でぼの巣製作所さんの「神楽黎明記 〜涼香の章〜」感想です。

2022年11月発売作品。

でぼの巣製作所さんの「神楽黎明記 〜涼香の章〜」は、シリーズ22作目の“ローグライクRPG”。

須波御琴と合流するため森を歩いていた武居涼香は、光に包まれる。
そして記憶を失い、熱杜神社に逗留していた。

その熱杜神社に、退魔の依頼が持ち込まれる。
湖にある龍神の祠に穢れが集まっており、それが妖怪を集めているという。
熱杜神社には、退魔を行える者がいない。
武居涼香は、その依頼を引き受ける。気負うでもなく……。
「たぶんこれは、私の役目だ」と――。

それでは、感想です。
ネタバレは少しあります。
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まさに、体験版をプレイして抱いた期待通り。
物語は不穏が続くようで、今後の展開も楽しみな作品でした。

武居涼香は、2016年発売の「神楽花莚譚」登場の巫女。


須波神社に仕える家系。須波御琴の従者でもあり、友人でもあります。
何かに巻き込まれたのか、今作では単独行動となります。


単独で、潜る度に変化するダンジョンに入り、最下層のボスを倒すのが、ローグライクRPG「神楽黎明記」。
22作目となる今作でも、システムについても便利になるようちょっとしたことが変更されています。

まず。
アップデートがあります。
動作に関わるものがあるようです。公式サイトから、プレイ前に適用した方が良さそうです。


ダンジョンは三層に分かれています。
このダンジョンを、武居涼香は薙刀を武器に、妖怪を蹴散らしながら進みます。
1マス進むと、フロアにいる全妖怪も行動するターン制ともいえ、
まんぷくゲージが減っていきます。
まんぷくゲージがゼロになると戦闘不能になり、敵に倒されなくても拠点となる熱杜神社へ戻されてしまいます。
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ダンジョン内で食べ物を拾うか、拠点で食べ物を買う必要があります。

武居涼香は単独行動ですが、敵妖怪を捕まえて仲間妖怪にすることが可能です。
捕まえた妖怪を召喚すると、一緒に行動して攻撃に参加してくれます。
まんぷくゲージの消費率が上がるので、探索には食べ物が必携です。


食べ物といえば、技のどこでもスイーツ。
佐伯ましろの専売特許かと思いましたが、武居涼香にも実装。
武居涼香にはデザート作りが趣味という設定がありました。
過去作では洋菓子にかなりハマっていた様子でしたが、
今作では残念ながら、佐伯ましろと同じものしか作ることができません。

また、どこでもスイーツにより生まれる菓子の優位性は、腐らないこと。
未鑑定の食べ物にも使うことができ、安全な食べ物に変化させることができる。
この2つだけです。
まんぷくゲージ回復量も下がることが多く、気力ポイントを回復するアイスキャンデーの性能は良いのですが、そこまで気力ゲージが必要になる場がありません。

技の結界。
こちらも、ナツ様の専売特許かと思いましたが。武居涼香も覚えます。
こちらも使う場面がありません。


探索中に注意すべきなのは、その仲間妖怪を誰にするか。
過去作において、おすすめの仲間妖怪はありましたが、今作においては逆。仲間に推奨しない妖怪がいます。

木霊、枕返し、蝦蟇の3種。
この3種は、相手を眠らせる技を持っていますが、敵が強くなる下層に、枕返しが出て来るためです。
枕返しは、睡眠中体力回復する特性があります。
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この回復量が高く、どんなに体力が減っていても3ターンでほぼ全快してしまいます。

具体的にはこうなります。
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突然変異妖怪は体力も多いですが、折角追い詰めたのに……ご覧の通りに。
一生懸命60程度のダメージを与えて削っているところ、仲間妖怪の蝦蟇が眠らせてしまったばかりに1ターンあたり264も回復してしまいました。

また、妖術で仲間妖怪の数を増やして攻撃しようとすると、ランダムであるため、召喚妖怪の中に蝦蟇や木霊が混じることがあります。
なるべく口寄せ等の追加召喚妖術は使わないようにしましょう。

前述の3種に加え、ぬらりひょんも探索に向きません。
敵にしても仲間妖怪にしても良くないです。

敵として登場すると、透明。マップに表示されません。
そして技のぶっ飛ばし。戦っている最中にマップ上のどこかに強制移動させられてしまいます。
装備品であっても盗られてしまう、ぶん取りも持っています。

倒すために、技の気配察知を使うことがおすすめです。
ぬらりひょんは姿を消し、他の妖怪と違い直線で武居涼香に向かって来ず、気づけば横にいることがあります。
気配察知ならぬらりひょんをマップ上に表示させることができます。
気配察知は気力ポイント消費1。道祖神に触れて下層に行くと気力は1回復します。
安全に進みたければ毎フロアで使うと良いでしょう。

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適切に対処しないと……このように、バナナトラップを受けてアイテムをばらまいてしまっているところにぶっ飛ばしを受けてしまいます。
(マップ上の黄点がばらまいてしまったアイテムたち。目の前の道祖神が緑点。遠いです)

無音領域であれば、ぬらりひょんは技を使えずぶっ飛ばしを防げますが、
効果時間中は、武居涼香も食べ物を食べることができなくなります。


最下層のボスは龍神です。
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単純に強く、攻略には多少気をつける必要があります。

攻撃力も強く、距離2の攻撃で、涼香と同じ。接敵しないところから攻撃してくるため、
多くの仲間妖怪の攻撃が届きません。

状態異常は、毒、混乱、睡眠、鈍足、無音が効果ありません。
刃砕きなど攻撃力を落とすものは効果がありますが、龍神はすぐ回復を行います。

龍神も伏魔殿を遣い妖怪を召喚しますが、このとき、ぬらりひょんがいる場合は注意。
ぶっ飛ばしを受けると距離が離れるため、接敵していないと効果がない妖術百鬼夜行のターンが切れてしまいます。
龍神はこちらの百鬼夜行などの追加召喚妖術に反応して伏魔殿を発動するようです。
ぬらりひょんがどちらかにいたら、やはり百鬼夜行は終わってしまいます。
この設定は上手いですね。こんな形で妖術を封じるとは。

タミフリンを多めに拾いましょう。タミフリンなら体力回復させた後に攻撃することもできます。
そして、ぶっとび薬を拾えたら確保しておく。危ない時は距離を離して建て直し。

強い薙刀と巫女服も必要です。最下層に行くまで確保できなければ戻ってやり直すことも必要かもしれません。
何回か戦って安定しないので、もう少しやり方を考えてみます。


さて。
お楽しみのシーンです。
体験版をプレイされた方は気づいていると思いますが、今作は、これまでとシーン描写が少し違います。

先に書いておくと、すごく良いシーン形成です。
「神楽黎明記」シリーズで、このタイプの、キャラクタを活かし文脈で成り立つシーンを味わえるとは思っていませんでした。

今作の武居涼香は、それほど隠語を発しません。
今作は効果の強い毒を打ち込む妖怪が多く登場し、武居涼香の弱点は後ろと、犬童ちはやに似通ったところがありますが、これはスパイスです。

冒頭、依頼を受ける時の、「たぶんこれは、私の役目だ」。
すごく格好いいなと思えました。これ、英雄属性のセリフなのですよね。
倒すべき相手と、守るべきものを決めて動いている現れ。だから発せたセリフです。
従者であり役目を負うと。

そして、基本的に妖怪に対して強気で。

そんな、自分を律している武居涼香が、
自分を襲う妖怪に雄を感じ、自分は雌だと思い知らされ、傅く。
シーン表現の本質はここなのです。
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この表現がとても良いですね。
知識は余りないこともあり、だから、変顔や隠語は少ない。
でもとびきり映えるシーン構成なのです。

変顔を出したり隠語を発すれば堕ちたことになるわけではありません。
それらをいきなり出されても、見ている側はインスタントに感じてしまいます。
キャラクタの記号化。
そういったこと無く、きちんと武居涼香というキャラクタが堕ちた表現に仕上げていると感じました。

武居涼香役の野々村紗夜さんは、巧いと思います。
何かされているときの苦鳴でも、単調でない。
拒絶なのか衝撃なのか受け入れ反応なのか、あるいはそれらが入り交じっているのか。
きちんと演じ分けてくださっています。

体験版収録の鉄鼠の1回目では、初めての異物による圧迫感と驚きを声に感じます。
2回目では、挿入による驚きと快が乗った演技されています。武居涼香が慣れて受け入れやすくなっているということでしょう。

鵺とのシーンでは。
武居涼香が望まなくても。
毒により強制的に鋭敏にさせられた身体の反応に混乱しつつ、鵺の勢いと、生まれる快感に圧倒されつつ、というのが声でわかる演技。
素晴らしいですね。
鵺のシーンは、ぜひ製品版で1回目と併せて楽しんで欲しいところです。

全体的に2回目のシーンが良く、水母や畳叩き、疫病神のシーンもやはり2回目が良いです。

強く抵抗しているのがわかる演技。でも捕らえられて動けない。
妖怪は孕ませるために執拗に襲います。
そのうちに、武居涼香は拘束された体を無理矢理に動かし、積極的に……。

テキストもなかなか面白く、断定的に綴る箇所や、武居涼香の反応表現が良いと思います。
そしてこのビジュアルです。良いですよね。

こうなったら、最早、涼香は戻れない。
そんなことすら感じます。
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テキストとビジュアル、キャラクタに即した構成と声とで、
武居涼香の女の部分と被虐的性向を描いたものになっていました。


全体的に満足できました。
冒頭と、それを受けて紡がれるシーンとで。
最終的に、武居涼香の魅力が引き出されていたと思います。

涼香は格好良いですね。
依頼を引き受ける時も格好良かったのですが、倒した龍神に、一昨日来やがれというようなことを言い放つところが、なお。

そして、このLive2Dモデルの良さ。
涼香の2Dモデルの表情差分は、格好いいとかわいいを備えていて、とても良いデザインだと思います。
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しかし武居涼香。
なんと、エンディングでも記憶が戻りません。これ、どうなってしまうのでしょうか。

須波御琴と合流し、「神楽漫遊記~御琴と涼香~」という展開が生まれるでしょうか。




ダウンロード販売もあります。
 
一定期間、30%オフとなります。


#追記

蝦蟇が甘い息を使い眠らせてくる頻度がとても高いです。
落とし穴に落ちた先、妖怪の巣の曲が格好いいです。

アイテム欄に売価が表示されるようになりました。
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追加ダンジョンのボスより、龍神の方が強いです。