づいてきた大天狗に奥義を連続的に叩き込むという攻略方法で勝ちを収めました。
もっと良いやり方があるかもしれません。
さて。シーンです。
7ステージあるボスたちと2回ずつ、治療とバッドエンドという構成は、
シリーズ通して変わりません。
しかし、妖気を前面に出し、退魔巫女たちが乱れる理由にしているところが、
「霊神楽~奮闘記」シリーズの良さなのかもしれません。
つまり、全体的に乱れるシーンが多いです。

シーンビジュアルでいえば。
全体的に、鏑木紫のスタイルがスレンダーに描かれていて、いいですね。
体験版でも確認できますが、タイトルビジュアル描かれるようにスレンダー。犬童ちはやとのスタイル対比がとてもいいです。
スタイルの違う退魔巫女が2人いる。いわば、どちらも味わえる作品なのです。
面白いのは、ボイスの種類の多さ。
座敷童のシーンでは、座敷童の姉弟が登場し、捕らえた退魔巫女を責めます。
この座敷童の姉役を蒼井ハルさん、弟役を鶴屋春人さんが演じているのです。
シーン中でどちらかは一人二役となり、聞き応えもあります。
また、「霊神楽~奮闘記」シリーズでは、治療として南雲祐馬と退魔巫女とのシーンもあります。
例えば南雲祐馬の音も、妖怪のSEと同じだったりするところもありますが、
今作では、治療シーンにも発展が用意されており、
エンディングに即した睦まじいシーンになっています。

例えば犬童ちはやとのシーンであれば、南雲祐馬がつい触れてしまった身体に、
犬童ちはやが余裕を見せて受け入れるという形になっているのですが、これがとてもらしくていいですね。
犬童ちはやらしいし、南雲祐馬との関係性を表しているように思います。
ただ、その睦まじさをかき消すのが、繰り返し妖怪にやられてしまうこと。
そして、身に受けた妖気は治療後も蓄積されていくのか、拠点にいても熱を感じているような演出があります。
これがとてもいいですね。
妖怪とのシーンがあって、治療シーンがある。
その後、もう一度妖怪にやられてしまうと、2回目のシーンでは退魔巫女は大きく乱れます。
そして、また戦いに趣くため治療が行われているはずですが、シーンは省略されている。
代わりに、熱を帯びている演出があります。

治療は、妖気に負けているわけです。
そして、部屋に戻った後、ちはやは……。
妖気に汚染されている、退魔巫女の明らかな変化を表現しているのがとても良いですね。
次の妖怪とのシーンに期待してしまうし、バッドエンドもやむなしとも受け止められます。
さて。
2019年からはじまった「霊神楽~奮闘記~」三部作は、完結しました。


まとまりは良いのですが、南雲祐馬を主役に持ってくる流れがなんともいえず、納得しにくかったです。
奮闘記の主役は鏑木紫だったと、やはり思うのです。
結局の所、雉杜神社を襲った異常事態も天狗の仕業。
助けなければいけないとしても、前回辛勝した相手に無策で挑んでいるなど、根性論のバトル決着ともいえてしまいます。ここはもう少し、何かを見出してから挑んで欲しかったところ。
犬神から託された力が目立ったところもありません。
前二作で広げた風呂敷が大きすぎるとも感じます。
最後の選択肢やエンディング分岐は、これで鏑木紫と犬童ちはやの旅が一通り終わりであるため、花を持たせたものだと思います。
納得して終わるとは言い難いところもありますが、キャラクタとしてのエンディングに辿り着きましたし、完結まで見せてくれたことに感謝したいです。
ダウンロード販売もあります。
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面白い設定として。
妖気の影響を受けた泥や水は、臭うということ。
妖気は、水すら変えるわけです。
それを考えると、上白石神社で提供される食事にも妖気の残留があるということになります。
これは多分、多少は自分の陽の気で浄化される、いわゆる量の概念なのかもしれません。
面白いと感じたのは、これをシーンに用いれば、何かとバリエーションが広がりそうな設定だと思えたこと。
今後の作品に活かされていくといいですね。
この感想を見て、自分も買おうと思いました!