皐月さんの「キスからはじめるエゴイズム」体験版プレイしました。
皐月さんのデビュー作は、「キスからはじめるエゴイズム」。
夜が明けた夏の新宿の街並みを見下ろす。
本田創は元ナンバーワンホスト。しかしいまは無職の身。
色々と悔いて辞めたが、生活は苦しい。
クレジットカードは止められているし、残金もない。……そして空腹を訴える体。
運良くへそくりを見つけ、過去の自分を大絶賛しながら原付バイクに乗り、食事に出掛ける。
と。
不意に進路に誰かが現れ、急ハンドルを切る。
投げ出された身体はケガがなかったが、原付は無惨な姿に。
「――って、相手はッ!?」
へたり込んでいたのは、キャンペーンガールのような服装の女だった。
ただ。
「予期せぬエラー発生……損傷箇所ノ検索中……」
「は? エラー? システム?」
そういえば、テレビで新型セクサロイドのニュースを見た。
前モデルは2,000万円と超高価格ながら、医療現場などで活躍が期待され、
注文は十年待ちだという。
ただ、その、耳のような箇所が、折れているように……。

体験版は、778MBでした。
システムは吉里吉里Z。
コンフィグのシステムに戸惑いました。いまONなのかOFFなのか、少々迷ってしまいました。

また。最初にコンフィグを開いて、メインヒロイン、エゴの調整をしようとクリックすると、エゴの音声がオフになるのです。
クリックしたらコントロール可能な状態にして、音声はオフにしなくても良いと思います。
また、既読文章の色変更は、メッセージのページにあるべきかなと思うのですが、
これは同ページに収まりきらなかったからシステム側に入れたのでしょうか。
さて。
アクシデントで出遭った、元ホストと高機能アンドロイドの物語のようです。
他人から酷い目に遭い、色々と失ったホスト。
自我の芽生えから、存在意義を嫌うセクサロイド。
逃げたものの、セクサロイドはエネルギー源として必要であるがため、
二人は行為に至ります。
悪くはないと思うのですが。
気になるところはあります。
展開を早めるため、かなり削ぎ落としている印象です。
展開を早めるためならテキスト量を減らすのが、現時点のある程度の最適解なのはわかります。ですが、そのためにインパクトも軽くなっているように思います。
よって、こう思って欲しいのだろう感情誘導が活きていない。
タイトル画面、アイキャッチとよく用いられている屋上で佇むE-5の姿。
この場面の直前から、E-5の内面が告白されていきます。ところが、それまで軽妙に進みすぎるため、突然シリアスに向かっても、
画面のこちら側に訴えるには足りないのです。
だからそのシリアスも、流れていく。もう少しだけ緩急を付けるとか、重み付けをしても良いと思います。
総合的にテキストを削るのではなく。
あるいは、テキストを削るのなら、瞬間で情報となる音やビジュアルを増やすとか。
現時点では、見ている側の見る力に頼った構成だと思います。
”芽生えし自我がやがて切なくなるADV”、なのですよね。
足りないです。引き込む力、訴える力となるものが。
あとは。これも制作上除外したところでしょうけれども。
出遭った本田創が、E-5を個体として認めてくれたこと。
わかってくれたから嬉しいと考える理も、
わかってくれたことが嬉しいと感じる論も、
それはどこに依拠するのかという命題です。
どれもロジックの問題なので、それらが産まれたことはバグと見て良いのかという話も気にはなりますが。
センサーを疑うことなく受け入れ、論理が導き出すものも、植え付けられたロジック、創造主から与えられたものですよね。
また、E-5は嫌だと考えても行為に至るわけで、他のあらゆる手を探していないようにみえる、
もっと色々方法が、その世界にもあるはずです。
わざわざ研究所を逃げ出すほど避けたかったはずなのに。
本田創も、二度としないとは自思するものの、建前程度。
どちらも、そこにシリアスを持ち込まないようにしているのでしょう。
なのに、シリアスめいた要素。
E-5のキャラクタはコミカルですが、それだけでどうにかするには納得しづらいところがありますね。
もう少し勢いを増さないと。
ただ、ビジュアル等は美しいのですよね。流石です。
それと、E-5に和央きりかさんを割り当てたのはなかなか良いと思います。
妙に可愛らしいところのあるエゴの魅力を、ぐっと増してくれていると思います。

気になるところは無視して、E-5のキャラクタを楽しむのが良さそうです。
2022年10月28日(金)発売予定です。
ダウンロード販売もあります。
一点だけ。
バックログのフェイスが面白いことになっていたので、わざと仕込んだのかなと思ってしまいました。
